精神保健福祉コースでは、精神保健福祉士の養成教育をカリキュラムの中心に置いています。精神保健福祉士は、心の健康の分野でソーシャルワーカーとして福祉の視点で援助を担う国家資格です。学修は、社会福祉学を基盤に、医療保健、心理的支援を加えた3本の柱で構成され、まさに学群の学びのキーワード「福祉、健康、メンタルサポート」を総合的に修得するコースといえます。精神障害のある当事者や福祉の現場の支援者と接点を持ちながら、人の生きる権利を尊重する態度を身につけ、多角的な視点で知識や技術を学びます。
精神保健福祉士の指定科目は、福祉の理念や制度、相談援助(ソーシャルワーク)の技術などを学ぶ社会福祉士との共通科目と、精神保健や精神医療、精神障害者を対象としたソーシャルワーク等を学ぶ専門科目に大別されます。指定科目を全て履修して卒業することにより、精神保健福祉士の国家試験の受験資格を取得することができます。
指定科目の中でも演習・実習・実習指導に多くの時間を割り当て、実践的な学修を積み重ねます。2年秋学期履修の「ソーシャルワーク演習(精神保健)」「精神保健福祉実習指導Ⅰ」は、履修希望者多数の場合、2年春学期までの履修状況、成績等を総合的に判断し、選考を行うことがあります。
3年次で「精神保健福祉演習Ⅰ」「精神保健福祉実習指導Ⅱ」「精神保健福祉現場実習Ⅰ」を履修するためには、2年次秋学期終了時に、先修条件となる下記9科目のGPAと、通算GPAがいずれも2.00以上であることが必要です。
「精神保健福祉の原理Ⅰ」「精神保健福祉の原理Ⅱ」「精神医学Ⅰ」「精神医学Ⅱ」「ソーシャルワークの基盤と専門職」「ソーシャルワークの理論と方法Ⅰ」「ソーシャルワークの理論と方法Ⅱ」「ソーシャルワーク演習(精神保健)」「精神保健福祉実習指導Ⅰ」
専修科目より38単位を修得すると、「精神保健福祉」主専攻となります。専修科目の中で「福祉心理学」「臨床心理学概論」「心理学的支援法」「グループ・アプローチ」などの心理学科目も併せて学ぶことにより、援助の幅を拡げることができます。
精神保健福祉士に加えて、社会福祉士の資格も取得を目指す場合には、社会福祉士の実習・演習科目の履修を必要とし、先修条件を満たすとともに、以下の5科目の平均GPAが「3.30以上」である必要があります。
「ソーシャルワークの基盤と専門職」「ソーシャルワークの理論と方法Ⅰ」「ソーシャルワークの理論と方法Ⅱ」「障害者福祉論」「地域福祉論」
所定の科目の計画的な履修により、認定心理士・認定健康心理士の資格申請も可能になります。
精神保健福祉士に必要な知識・技能・考え方が無理なく計画的に学修できるよう、科目履修の道筋をチャートで示し、履修指導を行っています。
比較的少人数の参加型の授業が多く、話し合いや発表を通して、コミュニケーション力、問題解決能力、チームワーク等を養います。特に演習科目では、相談の実技練習、援助事例の検討、グループワークなどで実践力を高めます。
体験を通して自ら考え、問題解決を学ぶ過程として、実習教育を重視しています。「精神保健福祉実習指導」は2年次秋から4年次春まで3科目を配置しています。2年次の「精神保健福祉実習指導Ⅰ」では、精神保健福祉に関する各種の施設での見学や利用者との交流を行い、現場実習への準備とします。現場実習は、3年次及び4年次に2回に分けて行い、事前・事後学習に十分な時間をかけ、学習の深化を図ります。
学修成果は「卒業認定 ・ 学位授与の方針」に定められた項目と、学修方法 ・ 学修過程(カリキュラム ・ マップ等)により示された、科目が目標とする学修の到達度が学生自身にとってどの程度であったかを示すものです。したがって学修成果は科目それぞれで設定され、シラバスに記載されています。
各科目の内容と到達目標、評価方法はシラバスに明示され、授業目標への達成度が教員により厳正に評価されます。この点は、学群全体に共通します。
「精神保健福祉現場実習Ⅰ・Ⅱ」では、施設からの評価を基本としつつ、学生との面談や記録から得た情報を勘案し、担当教員で協議の上、総合的に評価します。評価は、単なる結果の伝達にとどまらず、学生自身が成果を振り返り、今後の課題を明確にするための重要なステップとして位置づけています。