令和5年度関東大会進出・東京都5位
【関東大会進出・東京都5位】
生徒はよく頑張っていて、確実に力はついているという印象。なにより春休みに基本、技、パターンをきっちり指導した後は、4月中稽古の一切を選手たちに委ね、当日も自分たちで全てやり抜きました。
選手も指導者も本気で優勝を狙っていました。
アップは一番乗りでフロア中心でやり、3回戦、関東決定戦もピンチを乗り切りました。準々決勝の前も、自分たちで気合いを入れている様子から、あえて何も言わずに送り出しました。
基礎、方針を指導した後は選手たちの考えを尊重する。このやり方でトップとの差はじりじりと縮まっているため、間違ってはいないのだと感じます。まだまだ成長するでしょう。
準々決勝で優勝校に敗退。スコア上はかなり惜しいです。しかしこの一本の差が全国との大きな差。勝ち切るにはまだまだ課題があります。
現在東京都5位。関東大会、インハイ都予選も優勝狙います。
準々決勝
1(1)-1(2)
新渡戸
高橋1-0
後藤0-2
松本1-1
草壁0-0
一政0-0
2023年3月
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
令和4年度全国高等学校剣道選抜大会 錬成会
【令和4年度全国高等学校剣道選抜大会 錬成会】
やって参りました。全国規模の錬成会。コロナ以来どんなに待ったか。
ようやく東京都上位進出した矢先に、全て休止でしたから。たまらない景色。
アップ風景、テンション上がります。みんなそれぞれで、全く飽きない。ずっと見ていられます。どの学校も強そう。そして錬成会自体が粛然として動きが迅速。
1日参加で、他県ベスト32〜優勝校までさまざまでした。新渡戸チームは10勝1敗。1敗は他県優勝校。さすがに手強いですが勝たなければ。他県ベスト4校には4回全勝。初めての全国区錬成会にしては、萎縮せず太々しくやれました。
それから、やっぱり全国トップチームは違うなあ。ということもありました。
全国でも有名な某チームは、荷物が綺麗にまとめられて、手拭いも綺麗に面にかけて、感心したのはウインドブレーカーを全部畳んでまとめています。我が新渡戸の選手たちに
「あれを見ろ」と指差したら、慌てて整えていました。
さらには、その学校の選手、床に座っていた私(監督)に椅子を持ってきてくれました。強いだけでなく優しい!
名古屋、春日井市にて。
2023年3月
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「剣道で公立中を立て直した話」①
「剣道で公立中を立て直した話」①
前回書いた通り、某校を前任の先生と方針が合わずくびになるや否や"捨てる神あれば拾う神あり"とばかりに公立中指導のお話が来ました。
実はここは興武館の3名の内1人が通う中学で、男子15名部員がいて、これまた一度も勝ったことがないとか。
早速赴任初日。
「あーあ、これじゃ勝てない」
という状況。
まず、学校が終わると近所の公園でひとしきり遊んでから部活に来る。15時過ぎに学校が終わり、体育館に現れるのが17時。私がまずやったことは、公園に呼びに行くことからでした。15人いるけれど、5人はほとんど来ず、5人は週1回。まだやる気がありそうな子は5人いるかどうか。新しい先生が来たとなり、さらに逃げ腰の様子。
私は正直帰りたいと思いましたが、できるだけ穏やかに何か一つ出来たら褒めて、全員が出来るまで指導しながら、すり足、素振り、面打ち、と進めていきました。技を教える頃には随分上手になって、他校の初心者には勝てるようになります。
彼らは、ただ稽古というものを知らなかっただけなのです。
そうして半年が過ぎて、1年が過ぎて、なんとか都大会出場。15名いた部員は7名となっていました。転校を余儀なくされた者もいましたが、真剣に剣道をやりたいという者が残り、あるいは加わります。夜は興武館に来て稽古する者もいます。
あるブロック大会では、地域No.1、都大会ベスト4くらいのチームに大将戦までもつれ込んで、あわや大番狂わせ寸前ということもありました。まだまだビギナーズラックですが、この中学の名が地域でも知られるようになっていきます。特にこの日は私が試合に行けず、剣道を知らない副校長の引率でしたが、撮影された動画を見ると、自分たちで円陣を組んで気合いを入れる姿がありました。普段の稽古でも、私が体育館に入ると既に準備万端で黙々と素振りをしている者もいます。
実は赴任して1年後の夏休み明け、私は教員免許がないにも関わらず、区の要請で生活指導職員となっていました。中学1年生で学年崩壊が起きたからです。補助に入った体育大の学生たちも焼石に水だったそうで。ただし、そのおかげで学校内でのポジションが出来て、稽古量を増やしたり、生徒とのコミュニケーションが沢山とれるようになりました。この生活指導の仕事自体は1年延長され4年間続きます。
この子たちが卒業するまでに学年で入れ替わった教員はなんと11名。1年〜3年まで続いたのはバレー部顧問の若い女性教員ただ1人でした。荒れている子どもたちは実に15人くらいはいたでしょうか。ありとあらゆる悪さをします。学校ぐるみで剣道部にスカウトし、半数くらいは入部しました。
部活では熱心に稽古するのですが、普段の生活指導では暴れたり、「死ね!」と言われることもよくありました。ただし、その日に何があっても、部活に来たら暗黙の了解で普段の関係性に戻り、何事もなかったかのように指導します。
その中に1人、どうしても打突時の発声が出来ず、自分から打ち込むことができないという子がいました。ただし、攻撃に対する防御反応が抜群でしたので、応じ技を特に指導していました。無理に声を出させたり、打ち込むことを強制することはしません。これは彼の成長過程で芽生えてしまった特性だと感じたからです。彼は生き残るために、そのように順応せざるを得なかったのだと。
経験者は先鋒のみ。学年が一つ下で、明るく素直で皆の弟分のようなムードメーカー。思い切りよくほぼ必ず勝って回してくれます。
都大会では、初めてベスト16がけのところまで勝ち進みました。私は審判中。なんと私の後ろ、背中ごしに試合が開始されました。接戦のようで、隙を見てスコアをちら見していると、五分で大将戦に入りました。大将は、先述の、発声も、仕掛け技もできない防御一辺倒の彼を配置していました。私の戦略は、経験者の先鋒と、初心者でも思い切りの良い2人を次鋒、副将に置いて、大将は逃げ切るつもりでした。大将戦は厳しい。せめて引き分けてくれ!ただ代表戦になった場合、ちゃんと先鋒の子を出せるのか!?もどかしい時間が流れます。
背中ごしに
「すぱん!」
という音が響いて、私は
「やられたなあ」
と思いながら審判に集中していました。
「2本目!すぱん!」
二本負けか。と思いながら振り返ると、違うのです。我が大将が絶妙な擦り上げ面を二本決めていたのです。感動の波が押し寄せて来て、審判中に危うく涙腺が崩壊しかけてしまいました。
結果、その中学始まって以来の都大会ベスト16に入る部活となり、小学生の頃から一切褒められたことの無い彼らは全校生徒の前で表彰されました。こうして少しずつ、彼らは変わっていきました。
2023年3月6日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「剣道の先生をくびになった話」
「剣道の先生をくびになった話」
興武館の少年指導にも慣れた頃、指導者として第一の挫折がありました。
私が少年指導を引き継いでから、ある女子校でもコーチをすることになりました。
この学校は中高50名もいるのに、一回も試合に勝ったことがありません。是非技術的に強くしてほしいとのお話でした。
勝てない理由はすぐに分かりました。
私に声をかけてくれた先生は、個人的には悪い人ではないのですが、私から見てさまざまな問題を感じました。
まず、選手選考を全て先生が決めて、毎回選ばれる子のうち何人かは経験者でした。それは悪いことではないのですが、選考される選手たちは、先生に気に入られていることを傘に着て稽古には半分も来ないのです。
また、試合方法も
「始まったら必ず胴を打ちなさい」
という指導です。経験者ならそれなりに形になりますが、ほとんど初心者で、面打ちもままならないのにはじめから胴に頼っていては、どちらも中途半端になります。
皆、すり足もできず、手と足ばらばらです。
50名の生徒たちはほとんど初心者で、私がコーチに着任するやそれぞれ不満や、技術的な課題を相談に来ました。皆真剣に剣道に取り組みたいようでした。
まずは勝たせる、勝つ喜びを知って欲しいと思い、技術指導に専念したところ、数ヶ月で初の1勝のみではなく、ついに都大会出場を果たしました。
しかしその後急に私に声をかけてくれた先生から電話があり、もう来なくてよいという話でした。
「私と方針が合わない」
という。具体的な理由は全く分かりませんでした。
・選手選考を部内戦と、稽古に取り組む姿勢で評価する
・面打ちをしっかり打てるようにする
など、私のやり方で部活を変えていき、良い形になってきたところだったのですが。その変えてしまったことが、「方針が合わない」ということだったのでしょう。
急に来なくなった私のために、真面目に取り組んでいた部員たちは学校に働きかけをしてくれたようでした。
選手たちにはかわいそうなことをしましたし、今ならその先生のやり方に合わせながら徐々に変えていくこともできたかもしれません。
変えなくてはならないと気負って譲らなかったのは、若さゆえのことでしょう。
2023年3月6日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
アキレス腱断裂から剣道の先生へ
「アキレス腱断裂から剣道の先生へ」
興武館に出会い、週4回休まず稽古に熱中していました。
興武館は当時「日本一厳しい稽古」と言われ、世界や日本各地から出稽古に来る剣士が絶えず、一般剣士は打ち込み中心の稽古を1時間、その後地稽古、かかり稽古。トータル2時間以上、七・八段の先生方の指導のもと全力での稽古です。この頃の稽古量が、剣道を今まで続けて来られた基礎技術の礎となったかと感じています。
私はフリーイラストレーターだったので時間に余裕もあり、道場に入り浸って稽古前は打ち込み台を独占し、稽古後は道場の真ん中でお酒を頂きながら錚々たる先生方の話を聞いて過ごしました。入門以来15年くらいは私が年間参加日数1位だったと思います。二度とは経験できない本当に貴重な時間でした。
毎日楽しかったのですが、学生時代からのアキレス腱炎が悪化、ついに断裂してしまいました。当時24歳。通い始めて2年が経過して、一番身体が動いていたので痛恨の怪我でした。
アキレス腱を断裂したのは、2022年11月についに八段を合格された梶井先生にかかって振り返ったところ転倒。痛みはありませんでした。梶井先生は決して無理な受け方や後押しをされる方ではなく、私も普通に抜けただけでした。
立ち上がっていこうとしたら、左足の下に床がありません。実際には、断裂すると床を踏めなくなり、感覚がなくなります。普段の稽古後の方が痛かったので、既にいつ切れても仕方ない状態だったようです。
「医師の先生からは、1・2ヶ月くらい休めば治る炎症だった」
とのことなので、皆さん無理は禁物です。稽古中はアドレナリンが出て痛みを感じません。
ただちに小澤先生の車で私の家の近所にある荻窪病院に運んで頂きました。手術した後復帰は早く、約3ヶ月後から徐々に再開しました。
「少年指導を引き継いでくれないか?」
それから間も無く少年指導の話を頂きました。前任の先生は日体大出身で指導者として雑誌に特集される程上手な方です。2年間指導法を学びながら行い、やがて私1人となり「剣道の先生」人生が始まりました。
当時は選手3名。前任の先生からは
「子どもの分かりやすい言葉で、伝わりやすい方法を考えながら指導する。また、なかなか出来ない子どもにこそしっかり指導しよう」
という教えを頂き、これは現在でも変わりません。最後まで出来ない子ができるまで指導する。その姿を見て、子どもたちも一緒にお互いをかばい教え合うようになります。
興武館での少年指導は、新渡戸文化学園に正式に剣道指導者として着任するまでの間、約17年続け、3名が10名と少しずつ増えていき、現在は30名くらいになりました。
先日は東京都道場対抗一般の部で「先生!」と声をかけてくれた教え子がいて驚きました。彼は私の手を離れて地方から全国レベルで活躍、大学でもキャプテンを務めたとのことでした。
当時は試合参加も少なく基本重視の指導でしたから、それが基礎となったなら嬉しいことです。
2023年3月6日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
なぜ剣道をやめなかったか
私がなぜ、大した才能がないにもかかわらず今も剣道を続けるのか。また、このように剣道の先生をしているのか。
そのきっかけは、高校卒業後、友人に誘われて行ったスポーツセンターでの稽古会でした。
八段を取り立ての先生がいるから早く並ぼう。というので手速く面をつけて友人が1番、私は様子見で2番目につける。私たちの後ろには瞬く間に行列ができていました。
"なにが八段だ。スピードと力にはかなうわけない。やっつけてやろう。社交辞令の稽古などする気はないぞ"
実はこの頃、あることを理由に剣道に対してふてくされた気持ちでいました。そして剣道とは距離を取るつもりでいたのです。だから、学生時代のように、迎え突きや、返し胴ばかりやられると分かっていても
「先生には面を打たなくちゃいけない」
というような必要もない。こちらから逆胴や突きをお見舞いしてやろう!八段なんて名誉段に違いない!と無知な私は考えていました。
蹲踞から立ち上がると、さまざま技を仕掛けても弾き返される。これまでの先生とは違う迫力の前に動けなくなり、突かれては後ろの剣士に押し戻され、最後は涙を流しながらかかるしかなくなりました。人生で一番見苦しい稽古だったと思います。
稽古後の挨拶で
「そういう稽古をしていたら強くなれないよ」
という言葉を頂き、再び「強くなりたい」と思いました。それまでの色々なもやもやした気持ちが、その先生の厳しい打ち込みと気迫で、つまらないプライドと一緒にどこかへ吹っ飛ばされてしまったのかもしれません。
「強くなりたい」
という気持ちが、その先生との稽古から、再び強く湧き上がりました。
帰り際、側で見ていた方から、「なかなか気迫があって良い」と、盈進義塾興武館の稽古に誘われました。それが興武館との出会いでした。このことがなければ私は剣道を続けることはなかったと思います。
興武館の門を叩くと私はやはり館長小澤博先生と副館長安藤宏三先生に軽くひねられる日々となりました。余談ながら私がスポーツセンターでかかった八段の先生は、かつては興武館の安藤宏三先生から散々しごかれていたというのです。
毎回私は開始の30分前には着替え終えて鏡の前で素振りをしていました。次に入って来るのは安藤先生で、いつからか竹刀の握り方から構えまで、初心者のように0から手ほどきを頂くようになっていきました。
それが私の剣道の本当の意味での修行の始まりでした。
でも、今こそ思うのは、あの時八段の先生を潰す気でかかっていった気持ちはわすれてはならなし、常に挑む気持ちが大切だと、あの時の自分には
「それでいいんだ」
と伝えたいです。
2023年3月6日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
段審査前の形稽古は生徒が指導します
「段審査前の形稽古は生徒が指導します」
稽古時間ですが、一部先輩が受審者に形を指導しています。形の試合や演武経験のある選手たちです。
この日は天気が良く中庭でやっていました。
安心して任せられます。
無事全員合格しました。
以上
2023年3月6日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
タイヤ打ち
新渡戸文化では、小学生〜高校生までタイヤ打ちを導入、稽古メニューにも取り入れています。
はじめは選手個人の自主練用に購入しましたが、埼玉越生錬成会の酒井健太郎先生のアドバイスで、さらにタイヤ打ちの方法を研究しながら、正規の稽古法の一環として20分〜30分行っています。
実は新渡戸文化の稽古では、特に正しいフォームを身につける為に素振りに時間をかける時期もありますが、素振りは個人の裁量に任せて、稽古メニューとしては全てこのタイヤ打ちに費やす時間に割いている時期もあります。
・形を大きく使って真っ直ぐ打つ
・大強速軽を意識
が一番のポイントですが、次に発展形として
・左右から回して打つ
・小さく速く打つ
・跳躍打ち込み
・打ち抜ける面打ち
・引き面
・バランスディスクに乗りながら
なども組み込みながら行なっています。
この場合、竹刀は壊れたものにテープを巻くなど、稽古には使わないものを使用しています。力いっぱい打つので消耗が激しいからです。また、実際に頭を力いっぱい打つよりも、タイヤの場合反動があり手ごたえも感じやすい上遠慮なく打つことが出来る利点もあります。
単純に繰り返すだけで、必ず見返りがある稽古法とも言えます。薩摩示現流では、「立木打ち」といってただひらすら全力で打ち込んで、早く木を折れればいい、という稽古法がありますが、これに近い考え方です。面をつけているとはいえ、立ち止まった状態で上から人間の頭にこれをやるのはなかなか厳しいものがありますからね。
実際の効果は、やはり打ち込みに力や鋭さが出てきます。
タイヤ打ちを重要視するのは、関東・全国を目指す場合、一本を左右するのは総合的な打ち込みの強さだと思うからです。私も毎日指導しながら2~30分程度行なっているのですが、確かに振りが鋭くなる実感があります。
以上
2023年3月6日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「武士道」に根付く剣道修行の心がまえ
新渡戸文化学園初代校長・新渡戸稲造先生の著書「武士道」。これは日本の侍が重んじた「精神的・文化的」な価値観・人生観を、世界の人々に伝える為に書かれたものです。そこで書かれている「義・勇・仁・礼・信・誠・名誉」の意味を要約し「新渡戸文化学園の剣道」として稽古・生活における根幹となる「心がまえ」としています。
「自律型稽古法」による生徒たち自ら考えて稽古をするという「自律心の育成」の取り組みの上で、その基礎となる指針は必要です。「武士道」を読み解き、剣道修行に置き換えたものを以下のように記しました。
義
「人の正しい道(道理)」をわきまえること
「約束を守る・嘘をつかない・誠意をもつ」というような厳格で根本的な正義
*あいまいな義務を意味する「義理」という言葉とは異なる=「友人との義理があるから(本当は悪いことを)仕方なくやった」「義理があるから付き合いでやった」などという言い訳・詭弁に使われることがあるから。
[剣道・生活において]
●人としての道理を知る
●生活上のルールを知る
●剣道の理合を知る
勇(勇気) 【胆力をもって決断し実践すること】
「義」に従い、真の機会を逃さず決断・行動すること
*ただ単に危険を冒し突撃するというようなことは「匹夫の勇」(下等な勇気)となり、容易・安易なことであり本質とは違う。
●決心し行動・体現する
●伝えるべきことを発する
●打つべき機会に捨て切る
●勝負に出るべきか否かを決断する
仁 【いたわり、思いやる心】
他者(主に弱者・敗者)を優しくいたわる心
*このような心は「武道」の側面だけでなく、日本では音楽・文学などの芸術のたしなみによっても育てられてきた。
●小中高が互いに交流する環境=上級者が手本を示して下級生はそれを目標とする
●チームメイトを大事にする
●稽古・試合の相手への態度
礼 【敬意の表現】
他者に謙譲や丁重の心をもって接するという、社交的に最も高度な態度のひとつ
*安易で形式的なものではなく、自らが厳しい修練に耐えて身に着けられる内面的な強さに根ざした思いやり深い感情表現
●話を聞く態度
●挨拶・返事
●言葉遣い
●物や設備を大切にする
●家族や支援者・友人・チームメイト・先生への感謝
信・誠 【誠実さ】
偽りがなく、真実を重んじて正直であること
「誠」の無い「礼」は、単なる形式的で中身のないものになる。
例)「武士の一言」・「武士に二言なし」=証書なしで言葉のみの約束を果たすこと
●正直
●自分に厳しく
●約束を守る
●時間を守る
●より良くする為の提言をする
●損得を抜きにして大切なことを見極める
名誉 【高潔さ】
富や知識ではない人格の高さへの誇り
「羞恥心」(恥を知る心)を持ち、志を高くすること美徳とした価値観。
●正しい勝負をする
●美しい剣道を心がける
●剣道に誇りを持つ
●自分の生き様に誇りを持つ
●美しい姿勢で行動する
●差別をしない
【指導者の心構え】
*または上級生が下級生に教える場合も同じ
「知識のみではなく実践を重んずる態度」
*新渡戸稲造著(武士道) より
を指導者自らが示す。
●自ら稽古に励んで研究・鍛錬を怠らず、常に手本を示す
●生徒に対するときは親心を持ち、過ちに対しては感情的に「怒る」のではなく理性的に「叱る」(=諭す)
●押しつけず、生徒が考える余地を与え、「結果」同様に「過程」を見つめる
●勝利至上主義に陥らない
●事故や怪我の予防に努める
●正しい剣道を志し、伝えていく努力をする
●初心者、運動の苦手な者、体の弱い者の「剣道をやりたい」という意欲を正しく受け止め、熟練者同様大切に指導する
【新渡戸文化学園での剣道修行の段階】
初期(小学低学年又は初心者)
●基礎的な礼儀作法(話を聞く態度・挨拶・返事・言葉遣い・時間を守る・物を大切に扱う・人に思いやりを)を学ぶ
●基礎体力づくり(主に体幹・足腰)
●基礎的な「構え・素振り・打ち込み(全身運動で刃筋正しく行う)」
●自律心の芽生えに対する支援(やりたい稽古法を尊重・指導)
中期 (小学中学年〜中学生)
●「一本の五つの過程」を学ぶ
1打つ前の気攻め(発声・気迫)
2剣攻め(間合いの詰め・中心の制圧)
3打突(刃筋正しく・物打ちで打つ・充分な強度で打つ)
4打ち攻め(=打ち切り・気勢・送り足・姿勢)
5残心(次の攻め・居着かない)
●発展した打ち込み(攻め・仕掛けを伴う。又は引き技)
●技(出鼻技、応じ技、引き技、連続技)を学ぶ
●気迫・勢いの充実
●自律型稽古法の実践(技術的・精神的向上を目的とする)
後期(高校生)
●機会・崩しを意識した高度な打ち込み
●「溜め」「無形の攻め」による攻防
●複合的・連続的な技の習得
●相互又は後輩への的確な指導・アドバイスによる分析能力の習得
●自主的な稽古プランの開発
●戦略的な試合運びの研究
●上記に繋がる準備、トレーニングなど、より高度な計画性の研鑽
●自律型稽古法の発展した実践(戦略的・長期的目標達成を目的とする)
まとめ
●剣道の修行の段階をよく自覚し、一つ一つの動作の意味を理解して稽古すること
●全体稽古で習得しきれないものこそ大事と考え自主的に稽古すること
●初・中・上の段階に囚われず時には先の段階に進み、時には前の段階へ立ち返ること
●一つ一つの事柄がお互いに円のように関係しあっているから、バランスが大切であり、どれかだけを習得すれば良いということではない
●この指針は主に「守・破・離」の「守」の段階である
●「守」の次の段階として「自律」としての「破」「離」がある
●上記の大前提を理解した上で「守」「破」「離」の基準は各自の中にアレンジし目標としても良い。「破」を求めて行き詰まり、「守」に戻るというような
●「自律心」を養い、実践する経験を積み、個人・チームとしても自ら考えて行動する
