9月7日(日)12:30~15:15
会員による研究成果の発表や事例紹介を通じ、問題点や課題点を共有し、大学職員としての見識を高める場です。
当日お聞きになりたい研究発表・事例報告を、定期総会・研究集会参加申込みと同時にWebにてお申込みいただきます。発表時間帯と発表内容について、下記の一覧および次頁以降の発表概要をご確認の上、お申し込みください。同一時間帯に行われる発表は、ひとつしか申し込みできませんのでご注意願います。
なお、事前申込みは、あくまでも会場設営等の目処をたてるためですので、当日の変更は自由です。
一部内容に変更が発生する場合がありますので予めご了承ください。
また、方法は全てハイブリッドによる発表となりますので、対面、オンラインいずれかの方式でご参加ください。
研究・事例研究発表に関しては、事前申込とは別の発表を聴講することを認めております。発表によっては、対面参加であっても会場の収容定員の関係から対面での聴講が出来ない場合があります。その際は、対面参加の方であってもオンラインで聴講いただく可能性がありますので予めご了承ください。
なお、当日会場にはオンライン参加者専用の部屋(下記に記載)を設けますので、オンラインで聴講される方はそちらの教室をご利用ください。
現地会場は以下の「V」マークをクリックしてご確認ください。
オンライン参加専用教室:BNC211
【Ⅰ-1】非ルーティン的業務経験を通じた大学職員の成長―経験学習モデルの枠組みを用いて【会場:BNC209/STAGE1】
【Ⅰ-2】経験学習を通して身につける産学連携部署のコーディネート能力の探求【会場:BNC210/STAGE2】
【Ⅰ-3】人事採用責任者から見た大学職員の中途採用の目的と意義【会場:BNC212/STAGE3】
【Ⅰ-4】AIチャットボットと共に歩んだ1年半(事例報告)【会場:BNC213/STAGE4】
【Ⅰ-5】私立女子大学の共学化についての一考察【会場:BNC215/STAGE5】
【Ⅰ-6】自分自身と大学改革研究会の「ありたい姿」を考える ~レゴシリアスプレイを通じて~【会場:BNC216/STAGE6】
【Ⅰ-7】教職協働による教学改革(4)組織としての学習【会場:BNC217/STAGE7】
【Ⅰ-8】BEVIデータの応用による留学相談及び渡航前授業の試み【会場:BNC301/STAGE8】
【Ⅰ-9】蘇州における日本語人材需要と職業教育の変革【会場:BNC304/STAGE9】
【Ⅰ-10 】ワーク・エンゲイジメントの関連要因の探索-本会員へのアンケート調査に基づいて-【会場:BNC305/STAGE10】
【Ⅰ-11 】学部改組転換における実務と企画部門の役割【会場:BNC306/STAGE11】
【Ⅱ-1】大学事務職員の非ルーティン的業務の遂行方略【会場:BNC209/STAGE1】
【Ⅱ-2】教職協働による大学ブランディング実践報告~10年間で組織に起こった変化とは~【会場:BNC210/STAGE2】
【Ⅱ-3】「教育・研究時間捻出」のために事務作業の当たり前を変える【会場:BNC212/STAGE3】
【Ⅱ-4】文系出身で入試IRを担う私が取り組む「データ活用×マーケティング」の現在【会場:BNC213/STAGE4】
【Ⅱ-5】これならわかる!学校会計 令和7年度学校法人会計基準の改正の概要【会場:BNC215/STAGE5】
【Ⅱ-6】学生有志の活動から学生公認アプリ導入までの軌跡【会場:BNC216/STAGE6】
【Ⅱ-7】部署横断・現場主導で進めるDX:専門部署を持たない大手前大学の挑戦【会場:BNC217/STAGE7】
【Ⅱ-8】大学職員による国際貢献-エジプト日本科学技術大学事務局支援の経験-【会場:BNC301/STAGE8】
【Ⅱ-9】AHEP2025参加報告【会場:BNC304/STAGE9】
【Ⅱ-10】JTや自己啓発の再定義を試みる:ブックガイド作成とSNSの活用から【会場:BNC305/STAGE10】(発表取り止め)
【Ⅱ-11】戦略的カリキュラム経営システムの視座に立つベンチマーク事例に学ぶ【会場:BNC306/STAGE11】
【Ⅲ-1】大学事務職員の職場環境・志向と業務行動・満足度・ロイヤルティの関係【会場:BNC209/STAGE1】
【Ⅲ-2】理事会・評議員会の実質化と大学業務効率化の「見える化」~149大学の実態調査から【会場:BNC210/STAGE2】
【Ⅲ-3】社会連携、社会貢献がもたらす学生の成長 ~神戸学院大学の事例をもとに~【会場:BNC212/STAGE3】
【Ⅲ-4】「龍谷未来塾」~自主的SD活動を通じた大学職員の成長・育成・未来への提言~【会場:BNC213/STAGE4】
【Ⅲ-5】これならわかる!学校会計 「インフレリスクへの対応と収支改善施策」【会場:BNC215/STAGE5】
