アッラーはどういう御方?②

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

アッラーを知る方法 その2:啓示

アッラーを知る方法1つ目の本能に続いて、2つ目の方法は、啓示です。アッラーは、ご自分のことを、すべての人間に知らせるために、人間をお創りになられるときに、神を知る事ができる本能、天性をすべての人間にお恵みになられました。その上で、アッラーは、2つ目の方法、啓示を下すことによって、ご自分の存在を知らせ、また、ご自分がどういう性質をお持ちになっているか、など詳しい事を人間が理解できるよう、啓示という形で伝えました。

アッラーは、すべての人間をとても愛していらっしゃるので、人々が迷うことがないよう、人間の奥深くにある本能によってアッラーの存在を確認できるようにした上で、もっと人間にご慈悲をおかけくださり、啓示という方法で、アッラーのことをもっともっと詳しく知ることができるように配慮してくださったのです。

Ⅰ:なぜ啓示が必要なの?~知るということ~

私たちが、アッラーを知る方法の一つ目、本能によって、神が存在する、ということを感じ、神を求めることができたとしても、その神が、どういう性質を持っていて、何を私たちに望んでいるのか?ということまでは、本能という方法だけを使っては理解することはできません。そこで、アッラーは、私たちにもっとご自分のことを教えてくださるために、預言者たち(平安あれ)を遣わし、彼らに啓示を下して、私たち人間が、アッラーのことをもっと詳しく知ることができるようにご配慮なさったのです。

まず最初に、人間が、何かの情報を得るためには、2つの方法があることを説明しましょう。その実物を実際に「目で見て知る方法」と、目で見ずに「頭で考えて知る方法」、の2つの方法です。まず、見て知る方法は、例えば、実際に私たちが目の前にあるりんごを見たら、私たちはりんごが存在するということがわかります。これが、視覚によって知る方法です。また、もう一つの考えて知るという方法は、例えば、家にいてドアのベルが鳴ったら、ドアのところに誰か人がいる、ということがわかります。私たちは、実際にその人を見たわけではありませんが、ドアのベルを聞くことで、それがわかります。これが、見なくても、頭で考えて知るという方法です。例えば、あなたが、眼を瞑っていても、近くで人の声がするのを聞いたら、そこに人がいる、とわかります。見たわけではないですが、わかります。私たちの生活の中には、こういった、見てはいないけれど、その存在を知っているもの、というのがたくさんあります。例えば、地球上に、アフリカという大陸があるのを私たちは知っているし、南極というところがあるのも知っています。実際にそこへ行ったことはなく、一度も見たことはないけれど、知っています。それは、知識、という情報によって、知ることで、私たちの誰も、それらが存在することを疑うことがありません。このように、人間が、何かの存在を知るとき、目で見なくとも知ることができます。

Ⅱ:啓示は誰が預かるの?~預言者という存在~

では、アッラーについての情報は、どうやって私たちは知ることができるか?というと、アッラーは、預言者たち(平安あれ)を遣わして、彼らに啓示を下し、その啓示によって人間がアッラーのことを、もっと知る事ができるようにしました。預言者たち(平安あれ)というのは、時代を超えた教師のような存在です。ただひとつ違うことは、学校の先生が、ほとんどの先生が正しいことをし(中には教職に就きながら犯罪を犯す人もいます)、大方正しい事を教えてくれる(中には、間違った知識を吹き込む人もいます)のに対して、預言者たち(平安あれ)というのは、絶対に正しい事しかしませんし、絶対に正しい事しか教えません。それは、預言者たち(平安あれ)が、アッラーの存在を詳しく人間に知らせるために、アッラーがご自分でお選びになられた、もっとも優れた人達だからです。歴代の預言者たち(平安あれ)も、アッラーから啓示を受け取り、最後の預言者ムハンマドさま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が、アッラーから最後の啓示を全人類に伝えました。

私たちに伝わったある情報が、正しいかどうか?を知るためには、その情報を誰から伝えられたか?を確かめる必要があります。例えば、南極がある、という情報は、学校で先生から習いました。先生というのは、正しいことを教えることが多いので、南極がある、という情報も、正しいだろう、と考え、私たちは、南極がある、という情報を正しいと判断することができます。同じように、アッラーに関する情報が正しいかどうか?を知るには、まず最初に、それを伝えてくださった、ムハンマドさま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が本当に信頼に値する人なのかどうか、というのを見てみる必要があります。

Ⅲ:啓示の信憑性(しんぴょうせい) ムハンマドさま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)はどんな人?

