投稿日: 2018/04/05 12:25:17
1. ワークショップ
趣旨:本年度は、本研究分科会に関係の深いInternational Conference on Perception & Action(知覚と行為に関する国際会議)の第19回大会が韓国のソウルにて開催されました。
本ワークショップでは最新の生態心理学の動向と会場での議論の紹介を交えた報告が行われました。
日時:2017年9月8日16:00~18:00
場所:立教大学池袋キャンパス本館(1号館)1102教室
報告者:佐古仁志(立教大学)、西尾千尋(東京大学学際情報学府)、友野貴之(早稲田大学大学院人間科学研究科)
参加費:無料・申込不要
主催:日本認知科学会「身体・システム・文化」研究分科会
共催:立教大学文学部河野哲也研究室
2. 講演会
講演題目:サイボーグ論の生態学的転回;Natural Born Cyborgs(2003)の批判的読解
講演者:柴田 崇(北海学園大学 人文学部教授)
日時:2017年12月13日(水)午後18時30分~午後20時00分
場所:玉川大学・大学教育棟 2014(UNIVERSITY HALL)・6階605教室
講演要旨: 「サイボーグ」のアイディアが誕生して以来、サイボーグは、身体機能の拡張のための技術として語られ、構想されてきた。こうしたサイボーグ論のパラダイムを転回する動きが、21世紀になって散見されるようになった。その一つに、アンディ・クラーク(Andy Clark)のNatural Born Cyborgs(2003)における議論がある。「身体」と「環境」をキーワードした新しいサイボーグ論は、従来のパラダイムを生態学的なものへと転回することに成功しているが、実はクラークはその意義を十全に理解していない。実際、クラークは「心身問題」への回答としてサイボーグを論じており、「サイボーグ論」へのインパクトについては十分な検証がなされていない。結論を述べると、サイボーグ論における転回の意義は、extensionという概念の分節作業を経なければ理解できない。Natural Born Cyborgsを批判的に読解しつつ、21世紀に相応しいサイボーグ論を考える。
参加費:無料
主催:日本認知科学会「身体・システム・文化」研究分科会
3. 研究会
第4回博論Datablitz
趣旨:博論Datablitzは、教員や学生が分野の垣根を越え、持ち寄ったデータを概観しながら、データ解釈の可能性、展開の方向性等を討論する会です。発表者が提示したデータをもとにして、参加者らによる活発な議論が行われました。
日時:2018年3月9日(金)14:00~18:00
場所:東京都中央区八重洲1-7-7 第2山本ビル4F ローズ会議室
発表要旨:
発表者1:石黒千晶(玉川大学脳科学研究所)
題目:「美や創造性に関わる生理・心理・脳神経データを解釈する」
要旨:美や創造性はヒト特有の活動として多くの研究者の関心を惹きつけてきた。特に、近年の測定技術の進歩によって、美や創造性を心理指標だけでなく、生理指標や脳神経指標を用いて理解することが可能になっている。しかし、美や創造性は複雑な現象であるために、生理・脳神経指標を意味のある数値として解釈することが難しい。このような課題を乗り越えるためにはどのようなアプローチが有効か議論する。
発表者2:渋谷友紀(国立障害者リハビリテーションセンター学院)
題目:「文楽人形遣いの動きと呼吸」
要旨:人形浄瑠璃・文楽の精緻な技術は、しばしば「人形に息をさせる」と言われるが、本研究は、まず素朴に人形遣いの呼吸を計測し、人形の動きとの同期性を確認した。人形遣いの呼吸は、単純な型を繰り返したとき、演技動作と非同期的になり、また周期的になる傾向が見られた。一方、浄瑠璃に合わせた演技を行なった際には周期性は低下した。人形遣いの呼吸が浄瑠璃を語る太夫の呼吸と一部同期的になるためと考えられた。
発表者3:牧野遼作(早稲田大学人間科学学術院)
題目:「他者の身体を含む環境という観点からの相互行為研究」
要旨:我々の行為とは、環境に制約されながらも、同時に環境の構造を利用し、なされるものである。そのため会話などの人と人による相互行為は、単に個人の独立した諸行為によって構成されるわけではない。相互行為とは、他者の振る舞い関係によって、そして、周囲の環境との関係の中で営まれるものである。相互行為場面における環境とは、単なる静的な物理的環境のみを指すのではなく、その場にいる自身と他者の身体によっても構成されていると考えることができるのではないだろうか。本発表では、このような観点から人々の相互行為を検討することで、環境に制約され、かつ利用しながら人々の相互行為がどのように営まれているのかを考えていきたい。具体的には、自己と他者の間の身体特性の差異に着目した分析、また参与者たちの身体位置の組み合わせによって構成されるパターンの分析を報告する。
参加費:無料
主催:日本認知科学会「身体・システム・文化」研究分科会