「目黒私見」
●「守・破・離」といえども大部分は根幹の「守」が大切と考えます。ある達人は50歳までが基本だと言っています。どれほどやり過ぎても極めきれないほど「守」は膨大なものと考え、いつでも基本へ立ち返る気持ちが大切
●剣道の極意の大部分が「守」にあるとして、「破」を超えて「離」は無意識のうちにある第六感のようなものだと思う。それはある瞬間にふっと実践できることもあるような「その人にしか無しえない技」だと思う
以上
2023年3月6日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
新渡戸文化中高剣道部の近年の成績
新渡戸文化中高剣道部の近年の成績です。
2022年度は、高校男女初のベスト8進出、関東大会出場でした。
初心者から上級者まで一緒に仲良く稽古しながら、掴み取ることができましたが、まだまだこれからのチームです。
まずは今を楽しみながら、次の挑戦に向けて頑張ります。
【公式戦】
⬛️2017年
中高男女単独チーム組めず
⬛️2018年*男子チーム組めず
【中学ブロック大会】
春/3位(女子)
夏/都大会出場(女子)
秋/準優勝(女子)
【中学都大会】
春/ベスト16(女子)
夏/ベスト16(女子)
秋/ベスト16(女子)
⬛️2019年
【中学ブロック大会】
春/3位
夏/初優勝(女子) ・都大会出場(男子)初出場
秋/優勝(女子) ・都大会出場(男子)
【中学都大会】
春/ベスト8敢闘賞初入賞(女子)
夏/ベスト6 関東大会初出場(女子)
秋/3位初入賞(女子)
⬛️2020年
大会なし
⬛️2021年
【中学ブロック大会】
春/優勝 大会なし
夏/優勝 二連覇(女子)・都大会出場(男子)
秋/優勝 二連覇(女子)・都大会出場(男子)
[中学都大会]
春/大会なし
夏/3位(女子・関東大会出場)
秋/ベスト8 (女子)
⬛️2022年
[中学ブロック大会]
春/優勝 初優勝(女子)・都大会出場(男子)
夏/優勝 三連覇(女子)・都大会出場(男子)
秋/優勝 三連覇(女子)
【中学都大会】
春/ベスト16(女子) ・ベスト16(男子)
夏/ベスト8 (女子)*ベスト6関東出場ならず
秋/3位(女子)
【高体連都大会】
春/関東予選
男子ベスト8(関東大会出場)
女子ベスト8(関東大会出場)
夏/インハイ予選
女子ベスト16*シード権獲得・都大会出場(男子)
秋/新人戦(全国選抜予選)
女子ベスト16*シード権獲得・男子チーム組めず
⬛️2023年
未定
⬛️その他の主な実績
2019年所沢市長旗準優勝(中学女子*関東大会規模)
2019年駒込杯3位入賞(中学女子*関東大会規模)
2021年東京都少年剣道学年別個人錬成大会
優勝(中学1年の部)
2021年東京都道場剣道大会ベスト8(中学男女混合)
2021年東京都少年剣道学年別個人錬成大会
三位(中学1年の部)
2022年東京都剣道連盟会長杯ベスト16(男子)
2022年東京都剣道連盟会長杯ベスト16(女子)
2022年東京都道場剣道大会ベスト16(中学男女混合団体)
2022年全国道場剣道大会出場(中学男女混合)
2022年全国道場剣道大会ベスト32(中学男女混合:所属道場より)
2022年東京都私学剣道大会第3位(中学女子)
*その他成果は剣道部HP掲載
新渡戸錬成会~今さら聞けない錬成会ルール~
新渡戸中学錬成会、新渡戸高校錬成会を開催いたしました。ご参加頂きありがとうございました。
錬成会方式はさまざまなやり方があり、チーム数にもよりますが、私も少年指導歴25年近いにも関わらずまだまだ知らないことが多過ぎて、知人の指導者に、「流しって何?」「止めって何?」とこっそり聞くこともしばしばですし、回り方に関しても、選手の方がよほど心得ている場合が沢山あります。
そのような用語の意味にも触れてみたいと思います。
【高校錬成会】
●1(チーム)対1ローテーション方式での総当たり戦)
●3時間ローテーション+1時間申し合わせ。
●審判はお互いから1名づつ
●4分3本流し(共通のタイマーを使い、二本先取後も時間内継続)
⬛️「ローテーション方式」とは
地稽古における「回し稽古」と同じように参加チーム数が奇数なら全チームが「時計回り」あるいは「半時計回り」に会場を移動。偶数なら1チームは固定して他のチームが回ります。
「ローテーション」のメリットは
●より多くのチームと対戦でき、特に参加チーム数が10チーム前後であれば3時間で全チームと対戦できる
デメリットは
●お互いのチームから1名づつ審判を出す為、お互いの審判基準がずれていたり、贔屓があるとなかなか勝負がつかず、良い試合にならない場合がある。ただしレベルの高いチーム同士の場合は公平といえる。
⬛️「流し」とは
「流し」の場合は、全会場共通のタイマーで、2分・3分など、一定の時間でブザーが鳴り、試合開始・終了の合図となります。団体戦終了後の移動もこの時間内で行う場合もあります。
勝敗は3本勝負で行い、決着後も「3本目、4本目」と続けます。
「流し」のメリットは
●全会場同時に進行しやすい
●負けても試合を継続でき時間を有効に使える
デメリットは
●実力差があり過ぎる場合には初心者は打たれ続け気持ちが落ちる
●同様に、強豪選手は加減をしたり、間延びしてしまう
【中学錬成会】
●3チームリーグ戦・2巡目の順位で3巡目リーグを決める
●3時間リーグ戦3時間(3巡)+1時間申し合わせ
●審判は試合を行わないチーム
●3分3本止め
リーグ戦のメリットは
●第三者が審判を行うので試合に集中できる
●ローテーションより試合数は減るが、同格の相手と実戦に近い試合がしやすい
デメリットは
●移動に混乱やミスが生じて試合時間が削られる場合がある
●実力や経験値がレベルの高いチームの審判を行うとミスが生じて適正なスコアが出ない
⬛️3チームリーグ戦は、1巡目はランダムに組み合わせ、2巡目は順位により3巡目の会場を決める方式で行いました。例えば「2巡目1位は1会場、2位は2会場、3位は3会場」という形です。リーグ戦は、ローテーションではじめから対戦チームが決まっている場合と、上記のようにリーグ順位で次の会場が変わる場合と、さまざまなやり方があります。
⬛️「止め」とは、通常通り3本勝負のみのやり方です。リーグ戦の場合は第三者が審判を行うこと、順位があり真剣勝負に近い雰囲気となるメリットがあります。
新渡戸中学錬成会は
新渡戸文化中
富士中
開進三中
北中野中
文大杉並中
久我山中
日大二中
北中野中
國學院久我山中
鬼高剣友会(千葉)
周南中(千葉)
新渡戸高校錬成会は
新渡戸文化
都立富士高
都立小金井北
都立松が谷
文大杉並高校
早実高校
大宮東高校(埼玉)
東海大甲府高校(山梨)
にご参加頂き、トラブルもなく、充実したハイレベルな試合が行われました。また是非よろしくお願いいたします。
今後錬成会に参加したい、又は参加させて頂けるものがありましたらご一報ください。個人のご参加も歓迎いたします。
新渡戸文化中高剣道部宛(目黒・酒井)
ntb.kendou@gmail.com
2023年2月20日 目黒雅也
今日の稽古は素振り100本だけ
"他の部員とうまくいかないから辞めたい"
男子部員内にトラブル発生。
新渡戸文化剣道部でもよくあります。この日は稽古時間を話し合いに使ったため、竹刀を握ったのは5分のみとなりました。
[相談者]
・(初心者部員)自分には他者とのコミュニケーションがうまく取れない特性があり、(経験者の)後輩グループと衝突してしまいつらい
昨今上下関係が薄まりつつある中、高圧的なパワハラもなく和気藹々とする良い面と、秩序が崩れ対立が発生するケースも増えています。
今回はどちらか一方の課題ではないと判断し、以下の手順で行いました
[話し合いの過程]
①指導者対個別→指導者が双方の思いを聞き取り整理→ゴール目標設定
*中学生は完全には自己分析できず、無意識に自分に有利な解釈が固まってしまう場合があるため
②指導者の思いを投げかけ
*ネガティブな気持ちのまま話し合いに突入する前に前向きな話をする
③男子剣道部員全体で話し合い
*当事者のみではなく全体の課題として話合いを公開する。また、生徒間のフォロー体制を構築
②の投げかけ
新渡戸の剣道部は初心者から全国選手までお互いの個性を認め、コミュニケーションに時間をかけている。
「人と違うこと」を個性→強みと考えることが大切。
剣道に限らず活動には必ず想定外のトラブルが降りかかり、そこに対処できる人になって欲しい。
③
先輩(中3〜高校生)に指導者が整理したゴール目標と以下ポイントを簡潔に伝える
・話が脱線した場合フォロー
・どちらかに肩入れしない
・なるべくお互い言いたいことを言えるように
・完全な解決の必要なし
結果的にお互いの思いをぶつけ合い、当事者同士自省の言葉にも繋がりました。また、上級生は粘り強く当事者の話を聞き、上から指導するのではなく自分の失敗経験を含めて話をしていました。
すっきりした気持ちで素振りの掛け声が響きます。剣道は不測の事態の連続。柔軟に切り抜ける選手を育てたいものです。
その間、中学女子、高校女子にははじめに要点を伝えたのみで終始自主的に稽古を行なっていました。最終的には全体に感謝を伝えて終了。トラブルこそチャンス。
2023年1月27日
新渡戸文化中学校高等学校剣道部顧問
目黒雅也
新渡戸の剣道
「新渡戸の剣道」
2023年1月新人戦。高校女子はベスト16ながら都のトップチーム相手に1-0と最後まで勝敗を争う内容でした。あと一歩というところまできましたが、強豪校の壁は厚いです。
確実に全国レベルとの差が縮まり、これから挑戦の始まりです。男子チームも頑張っています。
新渡戸では初心者から全国レベルの選手まで助け合い話し合いながら稽古しています。
新渡戸の剣道は、指導者が全てを決めて従わせるのではなく、選手たちが壁にぶつかる、行き詰まることを恐れずに、時間をかけて気づきを得る部分も大切にしているのです。
新人戦の感触から、これから私たちが求める内容も明確になり、
●鋭く強く正確な打突
●手数の中から一本を取る技
●地力
を強化していきたいと思います。
新渡戸文化中学校高等学校剣道部顧問
2023年1月20日 目黒雅也
東京都中体連秋季剣道大会(新人戦)/第3位
東京都中体連秋季剣道大会(新人戦)/第3位
狙うは優勝でしたがまだまだ壁は厚いです。
良いところで技が出るようになってきましたが決めきれない場面が目立ちます。決定力の強化などまた基本に立ち戻り稽古していきます。
秋季大会は合同チームがあり思わぬ落とし穴にはまります。危ない試合もありましたが、切り抜けることができたのは成長です。
2022年11月21日
新渡戸文化中学校高等学校剣道部顧問
目黒雅也
2022年9月から10月の錬成会・試合結果
9月以降沢山の錬成会に参加しました。
①回数を多く地力・実力をつける錬成会
②一発勝負の優勝決定戦
の両輪から実力と精神力を養います。
【府中一中錬成会】
10月10日 府中一中
中学女子チーム優勝
【日高中学生錬成会】
10月10日 日高アリーナ
*埼玉越生錬成会ブログより
男子の部
優勝 上明戸(仁風館)
準優勝 加藤(ジャクパ)
三位 皆川(周南) 白鹿(周南)
敢闘賞 亀山(ジャクパ) 藤本(新渡戸) 千葉(埼玉越生) 横道(埼玉越生)
女子の部
優勝 永井(周南)
準優勝 上野(新渡戸)
三位 小林(新渡戸) 木村(新渡戸)
敢闘賞 堺(周南) 石島(下館西中) 高橋(周南) 加藤(埼玉越生)
【東京都中体連第3ブロック大会(都大会予選)】
10月9日 練馬区立貫井中
女子団体優勝 新渡戸文化中
【東京修道館個人錬成会】
10月2日 新渡戸文化学園
5位 金城
7位 酒井
8位 池田
【新渡戸大会(個人戦)】
9月23日 新渡戸文化学園
*埼玉越生錬成会ブログより
4年生以下の部
優勝 大迫(五本木武道館)
準優勝 藤井(四誠館)
三位 小薬(四誠館) 権瓶(高島平)
5年生の部
優勝 井村(五本木武道館)
準優勝 亀山(ジャクパ)
三位 尾崎(川口市南) 権瓶(高島平)
6年生の部
優勝 村越(高島平)
準優勝 柴田(高島平)
三位 上原(四誠館) 前田(四誠館)
中学男子の部
優勝 深津(高島平)
準優勝 高橋(梅本剣友会)
三位 津田(梅本剣友会) 田中(高島平)
中学女子の部
優勝 木村(新渡戸)
準優勝 池田(新渡戸)
三位 石原(川口市南) 上野(新渡戸)
【関東選抜剣道大会】(高校生)
9月18日 府中総合体育館
優勝 後藤(新渡戸)
2022年10月12日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
夏の錬成会・試合参加等と今後の予定
コロナ禍の再拡大の中、6月から8月まで何とかさまざまな試合や錬成会に参加することができました。また、三年ぶりに合宿を開催いたしました。
主な成果は
高校男女都ベスト8→関東大会初出場/新記録
中学女子都ベスト8
中学男子都ベスト16→新記録
中学女子東京都剣道道場連盟へ新渡戸所属組(女子3名 他の選手は所属道場より参加)のベスト16→全国大会出場
でした。中学女子は3位よりランクを落としてしまいましたが、確実に必要な経験値を積み重ねていることは間違いありません。チームとしての成長は下の代に受け継がれていきます。
それらの反省点を踏まえた上、秋は新チーム構築と、夏に徹底指導して来た
・基本打ち込み
・応じ技
・連続性のある技、追い討ち等のパターン
などに加えて
・部員としての心構え
・チームの自律心
・一年間の目標
などを繰り返して講義・ミーティングをしました。夏休み明けの試合の様子からは、夏の成果が少しずつ見えて来ました。徹底した指導の次には、選手たちが自主的に改善点を見出したり修正する形が育つことを期待します。
[6月〜8月の錬成会参加・試合参加]
【中学】
足立十四中来校/練習試合
埼玉/越谷富士中来校/練習試合
府中一中錬成会参加
寄居錬成会参加(埼玉越生錬成会主催)
五日市高校稽古会参加(埼玉越生錬成会主催)
全国錬成会(埼玉越生錬成会主催)
中体連3ブロック剣道大会
中体連夏季都大会
全日本剣道道場連盟全国大会
8月
東京都剣道道場連盟大会
五日市高校錬成会(埼玉越生錬成会主催)
【高校】
関東大会都予選
関東大会男女出場
東京都高体連インターハイ都予選
市立船橋高校と練習試合
東京都中体連錬成会(二日間)
五日市高校錬成会(埼玉越生錬成会主催)
玉竜旗剣道大会(女子チーム)
[9月以降の予定]
【高校】
大学生との稽古
都外強豪校との稽古・練習試合
埼玉越生錬成会主催錬成会・稽古会参加
【中学】
高校生との練習試合
都外・地方強豪校を招いての練習試合
府中一中錬成会
埼玉越生錬成会主催錬成会・稽古会参加
都近郊強豪道場を招いての錬成会
本校剣道部は外部参加や対外試合は常に受け付けております。錬成会会場としても使えますのでいつでもお声かけよろしくお願いいたします。
2022年9月12日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
剣道部ポロシャツと手拭い完成
以前から制作していたポロシャツと手拭いが完成しました。
美術やデザインに興味を持つ部員達がチームを組み、デザインと絵を分担しました。新渡戸文化剣道部では、試合成績のみではなく、剣道に関わる様々な活動の幅を広げることを目標としています。
ポロシャツは小手と小手の「グータッチ」。手拭いは「オダマキ」という花をモチーフに生徒が発案、仕上げまで行いました。
2022年9月6日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
中野区剣道連盟秋季剣道大会(個人戦)
9月4日に中野区秋季剣道大会がキリンレモンスポーツセンターにて小学1・2年生の部から50歳以上の部まである大会です。中野区の道場や学校から多くの参加者が集まりました。
試合結果は
中1男子:3位
中2・3:優勝・3位
中学女子:優勝・準優勝・3位2名
高校男子:準優勝・3位
高校女子:優勝・準優勝・3位
一般男子四段以上の部にも指導者2名出場、優勝、3位
となりました。
2022年9月5日
新渡戸文化中学校高等学校 目黒雅也
中学生バスケ部の練習に参加
「中学 バスケ部✖️剣道部 コラボ練習」
8/26日の稽古はバスケ部とのコラボ練習を行いました。生徒からバスケをやってみたいという声があがり、そこから今回のコラボが実現しました。
他のスポーツを体験することも、稽古の一つと考えています。
【新渡戸文化高校女子・東京都優勝への道】
昨年ベスト8、関東進出の立役者二人はまだ高1。意欲満々の高2選手達との新チームは更に上位進出が目標。しかし、まだまだ一枚岩とはほど遠い状況ですが。
秋季大会、新チーム初戦の芳しくない結果を受けて、一部の選手から先立って自分達で決めたはずの稽古内容・方針について私(指導者)に変更希望を申し入れて来ました。選手間の発案者に気兼ねして、直接伝えるよりはこちらに相談したいとのこと。また、全てのメニューを指導者に委ねたいと。
私は
・選手同士が気兼ねして率直に意見出来ないチームでは既存の強豪校には勝てない。
・新渡戸の方針はあくまで最終的には自分達で考えること。その材料と知識は充分指導している。新たに求めるよりまず指導された内容をよく理解しているか?
・物事は結果を見て変更するのでは遅い。違和感あれば始まる前に内容を臨機応変に変更するべき。
・一度自分達で決めた方針を疑う前に、個々の自分の努力・思慮の足りなさを疑ったか?
を伝え、指導者に判断を委ねる前にチームメイト全員で話し合うよう指示しました。話し合いは結局2時間に及びました。
引き続き選手と共に悩み試行錯誤しながら、剣道を学んでいきます。
2022年9月5日
新渡戸文化中学校高等学校剣道部 目黒雅也
『理想の合宿を求めて』
勝浦にある日本武道館研修センターにて、新渡戸文化中高剣道部合宿を三年ぶりに再開しました。対策上日数は減り、一人一部屋となり貸切状態に。
「辛い、厳しい」従来の合宿をただ踏襲するのではなく、私は合宿を行う意義として
①基本的な打ち込みの技術徹底・応じ技のバリエーション、そして機会を知るパターン稽古法を全員に周知する
→夏休み中に下準備をし、合宿では細部にまで解説しながら子どもたちに理解を促し、また、自ら考えさせる
②生活上のルール・礼儀作法・社会常識の意識共有
→立派な態度を評価し、失敗には厳しく問いかける
③楽しみ・コミュニケーションを取る。
→対策上とはいえ個室にこもらないようにし、コミュニケーションの場を作り、ミーティング、遊び、街歩き、などを行う
です。この3つが良い形で身を結び、新チームの力となることが狙いです。
やはり合宿では選手一人一人の思わぬキャラクターや素晴らしい所、逆に自己中心的で身勝手な部分などがよく見えて来ます。はじめから「こうしなければならない!」というものが前面にあると、むしろ後者が分かりづらくなり、後々マイナス面が修正出来ないまま一見成長したかのように見せかけていく選手を育ててしまうことになります。
むしろリラックスする中から見える本性というものを伸ばすか、軌道修正するか、合宿は非常に大切な意義があります。はじめから丸投げの自由もダメ、キッチリ仕込みすぎてはもっとダメ。感染対策など様々な変化にも順応し、向き合ってクリアしていくことも大切です。私たちの考えを受け入れて行動させて頂ける新渡戸文化という組織と、大切な子どもたちを託して支援下さる保護者、自己主張を捨て互いにフォローし合う同僚に感謝しかありません。
稽古内容、生徒の失敗、天候、宿舎、そして私自身のミス、さまざまなトラブルがあり、完璧とはいきませんでしたが、予定通り終えることができました。
子どもたちは確実に成長していると感じたので、成功かと思います。来年は是非沢山の外部の方にも参加頂きたいものです。
2022年9月5日
新渡戸文化中学校高等学校剣道部 目黒雅也
その他夏の成果
【東京都中体連夏季剣道大会】
●女子団体ベスト8
●男子二回戦敗退
【中野区夏季大会】
●女子団体優勝・準優勝
●女子個人1位〜3位
●男子団体3位
●男子個人一年生の部優勝
【第3ブロック夏季剣道大会】
●女子団体優勝
●男子団体ベスト8
【玉竜旗高校剣道大会】
女子団体2回戦・盛岡白百合に敗退
2022年9月5日
新渡戸文化中学校高等学校剣道部 目黒雅也
中学女子チーム、道場連盟全国大会出場
中学女子3人チームが「第56回全国道場少年剣道大会」に出場させて頂きました。
都内トップクラスの男子チームを破ってのベスト16です。強豪選手ばかり(しかも学校チームでは大将クラス)を相手に健闘しました。全国大会でもやはり男子3名のチーム(島根県/猶興館道場さん)に立ち向かいましたが、力を出し切れず、一回戦敗退。
大会前日、全日本剣道道場連盟全国大会に出場するために在京の熊本県高森中と新渡戸文化男女チームが何と手合わせさせて頂きました。本来ならこちらから九州へ出向いても、視界に入れて頂けないレベルの相手です。
他にも岡山・昇竜館一福道場、山形・青空剣道教室、埼玉・竹紫館、埼玉越生錬成会など全国トップクラスのチームが参加。翌日の全国大会に出場する新渡戸女子チームに力を授けて頂きました。
埼玉越生錬成会の酒井先生、貴重な機会をありがとうございました。
2022年9月5日
新渡戸文化中学校高等学校剣道部 目黒雅也
強豪校一年生
『強豪校一年生』
会場でも様々な先生方、保護者の皆さまに評価や励ましのお声かけを頂くようになりました。確実に知名度があがり、景色が変わりつつあります。が、やはりまだまだ一年生です。
長らくご無沙汰しています。1学期のご報告です。
【6月 関東高等学校剣道大会@群馬】
●高校男子チーム市立船橋(千葉)に2-0で一回戦敗退。*実績乏しい5人で20名近い中から選ばれた精鋭に対し健闘
●高校女子チーム淑徳与野(埼玉)に2-0で敗退。*東京都代表の真の力を出せず。
【6月 中学会長杯@八王子】
中体連春季都大会が無くなり、スポット大会(夏のシード権と関連無し)とはいえ全中予選前の力試し。
●中学男子チームベスト16*新渡戸男子では過去最高成績、前進。
●中学女子チームベスト16*優勝狙い準備しましたがベスト8より3年ぶり転落。大失敗。しかし相手校には感謝しかありません。また、ここでの反省点は大きいです。
【6月 インハイ予選女子ベスト16止まり。中学女子は道連全国大会出場】
良いことばかりではありません。決して手を抜いた訳ではありませんが相手も努力しています。高校インハイ予選は残念ながら不本意な結果。
●女子団体戦ベスト16。
●男子団体初戦敗退。
関東出場を決めた後はまた振り出しに。三年生はこれまでよく頑張りました。数名の小規模な剣道部を盛り上げてくれ、感謝しかありません。
本格的な強化をスタートして6年目、高校3年生(男子2女子3)は、「新渡戸文化?何それ?」というところから、中学女子、高校男女関東出場というところまでよく頑張りました。男子は1名、女子は初心者を加えても5名揃わないところからのスタートでした。
これからは入賞、優勝と、さらに上を目指して参ります。
2022年9月5日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
【高校男女関東大会進出】
★祝 高校男女関東進出!★
【東京都高等学校春季剣道大会兼関東大会団体男子予選】
これは素直に「やったー!」と叫びたくなる成果。新渡戸文化高校男子団体戦、なんとまさかのベスト8、ストレートで関東大会出場決まりました!
