ボタンの花
ボタンの花
JUNLAN WANG
商品にすることができないB品としてお預かりしたボタンたちは、私にはどこに問題があるのかわからないほど美しい形。一度、ボタンの形に生まれた貝たちに新しい命の種を蒔くと、貝ボタンの花を咲かせることができました。花という普遍的な自然の形状や古くから続く形からインスピレーションを得てデザインし、想いを込めて一つ一つ手作業で彫刻を施した表情をお楽しみください。
Research
私たちはほぼ毎日ボタンのついた服を着ていますが、その素材については気に留めていることはないでしょう。私たちの身の回りの多くの服はプラスチックのボタンで、質のいいシャツや高額なブランド品には貝ボタンが多く用いられると、社長の伴井さんに伺いました。プラスチックのボタンがアクセサリーなら、この度ご協力いただいた貝ボタンは、まさしく「ジュエリー」だと感じました。
株式会社トモイ様は天然の貝を使って高品質の貝ボタンを生産されている、100年以上の歴史を持つ奈良県の企業です。今回はB品とされる貝ボタンを多くいただきましたが、私たち学生の目線ではどこに問題があるのかは全くわからないほど美しいものです。
貝ボタンのしなやかな色と光沢を拝見した時に、真っ先に西洋のカメオや、江戸時代から続く芝山象嵌のかわいい貝の花がイメージできました。歴史のある芸術作品を想起させるような趣のあるジュエリーを制作したいという想いから、貝ボタンの一つ一つ手作業で花の形彫刻を施しました。柔らかなクリーム色や貝特有の虹色のような色合い(干渉色)とシルバーやゴールドのコントラストで、衣服に取り付けることで成立する「ボタン」という存在が、花の宝石のように仕上がりました。生産者の方々のこだわりを持って作られている美しい貝ボタンで衣服の付属品以外のファッションアイテムとして多くの方に楽しんでいただきたいと思います。