「いのちの海辺野古大浦湾」(謝名元慶福監督、新里勝彦ほか撮影・編集、文化工房慶制作、2017年、71分)

投稿日: 2019/04/16 10:01:10

文 名嘉山リサ

2017年8月に公開された本作は、新基地建設により破壊されはじめた辺野古大浦湾を記録したドキュメンタリーである。監督は謝名元慶福さん、撮影・編集は本研究会会員の新里勝彦さん。

大浦湾に面する二見地区は「二見情話」という歌で知られるが、その曲で幕が開き、間もなくすると大浦湾を俯瞰から見た映像や、大浦湾水中の色鮮やかな熱帯魚、ジュゴンが泳ぐ姿、サンゴの産卵などの映像が現れる。本紹介文執筆時点で公開から2年は経っていないが、土砂投入が始まり、ジュゴンの死体が打ち上げられたというニュースが記憶に新しい今、まだ土砂が投入されていない辺野古崎周辺やジュゴンが泳ぐ姿を見ると心が痛む。

国内で最も多様な海洋生物が確認されているという大浦湾について、周辺住民や研究者などへのインタビューをはじめ、様々な資料や写真を用いて解説されている。「辺野古大浦湾の記録」はまた、その周辺で起こってきたこと、つまりその海を守ろうと闘ってきた人々の記録でもある。時折画面の上方に「命を守る会結成から~日」というテロップが表示され、その長きにわたる闘いの日々の一部が紹介される。初期のすでに鬼籍に入ってしまったメンバーや、この2年弱の間に亡くなった方々の姿も記録されている。沖縄戦、戦後の占領期から今日に至るまでの歴史的背景も、戦争体験者などの語りやアーカイブ映像などを要所で使い網羅的に扱っているが、ナレーションや情報過多に陥ることなく説明されているため、沖縄の戦後や辺野古、普天間についてさほど知識がない人にもわかりやすい構成になっている。ちなみに、鳩山元総理へのインタビューも収められ、官僚による「フェイク」も暴露される。

本作は上映権付で破格の2,000円(本研究会の年会費と同じ!)で発売されている。問い合わせ先や映像の一部は上のプロモーションビデオを参照。