ダークホース的番狂わせ。新渡戸文化40年の歴史における初の快挙でした。高校男子は5人丁度です。大将は共学になり男子部員第一号、男子一人の時から頑張りました。そしてこれまで剣道を辞めてしまいそうなトラブルもそれぞれの選手に何度もありました。男子監督はそんな彼らに寄り添って来た兄貴的存在の酒井監督。
実は彼自身も選手の時には関東を惜しくも逃した経験があり、当時私もOBとして共に稽古し目の当たりにしています。20年経て一緒に掴み取ることが出来ました。「継続は力なり」。です。
当日、私は黒子に徹して審判をこなしながら全ての試合を観客席に固定したiPadで、選手たちの表情まで収めることができました。欲を言えば準々決勝名大中野戦はもっと気迫でぶつかって欲しいところです。
五回戦(関東大会出場決定戦)
先鋒 伊藤 引き分け
次鋒 出原 2-1 勝ち
中堅 新海 0-2 負け
副将 高橋 1-1 分け
大将 酒井 2-1 勝ち
一回戦 正則 ◯
二回戦 昭和鉄道 ◯
三回戦 桐朋 ◯
四回戦 都日比谷 ◯
五回戦 都青梅総合 ◯
準々決勝 明大中野 ×
[優勝]
明大中野
[準優勝]
足立学園
[3位]
郁文館 東海大高輪台
[ベスト8]
正則学園
城北
郁文館
東海大高輪台
巣鴨
新渡戸文化
[敗者復活]
都富士
【東京都高等学校春季剣道大会兼関東大会団体女子予選】
新渡戸文化高校女子団体戦、ベスト8。男子に続いて女子も関東大会進出しました!
ベスト8掛けでは都でベスト3に入る格上の相手を倒さなければならず、敗者復活戦も想定していましたが、何とかチームワークで勝つことが出来ました。部員が10人もいない頃の中学1年生から6年間頑張って来た高校3年生にとっては最大の目標でした。
欲を言えば、ここに勝てるなら一気に決勝狙えましたが、そこはまだまだ課題です。
冬からじっくり準備を進めてきましたので、当日は大事な部分だけ少しの声かけに絞り、あとは選手達の意思に任せました。
関東大会、その次のインハイ予選に向けてさらに精進します。
四回戦(関東大会出場決定戦)
先鋒 藤本 引き分け
次鋒 高橋 1-0勝ち
中堅 米村 0-2負け
副将 松本 1-0勝ち
大将 中園 0-0分け
一回戦 都駒場 ◯
二回戦 都日比谷 ◯
三回戦 帝京大学 ◯
四回戦 修徳 ◯
準々決勝 都富士 ×
[優勝]
淑徳巣鴨
[準優勝]
東海大学高輪台
[3位]
日体大桜華 都立富士
[ベスト8]
日体大荏原 都立深川 新渡戸文化 東海大菅生
その他の近況報告
【4月10日鬼高剣友会錬成会(中学)参加】
女子団体(三人制)が3位、そして女子個人戦では準優勝。団体戦はまだまだ課題あり。それぞれが一本の大切さにさらに緊張感を持てば充分優勝出来た内容。
【4月17日に雄武南錬成会へ参加】
千葉県勢との手合わせが続きます。普段交わらない相手との交流は大変ありがたいです。参加校教員の中に中学生頃から知る女性剣士のご主人がいて、今では母親となった本人とも再会。私が作画した絵本を進呈。生徒はそこで行われた三人制男子団体戦で優勝、女子個人戦で第3位と優勝。個人戦優勝はよく頑張りましたが、挙動に難があり公式戦では課題となります。
【その他の錬成会】
●白鷺剣道クラブ錬成会
個人リーグ戦
男子2・3年の部 3位
女子1年の部 準優勝
女子1年の部 3位
女子1年の部 3位
女子2・3年の部 優勝
女子2・3年の部 3位
女子2・3年の部 3位
●小山台高校錬成会参加
●町田小山中錬成会参加
●府中一中錬成会参加
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
【二学期後半の近況様々ご報告】
【東京都剣道道場連盟作文公募に中学生7名入選しました】
東京都の入選者10名のうち7名が本校部員となりました。本校からは14名が出品しておりました。テスト前でしたが後輩の級位審査の指導含めて作文もこなしてくれました。文武両道で作文でも全国を目指します。東京都の発表会にて全国へ選抜される選手が決まります。
【高校生東京都新人戦団体戦男女チーム共に都大会進出しました】
五支部予選におきまして、女子チーム、男子チーム共に都大会進出です。1月の本戦に備えて頑張ります。
●支部大会(中の・杉並・練馬)にて高1女子準優勝、高2女子3位でした。3人制の勝ち抜き戦ですが、高2男子は3人抜き、高2女子は9人抜き都健闘した選手がいます。チームとしましてはまだまだ本来の力を発揮しきれてはいません。
【昇級、昇段審査全員合格】
一級5名、初段4名中野区にて受審、合格しました。指導者に頼らず生徒が主体となり上級者が指導をしました。テスト前でしたが受審者以外も部活に参加し初心者を指導、午前中初段を取得した先輩が午後まで残り中1初心者に付き添いました。私は側で見ているだけでした。
部員の中には形試合や「木刀による基本技稽古法」全国大会演武経験者もおり、中心となり指導しておりました。小学生時代にここまで指導された少年剣道指導者の先生方には頭が下がります。
【小学生への指導】
部活動と平行し新渡戸文化小アフタースクール(学童保育)の剣道プログラムに習いに来る小学生(30名程所属)は、基本稽古を中心に指導しております。
中高生で体調不良や怪我等の見学者がいる場合には彼らが指導しています。自分達が子供の頃教わっていた稽古法や運動を指導しています。人に教えることもまた学びになります。
【部員達の所属道場での活躍】
●城北五区剣道大会高校の部優勝
●同上 中学の部3位
●練馬区個人優勝
●世田谷区団体戦3位
など
【久しぶりの練成会】
お世話になっている道場や学校を招いて何回か小規模な練成会を開催いたしました。状況に応じて規模を拡大していきますので皆様のご参加をお待ちしております。
本年もお世話になりました。来年も新渡戸文化剣道部をよろしくお願いいたします。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
【中学生】中体連秋季都大会(新人戦)女子ベスト8
秋季都大会(新人戦)は目指していた優勝とはほど遠い結果に。初戦の準々決勝で夏に勝たせて頂いた学校にリベンジされてしまいました。
結果ベスト8(男子はベスト32)で夏の3位入賞から一歩後退。真っ直ぐな力強い前チームとはまた違う毛色で、個性派揃いの面白いチームですが波があります。経験値と度胸が足りません。また、フィジカル面でもまだまだです。課題は山積。春夏へ向けて仕切り直します。選手の表情も悔しさが滲み出ています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
【中学生】中野区中体連秋季大会(個人戦)・3ブロック大会(都大会予選)優勝
9月、10月は中体連中野区秋季大会都都大会予選でもある3ブロック大会に出場しました。
【中体連中野区秋季大会】
*中野区大会は個人戦のみで開催
男子中学一年生の部 優勝
女子中学一年生の部 優勝 準優勝 三位
女子中学二年生の部 優勝 準優勝
【中体連3ブロック大会】
男子団体 ベスト8で都大会進出
女子団体 優勝で都大会進出
団体男子は夏季都大会上位入賞チームを相手に大将まで繋いで一時的にリードしたものの最終的に3-2で負け。まだまだ詰めが甘いです。
女子団体も何とか優勝ですが危ない場面も見受けられました。チームメイトのフォローにより勝利を得ましたが、個人的な課題はまだまだです。
両チームとも新渡戸剣道を総動員し、高校生の力を借りて調整してまいりましたが、11月からは高校チームも本番の試合が始まります。中高ともに良い結果を出すべく頑張ります。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
高校生の現状と今後の指導方針:進学検討のご参考まで
新渡戸文化中高剣道部指導方針と現状「高校生」
夏の様々な大会を中高男女乗り切ることができました。中学3年生にとっては今後学校選びが始まる頃合いかと思われます。以下本校高校部員の現状と方針をまとめましたのでご参考になさっていただければ幸いです。
【高校男子】
数年前の男女共学化以来初期メンバーが高校へ上がりチームとしてようやく形になりつつあります。中学男子と合同で稽古を行っていますが、面倒見がよくリーダーシップを発揮して稽古内容を組み立てたり、お互いに指導・指摘しながらも和気藹々と稽古に取り組んでいます。もう一つ勝負へのこだわりや厳しさが前面に出て来れば結果につながりそうです。部活+αで関係道場の盈進義塾興武館に通う者も複数おり、年々意識は高まっています。新たな戦力となる部員をお待ちしております。
【高校女子】
中学からの選手達と高校新戦力が合流し1.2年生主体の新チームとして力をつけています。ただしまだまだ課題は山積な上チームワークも確立出来ず思うような成果が得られない状況が続いています。夏までの試合で結果が出なかったことを選手達が重く受け止めたことが不幸中の幸いです。これまで中学チームも、都大会上位に定着する直前までは同じように足踏みをしたものでした。新渡戸では生徒の先回りをして失敗なきよう道標を出すこと以上に、選手達一人一人の自覚→チームの育成へと繋げたいと考えているため、叱咤激励しつつもじっくりと腰を据えて本当の意味で成熟したチームに仕上げるべく活動しています。
高校生はやはり理に叶う、しっかりとした説得力のある打ち込みでなければ一本になりません。より強い「打ち攻め」「攻めと溜め」を意識した稽古を行うよう指導しております。また、なぜそのような稽古が必要なのか?という意味をよく理解することも大切にしています。
①長期的な指導
より高度な構え、竹刀の握り、すり足、攻めと溜め
②反復するべき指導
遠間・中間・近間によるそれぞれの打突のバリエーションの修得
③必須事項の高度な技術
攻め、溜め、出鼻面、相手を引き出す応じ技
④一本を取る為の応用
相手を引き出す為の攻め方。状況に応じた試合運びの修得
→
⑤理想を持ち、そこに近づくためのチームの雰囲気作り、具体的な稽古内容の構築、試合等実践の高度な分析
等
新渡戸文化の育成方法は初心者から上級者まで
●学校生活含めた手厚い指導
●生徒・チームの意識の尊重
●厳しさの中にものびのびとした明るい雰囲気
に重きを置いています。
高校生はこれに加え
●一本に対する厳しい探求
●高度な自律的行動とチームづくり
です。
指導者自らが学ぶことも大切と考えて試合、昇段審査、講習会などにも積極的に参加、日々精進しています。
いつでも参加可能ですので本HP記載アドレスや、指導者、部員保護者などに直接お声掛けください。
試合に勝つ!勝負にこだわる!のはもちろん素晴らしい、大切なことです。ただし選手の真の成長のためにはそのプロセスが大事とも考えています。新渡戸で学んだものを社会へ出ても役立てられるような剣道でありたいと考えています。
部活動において「先生が神様」という形はとりません。先生が1~10まで全てを決めて、試合に勝つ者ばかりが尊重されるのではなく、自ら考え、後輩や初心者へ手本を示しながらもお互いを引き上げるような剣道部を目指しています。伸び伸びと、自ら強くなりたいというアイデアあふれる選手を育成します。
まだまだ発展途上のこのチームから新しい風を吹かせませんか?
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
部活動でのSNSの活用
新渡戸文化中高剣道部では、seesawなどSNSを利用した情報伝達や稽古の補強を行なっています。
【主な利用法】
●試合、稽古の予定等の伝達
●試合についての指導者からの指導、講評
●稽古中撮影した選手の動きの分析、良い動きの紹介など動画の活用
●試合当日の検温や急な連絡事項の伝達など
●情報交換、紹介
など様々です。現在はほとんどの部員が目を通して問題なく機能しています。
【連絡】
●昨今急な予定変更が多々ありますが、保護者も見て頂いているので周知も徹底しやすく便利です。忘れ物防止、朝の検温などにも役立ちます。
【アドバイス・指示】
●部活内では伝えきれなかったり、状況下試合後の集合もできない場合など改めて文面にしてUPしますので、他の選手たちもアドバイスを見ることが出来ます。
●全ての動画を部員と保護者のみ見られるクラウドに保管していますが、試合や稽古中に出た素晴らしい一本などは抜き出して紹介することもあります。
●選手たちは試合後のスコアをUPしたり、自己反省点を書き、指導者がコメントを書き込みます。なかなか的を得た分析をする者もいます。
【情報交換】
●自分の努力の取り組みを発表します。特に部活休止中にはとても役立ちました。
●試合結果を取りまとめるアプリを使い、集計、分析結果を作成します。
【トラブル防止】
並行してSNSを利用する場合のトラブル防止策を指導しています。今のところトラブルはありませんが、引き続き指導していきます。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
中学生の現状と今後の指導方針:進学検討のご参考まで
新渡戸文化中高剣道部指導方針と現状「中学生」
夏の様々な大会を中高男女乗り切ることができました。小学六年生にとっては今後学校選びが始まる頃合いかと思われます。以下本校中学部員の現状と方針を記載しましたのでご参考になさっていただければ幸いです。
【中学男子】
稽古には真面目に取り組む者が多かったが強豪校と比べればまだまだ「強くなりたい」「自分が自分の剣道をつくる」という自覚不足。技術的にもまだまだです。ただし新入部員も増えて3年生が抜けても1.2年8名。小6体験参加も多くなり今後の成長に期待です。目下基本打ち込みの再確認と足を継がない一拍子の打ち込みを徹底中。個人戦では中体連都ベスト8都飛躍しました。また、道連団体戦ベスト8と前年よりは進化がみられます。
【中学女子】
中体連都大会3位。関東大会出場(全中3位の大沼中に一本差負けで予選リーグ一勝一敗にて敗退)。三年生チームでしたが入学時には手と足バラバラ、出ればすぐに二本負け、間合いが全く分からない、など様々課題ばかり。中には実績ある選手もいましたが強豪校の小学校時代から鳴らした巧者には子供扱いのチームでした。
ところがコロナ禍休止中にSNSのミーティングから自宅でハードなトレーニングを積んだり、その後の稽古では自主的に朝練を始めたり、よく努力する者が出始めました。春からも自分に厳しい稽古態度を継続、引き換えに身体も限界に近い状態で都大会に臨みました。結果的に3位ですがまだまだ上を、全中を狙わなければなりません。もっと勝ちにこだわる図々しさがあってもよかったかもしれませんが、真面目で謙虚なチームカラーが、今後も成長の助けとなり、高校では更なる開花を。
一.二年新チームも意識は高く、実力は現状でも三年生チームに準ずる力を持つ上伸びしろがあるチームです。一.二年新チームは8人体制で頑張ります。新一年のうち二名は道場連盟学年別個人優勝とベスト8。まずまずの立ち上がりです。
中学生はやはり小学生時代一本になっていた技がなかなか旗が上がらないということがあります。新渡戸文化中ではまずは新チーム出陣に向けての基本打ち込み、特に面打ちの徹底です。そのためにはまずは構えと素振りも重要です。以下の①②を重視しつつ①~④を繰り返し稽古します。その上で⑤の自律型稽古法に繋がります。
①長期的な指導
構え、竹刀の握り、すり足
②反復するべき指導
一拍子の大きな面打ち、追い込み打ち込み
③必須事項の高度な技術
攻め、溜め、出鼻面
④一本を取る為の応用
打ち攻めを意識したしかけ技、相手を引き出して打つ応じ技
→
⑤試合等による自己分析とチームの自主性に基づく稽古態度、方法の自律的構築
等
新渡戸文化の育成方法は初心者から上級者まで
●学校生活含めた手厚い指導
●生徒・チームの意識の尊重
●厳しさの中にものびのびとした明るい雰囲気
に重きを置いています。指導者自らが学ぶことも大切と考えて試合、昇段審査、講習会などにも積極的に参加、日々精進しています。
現在男女小学生の体験参加も増えています。いつでも参加可能ですので本HP記載アドレスや、指導者、部員保護者などに直接お声掛けください。
試合に勝つ!勝負にこだわる!のはもちろん素晴らしい、大切なことです。ただし選手の真の成長のためにはそのプロセスや、個人の独創性が大事とも考えています。新渡戸で学んだものを社会へ出ても役立てられるような剣道でありたいと考えています。
部活動において「先生が神様」という形はとりません。先生が1~10まで全てを決めて、試合に勝つ者ばかりがより強くなるばかりではなく、自ら考え、後輩や初心者へ手本を示しながらもお互いを引き上げるような剣道部を目指しています。伸び伸びと、自ら強くなりたいというアイデアあふれる選手を育成します。
まだまだ発展途上のこのチームから新しい風を吹かせませんか?
