新入生の皆さん、高知工科大学へのご入学を心からお祝い申し上げます。
まず、本学の歴史について簡単に紹介します。本学は1997年に入学定員400名の工科系単科大学として開学し、今年で28年目を迎えます。この間、より先端的な研究を推進するために開学3年目の早期に大学院修士課程・博士課程を設置しました。また、学問分野を拡張するために文科系の経済・マネジメント学群を新たな永国寺キャンパスに開設しました。そして今年度、デジタル社会を牽引できる人材の育成を目的として、入学定員60名の新しい学群、データ&イノベーション学群を開設しました。理工学群の入学定員10名増と合わせて本学の入学定員は590名となり、全国に100ある公立大学のなかで比較的規模の大きい大学に成長しました。
このように、本学はより良い姿を求め続けてきました。実は、この姿勢こそが、本学が掲げている目標「大学のあるべき姿を常に追求し、世界一流の大学を目指す」なのです。必要と思えばそれを実現するために周到に準備をして必ず実行するという高い機動力が大事で、皆さんにもこの機動力を本学在学中に是非とも身につけて欲しいと思っています。
次に、大学での学修について述べたいと思います。公式を丸暗記したり知識を単に覚えたりするような受け身の姿勢ではなく、まずその必要性を認識して自分の言葉で説明できるまで本質を理解し、そして利用するという積極的に学ぶ姿勢がとても大切です。そのためには、自分に適したカリキュラムを自分で立てて計画的に勉強することが重要で、これが大学での学修です。入学したのだから、あとは大学に任せておこう、ではなく、自分の進む方向について模索するなど、『自分の将来は自分で作る』という意識で取り組んでください。本学の教育組織である学群は、学科よりも大きいサイズですので、自身のカリキュラムを作る際の選択肢は多く、自由度は高くなっています。まさに、本学の教育制度の特長の一つである全科目選択制が効果的に機能するはずです。
最後に、最も大切な基礎力について述べたいと思います。昨今、少子高齢化、エネルギー不足、食料危機、過度な円安、紛争、気候変動など深刻な社会問題が国内だけでなく地球規模で発生しています。皆さんは、このような先行き不透明な時代を生きていかなければなりません。こうした状況下では、自分はどうすればよいのかと将来を不安視しがちで、自分の選択した進路が社会情勢の変化によって変更を余儀なくされるようなことがあるかもしれません。そのような場合に備えて、自分が立ち戻る所、または拠り所となる軸をしっかりと持っておくことが大事で、それが基礎力というものです。この力は一朝一夕には身につきません。普段から、目の前の課題に対して、ああでもない、こうでもないと思考を巡らせたり、多角的な視点で物事を捉えたりする習慣によって培われるものです。自分の目指す専門分野の学修を通して、小さな成功体験を一つずつ積み上げながら、自己肯定感を高めることで、確固たる基礎力を身につけてください。
本学には最先端の研究設備と一流の教授陣が揃っています。皆さんは自己実現のために、本学の設備や教員・職員を思う存分活用してください。
学長 蝶野 成臣