沖縄文化協会 2023年度東京公開研究発表会 報告書

投稿日:2024/06/30


沖縄文化協会2023年度東京公開研究発表会

 去る20239月23日(土・祝)、沖縄映画研究会会員の世良利和、名嘉山リサ、藤城孝輔の3名が沖縄文化協会主催の研究発表会午後の部後半において沖縄の映画・映像に関する発表を行った。これは会場校である神奈川大学教授の泉水英計会員の取り計らいによるものであり、泉水会員は我々のパネルの司会も務めてくださった。すばらしい方である。彼がその後ほどなく第45回沖縄文化協会賞の比嘉春潮賞に輝いたことも、祝福の念とともに付記しておきたい。ちなみに、神奈川大学の都会的なキャンパスに圧倒されて藤城会員は写真を撮り忘れた。


開催日時 ・ 2023923日(土・祝)1450分~1630分

開催場所 ・ 神奈川大学みなとみらいキャンパス米田吉盛記念ホール

司会進行: 泉水英計(神奈川大学教授


発表者(発表順)

世良利和(沖縄映画研究会代表)「金城哲夫と灘千造―幻の刑事ドラマ『沖縄物語』をめぐって―」

 世良代表は、金城哲夫が脚本家の灘千造と沖縄で共同製作にあたった刑事ドラマ『沖縄物語』(1963年)の製作経緯を報告した。同作は映像が現在散逸しているものの、世良代表は調査の過程で発見した灘執筆の脚本などをもとに作品の内容について議論を展開した。


名嘉山リサ(和光大学)「USCAR製作「音楽」番組と間接的琉米親善」

 名嘉山会員は、USCAR関連研究の最新動向として、USCAR製作の行進バンドに関する番組に焦点を当てた。琉米親善を標榜するそれらの番組において、県民と軍が参加する音楽関連活動が「間接的琉米親善」の象徴として機能していたことを名嘉山会員は指摘した。


藤城孝輔(岡山理科大学)「加害者側からの目線―映画『レイ、初めての呼吸』における贖罪の主題と沖縄での反響―」

 藤城会員は、1995年の米兵による女子小学生暴行事件に着想を得たアメリカ映画『レイ、初めての呼吸』(2008年)を取りあげた。作中の贖罪のモティーフについて分析を試みたほか、沖縄県内で行われた上映会における同作に対する反響を紹介した。



*研究発表会全体のプログラムおよび詳細な要旨は、沖縄文化協会ウェブサイトに掲載されている。
 http://okinawabunka.c.ooco.jp/2023OKB_Tokyo.pdf