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
夏の活動報告
【新渡戸文化中高剣道部 夏の成果報告】
主な結果は
●中体連都大会女子三位
●中体連都大会男子個人ベスト8
●東京都道場連盟中学団体ベスト8
●東京都道場連盟中学1年女子個人優勝
です。
課題はありますが、このような情勢下でよく頑張ってくれました。中高男女ともにまだまだですが、始まりの頃から比べたら皆成長しています!結果に関わらず、感動の多い夏でした。選手たちに感謝。支えてくださった保護者、関係道場の先生方に感謝感謝です。
①東京都中体連夏季剣道大会(都大会・全中予選)
【新渡戸文化中学結果】
[女子個人]
2名ベスト16
[男子個人]
1名ベスト8(敢闘賞)
[男子団体]
二回戦敗退
[女子団体]
3位入賞(関東大会進出)
何とか入賞することが出来ましたが、「全国への道」はまだまだ壁が厚いです。2か月かけて選手たちと一緒に考えながら、特にベスト4掛けで当たる相手に照準を絞り稽古してきましたが、当日はほとんど選手たちの判断でやり抜きました。
ベスト4までの計画通りは及第点でしたが、準決勝を勝ち抜くためには臨機応変、さらなるアイデア的自律心が必要です。今日は男子個人も奮起してくれ次々と強敵を打ち破る姿に感動しました。二回戦で強豪選手を破った生徒を褒めたら「まだまだこれからです」と言われてしまいました。驚くべき成長です。
さらに上位を目指し頑張ります。
② 東京都少年剣道学年別個人錬成大会
中体連都大会が終わり、もう一つの都大会、東京都道場連盟学年別個人錬成大会に参加しました。全員が新渡戸からではなく、地元の所属道場から出場した選手もいます。
選手達はよく頑張りました。
女子中学三年の部
一名ベスト16
女子中学二年の部
一名ベスト16
女子中学一年の部
一名優勝
一名ベスト8敢闘賞
男子中学三年の部
一名ベスト16
③ 関東大会
8月7日(土)にALSOKぐんまアリーナにて中体連関東剣道大会に参加してきました。一勝一敗で予選リーグ敗退。関東優勝、全中三位の大沼中に一本差。もう一息でした。つい最近までは、「新渡戸文化?どこそれ。」でしたが今は「あれが新渡戸文化か」に変わって来ています。
三年生5名は困難なコロナ禍を経てここまでよく戦いました。
(以下は部員に向けたメッセージ)
様々な下馬評が飛び交う中、東京の日体大桜華、茨城の下館、埼玉は一年でプレ全国準優勝メンバーがそのまま三年となる大沼中が有力とされていました。
実際に大沼が優勝。近間での攻防が抜群でした。決勝でさえ、副将で決めています。
勝てなかったとはいえ、よく戦ったと思います。特に先鋒、中堅は惜しい技が何回かあり、あと少しの攻め、溜めがあればという内容。大沼中メンバーとは小学校時代から同郷埼玉の大将が試合前に皆に勝てるぞ!と気合いを入れていた様子、皆で対策を練り気持ちを集中させている様子には、私も入る隙がないほど自律心に満ち溢れた雰囲気でした。試合前は全て選手のみでミーティングをしていました。雰囲気は最高でした。
大将は最後二本取らなければならない状況(リーグ戦のため、引き分けでは負けの状況)で、リスクを恐れず攻めかかりました。
実際に試合開始後の選手の足の動きや打ち攻めが、もしや勝てるのか!?と最後まで期待と感動がありました。
負けは負けです。が、五人全員が小学生時代全国トップクラスで戦って来た強豪相手に、埼玉越生全国ベスト8の大将以外は地区レベルの選手たちがここまで五分に、あわよくば押し込むことができる所まで来ようとは、誰が想像したでしょうか?負けた後も30分近く自分たちでミーティングをしていました。
もっと勝つ!という図々しさ、しつこさがあれば。これからに期待です。また、高校生扱いになりますが、高校生の先輩、そして次世代の中学生は今日のメンバーに負けず努力して欲しいと思います。
これからの新渡戸は、本気で全国を狙いにいく力があるという兆しを表現してくれたと思います。
全国上位レベルを相手にそれなりに戦えたのは、攻め・溜めや形は不十分ながら、ともあれ遠間からの打ち切りがあったからです。待ちになったり、間合いを詰めて打ち合えばもっと被害を受けたはずです。そして大沼中に勝つ為には、一回戦宮ノ原中からもっと確実に勝ちを取る決定力、例えば手の内の締め、溜めが必要でした。一回戦の勝者数で負けなければ、大沼中はさらに勝負に出て来なければならなかったですが、今回は大事にじっくりと試合を運ばれてしまいました。そうなるとなかなか切り崩すのは難しいです。新渡戸としては、早い仕掛け、遠間からの打ち合いが必要でした。
遠間からの打ち攻めから、次の段階となる応じ技に繋げなかったことも残念です。このように、まだ全国トップクラスに勝つ為にはいくつか課題が残されています。
まずは三年間お疲れ様でした!
(生徒向けメッセージはここまでですが、全員内部進学の為まだまだ稽古は続きます)
大沼中、素晴らしいチームでした。
④ 東京都道場剣道大会 団体ベスト8 (全69チーム)
新渡戸は試合機会を少しでも増やす為道場としても登録しています。半数は各自所属道場から参加、残りのメンバーから中3優先で出場しました。
コロナ禍の影響で各チーム男女混合3名1チームのみ参加という超精鋭(多くの選手が都県上位チームの主力選手)の中、ベスト8はよく頑張りました。特に女子2名は体格で圧倒的な差のある男子強豪選手を相手によくやりました。また、男子生徒は三回戦20分に及ぶ代表戦で力を発揮してくれました。
[チーム編成]
先鋒 女子中3
中堅 男子中3
大将 女子中3
一回戦 金龍館 1-0
二回戦 報徳絆会 2-0
三回戦 萌木剣道教室 代
四回戦 雄邦館(東松館B)
→0-1敗退 ベスト8
*期せずして全国大会の切符を手にしましたが、新渡戸文化は学校の為道連は主戦場ではなく、今回は残念ですが状況を鑑みて不参加としました。
高校生秋季大会は男子1部二回戦敗退。女子1部二回戦敗退。まだまだ力を出しきれませんでしたが、その後しっかりと反省会を開き次への打ち合わせをしました。今度こそ頑張りましょう。
他にも錬成会、交流戦、合同稽古などさまざまなイベントがありましたが、状況下参加道場、学校名は非公開とさせて頂きますが、ご参加ありがとうございました!
以上が新渡戸文化剣道部夏の活動報告です。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
いよいよ中体連都大会
【中学3ブロック予選会1日目】
先週は高校生インハイ予選。男女都大会に駒を進め男子(4名)は一回戦敗退。女子は3位の都立富士に中堅までリードしながらも逆転負けでベスト32でした。まだまだこれからです。
6月は約2年ぶりの中体連3ブロック(杉並、練馬、中野)都大会予選会。中1時の新人戦で都大会ベスト4メンバーは一切試合が無いままもう中3最後の挑戦となります!なんか悲しいですね。
このブロック予選で優勝すれば前回(2019年11月)の都大会ベスト4のシード権を獲れるため新渡戸にとってはまさに全てを賭けた大会でした。とはいえ、他のチームは大会で試合ができる喜びを噛み締めている雰囲気でした。
二週に渡り午前午後入れ替え、敗退チームは即退場、開会閉会式無しという中、新渡戸チームは午前中男子4名中2名都大会進出(7名のトーナメントより1名が進出。各校代表約70名中10名が進出。これも熾烈な争いでした)。
結果、女子団体は敗退チームが全て退場しほぼ役員や審判の教員のみが見守る静寂極まる異様な雰囲気の中での試合の末に優勝することができました。
今回生徒たちは自主的に志願し朝練もこなし、男子強豪道場や高校女子強豪チームの胸を借りて強化をしていましたが、やはり実戦は簡単には行かず、決勝ではこのところ成長著しい先鋒が一本先取するも二本返されます。この時相手の見事な小手返し面の打ち込みが響き渡り、見守る先生方のオー!という歓声が上がりました。次鋒引き分け、嫌〜な雰囲気。正直ダメかと思いました。ところがメンタル面にやや不安のあった中堅が冷静に二本勝ち、試合運びに難のある副将も勢いよく二本勝ちで、決めてくれました。大将一本勝ち。
以前なら悪い流れになるとそのままプレッシャーに負けてしまう彼女達が、自ら踏ん張り押し返してくれました。試合1週間前からは全ての稽古メニューを自分達で考え、今日もほとんどアドバイス無しで頑張りました。こういう時にこそ新渡戸武士道流の「自律心」が踏ん張りを生み出します。この日ばかりは生徒たちが頼もしかったです。
【中学3ブロック予選会2日目】
翌週、女子個人は都大会出場権4名全員獲得(進出枠は各校代表全105人中17名、6.7人のトーナメントに分かれてそれぞれ優勝者1名づつを予選通過とします)。
男子団体は30チーム中ベスト8(都大会進出枠14校)で予選通過することが出来ました。
第3ブロックは最も学校数の多い剣道が盛んな地域の一つの為、激戦区とされており、特に男子団体は都大会ベスト16〜8クラスが4.5校あります。また、男女個人戦は約2年間試合がなかった為、初心者ばかりの山、強豪選手同士の潰し合いとなる"死の組み合わせ"があり中3にとっては厳しい大会でした。各ブロックでこのようなことが起きているのではないでしょうか。
コロナ禍の間に次々とベテランの先生方が退職されたため、全体的に指導者もかなり若くなりました。そのため新渡戸文化の顧問二人とも審判主任として各コートから離れられない立場となり、監督はなかなか出来ない状況です。
そのため特に個人戦は生徒一人一人が試合を進めていきます。ふと気付いたら都大会進出報告に来るという感じでLiveでは試合が見られませんでしたが、全て生徒たちが録画をしています。たった6人のトーナメントでも優勝することは大変なことです。
試合に出ない1、2年生も係生徒として運営に関わりましたが、動きが良い気が利くと先生方から好評でした。これも普段から指示を待たずに自主的に動いている成果かもしれません。
いよいよ決戦の都大会です。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
なぜ試合で力が出しきれないのか
新渡戸文化高校女子チームはまだまだ結成(5名以上揃う)したばかりの若いチームです。本来ならこれからとばかりに勢いがあるべきなのですが、コロナの影響で大好きな試合もできずにいる中で、ひたむきさを維持するのは難しいことなのかもしれませんが、指導者としてもちょっと悩ましいモチベーションの低下が否めませんでした。最近試合が再開されて、やはりその結果は芳しくないものでした。そこで私は選手たちには以下のようなメッセージを出しました。
(以下メッセージ)
数年前の話です。以前錬成会の帰りの電車内で、立ったまま駅前で買った焼き鳥を食べている参加校の某高校剣道部女子部員たちがいました。その学校の男子チームも錬成会中、賭け試合のようにお互いの戦績で缶ジュースをかけていたそうです。監督も注意をすることもなく、特に技術的指導をする様子もなくだらしなく壁に寄りかかり腕組みして眺めているのみでした。選手たちの態度は剣士として恥ずべきではありますが、その後このチーム、特に女子は都大会という好成績を残しています。某高校女子チームは、ある意味プロ意識があるのでしょう。高校の試合会場では凛とした立ち振る舞いをし、力強く勝ち進んでいました。裏側を知れば評価はできませんがこれもまた「自律心」と言えるでしょう。では、日頃の行いが悪くても実戦で勝てれば良いのでしょうか?
それはあり得ないことです。
新渡戸文化高校女子チームは最近の試合で、普段の力を全く出しきれずに負けてしまいました。力を出し切れずに負けてしまった原因は何だったのでしょうか。私は以下のように考えます。
新渡戸文化に入学してくる前から、はじめに素晴らしい指導者によって導かれて、剣道の正しい修行を積んできたからだと思います。
だからこそ自分自身で考えることを求められている今の環境において「常日頃からしっかりと正しい行いができていなかったことに対する」または「努力不足、ひたむきさの欠如」を自分の中で誤魔化し切れなかったのだと思います。勝負は負い目があれば力を発揮できません。自分自身を信じることができず、疑っているからです。これで捨て身の一本を打ち切れるわけがありません。
剣道の戒めにある「四戒(しかい・四つの戒め=やってはいけないこと)=驚(おどろく)・懼(おそれる)・疑(うたがう)・惑(まどう)」に縛られています。
都大会三位であろうと、はじめに書いたようなチームは恐るるに足りません。正しくはない態度でいる自分を恥じることさえなく迷わないのは「無知」だからです。「無知・無自覚」はいずれ目の前に大きな壁となって成長の妨げとなるでしょう。「ただ試合に勝つのみ」であれば、無知でも出来ないことはなく、むしろ迷いが無い分強いのかもしれません。
迷い、力が出し切れないのは「知っている」からです。自らを律して正しい行いを貫くのは難しい、極めて高度な修行を求められています。物事を知り、学べば必ず壁にぶつかります。その壁を乗り越えなければなりません。だれかに教わり、導かれるままに進めば誰でもそれなりの成果を得られるでしょう。しかし一生の宝物は他人から与えられるわけではなく、自分で体験し、学び取る必要があります。「敗北」を学んだならば、次は「勝利」を学ばなければなりません。
(以上)
失敗から学ぶことの方が多く、それ無くして勝利を得ることは難しい、と私は思います。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「平日の稽古風景」
新渡戸文化中学高等学校の平日の部活動の風景はある意味カオスな感じです。午後15時から小学生低学年の稽古が始まり、18時半に中高生が帰るまで怒涛の3時間半が始まります。
例えばある平日の稽古風景。
〜16時〜17時半まで〜
①「小学生中級者以上」
小学低学年の稽古を終え、16時から次の中級者以上の部を開始。希望があれば準備体操代わりに「尻尾取り」などをします。
②「中学女子チーム」
中学女子チーム11名は16時過ぎ〜颯爽と小走りに入場。必ず指導中のこちらに対して「こんにちは!」と言います。私にお伺いを立てることなく粛々と開始。いたって真面目に打ち込み稽古に没頭。こちらから何も言わなければそのまま稽古を完結できます。私との内容についての打ち合わせは前週既にできています。彼女達は既に「戦う集団」なのですが、私たちからの積極的な指導を望んでいますので、1週間に数回は打ち合わせや指示出しをします。
③「中高男子チーム」
先週のブロック大会が微妙な感じであと一歩で入賞を逃した中学男子チームの課題は「戦うこと!前に出て打つ!」とまだまだかわいい感じです。既に都大会を終えた男子高校生が中学生を鍛えます。打ち込みから始まり主には「掛かり稽古の中で中学生を引き立てて機会を打たせる」という内容。
④「高校女子チーム」
8月新人戦から本格的なチャンス到来の高校女子には、はじめにこれから半年間の戦略、選手起用方針を伝えました。躊躇なく選手交代をする全員総動員策。競わせたい狙いもあります。今回稽古法の内容は触れませんが、終えたばかりのインハイ予選の反省点は選手と共有されており、一旦全て任せて様子を見ることにしました。稽古が始まると、ガンガン打ち合う稽古をしたかと思えば笑顔で何やら協議をしています。彼女達はあまり型に押し込められることや先回りしての指導を好まないタイプなのである程度好きにやらせてあげて、失敗したり頼って来た場合にはテコ入れする形が基本です。
⑤17時〜
小学生は目黒が面をつけて面打ちから技の打ち込み。そこに入学以来まだしっかりと指導し切れていない中1女子を呼び出し課題点を指摘しつつ一緒に掛かり稽古方式で同じく面を打たせます。だいたい30分くらいやりました。
⑥
新入生初心者は初めて面をつけます。まだ時期尚早なのですが極めて意欲が高く稽古を休まずに、既に素振りや打ち込みをかなりやっているので一度着けてみました。着け方を教えた高校男子は負傷治療中の為、そのまま初心者指導に入り面を打たせます。しっかりと指導してくれました。
⑦
17時25分〜
全グループ一斉に納めて五分休憩。その時に小学生を帰し、残りの稽古は全体でやり私が指揮をとります。ここからの40分間は必ず全体の指揮を私たち指導者が取ることにしていますが、主には地力をつける稽古、残りは地稽古です。
はじめの頃は遅かったり要領が悪く叱られたり、試合で成果が出ない内容ばかり行うような場面も多々ありました。今では各グループ同士も連携して指導者とも呼吸を合わせることができます。分からないことはリーダーが駆け寄り確認しに来ますが、数秒言葉を交わすだけ。ただし、土曜日や長期休暇中の稽古では徹底して稽古法理論を教えています。また、平日は稽古時間が限られている為SNSや昼休みを使い稽古時間外のやり取りや指導も欠かせません。
生徒たちには委員会活動、補講なども認めているのでバラバラに来ます。部長がいない場合にはそこにいる誰かが指揮を執れば良いと伝えてあるので誰がいなくとも稽古は進んでいきます。
確かにこのようなやり方はよく言えば臨機応変、悪い側面も多くて、統制がなく、緊張感がないとか、非合理的だとかそういう風にも見受けられます。強豪校の一糸乱れぬ隊列、動きとは違います。実際のところ全てにおいてまだまだ未熟な集団です。始まったばかりです。
私は20年間少年指導に関わって来ましたが、やはり長期的に見て効果があるのは「剣道とはかくかくしかじかである」という画一的な指導ではなく、それぞれの人生観が作られる基礎として「さまざまな試行錯誤」が大切と考えています。そこから「剣道観」が芽生え、強くなり、さらに上位の強豪に打たれて一からやり直すという繰り返しを大切にしています。「理」を理解した経験豊富な大人が生徒たちに対して失敗をしないように型にはめ込むのはまた一つの「過保護」ではないかという思いもあるからです。
教わった一流の型を完全に再現した優秀な選手が、優秀な指導者になれるとは限りません。彼らに「なぜ?」と問えば「〜先生がこれが正しいと言ったから」と大真面目に答えます。本当にこういうのは多いです。私は失礼ながら「つまらない答えだなあ、聞いて損した」と思います。
「なぜか?なぜこうするのか?」の答えこそ大切で、経験に基づくべきだと私は思います。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「自律心」にもとづく稽古の展開
稽古再開となり、なんとか日々稽古しております。
生徒自らの意識を育て、尊重するという「自律型稽古法」は、ある一定の成果は見られるようになり、こちらからの指示で動く以上に生徒自らの判断による動きが見られるようになってきました。
とはいえ都のトップ、全国を見据えるとまだまだ甘いと言わざるを得ません。先日元バレーボール選手の益子さんが主宰する「監督が怒ったらダメな大会」というようなものを見て、たしかに共感する部分はあるものの「最初から最後までこうはいかないな」と思ってしまうほど、上を目指せば目指すほど指導は難しいものだと思います。
先日の記事では「驚くべき成長」と書いたそのペン先が乾かぬうちに、その後開かれた中体連研修会での強豪校との一戦は目を覆いたくなるような内容でした。こちらの三年生が一年生相手に苦戦を強いられたり、負けて帰ってきたのです。結果以上に内容が悪く、打たれまいとする気持ちばかりで攻めが効いていない状態からの当てに行く技が目立ち、相手に付け入られる隙だらけの試合でした。
いくらまじめに取り組んでいても実地での経験豊富で、指導者により的確に組まれた稽古を行ってくる強豪校に、生徒たちが自ら考えた稽古法のみで打ち破るのは難しいです。私たち新渡戸文化剣道部の指導者も常日頃から指導はしておりますが、ほとんど声を荒げることもなく、個別アドバイスと、全体アドバイスを行うことに加えてさらにプラスアルファが必要かと実感する部分もあります。
〇基本的打ち込みのさらなる修練
〇打つ前の攻めと溜めの匙加減
〇剣先を中心から外さず、姿勢を崩さない動作
〇打ち切り、打ち攻め
などなど、言葉に表すのは簡単ですが課題は山積しております。果たして夏までにものにできるか否か。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
第二回新渡戸杯争奪剣道大会 兼 第二十回東高円寺杯争奪剣道大会
3月30.31日に、新渡戸文化学園主催、
「第二回新渡戸杯争奪剣道大会 兼 第二十回東高円寺杯争奪剣道大会」
を開催しました。これまでこの大会を支え続けて来られた本校青木奈都子先生の有終の美を飾ることが叶いました。
本来であれば関東から50を超える参加校があり、年々参加校が増えていた大会も、やむを得ず数を絞らせて頂き、また二日間にわけ分散して時間差、無観客試合で行いましたが、各校からは「この時期に皆試合に出られず困っており非常にありがたい」とのお声を頂戴しました。
私たちから見れば、参加校、保護者の皆様、また開催に協力頂きました本校の校長及び事務局方々には感謝しかありません。本当にありがとうございました。また、今回は試合枠の無い高校男子をはじめ審査員以外の係員、設営、運営などの全てを新渡戸文化剣道部生徒が立派に務めてくれました。
試合結果は高校女子は淑徳巣鴨に敗れ準優勝、中学女子は優勝。中学男子は予選リーグ敗退。
試合結果はそれはそれとして、ここからが本題になります。
これまでの取り組み方は正月からの活動休止中に話し合いを重ねた方向性通り中学女子、高校女子、中高男子の3チームそれぞれが発案した内容に、指導者と吟味を重ねつつ自主的に行ってきました。
特に東京都制覇を狙う中学女子チームの試合内容は悪くはないものの、以下の点において指導者間で課題提起していました。
[私の思う課題点]
①まっすぐの勝負は強くなっているが、トップクラスはまっすぐばかりで勝負してくれない=相手の勢いを利用する技が上手
②応じ技を完璧にし、溜めが必要=自分の勢いだけで押すのではなく、相手の心を攻め、迷いを生じさせる
③追い込み稽古も、連続で真っ直ぐ打ち込むより、より実戦的な技の連続パターン稽古を加えた方がいいかもしれない
というようなことでした。正直直接指導を入れるか迷いました。が、様子を見ることにしました。生真面目な生徒たちはいつも通りのオーソドックスな打ち込み稽古を始めると思いつつ。
ところが中学女子は
想定以上に高度な技の稽古を始めました。
例)こちらから仕掛け、返そうとする相手に生じた隙をさらに応じて打つ
というような。また、追い込みでは、通常の打ち込みをしている男子、高校女子に対して、中学女子は三段に隊列を組み、連続技、応じ技、体当たり、逆胴などを組み合わせた複雑なパターン稽古を行っていました。つまりこちらの考え同様以上のプランを用意して来たということです。さらには部活SNSにはお互いに指摘し合った反省点もUPされていました。
そのため私からは例えば逆胴を打つ場合の入りと溜め、振りかぶる角度や構え、足の運び方や重心といった細部まで指導をすることが出来ました。
男子チーム、高校女子チームも成長していますが、生真面目だけが売りの中学女子チームは分析力、加えて応用力がついてきているとしか思えません。
驚くべき成長。
これは私たち剣道部だけの力ではなく、学園の取り組みや中学、高校内での取り組みの成果でもあります。感謝。そして引き続き戦います。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
中高生休止中のため、平日夕方は小学生のみの稽古です。小学生は中高生とは違い週一二回のいわば趣味の手習いですが、長くコツコツと続けていると、中には中高生ともちゃんと稽古できるようになる子もいます。基本的には礼儀作法と基本打ちはしっかりと、あとは様々な稽古法を取り入れて楽しく行います。緊急事態宣言下の今では特に。