【Ⅲ-6】エンロールメントマネジメントの観点から見たリカレント教育事業の立ち上げ【会場:BNC216/STAGE6】
【Ⅲ-7】大学事務のデータ処理工程における個人レベルでのIT活用方策について【会場:BNC217/STAGE7】
【Ⅲ-8】準難関私大における外国人留学生入試制度改革の成果と課題~人口減少社会を見据えて~【会場:BNC301/STAGE8】
【Ⅲ-9】フューチャーデザイン体験ワークショップに関する実践事例報【会場:BNC304/STAGE9】
【Ⅲ-10】研究萌芽の灯を未来へつなぎ結実させる教職協働の実践―奈良国立大学機構の事例から【会場:BNC305/STAGE10】
【Ⅲ-11】専門職大学院への入学志願に関する阻害要因の分析【会場:BNC306/STAGE11】
【Ⅳ-1】改革を推進する私立大学事務局長の実像―キャリア・経験・育成に着目して―【会場:BNC209/STAGE1】
【Ⅳ-2】内部監査の「見える化」:学校法人の経営に資する持続可能な監査を目指して【会場:BNC210/STAGE2】
【Ⅳ-3】大学進学率を高める地域別大学定員のあり方に関する一考察【会場:BNC212/STAGE3】
【Ⅳ-4】発表無し
【Ⅳ-5】大学の寄付募集の取り組みと成果との関係-担当組織調査と担当者調査から-【会場:BNC215/STAGE5】
【Ⅳ-6】「マイページ」機能を用いた研究会用アプリ開発事例と大学業務への応用可能性【会場:BNC216/STAGE6】
【Ⅳ-7】ユニバーサル段階の学生支援~充実した学生生活が送れる大学の実現を目指して~【会場:BNC217/STAGE7】
【Ⅳ-8】留学から得られる非認知能力の向上について【会場:BNC301/STAGE8】
【Ⅳ-9】国立大学における事務職員の人事評価の現状-公開された人事評価の情報をもとに【会場:BNC304/STAGE9】
【Ⅳ-10】発表無し
【Ⅳ-11】経営IRにおける教職員エンゲージメント調査の設計ー学校法人追手門学院を例として【会場:BNC306/STAGE11】
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区分:研究発表【個人発表】
氏名:木村 弘志(一橋大学/東京大学)
概略:
本発表では、「働き方」研究会メンバーで協力し、2023年6~8月に実施した「大学事務職員の業務遂行方法」調査データを利用した分析を実施した結果とそれをもとにした考察について報告を行います。ここでは、大学事務職員の行う「非ルーティン的業務」である改善業務・新規業務について、その経験を通じてどのような「学び」を得ているのかに着目し、理論的枠組みとして経験学習モデル(Kolb 1984)を採用した分析・考察を実施します。具体的には、①過去の「非ルーティン的業務」経験度合い、②「非ルーティン的業務」経験からの学び、③学びと現在の業務行動の関係、について、分析結果の報告を行い、結果に基づく考察と、考察からの学術的・実践的示唆を共有します。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:大野 百合惠(東京科学大学)
概略:
大学の産学連携部署では,日々変化する社会ニーズに対応する業務と,従来の方式を堅守しながら進めなければならない業務との狭間で,学内外の多様な関係者と連携しながら職務を遂行する必要があるが,その過程で構成員に要求される高度な調整力(コーディネート能力)の具体が明らかになっていない.本研究では,国内大学の産学連携部署に所属する職員へのインタビューを行い,職員が日頃からどのように他職種や他部署と柔軟に協働しているのかを調査した.本発表ではその調査データに関する質的分析の結果と考察を,特に事務職員のコーディネート能力に重きを置いて報告する.なお本研究は,2024年度若手奨励研究の助成をいただいて実施した。
区分:研究発表【個人発表】
名称:宇佐美 優里(芝浦工業大学(東京大学大学院 博士課程1年))
概略:
本研究の目的は、大学における中途採用職員がどのように組織文化に適応し、または変革を促そうとするのか、その実態と課題を明らかにし、大学組織における中途採用職員の存在意義と効果を明らかにすることである。今回の発表では、人事採用責任者の視点から調査した結果をまとめる。①中途採用の目的と役割、②組織適応の支援体制、③革新行動による組織変革に着目し、大学において中途採用職員を採用する狙いや目的、期待について明らかにし、その実態や課題について多角的に捉えていく。中途採用職員が、大学の組織文化をどのように受けとめ、学習し、変容しているのか。その組織適応に対する支援の現状と課題、必要な支援体制の在るべき姿について探っていく。また、外部者としての視点や前職の経験を活かし、中途採用職員が大学の組織文化にどのような変革や影響をもたらしているのかについて、人事採用責任者の視点から分析を試みる。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:嶺本 朋希(学校法人常翔学園 摂南大学)
