3Way用箱の設計検討 /
中途半端かもしれませんが、更新終了
ユニットは
高域 : Accuton C25-6-012 / BD20-6-031
中域 : Accuton C50-8-044
低域 : Audiotechnology 23I52
ユニットの構成はいつものと言う感じの同じ物ですが、これは良い構成です。
簡単な箱の設計ですが、箱構造に関しては固有値解析を実施。
簡単な箱だから、構造検討の影響は大きい。
~1)箱容積と周波数特性の見積もり
箱容積の検討は、これもいつものWinISDを利用
デフォルトの計算では16.4L この容積に対して、25L ・ 30L ・ 40L ・ 55Lでの低域特性とポートの寸法を確認。
ある程度の低域特性と現実的なポート長さの組み合わせから、箱容積は30Lを選択。
~2)箱補強の検討
詳細はこちら「23i52_3way_Eigen」で検討
Ver09 「シンプルな形状なら」
シンプルな形状としては、これか・・・。
板厚 : 21㎜
幅 : 292㎜
高さ : 510㎜
奥行き : 331㎜
箱部材容積 : 15.6L (比重:0.8として 12.5kg / 塗装等をいれても、この程度で収まる見込み / ユニットを除く)
当初の設計(上にあるモデル)よりは幅を20㎜広げている。
内容積 : 31.3L
Ver10 「少し補強を足して」
Ver09をベースにVer05と同じ位置に補強用サブバッフルを設置。
補強を一箇所追加するとすれば、これか。
低次数側の固有値が少し上がる。
Mode11が変化しないのは、背面構造支配のため。
箱部材容積 : 16.3L
内容積 : 30.6L
Ver10.10 「Ver10をベースに寸法を微調整」
板厚 : 21㎜
幅 : 290㎜
高さ : 510㎜
奥行き : 332㎜
(幅290㎜板に21㎜厚のフロント・リアが足される)
これで縦方向に長い一番大きな板は、4枚とも同じ寸法となる。
特定周波数での共鳴を避けるためには寸法をずらした方がよいが、剛性は同じとならないので、前後左右の板が同じ周波数の固有値を持つことは無い。
Mode8の固有値が若干低下するが、他の周波数に与える影響は大きくは無い。
Ver10.2 「Ver10.1をベースに内部補強の板厚を変更」
天板に平行な内部補強の板厚を変更 21㎜→30㎜
これでフロントバッフルと今回変更した補強部が板厚30㎜となった。
Mode7の固有値は上昇するが、Mode11ではあまり効果がない。
この変形を抑えるには裏蓋の肉厚を増す必要がある。
Mode8・11には天板の変形が大きく出ているので、この部分は別な補強が必要。
~3)箱形状の設定
Ver09~10.x形状で仮Fix。
幅 : 290㎜ 剛性・強度の面からはこれ以上幅を狭くしない方が良い。
高さ : 510㎜ 奥行きは使用する板厚で調整。
製作図面はなるべくシンプルな形に修正 / 板幅は290㎜に統一。
添付ファイル rakugakusha_001.zipに図面が載せてある。
この図面での製作実績なし。 図面を利用される場合は自己責任でお願いします。
WinISDに戻りポート長さを再確認
・30L箱でのポートセッティング
ポート径が太くなれば長さを伸ばす必要があり、箱に収まらなくなる。
ポートを一本から二本へ増して対応する。
・ポートは内径Φ40 外径Φ48
塩ビの水道管 VP40
・チューニング幅は広くは無い。
・ポート長さ : 90㎜ ~ 110㎜
・基本のセッティングは100㎜
詳細はこちら「 Baffle diffraction 」で検討
上でポート調整による低域の予測を行った。
これはバッフル(箱)の影響検討 / Baffle diffraction / により低域はだら下がりとなる。
これは物理的な現象なので(箱の寸法が決まれば)、避けようがない。
上で得られた特性が更に低域で最大6dB近く低下する。
Curve 2 : この箱の設定の場合
Curve 1 : ユニットを箱中央に置いた場合
Current system : Curv 2 条件に対し、ユニット径を変更 Φ200 → Φ20
と言うことで、低域に関してはバッフル寸法が決まれば低域の減衰特性ははぼ決まる。
下で試しているが、平面バッフルで製作するのでなく、現実的な寸法で箱を作るとすれば、ほぼこの程度の低域減衰は発生する。
一方で、ユニット口径が小さくなると中域に干渉によるリップルが生じる。
低域側の影響もあるが、中・高域の乱れも気になる。
高域ユニットの位置とバッフルエッジ反射の影響
高域のユニットを箱の中心に据えるとCurve1(グリーン)のように3,000~4,000Hzの間で3dB以上の音圧差が出る。
更にうねりも生まれる。
現在の例(Current System : 赤)では20㎜オフセットしている。
LINKWITZ LAB では実験している。
3インチのバッフルに1.5inダイアフラムで9kHz -5dBのリップルあり。
これくらいの影響が出るなら、何らかの対策をしたくなる。
中域ユニットの位置とバッフルエッジ反射の影響
中域のユニットを箱の中心に据えるとCurve1(グリーン)のように1,000~2,000Hzの間で4dB以上の音圧差が出る。
更にうねりも生まれる。
現在の例(Current System : 赤)では50㎜オフセットしている。
検討結果を形状に反映してみると・・・・・。
これは格好が良いか?悪いのか??。
中々微妙な格好。
この格好で固有値の低下はあるか?
結果には大差ない。
上の結果と下の結果を比べて見てほしい。
多少はモードに変化が出るが、大勢に影響は無い。
ミッドの軸上にツイーターを合わせた場合は / 数字上の変化は少ない
詳細はこちら「Standing wave」で検討
ポートからの中域漏れは音を汚す。
ポートの位置で中域漏れが抑えられれば望ましい。
箱内の定在波を予測し、その影響を検討してみる。
箱の中に発生する定在波について
定在波と言うと、左図の赤線を思い浮かべる。
詳細は文献で確認してほしいが、剛体壁面での反射で考えれば、粒子速度分布は赤線になる。
一方で、音圧は剛体壁面で最大となり、青線のような赤に対して裏返しの分布となる。
従って、0.5次(単純に考えれば尤も低い周波数)で発生する定在波での音圧分布で考えれば、箱の中央が節となり音圧は低くなる。
(その次数ではポート配置として最良点だが、1次では音圧の腹となり高い音圧の発生が想定される)
音源からの反射を考慮した音圧の干渉は単純には見出せないので、その用途に向いたソフトウエアを利用する。
ここで利用したのはスピーカーを入れた部屋の定在波を検討するソフト StndWave2 である。
目的外の使い方なので上手く出来るとは限らないが、何らかの情報が得られれば良い。
試行錯誤結果
ポート開口位置を17㎜内側(ポートは長くしたくないので、口元をフレアー上にして)にすれば更に少し良い。
またポート位置は206㎜。
壁面反射に関しては0.8で計算してみると良い。
0.9だと少し反射の影響が大きい様に思う。
検討結果を設計に反映する
補強が入っているのでその影響はあると思うが、その影響を考慮する知見は無い。
ポート開口部を箱中央側へ配置したいので、裏板はフレアー形状で加工しポートは別部材で保持する。
この検討結果が実際にどの程度ご利益があるか、この先はやってみるしかない。