私は今小中高で「イラストレーション講座」を行うことがあり、そのことを子供たちに話すと「やってみたい!」ということになります。そこで16時から17時40分の稽古の中で一生懸命やることを条件に17時過ぎくらいから30分間程度「イラストレーションタイム」を設けています。
授業でも使っているお題カードには、片方に私が書いたお題イラストレーションがあり、半分の空白部分に描き込むというものですが、剣道を習いに来る子供たちの描く絵のアイデアは個性豊かで素晴らしいものがあります。
私は剣道とイラストレーション(=絵を描くこと)にはある程度共通点があると思っていて、その一つに「想像力を働かせること」があります。剣道の試合や稽古でも、相手に対してすべてを予測できるのであれば無敵ですが、特に相手が互角以上の実力の場合にはそれはできません。「勘」を働かせることになるのですが、これは想像力と近いものだと思っています。宮本武蔵に代表されるような勝負師が、迫力のある良い絵を描くことがありますが、共通の「感性」が作用しているのではないでしょうか。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
新渡戸文化中高剣道部では1月より集団での活動ができずにいますが、1月中にZOOMによる個別面談を全部員に行い、1年間の反省点や今後の方向性について話し合いました。1月を終えて各部員によって意識や心がけには違いがあり、毎日1000本以上の素振りやランニング、筋力トレーニングを1日3時間をかけて行う者や、たまに忘れない程度に素振りをする者、水泳で体を鍛えるもの、ほとんど何もしていない者などさまざまでした。
1月中のペースではおそらく活動再開後には部員の内3分の1は体力が衰えていて、3分の1はトントン、3分の1は体力に向上が見られるかもしれません。2月再開であればまだよいですが、3月となるとこれではまずいですね。道場、学校問わず長期の休止はモチベーション維持のためにも頭の痛いところかと思います。
個別・チームミーティング以外にはGoogleクラスルームを利用し以下のように指導しています。
【トレーニングについて】
自宅でのトレーニングについてです。
独りでの稽古は意思の強さが必要です。頑張りましょう。トレーニングについては
「部活動の稽古と同等かそれ以上のレベルで行う」(=2時間〜 かなりの疲労を感じるレベル)
ということを意識して下さい。
また、「家の中だから〜は出来ない」「何をしたら良いか分からない」と考えるよりも、最初の宣言の時にUPした動画の自宅稽古法を行って下さい。稽古同様2時間でかなり体力を使うはずです。全てのメニューではなく、自分に必要なもので大丈夫です。
例えば素振りですが、椅子に座り短い竹刀を使ってもいいのです。その後脚を鍛える運動を行い、部分別に分けて補います。ジョギングを行う人もいて、これもいいでしょう。ただし階段ダッシュやスクワット、公園で鉄棒を使い腕立て、懸垂をするなど組み合わせて下さい。私は竹刀や素振り用木刀を担いで公園で素振りをしていました。
【自宅稽古法】
https://sites.google.com/u/0/d/1Rotvx05-aEqPEwPOLR1bJHINrxfxp0Jd/p/1D9F4jdFw8qElwne4z6dgYXpuDxpGd2AH/preview?authuser=0 *リンク先のページ最下部に稽古法動画があります
【トレーニングの方法とその効果】
[脚力]
①剣道はバスケ、卓球、バレーと同じ瞬発力が求められます。駆け足やジャンプを伴う運動。縄跳び、石段登り、ダッシュのようなものがいいです。
足底筋という足裏の筋力が強いと打ち込みが速くなります。足の裏で床を掴む時に使う爪先に繋がる筋肉です。自転車を爪先でこぐと鍛えられます。
②怪我の防止や底力(全体的な体力や全身の力)、持久力をつけるには時間をかけたランニング、スクワット、足上げ。
[体幹]
①腹筋は全身のバランスを取る力と怪我防止。特に膝や腰、背中を痛める人は足りない場合が多いです。「腹がすわる」というように、呼吸や気力の原動力とも考えられており精神的な弱さを克服する為にも有効です。足上げや壁に足をつけての上体起こし、プランクでも鍛えられます。
②背筋は、全力で打ち込んだ身体をすぐに元に戻す作用に使う為強ければ強いほど速い打ち切り、連続性も身に付きます。腹筋と同じく壁に足をつけての上体反らし、プランクは腹筋も鍛えられるのでおすすめです。
[腕力]
①素振りによって身につきますが肩や背筋を意識して全身で行うことが重要です。1キロ以上の重いものを振る場合には前腕や手首ではなく背筋、肩を使うこと。特に手首を痛めやすいので注意してください。
②打突の冴え、鋭さを身につける為には手首と掌の手の内を鍛えなければならず、握力と締めの瞬発力です。パワーボールやハンドグリップで直接鍛えてもいいですが、軽い竹刀や竹の一片に握りやすくテープを巻いたものを使い、高速で小刻みに振るのが有効です。
[素振り]
①基本的な正面素振りを正しく行うのが大切ですが、ひたすら本数を求めて振る場合には筋トレに近いものになり、一本一本気を込めて振れば時間はかかりますが実戦的な効果を得ることもできます。
②左右面素振りや開き足の素振りも手の内の柔らかさや足捌きの稽古になります。
③跳躍素振りは脚力強化と打ちの冴えを生み出す効果があります。
全ての素振りは室内で行うよう短いものでも代用可能です。
(以上)
2月もチェックを行いますがおそらく1月よりは意識の向上が見られることを期待しています。
私自身は週4回の小学生の剣道教室での指導を続けており、主に初心者の低学年の子供たちばかりですので「しっぽ取り」から始まって素振り、タイヤ打ちなどを行っています。
他校の皆様との再会が待ち遠しいです。通常では疎ましくさえ思えるライバルたちも、やはり剣道仲間ですね。皆さまも同じ気持ちではないでしょうか。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
あけましておめでとうございます。
今年に入り初投稿となります。それにしても、まさか再度の緊急事態宣言で稽古がままならぬ事態になるとは本当に残念です。ZOOMなどSNSの力を借りて前に進むべくそれぞれに春からの準備を進めています。
まずは一人一人と振り返り面談を行い、この一年間の反省点と来季の目標を話し合い、個々の課題も率直に指摘をしてトレーニングや一人稽古方法の設定など再開時に後れを取らないよう指導を継続しています。不幸中の幸いとしては、中高ともに秋から冬にかけて少々試合ができたことです。この時のデータはとても重要で、春に向けての課題が山積であることがわかりました。
現在、思いの外生徒たちは前向きに取り組んでいるようです。やはり子供たちのほうが大人よりずっと適応能力が高いです。稽古はできずとも部員たちはちゃんと剣道部の活動を継続しています。このような時こそ、志を高く持つことが大切です。
皆様との再会を楽しみに近々「あんなこともあったなあ」と笑える日が来ると信じています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
今年も一年間お世話になりました。
大変な状況でしたが、イラストレーターとしては「西荻窪の街を描く」取り組みをスタートし、町のゆく先々でお声掛け頂けるようになりました。
私は二十歳そこそこの頃より喫茶店で思索し、居酒屋やBARで一人決意し、または友と語り人生を送って来ました。コロナ禍で特に苦しまれている飲食業に携わる方々へ対し少しでもお役に立つことが出来れば幸いです。
剣道指導をしています新渡戸文化学園では中高男女部員も増え、昨年は初の夏の関東大会出場、秋の新人戦では新チームが東京3位入賞と頑張ってくれました。コロナ禍におきましても、様々な形で考えに考え抜き修行を継続して参りました。稽古の形は変われども決して無駄なことはなかったかと思います。
来年度春から中高共に更なる飛躍の年としたいと思います。
新渡戸文化高校は
〜関東大会出場〜
新渡戸文化中学は
〜東京都制覇、全国への道〜
です。おこがましいようですが、この状況だからこそ、「自律心」「個性を光らせ、皆で考える」チーム作りのひとつの成果を挙げなければならないと考えています。「勝利至上主義に陥らない」を理念に掲げておりますが
「固執し手段を選ばずではなく、あくまで学び・取り組みの発表の機会をより広く求めるのだ」という意味においては、理想を高く持ちたいと思っています。
剣道指導者としても、これからの時代に昔からの教えを正しい形で繋いでいく必要を感じています。押し付けではなく、子供達が自ら道を求めるのが本当だと思います。
以下に定めた、新渡戸文化学園初代校長、新渡戸稲造先生の「武士道」に根ざした理念を基に頑張っていきたいと思います。
皆さま、来年もご指導の程よろしくお願いいたします。
それでは良いお年をお迎えください。
【新渡戸文化学園剣道部理念】
~自律心を重んじ、 発想豊かな剣道を~
「自分自身にとって、チームにとって何が足りないのか。何を目指すのか」を自問自答できる環境作りをしています。剣道本来の「基本中の基本」をしっかりと学びつつ、個々の特性をいかした「自由な発想」をのびのびと発揮できる剣士の育成、集団作りを心がけています。
〜新渡戸稲造先生「武士道」に基づく「心構え」 〜
新渡戸文化学園初代校長・新渡戸稲造先生の著書「武士道」。これは日本の侍が重んじた「精神的・文化的」な価値観・人生観を、世界の人々に伝える為に書かれたものです。そこに書かれている「義・勇・仁・礼・信・誠・名誉」の意味を新渡戸剣道流に要約し「新渡戸文化学園の剣道」として稽古・生活における根幹となる「心がまえ」としています。
義
人の正しい道(道理・剣道においては理合)をわきまえ、誠意をもって行動・修練すること
勇(勇気)
真の機会を逃さず決断・行動すること
仁
他者を思いやり、いたわる心をもつこと
礼
他者に謙譲や丁重の心をもって接すること
信・誠
偽りがなく、真実を重んじて正直であること 
名誉
羞恥心を知り、富や知識ではなく「高い志をもつこと」への誇りをもつこと
〔指導者の心構え〕
「知識のみではなく実践を重んずる態度」を指導者自らが示す
⚫︎自ら稽古に励んで研究・鍛錬を怠らず、常に手本を示す
⚫︎生徒に対するときは親心を持ち、過ちに対しては感情的に「怒る」のではなく理性的に「叱る」
⚫︎あらゆる「失敗」に対しては「成長の機会」と考える
⚫︎「結果」にとらわれず「過程」を見つめる
⚫︎勝利至上主義に陥らない
以上
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
前代未聞の「試合が無いまま引退」を余儀なくされた高校3年生。緊急事態宣言時、ZOOMでのミーティングにて画面越しに寂しくも引退をしていきました。
しかしその後彼らは気持ちを切り替えて見事全員第一に希望する先へと進路を決めてくれました。
それに加えて幸運なことにもうひとつ高3と中3にとって素敵な出来事がありました。古い剣友でもあるカメラマンの杉能信介氏による、「コロナで引退試合ができなかった中3・高3のために記念写真を撮る」という「剣道時代」さんとの企画に、本校も取材いただくことになったのです。
本校剣道部が今のように人数が増えて実績も伸ばしつつある前の黎明期を支えてくれた選手たちを、このように素晴らしい撮影をしていただきました。特に彼女たち(高3)が入った来た頃は部員が女子5名となったこともありました。
撮影後、遠隔による保護者会を開催、その保護者会では、高校から入った高3部員のお母さまからの声が印象的でした。
「息子は試合が嫌いで、一度でも見に来たら口をきいてあげないと言われて、結局今日の撮影が高校で初めて見る初めての姿でしたが、中学の頃とは形も技も全く違っていて、とても素敵でした。本人も、僕は試合が強いからではなく、新渡戸の剣道が好きだからここで剣道をやりたいんだ。と言って入学しました。息子の成長した姿が見られて嬉しかった」
これからも試合のみならず剣道の本当のすばらしさを追求していきたいと思います。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
この時期は、各学校選手獲得の大詰めの時期です。しかしながら現在の状況により大会も見に行くことも叶わず、混迷を極めています。
そのような中、本校のことを見守ってくださる町道場の先生方や、所属の違う顔見知りの保護者の方々が皆応援してくださり、本当に感謝しかありません。
思い切って連絡をさせていただくこともあるのですが、それぞれの道場の大先生から直々にお電話をいただき、励ましの言葉をいただくこともしばしばです。「いつも試合会場で生徒たちの凛とした姿に感銘を受けております」「最近にご活躍の様子、頑張っていますね」といった言葉には、本当に救われています。私たちも新渡戸の剣道部を信じてきてくれた子供たちの期待に応えるため必死で、時折心が折れそうになることもありますが、内外の方々のご支援・励ましのおかげさまで何とか頑張ることができています。
本当にありがとうございます。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
最近の稽古風景です。平日のほとんどは中高男女グループごとに自分たちで考えて稽古をしています。以前ならすぐに止めて「ここはこう、それはこう」と指導やアドバイスを入れることもしばしばだったのですが、全体を見ていて「あ、ここは声をかけようかな」と思うと、先輩が声掛けをしていたりお互いに注意している様子が見られ「今何を話していたの?」と聞くと、私が感じていたことと同じだったり、私が言おうとしたこと以上の返答が返ってくることが多くなってきました。また、写真の中学女子チームでは、一部ローテーションごとにお互いのポイントを指摘しあうという時間帯を作っており、それぞれ特徴の違う選手同士が遠慮なく指摘しあい、受け手も素直に聞いている様子が印象的でした。
指導者も、生徒たちもある程度方向性が共有できてきたな、と感じる瞬間です。もちろん稽古中に全体を止めて指導する必要はありますが、以前は止めてばかりいたのが、今は個別の選手に対して技術的アドバイスをする形が多いです。
そして私からは最初と最後になるべくシンプルに大切なことを伝えるようにしているのですが、私自身今何を伝えるべきかが見えやすくなってきたように思います。
剣道の指導のみではなく、学校内での「対話力育成」の取り組みによるものが大きいと感じています。
「自律心の芽生え」を感じています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
高段審査は「全国審査」のため地方に遠征となります。そこでは同世代の剣士が集結していて、懐かしい顔とも再開することもしばしば、高校時代の母校の同期と立ち会うこともありました。単に段を取得するというよりも、このような再会や邂逅を伴う「旅情」を楽しむものでもあるのですよね。(私が一回で合格できない言い訳でもありますが)
ある地方の場合には、田んぼの広がる風景の奥に突然スポーツセンターが現れるような立地にありまして、駅を出てみると「本当にここでいいのだろうか?」と不安になります。そんな時に同じように防具を担いだ方と「ここですよね」「どちらから?」ということになり、雑談しながら緊張をほぐしつつの道中となるわけです。
また、都の予選会などで見かける顔ともここでは同郷のよしみでお互いに着装のチェックをすることもありました。四・五段で立ち合った方とも再開すると安心します。こういう時は緊張しているのでこのような顔見知りがいると本当にありがたいのです。過去の段審査で立ち合ってお互いに合格した方とは一生の友です。
私は前乗り・観光派ですから前日にはたっぷりと睡眠をとりますが、剣友の中には仕事や家庭の都合で夜行バス直行で寝不足の青い顔をしている者もいました。なんとそのまま合格してトンボ帰りという豪傑ぶりを見せてくれましたが。これでは旅の楽しみはありませんね。
何度も顔を合わせる「旅の友」もいます。落選者同士妙に会話が弾むのですが、自分が合格した後は顔を合わせることもなく「あの人はどうなったかなあ」という方も多いです。過ぎてしまえばほんの短い出来事で懐かしい。10年くらいたって「ようやく合格しました」なんていう方もあって、ずいぶんの長旅だったのだなあと感慨深いこともあります。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
指導者の年齢層となる30歳台~は六・七段審査に挑戦する時期となります。私も六段を拝受したときは全国行脚の旅に次ぐ旅でした。
当時はまだ独身でしたので東北から関西と前乗りをして観光を楽しみました。京都では飲み屋にいると、隣にごつい体つきの老紳士が二人連れで酔い心地となり、次第に声が大きくなっておりました。会話の内容からお二人は八段、それも審査員のようでした。というよりも間違いありません。しばしば剣道雑誌でもお見受けする先生です。
そ知らぬふりをしてお話を聞いていると審査合格への秘訣のような内容でした。要略すると「いくら審査だから気品や溜めと言っても、打ってくれないと(技を出してくれないと)分からないよなあ」というお話でした。これは大変ためになる話だと思いました。
「高段位の審査と言えども、思い切って伸び伸び打っていかなければ、その人の力量は図れない」
ということです。私なりの解釈をすると、
〇打ち込もうとする積極性が必要
〇打つ前と後をしっかりやる→気品
があればどのような技であれ見てもらえるのだと思いました。
そしてその後の審査では、なんとグループ4名のうち私1人不合格という非常にレアな結果でした。私は自分以外の3人を受からせるという至難の技を出してしまったのです。あんなに寂しかったことはなかなかありません。全員不合格よりは良かったのだと自分に言い聞かせています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
中段で上段に対する場合の対処法としては以下のようなものがあります
1小手を打てないよう右方向に動く
2竹刀をまっすぐ構えず諸手または片手で右上方をかばうように構える(霞の構え)
3小手のみを隠すように竹刀を右方向に開いて構える
4左腕を上げてガードに近い形で構える。
5竹刀を面を隠すように真一文字に構える
上段から見ると、1は相手が右方向(上段から見て左)に動いても予測しやすく、打って出る瞬間も機会として捉えられるので溜めを効かせることもでき、比較的対処しやすいです。また多くの相手がこのように動くので慣れているということもあります。
2竹刀が斜めになっており隠したつもりでも小手を打つことができるという場合もあり、変化も読み取りやすく1同様打って出る瞬間を狙えるので乱されるということはあまりない。
3これは小手が完全に隠れていて、足さばきが速い相手の場合はやややりにくいです。面が開いていても狙えば見切られる場合も多く、「眼(見切り)がいい・足が速い」選手の場合には上段側から見て嫌な構えの一つです。
4・5は3同様足が速く手の内の柔らかい選手の場合は苦労します。また、このような相手も多々いるため団体戦なら「引き分けか良くて一本勝ち」個人戦なら「10分以上の延長を覚悟」していきます。上段からすれば相手が打って出てくる瞬間をとらえる稽古をしているため、こういう相手に遭遇した時点で腹を据えていくため、お互いの膠着が生まれやすくなります。上段の側としてみると、このような相手を想定して「逆胴」「諸手打ち」「上段からの応じ技」の稽古も積んでいるため「ひたすら我慢」のうちに勝機を伺うということになります。
結局構えより「眼」「気迫」が大切
私自身の実感としましては、強豪選手はあまり変形の構えをとらないということです。その代わり「遠間での見切り」が抜群で打てる部位が開いていても届かないことが伝わってきます。実際に打って届かないと、「打たされている」感覚に陥ってしまい、怖くて下ろせなくなります。また、思い切りよく前に打って出てくる為こちらが居付かされることもよくあります。「はじめ!」と同時に突かれてのけ反らされたこともあります。上段は「溜めて気攻めから入る」というつもりですが、有無を言わさず突入されると脆い場合があります。上段としても構えた瞬間から打ち下ろすつもりでいなければなりません。
「気迫」で負けた時点で構えの形云々の勝負にはならないということかもしれません。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
上段対策について。私は25歳ころにアキレス腱を断裂し、それを機に上段の先生や先輩に教えを請い、次第に上段で試合を行うようになりました。現在は中段で行うこともありますが。
中段からの上段対策の前に、経験上上段に対しては上段が有効だと思っている部分に触れてみたいと思います。特に有効なのは上段から面や小手を攻め(これは誘いのため当たらなくてもよい)、攻め気を引き出したところでの相手上段からの片手面か片手小手を抜いての諸手面です。とはいえ普段上段の稽古をしているわけでもなければ難しい話です。
中段剣士の中でも、一時的に変形して左片手上段や右片手上段で対応される選手もいます。これは上段から見るととてもやっかいです。
【諸手左上段に対する左片手上段の場合】
・左手一本で竹刀を握り、腕を開きます(左こぶしが正中線からかなり外れて肩の上あたりに来ます。二刀流の太刀にあるような構えです)。相手から見て竹刀を握った左小手は完全に隠れています。
・右手は腰に置きます。相手(上段から見て)から見て右胴(上段から見て左側)は隠れます。
・竹刀は面をガードするような形になるため面も隠れます。
以上の状態のため相手からは左胴(逆胴)のみ空いている状態です。この構えからはほとんど小手のみを狙います。面の打ちは弱くなりますが小手は練習すれば思いの外速く打てます。私もこの構えをとられたときは咄嗟にこちらも片手を離すわけにもいかず、惑わされている間にいいように小手を打たれた経験があります。
【諸手左上段に対する右片手上段(半身)の場合】
・右手で竹刀を持ち、やや半身になり右こぶしは正中線から外れ右に開き気味に構える。剣先は上方に向けたり相手に向けたりと流動的。
この構えは逆胴以外ほぼ隠れていて打てません。上段からすればこちらからは手を出せない状態です。手の内が柔らかく器用な選手であれば右片手から諸手上段の小手を打つことができます。また、右足を出しているためすぐに左手を添えて両手で狙うこともできます。何よりも上段の動揺を誘う構えとなります。右半身から一気に詰めて引き技への移行も速いです。私もこの構えから見事に二本負けをした経験があります。相手は全日本学生で個人優勝したばかりのとても器用な選手でした。
②へ続く
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「豪胆」は美術に例えれば「アート」に近いかと思います。「アート」の場合はまずは自分自身の内なるものを表現しきるということになります。「相手にどう思われようとかまわない。これが自分自身の思いだ!」と内なる情熱を強く表現するものです。
「細心」は美術というよりも「デザイン・イラストレーション」に近いかもしれません。まずは相手・受け手のことを考えます。「どのように伝わるか、どのように伝えなければならないか」を突き詰めていくことです。
