第1回医療ゲノムのデータ流通研究会
講演者 浜本 隆二 目的指向基盤技術研究グループ がん探索医療研究チームリーダ
タイトル:Precision Medicineを目指したゲノム研究の今後
講演と議論のまとめ
1. ゲノム研究現場の状況
2. ゲノムの基礎知識
セントラルドクマの説明など
3. ゲノム検査のシークエンサー
現在は次世代型シークエンサーが解析の主流(約1000ドル、1-2日でヒトの全ゲノム解析が可能)
精度の面ではサンガー法も引き続き汎用されている。
4. ゲノム異常とがん 癌
(癌=上皮由来のがん)
多段階発がん説
国立がん研究センターの研究による、がん発生及びがん死の要因別PAF (population attributable fraction)において、リスク要因として高い割合を示すのが、喫煙及び感染性要因である。
5. データベース
BioBank Japan(東大)
患者さんと研究支援のコーディネイターが重要
ゲノムデータ自体は隔離されたネットワーク内に隔離して保存
全国がん登録制度がスタート(平成26年1月):日本でがんと診断されたすべての人のデータを、国立がん研究センター・がん対策情報センターが一元的に管理
6. Precision Medicine
One size fits all から Stratified(個別症状対応) 、さらにPrecision Medicine(個人対応)と進展してきている
SCRUM-Japanのシステム
遺伝子のmutation ごとに効く薬がある
がんの画像を分析して効く薬を調査できるが問題は
○ JPEGだと解像度不足
○ 精密画像だと個人情報
今後の研究課題としては次世代シークエンサーと人工知能の融合
7. 医療データの効率的利用
研究倫理審査委員会IRBを通すことでデータ主体のプライバシーを担保
医事法、薬機法、個人情報保護法を遵守する必要がある。
8. 議論:研究利用の可否
独立行政法人等個人情報保護法(理研や大学が対応する)の場合、目的内であれば外部への提供は可能である。国立研究開発法人国立がん研究センター(独立行政法人であり,独立行政法人等個人情報保護法が適用される)のデータを同センターの目的の範囲内で理研に提供し,取り扱うことに法律レベルでは制約はない。理研AIPのGPUに医療画像を使うことも法律的には可能。(板倉弁護士)
理研AIPの研究は適用除外とはいえ企業の人と共同研究した場合、は工夫が必要。組織毎の倫理指針との関係はどうなるか?という問題はある。
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講演者 藤田卓仙 東京大学附属病院
タイトル:医用人工知能に関するELSIと政策
アブストラクト:人工知能の医療応用に関しては、近年特に注目が集まっている。厚生労働省でも「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」が今年開かれ議論がなされた。同懇談会でも課題の一つと考えられた個人情報保護法制を中心に、医学研究・医療において人工知能を用いる際の倫理・社会・法政策上の課題に関し、現在関わっている精神科領域での研究等の紹介を通じ、議論を行った。