概略:
本学教務課では、2024年3月にPKSHAのAIチャットボットシステムを導入しました。それから約1年半が経過し、今回は担当者の視点から、この取り組みを振り返ってみたいと思います。導入前の課題として、学生からの複数の問い合わせツール(窓口、メール、電話など)に対応する必要があり、特に窓口閉室後の対応が難しい点がありました。「スタッフの業務負担は軽減されたのか?」「学生の満足度は本当に上がったのか?」「費用対効果は見合っているのか?」「属人化せずに運用できているのか?」こうした疑問に対して、実際の運用現場で感じた“リアル”な声を交えながら、チャットボットのメリットや課題を率直にお伝えします。導入を検討している方や、すでに運用中の方にとっても、何かしらのヒントになれば幸いです。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:岩崎 保道(高知大学)
概略:
本発表は、私立女子大学から共学化に転換している傾向を検討することで、今後の大学業界の在り方について考察する資料を示すことを目的とする。その手法として、第一に、大学を取り巻く厳しい経営環境のなかで大学の再編が行われている状況を概観する。第二に、2000年代以降の私立女子大学を取り巻く経営環境を整理する。第三に、2000年代以降の「私立女子大学から共学化した(決めた)」「学生募集を停止した(決めた)私立女子大学」「設置者変更が行われる私立女子大学」などの事例を取りまとめる。第三に、私立女子大学から共学化した大学がどのように変化したのか(あるいは影響が生じたのか)、データを基に取りまとめる。以上の考察のまとめとして、大学の再編が次々と行われているなかで、私立女子大学はどういう点に留意して運営していくべきか私見を述べる。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:後藤 仁(四條畷学園大学)
西川 紗也子(愛知医科大学)
芳中 宗一郎(大阪産業大学)
概略:
大学改革研究会(以下、研究会)では、昨年に引き続き合宿企画を実施した。本企画では、その目的を、研究会メンバー同士の相互理解および個人の自己理解を深めること、また、昨年設定した研究会のミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)を通して、研究会メンバー個人および研究会そのものの未来を考えることの2点とし、特に後者を踏まえて2つの到達目標を設定した。
参加者は2日間にわたる合宿において、レゴシリアスプレイを通じて2つの目標について深く検討・議論を行い、最終的には、各個人の「目指したい大学職員像」を形にした上で、それらを繋ぎ合わせた、研究会の「ありたい姿」を作り上げた。
本発表では、参加者自身が描いた「目指したい大学職員像」と、各参加者の想いを繋ぎ合わせて作られた研究会の「ありたい姿」が完成されたプロセスについて、レゴシリアスプレイがもたらす効果を踏まえた具体的な実施内容を交えて報告する。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:平山 崇(西南学院大学)
概略:
現在まで、組織の改革を阻む障壁や慣性について先行研究をまとめ、本学の事例を解釈してきた。本研究では、教学改革という構造化されていない課題に対して、組織はどのように学習し、文脈に応じた適切な判断を加えて解決すればよいのかという問題意識から研究に取り組んだ。まず、先行研究として学習及び組織学習に関する先行研究を整理し、課題を適切に理解するには知識が必要であること、そして組織が知識を理解している状態を客観的に把握し、行動に反映させるためのメタ認知が必要であることを確認した。
本学は、2019年度から2024年度まで継続して教職協働で教学改革に取り組んだ。6年間で教育の企画、設計及び運用の仕組みは形成できたが、成果を把握、測定及び評価し、更なる改善へつなげる実績は形成できなかった。事例研究を通じて、本学では、何を学ぶべきかを確認し、学んだ知識が適切なのかを判断し、取組むべき課題を見つけ、その課題を解決する仕組の形成及び実行が課題であることを明らかにした。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:大西 好宣(千葉大学)
概略:
