花見川流域の自然・歴史を知るための図書紹介 3
「印旛沼-自然と文化-」は財団法人印旛沼環境基金が1994年から1999年にかけて合計6冊発刊した刊行物です。(現在休刊中)
1 「印旛沼-自然と文化-」諸元
編集:財団法人印旛沼環境基金
執筆者:専門家
発行:財団法人印旛沼環境基金
発行年月日:1994年~1999年
価格:各号1000円
サイズ:B5判、各号50~80頁程度
印旛沼-自然と文化- 創刊号~第6号
2 内容紹介
創刊号目次(1994.11)
第2号目次(1995.10)
第3号目次(1996.11)
第4号目次(1997.11)
第5号目次(1998.11)
第6号目次(1999.11)
財団法人印旛沼環境基金ホームページによる。
3この図書の特徴
この図書は、印旛沼と周辺地域の水質・環境の保全に役立てるという趣旨から、印旛沼の自然や文化に関する論文を集成したものです。
論文の中の「江戸時代の印旛沼工事」(鏑木行廣、創刊号)、「江戸期の印旛沼掘割工事で描かれた絵図」(木原善和、第2号)、「印旛沼落掘難工事現場の地理地質的特徴」(白鳥孝治、第5号)は花見川流域に直接かかわる記述があり参考になります。
特に「印旛沼落掘難工事現場の地理地質的特徴」(白鳥孝治、第5号)では花見川河川争奪に関する記述があります。
この記述は花見川河川争奪に関する最初のものであり、印刷された記述としては唯一のものであると考えます。
このブログでは花見川河川争奪について詳しく論じていますが、その検討途中でこの論文が先行して花見川河川争奪について記述していることを知りました。
花見川流域の半分(高津川流域と勝田川流域)は45年前までは印旛沼流域であったのであり、この図書に掲載されている各種論文は、花見川流域について直接言及していなくても、花見川流域の自然・歴史と出自を考える上で示唆に富むものばかりです。
例えば、「印旛沼周辺の神社と古代氏族」(小倉博、創刊号)はいつかこのブログで紹介したいと常々考えていて、実現していないものです。この論文では、香取の海(印旛沼)を軸に土地が下流から上流に向かって、古代氏族によって最初に植民されていった頃の様子を知ることができます。私はこの論文から、古代における花見川流域の空間的意味を考える際の貴重な示唆を得ました。
2014.02.11 ブログ「花見川流域を歩く」記事