前者は悪くすると「雑・暴走」につながり、後者は「考えすぎ・判断の遅れ」につながります。剣道においては、熟練度が増して高段位になればなるほど後者の「細心かつ緻密」の要素が強まっていく傾向にあるかと思います。相手の心を動かし、自分の磨いてきた形の内に誘い込んで打つ、というところでしょうか。剣道の本質は「自分の情熱をぶつけまくる」というよりは「相手のことを感じ取り、合気になる」ことのほうが大きいかと思います。
剣道は常に決断を迫られる切迫した状態があり、瞬時に対応をしなければならない競技のため、どんなに熟練した選手でも必ずミスを起こします。個人戦であれば自分の特性をぶれずに貫き通すことが大切です。弱気になりぶれてしまったほうが敗れるということが多いと思います。
チーム戦の場合には選手の特性が顕著に勝敗に影響するため先の先まで予測したチーム編成と準備が必要です。先鋒は「豪胆」な選手がいいように思われますが実は「細心」な選手を配置することも重要かと個人的には思います。先鋒はチームの顔でありペースメーカーでもあるため相手方も強力な選手を配置します。簡単に失敗して負けてしまうことが一番のデメリットだからです。
先鋒は相手の力量を図りつつチームの戦い方を方向づけたいのでどのような相手にも無理なく対応でき、なおかつ地力のある選手が好ましいです。
では「豪胆」な選手はどこに配置するかということになりますが、私個人としましては次鋒や副将にこのような選手を配置することが多いです。勝負所という感じでしょうか。いい形で力を発揮すると次鋒・副将で試合の流れを良い方向に決定づけることが多いです。もちろんその逆もありますが。
そのため先鋒や中堅には最も安定感があり信頼できる細心かつ地力ある選手を配置します。大将は・・これは難しい問題なのですが、個性的だったり、粘り強かったり、地力は必要ですが相手にとってやりにくい選手を起用することが多いかもしれません。「大将に回すとやっかいだ」という印象を与えたいのです。
「豪胆か細心か」。どちらのほうが大切ということは一概には言えませんが、最終的には「細心」こそ武道の本質に近いような気がしています。皆さまはどうお考えでしょうか。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「メンタル」は競技において非常に大切です。が、何が「メンタルの強さ」かというと、さまざまあるように思います。
例えば知人に七段の審査に一回で合格した剣士がいるのですが、一年間竹刀を握ったことがないまま審査を受けたそうです。この方は何事にも物怖じせず堂々としていて剣道も「腹が座った捨て身の剣道」をされます。高校時代にはインターハイに出場されており、そのために死ぬほどしごかれたとのことです。ただし、試合の時に思い切りよく行き過ぎてあっさりと二本負けということもしょっちゅうだそうです。
また一方で審査までにきっちりと準備をして一回で合格、ただし「面を極力打たない」「相手の打ち気を引き出したり逸らしたりして翻弄する」という方もいます。試合も簡単に負けることは滅多にありません。
前者は「豪快・豪胆」という意味でメンタルが強く、後者もまた「細心・緻密」という意味でそれを冷静に準備・遂行していくメンタルの強さを持っています。
このような個人の性分・性質はさまざまです。どちらも自分の特性を軸に磨き上げられたという点では非常にメンタルが強い剣士と言えます。軸となる特性は中学生、高校生あたりからすでに芽生えているものと思われます。指導者はこのような特徴をうまくくみ取る必要があるかと思います。個人の適性に応じた技の応用やポジションを意識して伸ばすことがチームの多様性につながるからです。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
強い選手ほど「溜め」があるように思います。一概に溜めと言っても時間的なものばかりではなく、一瞬においても溜めが効く効かないという差があります。足は動いていても構えの中に「いつでも打てる」という準備の有無です。
その「溜め」で最も大切なのは「そこから瞬時に打ち出す速さ」かと思います。遅ければ溜めではなく「居着いている」だけです。予備動作なく「西部劇の早撃ちガンマン」のように、または「達人の居合抜き」のような「相手に抜かせて打つ」というのは理想の理想ではありますが、いかに速く打つ準備が整っているかが大切です。
上段の構えの場合は、構えた時点で打ちおろすだけなのですでに溜めができています。ですので上段に対抗するには守りを固めてからというのが定石となり、その点では上段は有利です。
中段からいつでも打てるという溜めの効いた構えを作るには以下のようなポイントがあるかと思います。
・手元を絞りすぎず柔らかく握る
・右手と左手の適切な位置取り
・手首・肘から肩にかけての「懐」の柔軟性
・即座に蹴りだせる左足の置き方
・蹴りだしに合わせて体重移動がしやすい重心の位置
・相手の始動や間合いを察知する視野=体幹軸の意識
「溜め」を作り出すにはこのような技術的な要素も関係しているかと思います。中でも「握り方」に大きなポイントがあると考えています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
剣道部の生徒たちはそれぞれ異なるスタンスの指導者に長く指導を受けてきており、その長所も欠点も様々です。素振り一つとっても全く異なる場合が多いです。この基本中の基本についての指導、修正は「現在の指導者の責任において行うべき」と考えています。
新渡戸文化剣道部の指導としては
・肩関節の周囲を大きく柔らかく使い、足さばきで生み出された力を腕・肘・手首・掌・指先を通して竹刀の尖端まで伝わるように振ること
です。この素振りに関するポイントを意識し、正面打ち・切り返しを同様に行うことが大切と考えています。この部分が良くなってくればほかの動きも変わります。まず最初に目につくのは
・肩を使っておらず腕の力で振っている
・振りかぶったときに手の内が回って(変わって)しまう
・握り方が深く絞りすぎている
・構えの左手の中心がど真ん中に来すぎていて左肩が上がっている
・振り下ろす際手首や手の内が効いておらず竹刀の先が振れていない
・体重移動ができておらず打つときに前に倒れたままになってしまう
・構えが後傾で継足をしないと打てない
・構えの右腕が突っ張っている
などです。簡単に言えばすべて「動きの硬さ・無駄な予備動作」につながります。
中にはあまり「大改造」をしてしまうと本来の天性の良さが薄まってしまうというデメリットもあり、個々の見極めが大切かもしれません。このような場合は良いところをより伸ばしていく方向性で指導しています。ただし、多くの場合「悪癖を取り除く」ということに時間を費やします。長ければ中高一貫して取り組まなければならないこともありますが、少しづつ必ず改善されていくものと考えています。
このような基本の部分に関しては本人の「自主性」「自律心」といえども自己修正は難しいと思います。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
生徒達が自ら計画を立てて行うという「自律型稽古法」。これまでに書いた通り100%これで完結というわけにはいきませんが、重要ポイントははっきりとあります。
1 効率的な稽古内容であること
・一分も無駄にしない計画性と行動の速さ
・その稽古内容がどんな効果をもたらすかという明確さ
・参加者全員が対応できる内容
・その稽古をどのように行うことが重要かという共通認識
その他
2 魂(情念・気迫)がこもった稽古をすること
・気迫のオーラ(気配・雰囲気)を感じられる内容か
・数よりも一本にいかに集中できているか
・打つ前や後という細部にまで気持ちが行き届いているか
以上2点について、すべて両立せよということではなく、どちらかに集中するということも大切と考えています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
器用で体力的に恵まれている選手の中には器用なゆえに大概なことはある程度までは(その先が大事なのですが)教わった通りできてしまい手を抜いたり目的を見失うことがあるように思います。こういう選手は外部や環境に不満を募らせたり、剣道へのモチベーションが下がりがちで、つまり「器用貧乏」に近い状態に陥ってしまうわけです。
正論を言えば自分の剣道は自分の修行なのだから、周囲に不満を持ったりやる気を失うことはすべて自分自身のせいなのです。とはいえ中学生や高校生では致し方なく、こちらでも悩みや原因を解決するために支援をする必要があります。
本来であればどんどん対外試合に出していくことが一番ですが、現状これが難しい状況となると対応に苦慮することもあります。指導者としても普段からまじめにこなしている様子を見るとそこに甘えて目を離してしまうこともままありますので、やはりここはより高度な要求をしたいところです。
ひとつは思い切って稽古内容等自分で考えさせるというのが効果覿面です。また、指導者が面をつけて打ち込みを受けてやったり、地稽古を通して引き立てていきます。大人数となると難しくなってきますが、指導者としてもそれなりに活動が回っている様子に油断してはいけないという警鐘と受け止めたいところです。素直な子供たちの心というものはあなどれないものです。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
相手を知れば「勝ち」に近づくか。という問題があります。私は個人的には、例えば相手が全日本選手権者かどうか「知らないほうがいい試合ができる」タイプだと思っています。相手を尊敬しすぎると気後れしてしまいます。逆に何も知らずに勝ってしまった後で「あの人によく勝ったね」と言われることもあります。
ですので、「知らんぷり」で仕掛けてしまうのが性に合う気がします。その場限りであれば勢いで押し込んでしまうこともできるのが剣道の面白さです。どちらにせよラッキーパンチは一度くらいのものなので実力的には及ぶものではありませんが。
逆に相手のすごさを知っていたほうが燃えるタイプもいるでしょう。新渡戸の選手の中には普段ぱっとしない試合ばかりしているのに、強豪選手に対してここぞという時にばかりいい勝負をし、概ね勝ってくるというタイプの選手がいます。ただしどこでそのような爆発が起こるかわからないため初戦から冷や冷やさせられた上、不発ということもあるわけです。この相手にはうちの選手の誰を出しても厳しいかなと思っていると、思い切った相面で仕留めてくるということが一度や二度ではないのです。剣道の団体戦も試合ごとにいれかえができたらいいのになあ、と思ってしまいますが、こういう選手は面白いですね。「相手は強いから無理せず繋いで」と送り出しても上記のように大立ち回りをやってのけて、後でどういう考えで出て行ったのかを聞いても何も考えていません。
こういう選手は個人戦では長続きしませんが団体戦ではいい仕事します。
やはりいろんな選手と稽古し、練成会で強豪選手と手合わせをすることで気後れはしにくくなりますので、本番試合現場というよりは普段から強い相手と稽古することは確実に必要ですね。知識だけでは確実に委縮してしまいます。本校の初代校長、新渡戸稲造先生も「知識に偏らず実践を重んじるよう」教えられています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
剣道で大切と言われている「攻め」はいつどのように指導するかということは、さまざま意見があるかと思います。
私の場合、小学生の場合は「空間・距離」として相手に近づくこと、その適切な距離感を「攻め」と伝えています。
中学生以上となると、同じ「攻め」でも「距離的な攻め」と「無形の攻め(精神的な攻め)」という高度なものもあるかと思います。一本を打ち切ることで、勢いで押し込む「打ち攻め」を使い、その後次に来るのではないかというイメージが相手にプレッシャーとして伝われば「無形の攻め」につながります。
このような「攻め」を具体的にどのように伝え稽古するかというと、基本的には「形稽古」のように約束事を決めて法に従い動作し、反復する方法です。
「かかり手が先をかけて半歩入る(攻め)→元立ちが面に来る→かかり手が技を出す」という形です。これをベースに様々パターンを変えて稽古させます。具体的には正面から受けて返す「面摺り上げ面」の稽古が「攻め」を身に着けるために有効と考えています。
加えて様々な技の稽古を行う中で、足をつかうようにします。相手によっては打つタイミングも動作も異なり自然と相手との合気を感じたり外したりするので、これが「攻め」となっていきます。足を動かすのは初歩的段階で、自然に無駄な動きを省き、「溜め=無形の攻め」に移行していきます。
まずは技の稽古を重ねて、実戦で使い慣れていく過程で相手を動かして遣うという「攻め」の感覚が芽生えていく、「実践」によってつかんでいく要素が強いと思います。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
剣道は競技としては審判のジャッジなど含めてほかのスポーツに比べると「感覚的」=「曖昧」な部分も残されています。また、狭い世界でもあり、参加校の指導者が審判を持ちまわることも含むと、判定に人間関係を意識してしまう部分も全くないとは言い切れません。剣道家同士のやり取りでよく目につくのがある剣士を紹介するときに「あの人はどこの高校から大学で~」という説明の仕方があります。その人がたとえ50歳でもまだ「~高校出身」と言います。いかに剣道家がお互いの出身校や出身地域、つまり剣道における風土を強く意識しているかの現れでもあり、それぞれに絆を感じます。これは良くも悪くも様々な場面で「曖昧な部分」に影響するでしょう。同じ流派に思い入れを持ってしまうのは人間である以上仕方のないことです。
私自身も「~道場で指導を受けて・生徒たちは~大会で入賞して」という形で自己紹介をしてしまうことが多いです。やはりいちいちその人と防具をつけて稽古をするわけではないので手っ取り速さもあります。「あそこでこの位稽古したならこのくらいはできるのだろう」ということは伝わります。合理的と言えば確かにそうなのです。同様に各学校に対してみる目として「この学校ならこのくらいの力だろう」という先入観が生まれます。
稽古でも、選手を強くするためにはシステムを構築しそこに当てはめていく、また、その時代の流行の競技性に合わせて対策することも大事です。やはり指導者ならば大概は合理的な組み立てを望んでしまいます。特に強豪校は部員数も多い中で力を維持するためにもそのような方式を取らざるを得ません。剣道の先生の中にはアイデアマンや優秀な方がたくさんいて、常に新しい稽古法を生み出しては成果を上げています。そうすると周囲の道場・学校はその方式を研究し全国的に広まっていきます。
しかしながら私自身で審判をしていても、そのような流行・先入観の枠から外れたような、あっと驚く一本、あっと驚く番狂わせが生じることがあります。そのような試合は審判のみではなく周囲や会場全体が飲み込まれて息をのむような雰囲気になります。こういう場面に出くわすと「やっぱり武道なのだなあ」と思います。合理性の範囲では制御しきれない、大げさに言えば「奇跡的な一本」です。このような一本の前では、「先入観」も「合理性」もまるで無力です。年に何回かはこのような感動すら覚えるような場面に出会い、剣道の面白さを再確認します。
私は自分自身の経験からも、さして自慢できるようなバックボーンも特別な技術も能力もありません。誰かの後追いの指導を重ねても追いつくことは永久にないでしょう。逆に言えばそれらに縛られたりする必要の無い「自由な存在」です。「剣道とはこうでなくてはならない」という気持ちが薄く「剣道とは自由で楽しいものである」という発想です。常にチャレンジャーであり学ばせていただく気持ちで稽古や試合に取り組んでいます。生徒に意見や見解を求めることもしばしばありますし、他校の先生にも指導を仰ぎます。
仮にこれから新渡戸文化中学高等学校剣道部が強豪校に成長できたとしても「新渡戸文化の剣道ってどんな感じだっけ?」というような、つかみどころのないものになってもよいのではないかと思っています。例えば「対してうまくない。下手で、統一感も無い印象」と言われても気にしません。一人一人の選手がそれぞれ「意思」をもって行動し、成長し続けていけて、剣道を楽しんでくれていれば。それが本当にできているならそのチームは「強い」でしょう。少なくとも「当たったらいや~な相手」に違いありません。萎縮せずに伸び伸びやるというチームカラー。学年ごとに違ったカラーが出てくるくらいが面白いと思うのです。一番トップのチームから「何を仕掛けてくるか選手ごとに違っていてなんとなく怖い。できることなら当たりたくない」と思われるようなチームになれたら面白いと考えています。つまり方向性としては「曖昧で非合理的」なのかもしれません。誰にも予測できない「奇跡の一本」を生み出せるようなチームです。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
剣道においても「個性」を生かしたいと思います。ただしどこまで「定石」を大事にし、どこからを「個性」として伸ばせるのかというボーダーラインに悩むところです。
例えば引き技について、中学・高校とあがるにつれて細かい規定の縛りがあります。選手はこの規定を熟知しなければなりませんが、結果的に引き技を出すまでに守るべき「定石」を逸脱しないよう意識する時間帯がほとんどとなります。「正しい鍔ぜりをしなければならない」からです。
私としてはルール自体を変えざるを得ないような奇抜なアイデアが出てくるのも面白いかと思っています。同時に「正々堂々」勝負してほしいという願望も「勝ちたい」という欲もあるわけです。
現状では稽古の手順としては
・正しい鍔ぜり・構えといった一定の「形」を熟知する
・そのうえで現状に満足せず「工夫」をする
という流れです。正しい所作の中には長年の経験に基づく合理性があるわけで「なぜこれが正しいということなのか」を理解することは必要です。その与えらえた条件をクリアしつつ「斬新なもの」をアイデアとしていくことに剣道の楽しさを見出せなければ面白くないと思います。
毎月行っている月二回の「月例部内戦」では、今回も強豪小学生の参加がありましたが、とにかく足を止めずに鍔ぜりからの引き技を直感的に狙い続けるため相手は息つく暇もありません。中高生と言えどもセオリーに従うあまり何度も危うい場面があります。
形にはまらず、直感で狙ってくる技にはその人にしかできない個性があります。純粋な小学生から学ぶものは多いです。逆に小学生には、今の気持ちを忘れずに頑張ってほしいと思いました。私としましては、ある一定の「形」にはめ込むあまり「創造性・直感力」を失うような指導にならないよう気を付けています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
新渡戸文化アフタースクールの小学生の剣道指導について。
子供はみんなしっぽ取りが大好きです。しっぽ取りとは、単純にしっぽをつけてそれを取り合うというものです。
剣道では以下のルールを定めて行います。
・体を触らずしっぽのみを狙う
・転んだ人がいたらストップ
・喧嘩をしない
・駆け足禁止、すり足で動く
・相打ちは両者セーフ
大体のルールは以上です。
しっぽ取りは主に小学校一年生の初心者で行い他の上級者はたまにやるくらいですが、たくさんの効能があります。
まずは足腰とスタミナの強化。しっぽ取りは思う以上に疲労します。また、視野の拡大、チームワークの育成です。はじめのうちは皆バラバラに動きますが、子供たちの上達は早く周囲を敏感に察知し、自分より強いものには集団でマークし、容易に近づかなくなります。海の中でイワシの群れが巧みに天敵の攻撃をかわすという、あのような感じです。私がはじめは10人相手に容易に勝つことができても子供たちが熟練してくると2・3人相手でも翻弄されてしまうことがあります。
しっぽ取りで熟練した子供は俊敏性と広い視野を得、全身でリスク回避能力を発揮するため、チーム全体が慣れてくると一定の距離を取って容易に攻め込まず、守りを固めて膠着するようになります。剣道における「無形の攻防」です。あるいはその膠着の中から個人として果敢に攻めてくる子もいます。
みんな早くしっぽ取りをやりたいので、道場に入ってくるとすぐに靴をそろえて整列するようになります。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
写真は本校の「アフタースクール」という小学生の放課後活動での剣道プログラム受講生の稽古風景です。全部で20数名おり、この日は二年生二人が初めて防具をつけて稽古しました。
小学生にとっては竹刀を振るのは大変なことで全身で思い切り振りかぶらなければしっかりと振り下ろすことができません。スピードはありませんが初心者のこのような動作は見ていて気持ちいいものです。中学生以降になると体も大きくなり腕だけでも竹刀を振れてしまい、動きが小さくなっていきます。新渡戸の部員たちも幼いころから剣道をしていますがいつしか全身運動を忘れてしまいがちです。
もちろん、腕だけで小さく速く振れるのは良いのですが、硬くなってしまうのが問題です。本来は小さく速く振る場合にも全身の関節を動かしており、足で床を蹴る力と重心移動を全身運動を通して竹刀の尖端に伝える必要があります。そのためにはどんなに上達しても「大きく振る打突」を稽古し続けなければなりません。
幼い子供たちは体が柔らかく好奇心も旺盛のため面打ちだけでも黙々とやりますが気分転換も兼ねて「小手打ちやりたい?胴打ちやりたい?」と聞けば「やりたい!」と言います。中学生や高校生がやっているのを見て自らかかり稽古や追い込みを「やってみたい」という子供ももいます。
勝負にこだわり緊張感をもって稽古することはとても大切ですが、幼い子供のように無心に大きく身体を動かすということを楽しみながら剣道を続けられることも大切だと思います。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
最近行っている部内戦や、地稽古をみていると、多くの選手が自分の得意な間合いを持っていますが、大きく分けて「近間」「遠間」の二つのうち、一つしか選択肢の無い選手が多いです。例えば「遠間からの面」と「近間からの出小手」などの二種類があれば大きな武器となります。野球でいえば剛速球のストレートと急角度のフォークボールがペアになると手が付けられないというようなことと同じで、遠間からの面が強ければ相手は焦ったり手元を上げやすくなり、小手が打ちやすくなります。
一流の選手となると「近間→超近間」とか「遠間→遠間からの余し・タイミング外し」などさらに細分化できるような独特の技を持っていることが多いです。実業団剣士でありながら東京から全日本選手権出場という偉業を成し遂げたNTTの山本選手のように面で崩して面でとるタイプもありますが、面打ちだけでも数種類の打ち分けがあるだけでなく、面を警戒しすぎて引き小手を決められたという私自身の経験もあります。私は上段で挑み、何回も相面となりましたが、山本選手は有利なはずの上段からの面に普通に面で合わせられる速さと伸びがありました。実際に手合わせしてみるとこちらのタイミングばっちりなところで下ろしてもすべてぴたりと相面になってしまうので「どうなっているのかな?」というほど面が強かったです。そして見事なまでに鍔ぜりの小手がお留守になってしまいました。
選手たちには毎年夏の集中稽古等で指導したうえで口を酸っぱくして「遠間」と「近間」の得意技を作るよう言いますが、やはり1・2年で徐々に身に着けていき、この二つを備えたとたんに勝てるようになります。どの技を備えるかは人それぞれで、「面+摺り上げ面」とか「小手+返し胴」というような組み合わせもあります。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「自律」といっても難しいものですね。