今世紀に入り、学習者中心主義の高まりと、Evidence-based Policymakingの隆盛という二つの異なった、しかし国際的な潮流から、学習成果の可視化が大きな注目を浴びている。例えば日本人学生の海外留学に関しても、帰国者への満足度調査のみを中心とした初歩的な段階を過ぎ、現在ではBeliefs, Events, and Values Inventory (BEVI)等の心理学を基礎とするツールを用いて、留学前後の測定数値を比較することにより、より科学的で信頼性の高い、また国際比較可能な学習成果の測定結果が、海外はもとより国内でも幾つも報告されている。本発表では、BEVIによる測定結果を応用することにより、さらに効果的な留学相談や渡航前授業を行おうとする試み、いわばEvidence-based Academic Advisingとも呼ぶべき実例とその成果を報告する。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:澤谷 敏行(関西学院大学)
概略:
この研究発表は、活水女子大学細海真二教授、蘇州高博軟件技術職業学院の高夢佳講師と筆者の3名による共同研究論文「蘇州における日本語人材需要と職業教育の変革―蘇州高博職業学院の取り組みを通して―」(活水論文集第68集)に基づくものである。本研究は、蘇州高博職業学院(3年制高等教育機関)日本語専攻卒業生の就職先の日系企業と中国企業を対象として職能的能力の特性を明らかにすることを目的とした。2024年5月から6月にかけて実施したオンラインアンケートで合計98件の回答を得た。日系企業の人事担当者(管理職)、中国企業の経営者(管理職)及び蘇州高博職業学院の日本語専攻卒業生を対象とした。分析に際しては、企業が必要とする日本語能力とそれ以外の専門知識とスキルに関して、言語能力、I Tスキル、業務知識、イノベーション能力、ジョブローテーション、企業研修、大学との連携の7つのカテゴリーに分けて分析した。
区分:研究発表【グループ・研究会発表】
氏名:大学人事・事務組織研究グループ
概略:
グローバル社会における組織の存続・発展における組織の構成員一人ひとりの成果向上がその要件であり、成果向上の主な概念として「ワーク・エンゲイジメント(以下、WE)」を示すことができると考えられている。(Schaufeli.et.al(2002)、厚生労働省(2019)より)
このような状況下において、大学を取り巻く環境は、高度化、複合化、多様化への対応が求められており、その実現には、組織の構成員、とりわけ大学職員の成果向上が不可欠である。
本研究グループでは、①WEの現状把握、②職場環境認識とWEの関係性、③WEを高める諸施策構築、この3つの目的を掲げ、本学会員に向けて「大学職員のWE」に関するアンケート調査を実施した。
本研究発表では、「WE」を形成する要因を探索し、人事や組織の諸施策への提言をしていくことで、あらためてこの問題について各大学において考える一助になればと考えている。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:岩城 健児(創価大学)
概略:
創価大学では、2026年度に学部・学科の改組転換を予定しており、通学課程3件・通信教育課程1件の学部・学科設置、通学課程2件・通信教育課程2件の学科名称変更を行う。本改組における設置届出にあたっては、大学設置基準改正(2022年10月1日施行)を踏まえ、基幹教員制度、教育課程の体系化、学生確保の見通し調査など、制度の変更に伴い求められた対応も含まれている。
本報告では、企画部門として改組プロジェクトを推進した立場から、学内の合意形成、設置届出書類の整備など、実務上の対応事例を共有する。特に、「教職協働による体制構築」と「部署間連携」を通じて、制度改正と改組の両面に対応した実践のプロセスを振り返りながら、企画部門が果たした役割と、そこから得られた学びについて考察する。
区分:研究発表【グループ・研究会発表】
氏名:「働き方」研究会
概略:
本発表では、「働き方」研究会メンバーで協力し、2023年6~8月に実施した「大学事務職員の業務遂行方法」調査データを利用した分析を実施した結果とそれをもとにした考察について報告を行います。ここでは、大学事務職員の行う「非ルーティン的業務」である改善業務・新規業務について、それをどのように実施しているのかに着目し、理論的枠組みとしてJob Crafting理論(Wrzesniewski and Dutton 2001)を採用した分析・考察を実施します。具体的には、木村(2023)にて抽出された非ルーティン的業務の各種遂行方略について、その①実施経験、②効果、を明らかにするとともに、自由記述を通じて新たな遂行方略を抽出した結果を報告し、それらの結果に基づく考察と、考察からの学術的・実践的示唆を共有します。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:滝本 修士(北海道科学大学)
概略:
