VR心理学フォーラム2013

「基礎心理学のための基礎研究:網膜,遺伝子,インタフェース 」

日時: 2013年3月2日(土曜日)13:00受付開始,13:30~17:00

場所: 豊橋商工会議所508室(愛知県豊橋市花田町石塚42-1)

【アクセス】http://www.toyohashi-cci.or.jp/gaiyo_bill/map.html

JR豊橋駅東口から大橋通りを北へ徒歩7分

【主催】日本基礎心理学会,日本バーチャルリアリティ学会VR心理学研究委員会

【企画・司会】北崎 充晃(豊橋技術科学大学)

今回のフォーラムでは,基礎心理学の基礎をなす問題の最先端を研究する3名の研究者をお招きし,基礎研究・先端研究について紹介して頂きます。専修大学人間科学部心理学科の石金浩史准教授 は,主に網膜神経細胞の反応から動物や人の視覚認知を追求する研究について神経生理学の立場からお話しされます。藤田保健衛生大学総合医科学研究所の宮川剛教授 は,遺伝子改変マウスの行動レベルの表現型の解析により,遺伝子と行動・精神疾患の関係を解明する研究についてお話しされます。 電気通信大学人間コミュニケーション学科の 梶本裕之准教授 は,触覚を中心にヒトの感覚知覚を根底からゆさぶるヒューマンインタフェース研究についてお話しをされます。

※入場料無料・参加申込不要

【プログラム】

13:30 石金 浩史(専修大学) 「網膜からのマルチニューロン記録と行動実験による視覚系の解明」

14:30 宮川 剛(藤田保健衛生大学) 「遺伝子・脳・こころ:遺伝子改変マウスを用いた研究から」

15:30 梶本 裕之(電気通信大学) 「運動と情動を制御する触覚インタフェース」

【講演概要】

「網膜からのマルチニューロン記録と行動実験による視覚系の解明」

外界の視覚情報は最初に網膜で活動電位のパルス列に変換され,脳に出力される。本講演では,薬理学的手法や遺伝子改変を中心とした分子生物学的手法を導入した上で,網膜の出力と視覚誘発性行動との対応関係を調べることで多面的かつ実証的に視覚情報の符号化を調べた研究を紹介する。運動方向選択性および運動残効の神経基盤の同定や,広領域の情報統合をおこなうポピュレーションコーディングの研究を中心に取り上げる。

専修大学心理学科 石金 浩史 准教授

1995年 東京大学文学部心理学専修課程卒業 学士(文学)

1997年 東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了 修士(心理学)

2000年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了 博士(心理学)

2000年 東京大学大学院人文社会系研究科 助手

2005年 理化学研究所脳科学総合研究センター 研究員

2008年 専修大学文学部心理学科 講師

2010年 専修大学人間科学部心理学科 准教授

「遺伝子・脳・こころ:遺伝子改変マウスを用いた研究から」

演者はこれまでに多数の系統の遺伝子改変マウスの心理学的特性を評価してきた。この研究を通じて,精神疾患様の行動異常のプロファイルを示す複数の系統の遺伝子改変マウスに共通して脳の一部が未成熟な状態に留まる「未成熟脳」という現象が見られること,精神疾患患者の死後脳でも同様なことが生じていることを発見した。本フォーラムではこの現象について紹介するとともに,今後,急速に普及すると予想される個人向けゲノム解析と心理学の関係についても議論を行う。

藤田保健衛生大学総合医科学研究所 宮川 剛 教授

1993年 東京大学文学部心理学科卒業 学士(文学)

1995年 東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了 修士(心理学)

1997年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了 博士(心理学)

1997年 理化学研究所脳科学総合研究センター 研究員

1998年 米国国立精神衛生研究所(NIMH)ポスドク研究員

1999年 米国バンダービルト大学 分子神経科学研究センター・薬理学科 助教授(研究)

2001年 米国マサチューセッツ工科大学ピコワー学習・記憶センター 主任研究員

2003年 京都大学医学研究科先端領域融合医学研究機構 助教授

先端技術センター生体遺伝子機能研究チーム チームリーダー

2007年 藤田保健衛生大学総合医科学研究所システム医科学研究部門 教授

京都大学医学研究科先端技術センター生体遺伝子機能研究チーム チームリーダー

2008-2013年 JST-CREST研究代表者「マウスを活用した精神疾患の中間表現型の解明」

(「精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出」領域)

「運動と情動を制御する触覚インタフェース」

従来インタフェース技術は,「ヒトと世界との界面(interface)を対象とした入出力技術」とされてきた。しかし誰もが莫大な情報を認識して行動につなげなければならなくなった現代と未来においては,インタフェース技術を 「認識と行動の界面をスムースに接続する技術」として再定義する必要がある。本講演ではこの観点から,特に触覚への呈示によって運動および情動を制御・誘発可能であることを事例とともに示す。

電気通信大学人間コミュニケーション学科 梶本 裕之 准教授

1998年 東京大学工学部計数工学科卒業 学士(工学)

2001年 東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了 修士(工学)

2003年 東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻博士課程中退

(2004年 博士(情報理工学)取得)

2003年 東京大学大学院情報理工学系研究科 助手

2006年 電気通信大学人間コミュニケーション学科 助教授,准教授

2009-2014年 JSTさきがけ研究員「触覚の時空間認知メカニズムの解明に基づく実世界情報提示」

(「情報環境と人」領域)

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