「中高生が自ら信念をもって毎日の稽古に当たり実績を残し、生活にもそれが現れる」
これが容易にできるのであれば指導者は誰も苦労しません。
以前公立中学で10年間指導をしたことがあり、その間区大会優勝、ブロック大会優勝、都大会ベスト16という所までは成果を出しました。同時に新渡戸文化でも指導をしていましたが、このチームに敗れたこともあります。初心者中心のチームとしてはかなり力をつけたのではありますが、部員数が続かず今は指導を離れています。
きっかけは母校の後輩を指導をしていた区大会会場で、毎回一回戦も勝つことができない顔見知りの公立中の生徒から「ぜひ僕たちにも指導してください」と言われたこと、偶然にもその学校が顧問の異動を控えており指導者を探していたことから始まったのでした。
はじめは自分から「指導してほしい」と願い出るとはなんと素晴らしいと感動したものでした。これこそ「自律心」と言わずしてなんというのでしょう。当時都ベスト8以上を狙える力がありながら区大会優勝や都ベスト16・32辺りでいて満足している母校に喝を入れるつもりで引き受けました。つまり、同じ区で指導していた母校と対抗勢力を育てようというわけです。母校と、一部の剣道の盛んな学校のみで優勝を争われマンネリ化した地区に新たに強豪チームを生み出して活性化しようというつもりもありました。
しかしふたを開けてみれば散々なものでした。16時前には稽古場に行き準備をしていましたが、一向に部員が現れず途方に暮れていると、部活の前に近所の公園で遊んでから三々五々集まり、全員揃うのは17時なのです。学校は16時前にはとうに終わっています。稽古中もじゃれあいながら10分でできる稽古に30分かかり、気が遠くなるような稽古内容でした。対抗勢力を作るどころか母校へのホームシックにかかりました。
15人の部員のうち私に指導を願い出た一名のみ申し訳なさそうに来て「今日は体調が悪いので帰らせてください」と、参加者0で稽古自体中止ということもありました。公園までいき連れて帰るところから始まり、3か月で初勝利を得る頃には15名いた部員は7人になりました。半年後、3年生最後の都大会出場のかかったブロック大会。なんとか都大会出場決定戦にまで駒を進めるも、大将戦でリードしていたスコアをひっくり返されてしまいました。皮肉にも大将のみ個人での都大会初出場となりました。その後3年で安定感のある地区でも優勝候補の一角というポジションにまで到達することができましたが、生徒数の減少によりチームとしては組めない状況になりました。今年剣道専門の教員が入ったと聞きましたのでまた再興を願うところです。
このようにいかに「自律心」といえどもその向上心の範囲は人それぞれで、指導者の目指すものとは温度差があるものです。生徒同士のモチベーションに関しても同じです。やはりそこは指導者が現状をよく見極めたうえ、向上心を喚起し、自らも手本を示すことも大切です。上記の公立中の場合にも、私も生徒と一緒に区の大会に出場していました。意気込みのあまり一回戦負けの憂き目を見ることもあれば、優勝することもありました。保護者からも「剣道の先生も自ら面をつけて稽古するのかと思った」とか「気迫に感動しました。子供もあの先生みたいな剣道をしたいと言っている」というような感想をいただくこともあり、指導者が自ら面をつけてチャレンジする姿を見せることは勝ち負けに関わらず生徒にとっては良い影響を与えるようです。指導者の側としても「いかにして生徒に向上心を持ってもらえるか」が課題となっています。
もうひとつは剣道をやる最上目標を、剣道の範囲のみにとどめずに「自分の将来の人物像」につなげて考えさせることも必要と考えています。「自分が将来何をしたくて、どのような人物になりたいか」そのためには今何をしたらよいのか?剣道を通してどのように成長したいのか?を考えます。「剣道を”終着点”ではなく”手段”とかんがえるということ」です。
現状生徒に委ねれば次第に「ゆるさ」が出てくる。指導者がテコ入れをすればこちらに依存する。という一進一退というところでしょうか。課題は山積ですが、ところどころに成長は見られます。個別の成長はあるのですがチームとしての成長にはなかなか時間がかかりそうです。この成果が今後どのように現れるか、浮上するか沈没するか、見守っていただければ幸いです。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
先日、日曜日に行っている部内戦に小学生数名が参加しました。都内でも有数なチームで今年の男子チームメンバーは全員6年生。剣道は基本がしっかりしていて全国でも上位を目指せる実力でした。
まず、打つ前の構えもよく、中心から入ること、足を使って先を取ることなど、こちらの中高生よりもしっかりした剣道を見せてくれました。5対5の対抗戦ではじめは本剣道部の中学生のにならず高校生も抜かれ、翻弄されてしまうほどです。後半戦ではなんとかある程度持ち直しましたが、経験豊富な選手でないと対処は難しかったです。
まず、小学生と中・高生が試合をする場合に気を付けなければならないことは「胴」です。小学生から見れば中高生の構えが崩れていなくてもがら空きに近いので、ほんの少し浮いたところを一瞬で決めてしまいます。気が付いた時には軽く抜かれてしまいます。竹刀は細く短い上、小学生といえども全国レベルだとパワーも十分で、つまようじを振るかのように振りが早いです。胴を抜かれればいい音が出ます。
もう一つ気を付けるべきポイントは「近間からの面」です。中高生は近間に来ると鍔ぜりに入りますが、小学生は近間や鍔ぜりのルールがほとんどないので自由に打ち込んできます。上記のようにとにかく軽いのでこちらの竹刀をかいくぐって当てられてしまうのです。そして小回りがきくので足で運んで上手に一本に仕上げてきます。つまり小学生から見ると、中高生にとって機会ではないところもすべて狙われているというところでしょうか。
ところが私たち5・6段以上の指導者であれば小学生の中心を取り、わずかに先をかけ、リーチを生かして出鼻の面を合わせればさすがに小学生に押されることはなく、その後は小学生の足が止まったり、我攻めに仕掛けてきたところを返すこともできるので自由にこなすことができます。小学生の命綱である「足さばき」を封じてしまうのです。熟練した小学生は勘がよく、間合いに敏感なので無形の攻めに対して反応があり、逆に初心者は意外に遣いにくいものです。
中高生といえども私たち大人と同じような体格になってきており、それでもいいように翻弄されてしまうのは以下の点が身についていないからです。
1 「先」をとれない
2 「溜め」がない
3 「中心からの裁き」ができない
中高生の剣道は競技中心となり連続の打ち合い、防御中心です。竹刀の扱い方は上手ですが「攻め・溜め」という動作に表れにくい相手の心に響かせる技術が未熟です。小学生は対格差が大きく、大人とも十分に稽古しているので面を打つのもうまく、間合いを図り相手の「出先(出てくる先のポイント)」に合わせた「空気面」のような形で打つことで身長差を補います。また入りから変化までのパターンの動きを稽古通り迷わず行うのが上手です。なによりも「信じる力」が強いので思い切りがいいです。小手や胴は的が小さく面を狙われるのは慣れており、どのようにでも対応できます。体が小さいだけで出鼻・応じ・引き技もこなせる小学生というのはかなりの難敵と言えます。これを抑えるには「打つ前」のアプローチが大切です。
全国レベルの小学生との試合は、中高生にとっては、足りない面を自覚するよい機会かと思います。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
私は小中高と剣道を続けて、大学でも少しやって、社会人としては中野区にある盈進義塾興武館という道場で稽古・少年指導をして剣道歴は33年になります。同時に学生時代から雑誌や本に挿絵を描く「イラストレーター」という仕事も続けています。
「剣道の先生なのにイラストレーターっていうのはどうも一致しないものだね」
とよく言われます。
ところがそうでもないのです。イラストレーションの先生である故・安西水丸先生も子供の頃は千葉県の千倉という港町のお寺の住職から剣道と書道を習っていたといいますし、興武館で剣道を教わった故・安藤宏三先生も「君は実際に絵を描いているが私は剣道の稽古を絵を描くようなつもりでやっているのだと思う」とおっしゃいました。つまり一つ一つの稽古を「デザイン」されているような感覚なのだと思います。
「アート・絵画」はあくまで自分自身とのみ向き合うもの、または自分自身のルールで発信していくものですから伝わらなくてもよいですし、そもそも意味さえ持たない場合もあります。「描く行為そのもの」が目的なのです。
「イラストレーション」の場合は「何かを伝えるため・目的のため」に描くものなので必ず伝えるべき「相手」がいます。「あれはこんな感じだったのだよ」という伝達と結果を伴うものなのです。「目的のための手段として描く」ということです。
剣道には必ず相手がいて、「一本を取る」という目的を果たすために技を出して「そこに隙があったよ」と相手に伝えます。そして相手はもちろん、観客や審判が「感動するような一本」を最上目標とするか、または「あくまでルール上の一本が取れればよい」ということもあります。「一本という目的に対するアプローチは多様で自由」なので、道場・学校により、または選手・剣道家それぞれが独特の「剣風」というものを持っています。そして試合や稽古ではお互いのスタイルで「一本を求めあうという表現」をするわけです。
これは安藤先生のいう「絵を描くのと同じ気持ち」につながるのではないでしょうか。
「一本を取る過程を自由にデザインする(=絵を描く)」
ということです。
しかしこのようなことはなかなか難しく、相手がいることですから「これとこれができればいい」というものではありません。技や体力、経験値、それに言葉にできない「感覚」が必要です。指導的側面からみると「感覚」は先生が生徒にはっきりと伝えて習得させることはできず、個人の感性をいかした選択肢を増やしてあげることまでしかできません。または「私はこういうつもりでやっている」とか「あの先生・選手はこんな気持ちでやっていると話された」というような話を伝えるくらいのものです。
「剣道」も「イラストレーション」も、絶え間ない稽古が必要ですが「目的を目指して表現する」「感性を磨くことが大切」という部分がとても似ていて、私にとっては切っても切り離せない大切なものだと思っています。
*以下のイラストレーションは「西荻窪を描く」という取り組みです。12月8日~座・高円寺にて個展を行います。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
試合ができない状況が続いています。
一か月、三か月、半年とこのような状況が続きますと以下のようなデメリットがあります。学校部活動・剣道同好会・町道場への影響も大きいです。特にこれまで試合に比重を置いていた取り組みに関して与える負の影響は計り知れません。
〇選手のモチベーションダウン→剣道自体への意欲低下・部員・会員減少
〇試合勘の低下
〇他校・道場との情報共有・交流の減少→孤立化
〇自校のアピールの場の減少→次年度以降の募集・スカウトに影響
どんなに「勝利至上主義に陥らない」と指標を掲げても、やはり「試合」で得るものは大きいです。このような状況でも負けずに先を見つめて努力を続けている部活動もあるかとは思いますが、私たち新渡戸文化中学高等学校剣道部におきましても実際に様々な弊害があります。
部内戦を行うなどできうる限り試合稽古を行い補填していますが、やはり実地の試合や練成会とは違います。小手先の対応ではなく、何か根本からこの状況下でも成長できる方法はないだろうかと思案し、悩みました。
そこで私たちがたどり着いたひとつの方向性は、指導者の経験に基づいて合理的に組み立ててきた
「指導を捨てる」
ということです。もちろん「技術的「精神的」「戦略的」な指導は放棄するわけではなくこれまでと変わりません。「指導の順序を変えていく」ということに近いかもしれません。
その取り組みの軸となるのが「生徒主体=自律心」による稽古計画です。
従来の指導は
①年間スケジュールに応じ「年間・月間・週間」指導計画を設定
②計画に基づいた指導を遂行
③試合・練成会等による反省点の修正
④本戦に向けた調整
*すべて指導者の判断
今新渡戸文化中学高等学校が取り組んでいる新たな取り組みは
①生徒の「剣道を通してこうありたいという最上目標」(中学3年間、高校3年間、将来・社会に出て)を設定
②チーム(中高男女別)による目標に近づくための稽古内容の組み立て
③組み立てた内容での稽古→検証→修正
基本的には②と③の繰り返しになります。
④指導者は生徒プランの稽古に参加
→時には指導者によるポイントに応じた全体への指導稽古、生徒プランへのアドバイス・修正が入ります。ここは妥協の無い要求がなされますし、個人別の指導稽古もあります。
⑤生徒メニュー不足分の稽古を補填
これはやはり「追い込み」「かかり稽古」中心となります。基本はこれらで足腰の力、地力をつけておくことは指導者の最低限の責任です。
④⑤は指導者によるものですが、平日の稽古は精査の上生徒案を採用、週末は相談の上指導者による指導稽古となります。また月二回は部内戦を行いますが、外部からの参加も人数制限を設けて受け入れています*ご希望の方はご連絡ください
次に重要なのが稽古の振り返りです。ここで重要なことが「sns」「ipad」などの活用です。剣道の稽古はアナログなものですが、近年ではwebや動画による研究も進み、剣道掲示板のはしりともいえる「いちに会掲示板」やYouTube「レッツ・剣道」は知らない剣道家はいないというほど有名です。
新渡戸文化中学高等学校剣道部では動画撮影をし振り返りに利用しています。また指導者が個別に動画をチェックし、新たに編集して個別の生徒ごとに指導動画を作成するという手の込んだことまで行っています。教員用・生徒用含めて撮影可能なipadは数台あり、部内戦・地稽古など全て撮影可能です。SNS上には連絡用と自由な情報交換・指導用のサイトが二つあり、ここに個別の指導動画やおすすめユーチューブ動画などもあげられるようにし、保護者も参加しています。
以上のような取り組みの中で、本部活動では男女・学年上下に関わらず「お互いが先生」という認識を持ってアドバイスや指摘をするという関係性が自然とできつつあります。また、片付けや掃除も基本的には後輩が行いますが、先輩が気づけばそのままやってしまうこともよくあります。「誰がやらなければならない・こうしなければならない」ということ以上に「先輩がやってくれている、私たちもやらなければ」と思うことも大切だからです。指導者としては先輩から後輩に対して「こうしなければいけない」と一方的に決めてしまうのではないように話をしています。「誰かにそうあってほしいということは、まずは自分が手本を示し、後輩が見習うようにする」ということです。剣道家は基本的には「個人」です。年齢も性別も分け隔てなく、竹刀を交えれば自由に打ち込んで良いのです。志を持って剣道の道に入った者同士が毎日対等に稽古できることこそがかけがえのないものだと思います。
本剣道部では生徒、保護者、指導者、外部参加者がお互いに対等に稽古できる環境・雰囲気作りをしています。「先生・先輩が相手でも自由に一本を取りに行くこと。遠慮をしたり、顔色をうかがう必要なし、ただしこちらも自由に遣うようにする」ということを大切にしています。長くお世話になっている興武館館長の小沢博先生は「剣道は口でするものではない」と言い、稽古を止めて口頭で指導することはなく、癖のある剣士にも真っ向から稽古をつけられた上「(たとえ難剣・癖剣であろうと)それも剣道」と認めておられる姿勢にこそ剣道の本質を感じています。
以上のような気持ちで剣道部を運営していく中で、いかなる事態においても剣道の価値を求められる環境づくりをしながらモチベーション維持に努めてまいります。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
緊急事態宣言以降の剣道稽古報告
〇4月~5月、ipadによる在宅学習に合わせてzoomによるミーティング・各自課題・自宅稽古の情報交換など。指導動画公開など。
〇6月解除後、全日本剣道連盟推奨マスク着用、発声なしでのすり足素振りによる稽古
→全日本剣道連盟よりガイドライン制定(リンクはこちらから)、これに従い「フェイスガード・面マスク併用」にて対人稽古を段階的に開始
〇7月以降、段階的に踏み込みによる打ち込みを開始。
〇8月以降、面をつけての通常に近い稽古再開
【検温】
自宅で体調不良や微弱でも熱のあるものは自己判断で稽古を休み、登校時も検温。無理をすることなく行っています。
【換気】
換気のため窓を開けての稽古ですので夏は熱風のような外気が流れ込みましたが幸い本校の空調のおかげで稽古はおおむね快適に行うことができました。
【消毒】
剣道ではすべて自分の用具を使用するため共用物に触れることはほとんどありませんが、手洗いうがいの励行で清潔に行っています。また、剣道は稽古前掃除を行う習慣が元々あります。
【熱中症】
マスク着用などの影響で危惧されていますが空調もあり、こまめに休憩を取ったため生徒からも特にマスクの苦しさなどを訴える者はありませんでしたが、通常の夏稽古同様途中気分が悪くなった者はすぐに休息・中止させました。おおむね大事に至らず翌日からは元気に稽古に参加しています。
【面マスク】
通気性が良いスポーツ用のため苦しさはほとんど感じません。また、鼻を出してよいことにしていますが皆鼻を隠しています(私は出していますが)。私自身も着用して稽古している中特に問題はないように思います。
【フェイスガード】
当初曇りや息苦しいのではないかなど危惧されましたが特に違和感なく稽古できています。
【まとめ】
マスクをつけた生活の成果か、私も含めて生徒たちも例年より風邪や体調不良者が少ないように思います。こまめな休憩・時短により全体の稽古量は減っていますが内容を工夫することで対応、現在は短時間集中型でフィジカル面ももとに近い感じでよくなってきています。
問題は試合ができないこと、稽古時間の問題でしょうか。この点に関しましてモチベーション維持や稽古へのアプローチ方法を研究中です。*今後ブログ内で紹介します
また、基礎疾患を持つ生徒は医師との相談の上稽古参加に制限があり、本人のやる気があるため我慢せねばならず、かわいそうなところです。状況の好転が望まれます。
新渡戸文化中学高等学校 目黒雅也
コロナ禍直前までの試合実績です。すでに半年以上経過してしまいましたが、部内戦等で試合勘が落ちないようにしています。
【2020年・11月~2月・試合実績】
11月 東京都中体連秋季剣道大会・三位(中学女子)
1月 所沢市長旗剣道大会・準優勝(中学女子)
1月 所沢市長旗剣道大会・ベスト16(中学男子)
2月 関東少年剣道錬成大会・ベスト16(中学女子)
2月 第一回新渡戸杯争奪剣道大会・準優勝(中学女子)
2月 第一回新渡戸杯争奪剣道大会・三位(高校女子)
2月 第一回新渡戸杯争奪剣道大会・三位(中学男子)
2月 第一回新渡戸杯争奪剣道大会・優勝(男女個人)
東京都中体連秋季剣道大会3位・所沢市長旗剣道大会準優勝は特に素晴らしい成果でした。入賞したチームの選手だけではなく中高部員全員で協力した普段の努力の成果だと思います。皆の頑張りに感謝です。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
剣道における重要なポイントの一つに「先を取る」「先をかける」ということがあります。
しかし、相手にも備えがあり、一度先をかけただけで簡単に引っかかってはくれません。構えを崩さぬよう、足を使い、容易には隙を見せてはくれません。
そこで小学生・中学生・高校生共通して大事なポイントは、「打突を放った直後の先」です。打突後は、誰でも「1本を完結させること」「打った後の相手への備え=残心をとる=完結」を意識するため、一瞬隙が生じやすい状態になります。誰でも剣道を始めたとき、はじめに打突後「残心を取る」ことを指導されます。残心を取った時点で身構えが整い、「残心を取るということ自体」で完結してしまうことが多くあります。
これは形だけのものではなく、「実効力のある攻め」になっているかいないかが大切です。「残身=ゴール」ではなく「残身=先を取る=スタート」という意識があれば、形だけの残心にならず、自分のペースを作りやすくなります。
よって技を放った、すぐ次の瞬間を「攻める」「打つ」ことを意識した連続性のある稽古法は重要です。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
新渡戸文化中学高等学校剣道部では、剣道以外の「生活・活動」における「リスク回避ルール」を設けています。以下はその一部(実際に生徒に周知する本文は細部まで詳細に記されています)になります。
昨今はSNSの普及から誤った使用法による人間関係のトラブルが増えており、しかし大体のことは剣道に照らし合わせて注意喚起することができます。このように文章化してみますと、かなり自分自身が出来ておらず、日頃から「驚・懼・疑・惑」に囚われ、焦り、急ぎ、落ち着きなく物事にあたっていることを痛感します。まだまだ修行が足りていません。ともあれ以下のようなおおまかな指針のみ公開し、自らの戒めにしたいと思います。
立ち合いは正々堂々と
何事も人に頼らず、甘えずに、自分の言葉で伝えよう。間に人が入ったり、SNSを通して伝わるように仕向けると、必ず誤解や争いに繋がります。剣道同様あれこれこねて勝うよりも、真っすぐに納得のいく一本を。
人との「間合い」を大切に
「間合い」とは剣道に限られるものではありません。「人との関わり方」という意味でもとても大切なことです。誰かと友達になったり、嫌いになったり、好きになることは誰にでもあることですが、それも「間合い」を近づけすぎてしまうと「恨み」「つらみ」に繋がってしまうしまうこともあります。まず第一にはなるべく「利害関係」を作らず、「個人対個人」としての繋がりを大切にすることです。これは相手を尊重することでもあります。
相手の打ち込みは「受けずに」「さばく」
トラブル・不安・不満は抱え込まず、早期解決を。相手の打ち込みを受け続けていれば状況は打開しにくくなり、剣道の四戒「驚・懼・疑・惑」が生じます。そうなれば些細な「攻め」にも崩されます。トラブルを抱え込んだり、隠していればその「悪いもの」が自分自身の中でどんどん燃え広がってしまいます。さらには他のトラブルも招き、取り返しのつかないことになるのです。どんなに些細なトラブルの種でも、可能な限りは避けて「さばく」また避けきれなければ信頼できる先輩や指導者に報告・相談しましょう。
剣先を利かせ、「溜め」をつくれ
剣士ならば常に神経を繊細に働かせて周囲の動きを敏感に感じ取り、柔軟に対応できるようになりましょう。自分の欲求や、願望に対して素直なことは悪いことではないのですが、「無防備」ではだめです。魚釣りですぐに餌に食らいつく貪欲な「ダボハゼ」のようではいけません。目の前にチャンスや、逆に危機が迫った時こそ剣先を利かせて「溜め」をつくりましょう。大事なことこそ間合いを取って一回深呼吸をしてから判断しよう。そこには思わぬ落とし穴があるかもしれません。相手は出小手や返し胴をねらっています。
姿勢を正して「遠山の目付け」で