筆者が所属する北海道科学大学は、教職協働のプロジェクトによる大学ブランディング活動を実践、継続してきた。今回の発表では、10年間の活動を振り返り、ブランド推進に関するKPI(指標)設計、測定、分析といったブランドマネジメント体制の構築について紹介する。また、リブランディングの実践報告として、経営トップである役員・理事だけでなく、多くの教職員が参加した新たなビジョンづくりへの挑戦と策定したビジョンと中期事業計画や単年度の事業計画との連携についても紹介する。そして、こうした教職協働のプロジェクトによる大学ブランディングを通じて、プロジェクトメンバーである教職員に生じた変化、組織の変化、教職員の意識変化などについて、アンケート結果などに基づき考察する。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:宇佐美 優里(芝浦工業大学)
鈴木 洋(芝浦工業大学)
松村 美緒(芝浦工業大学)
澤 虹之介(芝浦工業大学)
概略:
教員への業務依頼が教育・研究時間を圧迫していた課題に対する、芝浦工業大学の取り組みについて報告する。文部科学省が2024年5月に発表した調査結果によると、 大学教員の約8割が研究時間の不足を認識しており、本学が独自に行った学内調査でも、教育・研究以外に教員の多くの時間が割かれていることが判明。そこで、業務依頼の平準化・可視化・一元管理を実現する新システムをNotionで構築し、“教職協働”で解決を目指している。導入に際しては、丁寧な意思疎通やトラブルを許容する文化づくりを重視することで、計画どおりに進行し、従来の方法への逆戻りも防止。現在は、新システムによって可視化された業務依頼データを分析し、依頼時期の平準化・依頼案件の統廃合などに取り組んでいる。全教員が「教育・研究時間捻出」を実感できるよう、改善を継続している。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:曽田 源(龍谷大学)
概略:
本事例報告では、文系出身者が入試IR業務を担う上で直面する課題と、その克服に向けたデータ活用およびマーケティングの実践事例を紹介します。入試に関する調査統計の実践例に加え、BIツールを用いたデータの可視化、Notionを活用したナレッジの共有など、非専門職でも実行可能な「現場発のIR」の可能性を探ります。
また、データドリブンな意思決定を支えるIRダッシュボードを始めとする環境整備や、エンロールメントマネジメントとの接続についても触れ、IR業務の社会的価値と大学経営への貢献について考察します。専門性に頼らずとも、現場職員が自ら課題を発見し、データを武器に行動できる組織づくりのヒントを共有します。
区分:研究発表【グループ・研究会発表】
氏名:財務研究グループ
概略:
「私立学校法の一部を改正する法律」により、社会の信頼を得て、一層発展していくため、社会の要請に応え得る実効性のあるガバナンス改革を推進するための制度改正となりました。幅広い関係者の意見の反映、逸脱した業務執行の防止を図るため、理事、監事、評議員及び会計監査人の資格、選任の手続等並びに理事会及び評議員会の職務及び運営等の学校法人の管理運営制度に関する規定や、理事等の罰則について定めることを趣旨とした内容となりました。これまで補助金の適正配分を主とした目的として私立学校振興助成法に位置付けられていた学校法人会計基準ですが、ガバナンス強化の観点から、ステークホルダーへの情報開示を主な目的とする基準として私立学校法に位置付けられることとなりました。この内容について、計算書類、附属明細書、注記事項、財産目録など変更点を含めて、学校法人会計基準の解説書を大幅に改定しましたので、スケジュールや課題、これから求めらる諸対応等について、変更内容とともに説明を行い、フロアとも課題を共有していきたいとおもいます。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:藤田 圭子(武庫川女子大学)
概略:
経営学部1期の学生が、実践学習プログラムの一環として、学生生活における情報のスマート化に取り組んだ1年半の活動を報告いたします。このプログラムは、学生生活を送る中で質問や困りごとが発生したとき、相談窓口や手続き窓口が分からない、また自分が目の当たりにしている状況は、決められた手続きがあるものなのか、窓口に足を運んで個別相談が必要なレベルのものなのか温度感が分からない、といった課題を解決するため、活動を開始いたしました。
LINEアカウント運用からスタートし、活動終了時点においては学長に直接アポイントを取得、プレゼンを経て、専用のアプリ導入を認めて貰う結果となりました。現在は職員の公的業務としてアプリが運用されています。
