漫画史上最も贅沢な漫画は何か?
と、考えたときにどんな作品を思い浮かべるでしょうか?
・取材費を贅沢に使った漫画なのか?
・作家を贅沢に使った漫画なのか?
・製作時間を贅沢に使った漫画なのか?
いろいろな漫画があると思います。
しかし、私は漫画史上もっとも贅沢な漫画は
・漫画を贅沢に使った漫画
として「大甲子園」を猛烈に押したいと思っています!
漫画を使った漫画とはどういうことか?と説明する前に大甲子園を簡単に説明すると、この物語は超有名漫画「ドカベン」の三年夏の甲子園大会を描いたものです。意外と知られてないんですが「ドカベン」では高校生球児にとって最後の大会となる三年夏の甲子園を描いておらず、代わりにこの「大甲子園」でその大会を描いています。
しかしこの大甲子園、ただのドカベンの続編ではないのです。というのも、対戦相手が信じられないほど豪華!この大会に出てる青田高校、巨人学園、光高校はなんとそれぞれ同作者の「球道くん」「一球さん」「ダントツ」という野球漫画の主人公チームなんです。作者の水島信司はこの大甲子園のためにどの作品も三年春の大会、または甲子園出場決定で終えて大甲子園で対決させてます、ということはドカベンの明訓高校を含む大甲子園で対決する4校のうち3校はその漫画の集大成となる最後の夏の甲子園で敗れるということなんですよ!つまり大甲子園という漫画のために 「球道くん」「一球さん」「ダントツ」「ドカベン」という4つもの漫画を贅沢に使っているってことで 漫画を贅沢に使った漫画 になっています。 複数の野球漫画をスピンオフや番外編などではなく本気で対戦させ、勝者と敗者に分けることの残酷さ、贅沢さ、こんなことは水島信司にしか絶対にできません。複数の漫画を使っているので一つの漫画作品としてはなかなか評価されにくいのですが、野球漫画として間違いなく歴史に残る名作です。 単行本だけでなく文庫本やハードカバー、コンビニ本でも出版されているのでぜひ読んでみてはいかがでしょうか。