何事も一点を見つめていては視野が狭くなり、相手の術中にはまりやすくなるのみです。一つのことに囚われず「遠山の目付」で相手の全身の気配までみえるように。そのためには自分自身の姿勢が整っているか、これは「自分自身の言動に責任を持ち、正しくする」ということができていなければなりません。「悪いもの」は必ず「あなたにとって良さそうな、得をしそうな」顔をして向こうからやってきます。ところが世の中には楽をして得だけするという物事は一切転がってはいません。一見隙だらけでがら空きの相手の打突部位に対して気安く打ち込めば必ず手痛い返し技を食らいます。剣士たるもの「遠山の目付」でその先にあるものにまで目を光らせて
個人戦は延長後から
「何事もじっくりと、時間をかけて」いきましょう。たった一本を取ることも何十、何百という打突を出し、長ければ数十分もの時間がかかります。しかし、勝ち上がれば強敵が待ち受けている分、勝てば得るものは大きくなりますが、序盤にも巧者は潜んでいます。たった一つの落とし穴で試合終了なのです。
いつでも「技」を出せる構えで
相手の言いたいことをよく理解し、穏やかな口調で「対話力」を大切に。一方的に押し付けず、相手に響く言葉を選ぶこと。いつでも問われたことに対して誠意をもって適切応えていくことが不要な行き違いや誤解を受けず、トラブルを避ける秘訣です。そのためにはたくさんの「言葉」を知り、使い方を学ぶこと。剣道の「技」の引き出しが無ければ、柔軟な構えは維持できません。
以上、気を付けていきたいものです。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
剣道の稽古法は膨大な為、試合に強くするためには指導者が合理的に整理して伝えていくことが重要ですし、その指導法がチームカラーに現れています。
ただしそこで習い覚えた技術論は道場・学校によって異なり、試合では統一された基準で判断されます。試合会場では「異なる流派」が戦うようなもので、お互いの「狙いどころ」「打ち方」も違います。審判はこれらを総合的に共通の基準に照らし合わせてみているということです。
新渡戸文化中学高等学校剣道部では、抑えるべき基本は概ね統一していますし、基本的には「地力」「気迫」が一番大切と考えています。
そのうえでそれぞれのチーム・選手によって「一本へのアプローチの多様性」を認めています。また、技術論に関しての見解も生徒間で繰り返しミーティングを開くようにしアドバイスを与えながらも尊重しています。高校生はまだいいですが、中学生は特に技術的に偏ったり、統一感なく結果が見えにくいこともよくあります。
それでも時間をかけて考えさせて試行錯誤の繰り返しを重ねることをいとわず稽古しています。それは「自律した判断力」を養うためです。選手たちは毎回異なる相手と異なる審判を相手に表現する必要があるからです。その場の空気間に順応し、現場で判断できる選手たちを育てたいと思っています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
面をとらえた瞬間は、どのような水準の選手でも大体かっこよく相手の面に竹刀が伸びています。
剣道では、一本を取った場合の瞬間的な挙動は竹刀を用いることによってある程度一定の理想形が導かれると思います。部位を打った瞬間の写真は小学生から全日本選手権者まですべて美しい円弧を描きます。よって選手の能力やセンス・練度による違いは打突を発する前と後にある「過程」が「特性・個性」として際立ってきます。
中学生の剣道の場合、小学生以上に打ち込みの強度が求められますが、この画像のようにしっかりと部位をとらえ、なおかつ相手の姿勢が崩れていれば一本となります。高校の場合はこれに加えて打つ前と後の「理合い」「気勢」を強く求められます。高校生の場合、大人以上の体格・筋力でも大人の使用する39の竹刀ではなく38の竹刀を使用するため「当てる」技術が非常に高度です。大人の熟達者でも部位に当てるだけならあっという間にとらえられてしまうでしょう。
剣道が単なる「当てっこ」の技術を競うものにならないようにルールや一本の基準が精査されているのはそのためです。そしてその基準をクリアする打突を決めた場合、打たれた相手も、審判も「感動」をもってその一本を受け入れています。
新渡戸文化中学高等学校でも、常にこの「一本の基準」というものの一歩上をいく「感動できる」打突を求めて研鑽を続けています。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
新渡戸文化学園初代校長・新渡戸稲造先生の著書「武士道」。これは日本の侍が重んじた「精神的・文化的」な価値観・人生観を、世界の人々に伝える為に書かれたものです。そこで書かれている「義・勇・仁・礼・信・誠・名誉」の意味を要約し「新渡戸文化学園の剣道」として稽古・生活における根幹となる「心がまえ」としています。
「自律型稽古法」による生徒たち自ら考えて稽古をするという「自律心の育成」の取り組みの上で、その基礎となる指針は必要です。「武士道」を読み解き、剣道修行に置き換えたものを以下のように記しました。ただし、将来的には生徒たち自らが再度様々解釈をし、これを改定していくこともあるかと思います。
はじめに「武士道」に記されている言葉の解釈を簡易的に訳したものを記載し[剣道・生活において](・~の部分)は具体的にどのようなものが該当するのかをまとめたものです。
「約束を守る・嘘をつかない・誠意をもつ」というような厳格で根本的な正義
*あいまいな義務を意味する「義理」という言葉とは異なる=「友人との義理があるから(本当は悪いことを)仕方なくやった」「義理があるから付き合いでやった」などという言い訳・詭弁に使われることがあるから。
[剣道・生活において]
●人としての道理を知る
●生活上のルールを知る
●剣道の理合を知る
「義」に従い、真の機会を逃さず決断・行動すること
*ただ単に危険を冒し突撃するというようなことは「匹夫の勇」(下等な勇気)となり、容易・安易なことであり本質とは違う。
●決心し行動・体現する
●伝えるべきことを発する
●打つべき機会に捨て切る
●勝負に出るべきか否かを決断する
他者(主に弱者・敗者)を優しくいたわる心
*このような心は「武道」の側面だけでなく、日本では音楽・文学などの芸術のたしなみによっても育てられてきた。
●小中高が互いに交流する環境=上級者が手本を示して下級生はそれを目標とする
●チームメイトを大事にする
●稽古・試合の相手への態度
他者に謙譲や丁重の心をもって接するという、社交的に最も高度な態度のひとつ
*安易で形式的なものではなく、自らが厳しい修練に耐えて身に着けられる内面的な強さに根ざした思いやり深い感情表現
●話を聞く態度
●挨拶・返事
●言葉遣い
●物や設備を大切にする
●家族や支援者・友人・チームメイト・先生への感謝
偽りがなく、真実を重んじて正直であること
「誠」の無い「礼」は、単なる形式的で中身のないものになる。
例)「武士の一言」・「武士に二言なし」=証書なしで言葉のみの約束を果たすこと
●正直
●自分に厳しく
●約束を守る
●時間を守る
●より良くする為の提言をする
●損得を抜きにして大切なことを見極める
富や知識ではない人格の高さへの誇り
「羞恥心」(恥を知る心)を持ち、志を高くすること美徳とした価値観。
●正しい勝負をする
●美しい剣道を心がける
●剣道に誇りを持つ
●自分の生き様に誇りを持つ
●美しい姿勢で行動する
●差別をしない
「知識のみではなく実践を重んずる態度」(「武士道」新渡戸稲造 より)を指導者自らが示す。
●自ら稽古に励んで研究・鍛錬を怠らず、常に手本を示す
●生徒に対するときは親心を持ち、過ちに対しては感情的に「怒る」のではなく理性的に「叱る」(=諭す)
●押しつけず、生徒が考える余地を与え、「結果」同様に「過程」を見つめる
●勝利至上主義に陥らない
●事故や怪我の予防に努める
●正しい剣道を志し、伝えていく努力をする
●初心者、運動の苦手な者、体の弱い者の「剣道をやりたい」という意欲を正しく受け止め、熟練者同様大切に指導する
●基礎的な礼儀作法(話を聞く態度・挨拶・返事・言葉遣い・時間を守る・物を大切に扱う・人に思いやりを)を学ぶ
●基礎体力づくり(主に体幹・足腰)
●基礎的な「構え・素振り・打ち込み(全身運動で刃筋正しく行う)」
●自律心の芽生えに対する支援(やりたい稽古法を尊重・指導)
●「一本の五つの過程」を学ぶ
1打つ前の気攻め(発声・気迫)
2剣攻め(間合いの詰め・中心の制圧)
3打突(刃筋正しく・物打ちで打つ・充分な強度で打つ)
4打ち攻め(=打ち切り・気勢・送り足・姿勢)
5残心(次の攻め・居着かない)
●発展した打ち込み(攻め・仕掛けを伴う。又は引き技)
●技(出鼻技、応じ技、引き技、連続技)を学ぶ
●気迫・勢いの充実
●自律型稽古法の実践(技術的・精神的向上を目的とする)
●機会・崩しを意識した高度な打ち込み
●「溜め」「無形の攻め」による攻防
●複合的・連続的な技の習得
●相互又は後輩への的確な指導・アドバイスによる分析能力の習得
●自主的な稽古プランの開発
●戦略的な試合運びの研究
●上記に繋がる準備、トレーニングなど、より高度な計画性の研鑽
●自律型稽古法の発展した実践(戦略的・長期的目標達成を目的とする)
●剣道の修行の段階をよく自覚し、一つ一つの動作の意味を理解して稽古すること
●全体稽古で習得しきれないものこそ大事と考え自主的に稽古すること
●初・中・上の段階に囚われず時には先の段階に進み、時には前の段階へ立ち返ること
●一つ一つの事柄がお互いに円のように関係しあっているから、バランスが大切であり、どれかだけを習得すれば良いということではない
●この指針は主に「守・破・離」の「守」の段階である
●「守」の次の段階として「自律」としての「破」「離」がある
●上記の大前提を理解した上で「守」「破」「離」の基準は各自の中にアレンジし目標としても良い。「破」を求めて行き詰まり、「守」に戻るというような
●「自律心」を養い、実践する経験を積み、個人・チームとしても自ら考えて行動する
●「守・破・離」といえども大部分は根幹の「守」が大切と考えます。ある達人は50歳までが基本だと言っています。どれほどやり過ぎても極めきれないほど「守」は膨大なものと考え、いつでも基本へ立ち返る気持ちが大切
●剣道の極意の大部分が「守」にあるとして、「破」を超えて「離」は無意識のうちにある第六感のようなものだと思う。それはある瞬間にふっと実践できることもあるような「その人にしか無しえない技」だと思う
以上
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
夏の締めくくりとなる8月最終週、終日集中稽古までは「自律型稽古法」で中高男子、中学女子、高校女子に分けて稽古をしています。
それぞれ課題が異なりますが、夏場はその課題をあぶり出し、自覚していきながら具体的に稽古を進めています。
【男子】中高15名前後
●稼働範囲を大きく使う素振り
●正しい足捌きと重心の移動
●突き抜ける打ち込み、打ち攻め
じっくりと地力をつける基本重視です。経験値の高い高校生の一部は「盈進義塾興武館」で摺り足による基本・技の稽古を通して一般の稽古を学んでいます。スピード・パワーのみを求めず、「見切り」「柔軟性」「胆力」を身につけたいところです。
【高校女子】5名前後
●打つ前の充実、攻めと溜めの意識
●近間に強い軸を意識した挙動と連続性
●確実に決めるという決定力の強化
●状況を想定した決め方の研究
中学から、外部から経験豊富な選手が揃い始め、一年生中心でこれから都内上位を狙います。一本打ちにとどまらず連続性を持たせ、咄嗟に出てしまった技を完結させて決めるワンチャンスを逃さない決定力を強化しています。
【中学女子】8名前後
●一人一人が自覚を持ち積極的に行動する
●状況判断で変化する多様性
●多彩な技を習得しどこからでも一本を狙う
●打ち切り、打ち攻めの突破力
都大会上位から優勝争いへ挑むべくチーム作りに取り組んでいます。一本の「打ち攻め」の強化、崩れない体制の維持など課題は沢山ありますが、個性を生かした「何をするか掴みにくいチーム」として勢いをつけていきます。
「夏休み集中稽古」
24日~28日は午前午後「集中稽古」です。コロナで初期的な指導が出来なかったものを補完します。ここでは主に基本動作・状況判断・ルール把握・戦略的思考の基礎を徹底します。その中で個別の自由度を持たせ、生徒達はオリジナルな技の技術・出し方を開発します。
*出稽古・体験対応可能です。
24日特別稽古①
【テーマ】
「段階に応じた正しい打ち込みの再確認・機会を生み出す方法」
【稽古予定】
〔午前〕切り返し総復習・様々な打ち込み(面)
〔午後〕様々な打ち込み(小手・胴)
【主な課題】
・素振り
・正しい切り返しの総復習
・正しい基本打ち込み
・「自分から機会を作る」しかけ技
(払い・抑え・担ぎ・巻き・二拍子・余し 他)
【主な内容】
素振り・切り返し
面の打ち込み
面のしかけ技
小手打ち・小手のしかけ技
胴打ち・胴のしかけ技
(中)復習・(高)突き・上段
地稽古
25日特別稽古②
【テーマ】
「引き技を自分のものにする・オリジナルな引き技を開発する」
【稽古予定】
〔午前〕引き技(小・面・胴)
〔午後〕引き技(崩し方)
【主な課題】
・正しいフォームで刃筋正しい引き技の基本
・自分から崩して打つ機会をつくる
・自分のアイデアによる引き技の出し方を研究
【主な内容】
基本・追い込み
面の引き技
小手・胴の引き技
試合での鍔迫りルール等
崩しての引き技
地稽古
26日集中稽古③
【テーマ】
「多彩な技を身に着ける・必ず一本になる得意技を身に着ける」
【稽古予定】
〔午前〕基本的な技(出鼻技・応じ技)
〔午後〕高度な技(出鼻技・応じ技)
*刃筋・正確さ・強度・決め方を正しく行う
【主な課題】
・出鼻面 出鼻小手
・面に対する応じ技(抜き技、すり上げ技・返し技)
・小手に対する応じ技(抜き技、返し技)
【主な内容】
基本・追い込み
出鼻技
面に対する応じ技
小手に対する応じ技
地稽古
27日集中稽古④
【テーマ】
「技を繋げる動き・あらゆる状況に応じた決定力の錬成」
【稽古予定】
〔午前〕技連続・パターン
〔午後〕技パターン・円陣試合
【主な課題】
・連続性を持たせ、あらゆる状況で技を出す
・パターンを設定し、一本で終わらない意識を持つ
・いつでも一本を狙えるバランス感覚を身に着ける
【主な内容】
基本・追い込み
対面連続技
引き技パターン
追い込みパターン
技復習
円陣試合
地稽古
28日集中稽古⑤
【テーマ】
「実戦における戦略的な判断力の錬成」
【稽古予定】
〔午前〕総復習・試合稽古
〔午後〕総復習・試合稽古
【主な課題】
・個々の能力・特性に応じた試合スタイルの開発
・チームの共通認識の共有
・ミスをなくす*試合におけるミスとは何か
【主な内容】
基本打ち・復習
しかけ技打ち込み・総復習
試合稽古
地稽古
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「自律心」を用いた夏稽古
夏の稽古といえばチーム総仕上げの合宿・錬成会で3年生最後の関東・全国大会への調整や、その後の新チームが始動し限界に挑戦するような荒稽古を行うのが常となります。
ところが前代未聞のコロナ禍により大会は中止、ほとんどの地域で全く試合はできない状況です。私たち新渡戸文化学園剣道部は、2月下旬からは稽古無しとなっていた為、早々にSNSによるチーム(中高男子・高校女子・中学女子)毎のミーティングやSNSによる情報共有・個別トレーニングで凌いで来ました。6月から段階的に再開、夏稽古からようやく普段に近い稽古となっています。このような流れを本気でチャンスとする為に、私たちは学園方針でもある「自律型稽古法」を取り入れています。
つまり自己判断による稽古スケジュール管理を生徒自らが行うものです。事前に細かな指摘を繰り返し、生徒たちの組んだ内容は次第に的を得るようになります。頭の中に叩き込み柔軟に実行するチームや、ホワイトボードに書き込み正確な配分で行うチームもあります。またリーダーが一つ一つ説明し現場状況優先も。果たしてどの方法が功を奏すのか。このような方法は時間がかかり、手間取るのは間違いありません。側から見ていると口出しをしたくなることもしばしばです。私たち指導者が指示を出した方が実際にはスムーズです。しかし直ちに試合を控えていない今こそ生徒が自ら目的を設定する良い機会と考えました。時間がかかっても、習い覚えたことよりも自ら求めて得たものは必ず大きな助けとなります。コロナ休止中を経て、生徒たちの身体がひと回り大きくなっています。夏稽古前半には基本を徹底したため力もつきました。
「自律心」を育てるために不可欠なことは「生徒を信頼すること」ですが、やはり皆で稽古をする楽しさ・嬉しさが勝りスイッチのオンオフが曖昧になったり、稽古スケジュールを気にするあまりにスケジュール調整にばかり気が向くこともあります。その場合にはこちらもただ眺めている訳ではなくはっきりと客観的な感想を伝えます。自分たちの考えを通すには、説得力も必要です。「自律」とは、「手放しの自由」ではなく厳しさも伴うものだからです。
やはり剣道の稽古は、竹刀から気迫が飛び出していないとだめですね。それがレーザービームか、炎か、嵐か、輪っかなのか。これを自分たちでデザインするのが「自律」です。竹刀の先から「そよ風」が吹いているようでは勝負になりません。
生徒たちは今週いっぱい、来週の集中稽古が始まるまでは自分たちで試行錯誤の毎日となります。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
名人シェフ(以前私が剣道を教えていた生徒の保護者でもある)のビーフシチューを頂きながら、フライパンの話になりました。
「フライパンは綺麗なものとボコボコに歪んだ使い古されたものとでは、使い古されたフライパンがあると美味しそうに見えますねえ」と私。
するとシェフの答えは違いました。
「先生、実はフライパンを見たら料理人の腕が分かるんですよ」
「鍋の底がボコボコにへこんでいるのは素人です」
腕の力で上下に振り回してコンロにぶつけるから底がへこみ、上手は上手く鍋の柄を引いて使うのでコンロにぶつからず綺麗なフライパンなのだという。
「つまり剣道でいう"引き手"ですね!」
と私は言いました。引き手とは、竹刀を振り下ろす最後にわずかに左手を引いて剣先に「振れ」を加えて打ちを前に伸ばすことを言います。
料理人は両手で持ち上げるのも重たい大きなフライパンを片手で自在に使いこなさなければなりませんが、そこには武道と同じ原理に基づく共通の技があったというのです。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
面打ちの稽古というのは「大きく・小さく」「勢いつけて・その場から」「中心から・担いで」と技術的に分ければ数限りなくありますが、まずは基本の正しい打ち方を繰り返すことから始まります。この基本は概ね全国共通ですが、各道場・学校それぞれの稽古法は千差万別です。
これに加えて技術的なものだけでなく、「いつ打つのか?」ということも大切です。「中心を攻めて打つ」は基本ですが実際には相手も同じことを考えており、ちょっと勝負勘のよい相手に基本通り打てばたちまち技で返されてしまいます。相手はこちらが打つのを待っていると考えるのが普通です。
そこでこちらは「少し我慢」をして、溜めをつくります。「もういいか」「いや、まだ打つな」「そろそろ打てるか」「ちょっとまて相手は狙っている」という自分自身の中にある葛藤との戦いです。レベルが上がれば上がるほど、ほんの一瞬早過ぎても遅すぎてもダメ、一呼吸の差が勝負を分けます。高段者の立ち合い(試合・稽古)ほど無駄打ちが少なくなるのはこの為です。前記事に書きました名人シェフが「鍋に塩三粒を入れるかどうかで味を左右するから怖くてなかなか落とせない」という話と同じです。
最後は「直感」「勘」と、経験値による洞察力です。これまでの相手の動きのデータから「次はこう出てくる」という「読み」も大切です。
面打ちの稽古の時は打つ打たれるの役割が決まっていますが、バーチャルでもお互いにこのようなやりとりをイメージして打つことが大切です。
「まだ打つな、もう少し、まだ打つな」。小学生に教える場合など、具体的には3秒見て、又は3秒動いてから打つという感じです。「相手より速く打たなけばならないのに、慌ててはいけない。まだ、打つな」とは、難しい問いです。これは子供から大人まで、剣道をする人間にとり、常に隣り合わせの問題です。
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也
「アキレス腱断裂から剣道の先生へ」
興武館に出会い、週4回休まず稽古に熱中していました。
興武館は当時「日本一厳しい稽古」と言われ、世界や日本各地から出稽古に来る剣士が絶えず、一般剣士は打ち込み中心の稽古を1時間、その後地稽古、かかり稽古。トータル2時間以上、七・八段の先生方の指導のもと全力での稽古です。この頃の稽古量が、剣道を今まで続けて来られた基礎技術の礎となったかと感じています。
私はフリーイラストレーターだったので時間に余裕もあり、道場に入り浸って稽古前は打ち込み台を独占し、稽古後は道場の真ん中でお酒を頂きながら錚々たる先生方の話を聞いて過ごしました。入門以来15年くらいは私が年間参加日数1位だったと思います。二度とは経験できない本当に貴重な時間でした。
毎日楽しかったのですが、学生時代からのアキレス腱炎が悪化、ついに断裂してしまいました。当時24歳。通い始めて2年が経過して、一番身体が動いていたので痛恨の怪我でした。
アキレス腱を断裂したのは、2022年11月についに八段を合格された梶井先生にかかって振り返ったところ転倒。痛みはありませんでした。梶井先生は決して無理な受け方や後押しをされる方ではなく、私も普通に抜けただけでした。
立ち上がっていこうとしたら、左足の下に床がありません。実際には、断裂すると床を踏めなくなり、感覚がなくなります。普段の稽古後の方が痛かったので、既にいつ切れても仕方ない状態だったようです。
「医師の先生からは、1・2ヶ月くらい休めば治る炎症だった」
とのことなので、皆さん無理は禁物です。稽古中はアドレナリンが出て痛みを感じません。
ただちに小澤先生の車で私の家の近所にある荻窪病院に運んで頂きました。手術した後復帰は早く、約3ヶ月後から徐々に再開しました。
「少年指導を引き継いでくれないか?」
それから間も無く少年指導の話を頂きました。前任の先生は日体大出身で指導者として雑誌に特集される程上手な方です。2年間指導法を学びながら行い、やがて私1人となり「剣道の先生」人生が始まりました。
当時は選手3名。前任の先生からは
「子どもの分かりやすい言葉で、伝わりやすい方法を考えながら指導する。また、なかなか出来ない子どもにこそしっかり指導しよう」
という教えを頂き、これは現在でも変わりません。最後まで出来ない子ができるまで指導する。その姿を見て、子どもたちも一緒にお互いをかばい教え合うようになります。
興武館での少年指導は、新渡戸文化学園に正式に剣道指導者として着任するまでの間、約17年続け、3名が10名と少しずつ増えていき、現在は30名くらいになりました。
先日は東京都道場対抗一般の部で「先生!」と声をかけてくれた教え子がいて驚きました。彼は私の手を離れて地方から全国レベルで活躍、大学でもキャプテンを務めたとのことでした。
当時は試合参加も少なく基本重視の指導でしたから、それが基礎となったなら嬉しいことです。
2023年3月6日
新渡戸文化中学高等学校剣道部 目黒雅也