コロナ禍に入学し苦労した学生が、時にはリソースの限界と向き合いながらも大学を良くしようと奔走した様々なエピソードや入学準備段階において先輩学生が答えるオンライン相談窓口の具体的なスキームについてお話しします。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:西内 裕美(大手前大学)
田中 具宙(大手前大学)
概略:
2022年度から始まった大手前大学の事務業務DX推進は、「DX推進室」「改革推進本部」などの専門部署やDXに専従する職員を配置せず、各部署に「DX推進担当」を配置する形で行われている。各部署のDX推進担当が、個々人のICTスキルを高めつつ所属部署の課題を自分たちの力で改善し、組織を改革していくというボトムアップ型の体制である。
「ICTが苦手ではない職員」をDX推進担当として育成し、大学全体の改革につなげている事例は全国的にも珍しく、その上で大規模大学に劣らぬスピード感で改革を進めている点に特徴がある。本発表では、情報メディアセンターによるDX推進全体の統括のあり方と、教務課におけるDX推進担当の実践事例について報告する。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:大島 英穂(元・立命館大学)
概略:
エジプト日本科学技術大学(E-JUST)は、2010年に大学院大学として開設された。2017年の学部設置に伴い、JICAからの要請にもとづき、大学事務を組織的に執行できるように立命館が支援を開始した。支援した領域は、入試、教務、学生生活、キャリア支援、留学、人事(職員評価制度導入とミドル層を対象としたマネジメント・リーダーシップ研修)であり、2024年まで7年半に及んだ。社会貢献は、教育・研究の成果を社会との間で往復する大学の使命の一つだが、大学の事務機能強化支援は職員が主体となった社会貢献であり、支援対象が海外の大学であったので国際貢献である。言語と文化の壁がある中でどのように支援を行ってきたのか、支援の対象であったE-JUSTのスタッフとJICAのメンバーは支援をどのように受け止めているのか、支援を行った立命館のスタッフはどのような成長実感を持ったのかについて報告する。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:豊島 美弥子(学校法人関西学院 )
概略:
発表者は2025年6月1日~3日に英国グラスゴー・カレドニアン大学で開催されたAssociation of Higher Education Professionals (AHEP)年次総会に、JUAMの派遣プログラムを通じて参加した。JUAM初級者の視点から見たJUAMとAHEPの違いや、AHEP年次総会で中心的に議論された英国大学職員、特にマネジメント層の昨今の課題意識を中心に報告する。
また、発表者は近年、所属校にて新キャンパス設置プロジェクトのリーダーを務めている。施設設備はもとより、教学、社会連携、ファイナンス、広報等々、業務もステークホルダーも極めて多様で、莫大な投資も伴う大型の「チェンジ」である。そこでAHEP総会並びに現地大学訪問を通じて英国の大学職員が如何にチェンジリーダーシップ、プロフェッショナリズムを発揮しているのかヒアリングを行い、そこから得られる示唆を抽出した。その概要も共有する。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:葛西 崇文(愛媛大学)
真鍋 亮(愛媛大学)
概略:
能力開発の3類型としてOJT、Off-JT、自己啓発が知られている。今回、教職員の自己啓発における読書を支援することを第一の目的として、Off-JTにおける活用を第二の目的として、ブックガイドを作成した。
しかし、実際にガイドに掲載している書籍を購入し、読書しなければ、このガイドの効果は発揮されず、読書しなければ能力開発ではないのだろうか。書籍を手に取り、読む、という行為の手前には、ガイドの存在を知ることなど、無数の行為の連なりがある。そして、それらの行為のいずれにも能力開発としての意味があり、それらに対して何らかの働きかけを行うことは可能なのではないか。
そこで報告者らは、SNSを利用してガイドの存在を周知するとともに、30秒程度で書籍の内容を紹介する動画を複数作成した。書籍を購入して読む、という行為よりもアクセスしやすいメディアを活用することが、Off-JTや自己啓発の枠組みを広げる可能性について考察する。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:池田 輝政(愛知江南学園)
概略:
