沖縄映画研究会 第7回研究発表会 報告書

投稿日: 2020/03/06 4:52:37

沖縄映画研究会 第7回研究発表会 報告書

今回の研究発表会はコロナウイルス流行に対する懸念もあり、手洗いの励行や衛生用品の準備、室内の換気など入念な衛生対策を講じた上で開催した。

開催日時・2020年2月23日14時~17時30分

開催場所・沖縄県立芸大附属研究所3階小講堂

参加人数・33名

(総評)

今回の研究発表会では、名嘉山リサ会員の共編著『よみがえる 沖縄 米国施政権下のテレビ映像』出版記念企画と俳優の梅宮辰夫(1938-2019)の追悼企画の二つの特集が組まれた。出版記念企画では名嘉山リサ会員による発表、USCAR製作番組の上映、元USCAR職員の上原昭男会員と名嘉山会員によるトークが行われた。追悼企画では映画『時の娘』(内藤誠監督、1980年)で梅宮と共演した元女優の真喜志きさ子会員が映像を交えて撮影秘話を語った。研究発表では本研究発表会恒例のウチナーグチあいさつで知られる鈴木耕太会員が戦前のスター新垣芳子について秘蔵映像を紹介しつつ発表した。

14:00 開会のあいさつ 世良利和(沖縄映画研究会代表)

おなじみの鈴木会員に代わって世良代表がウチナーグチであいさつをした。

14:05 【発表】「昭和初期の琉球芸能と映画・映像」鈴木耕太(沖縄県立芸術大学)

鈴木会員は昭和初期の琉球芸能を代表するスターの一人、新垣芳子(1918-40)が琉舞の世界にもたらした影響、彼女の県内や東京での活躍を1930年代の貴重な記録映像とともに紹介した。さらに現在フィルムが散逸している新垣が出演した映画の情報を募った。

14:35 《『よみがえる 沖縄 米国施政権下のテレビ映像』出版記念企画》

【発表】「USCAR製作番組と琉米親善」名嘉山リサ(和光大学)

【上映】『人・時・場所――日本の文化を学ぶアメリカの子供達』(1970年)

【トーク】USCARのテレビ番組制作について

上原昭男(元USCAR視聴覚部職員、那覇市伝統工芸事業組合連合会会長)

名嘉山リサ

名嘉山会員は、日本復帰前の沖縄でUSCAR(琉球列島米国民政府)が琉米親善を謳って製作した番組の数々を紹介し、米国国立公文書館が所蔵する映像資料に基づいて当時の番組を復元した過程を論じた。

USCAR製作番組『人・時・場所』の上映後は、名嘉山会員が聞き手となり、元USCAR職員の上原昭男会員が番組制作スタッフとして採用された経緯や番組の企画や制作について振り返った。

16:20 《追悼:梅宮辰夫、映画『時の娘』裏話》真喜志きさ子(古代信仰研究者・元女優)

真喜志きさ子会員は梅宮辰夫と『時の娘』で共演した時のエピソードや撮影秘話を語り、映像を交えて故人を偲んだ。

17:30 閉会のあいさつ 藤城孝輔(岡山理科大学)

その他、会員からの告知や報告は特になし。司会の藤城孝輔会員が最後にあいさつをした。

19:00 懇親会(いまきの芽 那覇市字安里388-90)

* 今回の研究発表会は出版記念企画ということもあり、県内の出版社ボーダーインクが世良代表の新刊『外伝 沖縄映画史 幻に終わった作品たち』(ボーダー新書)をはじめ関連書籍の即売を行い、好評を博した。社長の池宮紀子会員がみずから出張して本会に参加した。

報告書作成:沖縄映画研究会©

https://sites.google.com/site/okinawancinema/

写真:當間早志会員、世良利和代表