口から入ったアルコールは、胃で約20%、残りの大部分は小腸で吸収され、
血液に溶け込み、はじめに肝臓に送られる。
肝臓でアルコールは、主に、ADH(アルコール脱水素酵素)の働きによって
「アセトアルデヒド」という有害物質に分解され、
さらにALDH(アルデヒド脱水素酵素)の働きによって無害な酢酸へと変化する。
アセトアルデヒドはお酒を飲んだときに、顔面紅潮や吐き気、頭痛などの原因となる。
アセトアルデヒドは、体内で過酸化水素を発生させる。
過酸化水素は酸化ストレスの大きな原因の1つ、
肝臓の細胞に作用し、活性酸素を生み出す。
その活性酸素がある酵素と反応して過酸化水素になり
全身へ回り細胞にダメージを与え、死滅させる(身体をサビさせてしまう)。
肝臓で分解しきれなかったアルコールは、肝静脈を通って心臓に送られる。
そして脳ほか全身へと巡っていき、再び肝臓に戻って分解される。
肝臓でできた酢酸は、血液を通って全身を巡るうちに水と炭酸ガスに分解され、体の外に排出される。
また、体に入ったアルコールの一部は、体内で処理されないまま、尿や汗、呼気となって、体の外に排出される。
肝臓は、いわばアルコールの分解が行われる。
その分解スピードは一般的に、体重約60kg~70kgの人で1時間におよそ5g~7g程度といわれている。
ビール500ml(アルコール含有量20g)のアルコールを分解するには約3~4時間かかる 。
長期にわたり大量のアルコールを摂取すると、肝臓でアルコールが代謝される際に
中性脂肪が蓄積し、脂肪肝や肝硬変などの肝臓障害を引き起こす。
脂肪肝:中性脂肪が大量に蓄積し、肝臓全体が大きくなった状態。
アルコールを飲み続けることにより、脂肪の分解が抑えられてしまい、
中性脂肪の材料である脂肪酸の合成が高まる。
高血圧:アルコールを長期間摂取し続けると、血圧を上げ、高血圧を引き起こす。
高血圧の状態が続くと心臓や脳へも負担がかかり、心疾患や脳血管疾患へとつながる。
慢性膵炎:大量の飲酒を続けると、膵臓の中の消化酵素が活性化され、
自分の膵臓を消化してしまう(自己消化)を引き起こす。
アルコール依存症:自分で飲酒のコントロールができなくなる。
飲まないとイライラし、不眠になる精神的依存や、アルコールの中断や減量で幻視、
手指のふるえなど身体的依存がある。
急性アルコール中毒:短時間で大量のアルコールを摂取すると、
肝臓でアルコールの分解が追いつかず、血中アルコール濃度が一気に上昇し、
意識混濁、昏睡、嘔吐、低血圧など様々な症状がでる。
慢性アルコール中毒:大量の飲酒習慣で休肝日を設けずに飲み続けると、
脂肪肝、肝炎、肝硬変、食道静脈瘤を引き起こす。
また口腔、食道、肝臓、咽頭、大腸、乳がんなどのリスクが高まる。