大学のカリキュラム改革にかかわる一連の政府答申と関連の研究開発活動を振返り、教学マネジメントと内部質保証の一方向的な強調はカリキュラム・マネジメント(CM)の認識と視座を希薄にし、教育戦略に対する大学の主体性を曖昧にする状況をもたらすことを検証した。教育プログラムの価値を創出・獲得する戦略的なカリキュラム経営システム(CMS)の研究開発に舵を切るには、大学人自らが先行事例に学ぶの探索的なべンチマーク法の活用について提案した(池田、大学行政管理学会誌 2024)。本発表は、学びの個人的&社会的付加価値の創出と獲得につながるカリキュラム経営の視座に立ち、CMSのベンチマーク事例について探索・分析・考察してきた結果を報告する。すべてのステークホルダーの協働・協業が可能となる経営と教育のあり方と実現方法について議論し、課題と解決策について共有することを目的とする。
区分:研究発表【グループ・研究会発表】
氏名:「働き方」研究会
概略:
本発表では、「働き方」研究会メンバーで協力し、2023年6~8月に実施した「大学事務職員の業務遂行方法」調査データを利用した分析を実施した結果とそれをもとにした考察について報告を行います。ここでは、大学事務職員の職場環境を示す指標として心理的安全性(Edmondson 1999)を、大学事務職員に特徴的な志向として(内部)顧客志向(中島 2011; 木村 2023)を採用した分析・考察を実施します。具体的には、心理的安全性、(内部)顧客志向の尺度の妥当性について検証するとともに、それらが大学事務職員の各種業務行動や職務満足度、ロイヤルティの測定結果と、どのような関係を有しているのかについて分析した結果の報告を行い、結果に基づく考察と、考察からの学術的・実践的示唆を共有します。
区分:事例研究発表【グループ・研究会発表】
氏名:大学経営見える化研究会
概略:
本研究会は、2002年設立時から現在に至るまで、大学経営に関する様々な課題の可視化を目指してきた。2025年の私学法改正にあわせて、ガバナンス向上に資するため『私立大学 新任理事・評議員ハンドブック 2024年度版』を刊行した。この活動を通じ、ガバナンス向上には、役員への大学経営に関する知識付与だけでなく、理事会・評議員会の実質化も重要ではないかという問題意識に至った。
そこで、2016年度に実施したガバナンス調査の理事会・評議員会に関わる項目の定点調査を行い、その変化を「見える化」することとした。さらには、大学業界でも課題となっている人材不足に着目し、業務効率化方策の一つである業務委託実態についても「見える化」を試みた。
今回の発表では、上述の調査結果を整理し、理事会・評議員会の実質化と大学の業務効率化の取り組み実態を報告するとともに、組織・人事領域の課題についての企業、地方自治体、大学間の比較についても紹介したい。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:黒野 秀晃(神戸学院大学)
勝嶋 慧(神戸学院大学)
清田 千絵(神戸学院大学)
概略:
神戸学院大学は、兵庫県神戸市にある10学部・8大学院研究科、学生数11,000人余りの大学です。
大学の目指す姿「地域の住民・産業界と共に進化する大学」のもと、地域社会の多様なニーズに対応できる教育を教育基本理念に掲げ、教育・研究に加え、社会連携活動に注力しています。
阪神・淡路大震災から30年を迎え、震源地に最も近い大学として、防災やボランティアなどの教育活動を展開してきました。以来、企業・自治体・地域の課題解決や地域活性化などを目的とした社会連携事業に積極的に取り組んでいます。
社会での実践的な活動は、大学での学びを広げ、深めるだけでなく、学生の人間形成・キャリア形成にもつながると考えています。
本事例研究発表では、本学が取り組む社会連携・社会貢献活動の事例とともに、経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」を中心としたアンケート調査により、学生の成長について検証した結果を紹介します。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:奥 昌浩(龍谷大学)
曽田 源(龍谷大学)
岡田 雄介(龍谷大学)
杉山 聖子(龍谷大学)
概略:
18歳人口の減少等により、「大学淘汰の時代」が現実となった状況を踏まえ、①外部環境の変化を正しく認識し、学内外へ発信すること ②厳しい時代を生きる若い世代を育成すること、この二点を目的に、事務職員共同研修企画「龍谷未来塾」を立ち上げた。
「危機を正しく認識し、私たちはどう生きるか?」という共通テーマのもと、「高等教育の危機」と「大学改革の要諦」について考察すべく、外部有識者を招聘し学外者も参加可能な公開講演会を、2024年10月から12月にかけて計4回開催。延べ1,100名を超える参加者を集めた。
時宜を得たテーマ設定もあって、多くの耳目を集めることとなった。また、龍谷未来塾の塾生が講演会で学んだことをリフレクションし、そこで得た知見をもとに高等教育の未来を考察し、その成果を学内外に発信した。今回の事例報告では2024年度の活動を総括するとともに、自律的なSD活動の可能性と有用性を提言したい。