ムハンマドさま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)は、啓示が降りる前から、そのあだ名が「アミーン(誠実な人)」と呼ばれており、幼いころからまったく嘘をついたことがない人でした。それに加えて、彼は、文盲であったので、一部の中東研究者が言うように、彼が聖書を読んでクルアーンを真似して作った、などと言うことはありえません。そういった疑いの余地がないよう、アッラーは、字を読むことも書くこともない文盲の預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)を最後の預言者に選ばれたのです。一度も嘘をついたことのない彼(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が、家庭を持ち社会的にも落ち着いてきた40歳になって、突然、嘘をつく人になることがあるでしょうか?その嘘というのが、例えば、それによって、お金が儲かるものや、それによって、何か彼が得をするようなことならまだしも、啓示を伝えることで彼が得たものは、命を狙われるようなひどい迫害、自分の民に交流を絶たれるボイコットに合わされ、飲まず食わずの生活を強いられ、ついには、自分の故郷からも追い出されてしまうといった災難ばかりです。そんな損なことのために、わざわざ嘘をつく人がどこにいるでしょうか?

他にも、彼の信頼性を証拠づける逸話があります。あるとき、多神教徒たちが、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)のしているダアワ(アッラーへと人々を招くこと)を止めさせようと、彼に遣いを送ってこう申し出ました。

「もし、あなたが、金欲しさに、このようなことをしているのなら、我々は、持っている金をすべてあなたに与え、我々の中で、あなたを最も金持ちにしてやろう。もし、あなたが、人々の間での地位が欲しいのなら、我々は、あなたをもっとも高い位につかせ、あなたの意見を聞かずには何事も決めないようにしよう。もし、あなたが、王になることを望んでいるのなら、あなたを私たちの王としよう。もし、あなたがこうして受けているものが、自分では止めることができないようなものなら(ジンによるものなら)、あなたを最も優れた医者のところに連れて行き、我々の財産を費やしても、あなたを治そう。」

すると、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)は、彼に、《おっしゃりたいことは、お済みになりましたか?》と確認され、彼がうなずくと、クルアーンの一節をお読みになりました。

【慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。ハーミーム。これは、慈悲あまねく慈愛深き御方からの啓示であります。印が詳細に解明された啓典、理解ある民へのアラビア語のクルアーンで、吉報と警告を伝えるものです。・・・・私はあなたがたと同じ人間に過ぎません。ただ、あなた方の神は、唯一の神であることが私に啓示されました。それでかれに向って真っすぐに傾倒し、かれのお許しを祈りなさい。・・・】 クルアーン 41章 フッスィラ章 1-6節 日訳P589

また、こう仰いました。

《私は、あなたが言われたような状態(ジンに捕りつく取り付かれている)ではありません。また、私がしていることは、あなたたちからお金が欲しいためでも、地位を求めるためでも、王になりたいためでもありません。アッラーが、あなたたちへの使者として私を遣わし、私に啓典を下し、あなた方に、吉報と警告を伝えるよう、私に命じたので、私はあなた方に主の手紙をお伝えし説いているだけなのです。もしあなた方が、私に下ったものを信じるのなら、現世と来世においてのあなた方の幸運となり、もし私を迫害するのなら、アッラーが私とあなた方との間を裁いて下さるまで、私はアッラーのために忍耐します。》

Ⅳ:預言者として~ムハンマドさま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)はどんな人?2~

多神教徒たちのダアワ(アッラーへと人々を招く事)を止めさせるための試みは、一度でなく、何度にも渡って続き、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)本人を説得できないと知ると、彼の保護者であった、叔父さんのアブーターリブのところに、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)を説得するよう、金、地位、女性、などをすべて与えるから、ダアワをやめるよう申し出たため、板ばさみになった叔父さんは、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)に、「もう、わしを苦しい立場に追い込まないでくれ。」と言われました。そのときでさえ、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が言われたことはこうでした。

《 叔父さん、アッラーに誓って、もし彼らが、私がこれを止める代わりに、太陽を私の右手に、月を私の左手に差し出したとしても、アッラーがそれを明白にしてくださるか、私をその中で死なせてくださるまで、私はそれを止めません。 》

こう言われると、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)は、泣き伏せました。

もし預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が、お金、地位、女性など現世利益欲しさのために、嘘をついていたとしたら、この多神教徒たちの申し出は、渡りに船で、さっさとダアワ(アッラーへと人々を招く事)を止めて、彼らの申し出を喜んで受けたことでしょう。では、こんなにいい話を断った、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)目的は、何だったのでしょうか?

