沖縄映画研究会 第8回研究発表会 報告書

投稿日: 2021/02/15 8:50:39

開催日時・2021年2月14日14時~16時00分

開催場所・オンライン(オンライン配信の中継会場として那覇市ぶんかテンブス館会議室①を利用)

参加人数・21名(オンライン18名+中継会場3名)

(総評)

今回の第8回研究発表会は、新型コロナウイルス感染拡大の状況下により、本研究会では初めてのオンライン開催となった。2020年9月から延期となっていた発表および上映&トークをZoomを利用して行った。また、オンラインに対応していない会員のために、中継会場となる那覇市ぶんかテンブス館の会議室で名嘉山リサ会員がZoom映像の配信を行った。急遽のオンライン開催にも柔軟に対応し、前日のリハーサルにも参加してくれた2名の発表者には感謝したい。当日は、沖縄での開催に参加できない遠方の参加者も気軽に参加できるようになったという利点はあったものの、ドキュメンタリー映画『かりゆしの島―沖縄』(1975年)の上映では、映像のカクつきなど通信状況が原因と見られる問題が浮き彫りとなった。

感染症対策を徹底して配信中継に臨む名嘉山会員

14:00 開会のあいさつ 世良利和(沖縄映画研究会代表/岡山大学大学院非常勤講師)

この日が誕生日でもある世良代表がZoomを介して岡山から挨拶を行った。

初めてのZoomに緊張の面持ちの世良代表

14:05 【研究発表】「USCARの小児マヒ対策とは何であったのか―『人・時・場所』インサートフィルムからの考察―」泉水英計(神奈川大学教授)

泉水会員は、名嘉山会員らと共に企画・監修を行った共著書『よみがえる 沖縄 米国施政権下のテレビ映像 琉球列島米国民政府(USCAR)の時代』DVD編に収録されたUSCAR制作のテレビ番組『人・時・場所』の「手足の不自由な子供を育てる運動」(1970年放送)のフィルムをもとに発表を行った。小児マヒワクチンをめぐる冷戦下の米ソの対立に沖縄の住民が巻き込まれていった過程を明らかにする発表は参加者の反響を呼び、質疑応答でも活発な議論が行われた。

コロナ禍の今日にも通じる発表をした泉水会員

14:45 【上映・トーク】『かりゆしの島―沖縄』―「フィルムに記録された映画の本当の姿」松信秀明((株)東京光音所長)

松信会員は、本研究会の法人会員である東京光音が行うフィルムの修復作業についてわかりやすく解説した。続いて、同社が修復を行ったドキュメンタリー映画『かりゆしの島―沖縄』を上映した。『かりゆしの島―沖縄』は金城哲夫が助監督を務め、1975年の沖縄海洋博で上映された作品であり、東京光音が沖縄県立博物館・美術館の委託を受けて4Kデジタルリマスター版の制作を行った。そして質疑応答では、今後の沖縄でのフィルム修復活動に対する抱負と使命感を語った。

最近はYouTuberとしての活躍も目覚ましい松信会員

修復により、美しい色でよみがえった『かりゆしの島―沖縄』

15:45 会員報告

15:50 閉会のあいさつ 藤城孝輔(運営委員長/岡山理科大学教育講師)

 

会員報告では、成人映画館としての興行を停止し現在建物の修復中の首里劇場の現状に関して當間早志会員が報告した。司会の藤城孝輔会員が最後にあいさつをした。

首里劇場の未来を案じる當間会員

スタジオジブリの提供画像を背景に使った藤城会員

15:55 総会

総会では世良代表が現在、近日刊行予定の沖縄映画研究会3周年記念誌の編集作業の進捗について報告した。また、次回の研究発表会が9月上旬または中間に開催予定であることが発表された。