反転授業とは,従来の授業でおこなわれていた講義・課題の部分を入れ替える方法です。
立命館大学総合心理学部の統計学の授業では反転授業方式を採用しています。
2024年度心理学データ解析法Ⅰの授業を例に,方法を説明します。反転授業の方法自体はさまざまにアレンジ可能です。
*この授業は,森知晴先生が作成された講義動画も利用させていただいています。
①予習:学生は,講義のビデオと資料を見て授業の予習をし,疑問点を掲示板に提出する。
10~20分程度のビデオが3本あります。1本は統計学の理論編,2本はRの実習編です。
同時に課題も提示されており,可能なら予習の段階で取り組みます。予習の段階で提出を終えてもよい。
②授業:授業中は,前回の課題の解説と,その日の授業内容の説明をします。また,事前に出された質問に答えます。
その日の内容により,30分~60分ほどが講義内容となります。
残りの30分~60分,学生は課題に取り組みます。教員やTAに質問をし,疑問を解決します。
100人の受講生に対して,TAは5人程度ついています。友達同士で授業を受け,グループで質問し合う学生も多くいます。
火曜日にビデオと資料を公開,学生は予習をする。
金曜日に授業を受ける。学生は疑問点を解決する。
次の月曜日までに課題提出する。
・従来型の統計学の授業は,教員から学生へ講義する時間で終わってしまうことが多く,学生からの質問に丁寧に答える時間がない。これに対して反転授業では学生の疑問に時間を割くことができる。
・統計学の授業や統計実習の授業では,学生のスタート地点や理解度は異なることが多い。反転授業であれば,講義部分で聞き逃した点や分かりにくかった点について,自分のペースで学習することができる。
・従来型の統計実習の授業では,質問のある個別の学生に対応している間は他の学生は待ち時間となることが多い。また,待ち時間をプレッシャーに感じて質問をためらう学生がいる。これに対して反転授業では質問時間を十分に確保できる。