預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が亡くなった時に、奥様のアーイシャさま(アッラーのご満足あれ)は、彼が3日間続けて白いパンを食べることさえなかったと言われた預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)は、いったい何のために、そんな大変なことを続けられたのでしょうか?頭を使って考えることが出来る人なら誰でも、同じひとつの結論に達することでしょう。預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が、生涯をかけてダアワ(人々をアッラーへと招く事)を続けられたのは、ひとえに、彼が、「アッラーの命令によって、人々にアッラーのことを知らせる預言者だったから」、という答えに。

Ⅴ:クルアーン~アッラーからのラブレター~

預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)のように、決して嘘をつかず、決してアッラーを裏切ることがない、預言者たち(平安あれ)に、アッラーは、人間に自分のことを教えるため、啓示を下しました。その最終的な形となったのが、最後に預言者ムハンマドさま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)に下されたクルアーンです。預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)が、その生涯をかけて伝えてくださったクルアーンは、全人類へアッラーがお与えくださった、人生を生きるためのマニュアルであり、アッラーからのラブレターであり、全人類への導きなのです。

アッラーは、この「啓示」という方法について、クルアーンの中で、こう仰っています。

【アッラーが、人間に(直接)話しかけることはありません。啓示によるか、帳(とばり)の陰から、または、使徒(天使)を遣わし、彼(アッラー)が命令を下して、そのお望みを明かします。本当に彼(アッラー)は、至高にして英明であられます。このようにわれは、わが命令によって、啓示(クルアーン)をあなた(ムハンマドさま)に下しました。あなたは、啓典が何であるのか、また信仰がどんなものかを知りませんでした。しかしわれは、これ(クルアーン)をわがしもべの中から、われの望む者を導く、一条の光としました。あなたは、それによって、(人々を)正しい道に導くのです。天にあり、地にあるすべてのものを所有するアッラーの道へ。見よ、本当に、すべては、アッラーの(御許(みもと)に)還って行きます。】 クルアーン42章 相談章51-53節 日訳P604-605

Ⅵ:啓示の方法~3種類の方法~

このアッラーからの啓示の種類は、上記のアーヤ(節)によると、3種類あります。ひとつづつ見ていきましょう。

啓示の種類① 正しい正夢による啓示:預言者たち(平安あれ)に告げられる、アッラーからの正夢。預言者イブラーヒーム(平安あれ)が、自分の息子イスマーイールをザバハ(屠殺(とさつ))する夢を見た正夢、などです。預言者たち(平安あれ)でない人間が見る夢は、正夢だったり、嘘の夢だったりするので、正しいお告げかどうか、というのは、イスラーム法や、正常な知能によって判断できます。この啓示の場合、実際に、声が聞こえるわけではありません。

啓示の種類② 姿を見ることなく、話しかけられる啓示: 預言者ムーサー(平安あれ)が、シナイ山で体験されたような啓示。この啓示では、声を聞きます。クルアーンにそのことについて、こうあります。【そしてムーサーには、親しくアッラーは、話しかけられました。】 クルアーン4章婦人章 164節 日訳P120

啓示の種類③ 天使を通じての啓示:この啓示には、2種類の方法があります。一つ目は、天使が実際に天使の姿で現れて、啓示する場合。これは、もっとも受け取るのが辛いもので、真冬の凍えるような寒さの中でも、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)に啓示が下ると、その額に汗がにじむほどでした。そして、二つ目は、天使が姿を変えて、人間の姿で現れて啓示する場合。どのように啓示が下るか尋ねられた預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)は、この二つ目の種類について、こう言われました。

《ときには、私を切り裂くようにベルが鳴り響き、啓示が下り(これが私にとっては最も辛いものだが)その言っていることを理解します。またときには、天使が男性の姿になって現れ、私に話しかけ、彼の言うことを理解します。》

預言者たち(平安あれ)に送られた、これらの啓示によって、アッラーが、彼の愛する人間に何を伝えたかったか、ということを、アッラーは、明白にクルアーンの中で仰っています。

【あなた(ムハンマドさま)以前にも、われが遣わした使徒には、等しく、『われの他に神はいない、

だから、われに仕えなさい。』と啓示した。】 クルアーン21章 預言者章 25節 日訳P395

【われがあなた(ムハンマドさま)に啓典を下したのは、ただ、かれらの争っていることについて解明するためであり、信仰する者に対する導きであり、慈悲です。】 16章 蜜蜂章 64節 日訳P330

アッラーは、ご自分のことを、こうして啓示によって預言者たち(平安あれ)にお伝えになり、その最終啓示が、預言者さま(彼にアッラーの祝福と平安あれ)に啓示された、クルアーンという啓典です。

ムスリマ女性の方へ:

 

興味をもたれた方や、イスラーム関係のレジュメをご覧になりたい方、音声でも講義を聞いてみたいと思われた方がいらっしゃいましたら、「イスラーム勉強会」にご登録いただくことで、可能になります。(登録・受講すべて無料)

イスラーム講義の他、ためになる情報がもりだくさんです。みなさまのご参加をお待ちしております。

 

参加方法:「「イスラーム勉強会、登録希望」と明記の上、メールにて、welove.allah@hotmail.com までご一報ください。

なお講義をして下さる先生が女性の方なので、「ムスリマ女性限定」となります。