うららう
晴雨今昔、あなたと編む美。
TINA NISHIOKA
日除けや目隠しとして遥か昔から親しまれてきたすだれ。その優美な佇まいを現代でも身に着けやすく、親しみやすいジュエリーに仕立てました。
本コレクションは平安時代以降、公家の衣服にみられる色彩の美「襲色目(かさねいろめ)」に着想を得ており、すだれがもつ歴史の深みとともに、シンプルな上品さを感じていただけます。
「うららう」は麗らか(日が照ってのどかな様子)・潦潦(雨水が流れる様子)・らうらうじ(気品があって美しい)という、3つの言葉から生まれた造語です。
雨の日も晴れの日も、ひととジュエリーが共に美しくあれますように……という思いを込めたコレクションです。
日本家屋には欠かせない、日本の夏の風物詩のひとつ。すだれといえば、そんな印象を持つ方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
すだれは古来より日除けや間仕切りとして使用されてきた調度品です。
涼やかな雰囲気と幽玄さに満ち、自然と安心感を与えてくれるすだれですが、時代による建築様式の変化に揉まれて、いまや私たちの生活から姿を消しつつあります。
その事実に一抹の寂しさを覚えながら本プロジェクトに臨み、お話を伺う中で、私は特にすだれが持つ長い歴史と、井上スダレ様がこだわっておられる「透け」の美しさに感銘を受けました。
歴史の要素を盛り込みつつすだれの透けを活かす表現ができないかとリサーチを進める中、不意に開いた国語便覧で出会った「襲色目」にインスパイアされ、本コレクションを制作することに決めました。
見学の際に伺った「すだれに親しんでもらえるようなジュエリーを」のお言葉を受け、色合わせやかたちにこだわった「うららう」。
幅広い方に身に着けていただき、奥深いすだれの魅力を身近に感じていただける、そんなジュエリーとして楽しんでいただければ幸いです。