沖縄映画研究会 第9回研究発表会 報告書

投稿日: 2021/12/31

開催日時・2021年9月12日14時~16時00分

開催場所・オンライン(オンライン配信の中継会場として那覇市ぶんかテンブス館研修室を利用)

参加人数・21名(オンライン16名+中継会場5名)


(総評)

今回の第9回研究発表会は、新型コロナウイルス感染拡大の状況下により、前回に引き続きZoomを利用したオンライン開催となった。オンラインに対応していない会員のために、中継会場となる那覇市ぶんかテンブス館の研修室で名嘉山リサ会員がZoom映像の配信を行った。今回はミツヨ・ワダ・マルシアーノ京都大学教授の講演の参考映像として、ドキュメンタリー映画『沖縄の母たち』(1970年)の上映をZoom経由で行った。前回と同様に多少の映像のカクつきなど通信状況が原因と見られる問題が生じたが、参加者は貴重な映像を堪能できた。

14:00 開会のあいさつ 世良利和(沖縄映画研究会代表/岡山大学大学院非常勤講師)

世良代表がZoomを介して岡山から挨拶を行った。

最近はMicrosoft Teamsを利用した双方向オンライン授業も行っている世良会員

14:05 【研究発表】「『珊瑚礁の島で』小説版とラジオ版の違いに見る世替わり」藤城孝輔(岡山理科大学)

藤城会員は、佐木隆三が脚本を担当し、尾藤イサオ、真喜志きさ子会員が声の出演を務めたラジオドラマ『珊瑚礁の島で』(1980年)を取り上げ、佐木が沖縄復帰の年である1972年に発表した同名の短編小説との比較を行った。

時間を超過して喋り続けた藤城会員

14:35【上映】『沖縄の母たち』(大島善助監督、1970年)

今回、参考上映を行ったのは、この後に続くミツヨ・ワダ・マルシアーノ教授の講演のテーマに直結した作品である。


作品内容(桜映画社ウェブページより引用 http://sakuraeiga.com/products/1045/


「『台風の跡もすぐ直る。火事も土地まで焼くことはできない。しかし子どもたちが悪いと何もかもなくなってしまう』という諺が沖縄にある。この映画は、沖縄の生活、とくに困難な状況の中で、母親たちが子どもの教育に心を砕き、子どもに未来をかける姿を、本土復帰直前の矛盾に満ちた、美しくも異色の風土の中に取材し心をこめて描いたものである」


15:10 【講演】「社会思想としての沖縄の母親像——映画『沖縄の母たち』(1970)から考える——」ミツヨ・ワダ・マルシアーノ(京都大学)

ミツヨ・ワダ・マルシアーノ教授はジェンダーの観点から『沖縄の母たち』を論じた。講演の後は、当時の教育映画としての作為やプロパガンダ性に関して、活発な議論が行われた。

今回、講演に加えて映像上映に関しても尽力してくださったワダ・マルシアーノ教授

15:45 会員報告

15:50 閉会のあいさつ 名嘉山リサ(事務局長/和光大学)

会員報告では、ミツヨ・ワダ・マルシアーノ教授に関連する告知がいくつかあった。司会の名嘉山リサ会員が最後にあいさつをした。