2010年4月 審判の目 第9号
【ピッチャーの気持ちになってプレイしてみましょう!】
今回は、私が審判で球審をしていて、ピッチャーについて感じた事をご紹介します。
「チーム全員に助けられているピッチャー」 と「一人ぼっちのピッチャー」どちらが強そうですか?
テレビのスポーツニュースで「今年は強打者がたくさんいるので、○○チームは優勝間違いなし!」などのコメントをするプロ野球解説者もいますが、昨年まで東北楽天イーグルスの監督をされ、現在は名誉監督である方の解説に「ピッチャーが勝敗を左右している」というコメントが出てきます。(勝負の鍵は“バッティング?” “守備?” いったいどちらなのでしょう?)
これは余談ですが、私達審判員として、実は「コントロールの良いピッチャー」と「積極的に打つバッター」を大歓迎しています。早い試合展開は、審判も集中している時間が短くなり、やっぱり楽しいですよね。審判員も・・・人間ですので・・・。
皆さんが、普段の練習や試合中に「声を出せ!!」と監督やコーチから言われている場面も少なくないと思います。 実は「声」って・・・人間の心にとても響く大切なものなんです。何かの競技で優勝をした選手のコメントには“皆さんの応援の声が・・・”と、いうコメントが多く出てきます。
例えば、試合中にリードしている時に声を出すのは、とても簡単ですし、自然と声が出てきます。でも、相手にリードされている試合では、声も自然と出なくなってしまいますよね(悲しくなっちゃいますね)。
でも、10-0で相手にリードされている試合でも、ピッチャーの人は集中力を持って、ボールを投げ続けなくてはなりません。その時、グランドやベンチの仲間から、ほとんど応援する声がピッチャーの耳に届いていないとすると、ピッチャーも気分が落ち込んでしまいます → “ピッチャーが一人ぼっち” ですよね。
先週、県内の高校で、練習試合の球審をさせていただく事があった時の事です。(対戦相手は東北から遠征して来た高校で、卒業生には、現在読売ジャイアンツで大活躍している選手もいます。)
その高校は全てのピッチャーが“チーム全員に助けられているピッチャー” でした。試合中でも、守備に入る時の投球練習でも、1球ボールを投げる毎に、他の19人の選手全員がピッチャーに向かって“うるさいほどの声援と拍手”を送り続けています。(ストライクが入れば、“ナイスボール!<<拍手>>”の連続です。)
そのチームの2試合目、2回表には10-0とリードされていましたが、チーム全員の声は、少なくなるどころか大きくなる一方です。試合が終ってみれば、10-11で逆転勝利してしまいました。
私が感じたのは「やっぱり、ピッチャーが勝敗を左右するんだな~・・・」という事です。確かに打者も頑張ったから得点が入ったという事になりますが、その間、自分であきらめたい気持ちにブレーキをかけて、ボールを必至に投げ続けていた“ピッチャー”の頑張る姿を忘れる事はできません。
来週の週末に試合を控えているすべての選手の皆さん。 「この試合、マジっ!やっべぇ!」と感じた時、自分よりも、まず先に“ピッチャーの○○君” に声をかけ続けてもらえませんか?
東北楽天イーグルスの名誉監督が考えるように“ピッチャーが勝敗を左右する”のであれば “ピッチャーの調子を左右する”という事が充てはまるのは、応援する「すべての仲間の声」ではないでしょうか? 大量得点でリードしていても、リードされていても、声の音量は“最大!” さっそく試してみましょう!
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