区分:事例研究発表【グループ・研究会発表】
氏名:財務研究グループ
概略:
エネルギー価格や人件費の高騰を背景にして、インフレリスクが大学経営に与える影響が強まっている。本事例研究では、現在のインフレリスクを可視化したうえで、それが大学の収支構造に及ぼす影響を考察し、併せて資産価値の上昇といったインフレがもたらすメリットの側面にも着目し、それらをどのように活用することが可能か整理する。また、入学志願者が減少していく環境下において、将来的な影響を考えた退学者削減の取組事例や留学生等の受益者負担の見直し事例、DX推進等の収支改善事例を通じてインフレへの対応策となり得る施策のあり方を検討する。こうした複眼的な視点から、大学が不確実な経済環境の中で持続可能な経営を実現するための道筋を探る事例研究発表を行いたい。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:藤田 圭子(武庫川女子大学)
概略:
武庫川女子大学では、令和5年にリカレント教育事業を始動いたしました。当時の学び直しといえば、女性のリーダーシップ研修やアントレプレナーシップ支援が話題でしたが(そして現在でも主流の1つとして定着していますが)、本学は敢えてそれらには手を出しませんでした。ブランドイメージが確立している共学の取り組みと全く同じ内容を、後発組の女子大学が行ってもあまり意味はないと思ったからです。女子総合大学としてリカレント教育事業を立ち上げるにあたり、我々が最も重視したことやこだわったことについて、お伝えいたします。また、準備段階から開講までの経過で出てきた苦労や、開講2年が経過した今だから見えて来た今後の課題などもお伝えいたします。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:中元 崇(京都大学)
概略:
大学事務の日常的な業務には、データの発生を起点として、その取得・整形・出力といった一連の処理工程が含まれている。この処理工程の合理化の手段として、各処理の密接な連携・自動化が有効である。そうした合理化として、大規模なシステム開発を伴い、部署・全学単位の人員が関与する組織的な取り組みがあり得るが、多大な予算や人員、組織的な意思決定を要するものとなる。本報告では、そうした組織レベルの取り組みではなく、個人の業務レベルでの取り組みを取り上げる。個人の目の前の業務を、その担当者がどのように効率化・簡素化し得るかを検討する。具体的にはGoogle Apps Script等を用いた各処理の連携・自動化の事例を題材とし、各種の業務への適用可能性や波及可能性を探る。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:久志 敦男(学校法人龍谷大学)
概略:
受験産業で準難関私大「産近甲龍」グループに属する龍谷大学は、2018年度外国人留学生入試においてMARCH、日東駒専、関関同立、産近甲龍の大学グループ主要16大学(甲南を除く)で、在籍学生数に対する志願者数、合格者数でともに16位(最下位)と低迷し、”留学生受入に最も消極的な大学”と化していた。2018年度後期に改革チームを立ち上げ、2021年度から外国人留学生入試制度改革(①独自入試の廃止→日本留学試験の採用、②募集定員若干名→1名~30名の定員設定、③入試回数1回→2回)を実施した結果、2020年度後期390名(過去20年で最低)であった留学生数は2024年度後期に706名(過去最高)と2倍に近い数字となった。新制度の学部生が大学院進学し今後も留学生数の増加が見込めるため、当初計画の750名はほぼ達成の見込みである。発表では取り組みの概要と今後の課題、人口減少社会を見据え今後必要な対応について概説する。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:森下 覚(東京都市大学)
塩川 雅美(龍谷大学)
佐藤 浩輔(大阪体育大学)
概略:
本報告では、フューチャーデザイン(FD)の概念理解を目的とした三つのワークショップについて報告する。対象は、①2024年度大学行政管理学会第28回定期総会・研究集会WS「FDで大学の未来を考える」、②同年大学職員のための「キャリアデザインセミナー」(CCUS)におけるWS、③2025年度SPODフォーラム「FDで大学の未来を考える」である。大学職員を中心とした参加者それぞれが「将来世代」を見据えたフューチャーデザインの概念を学びつつ、自らの業務改善等にも適用可能なワークショップを体験した。参加者からは「未来に対して自分が今何をするのか、という視点が新鮮だった。」「日常業務の中でも、フューチャーデザインを活かして業務改善をしていきたい。」といった感想が寄せられた。今回の報告では、ワークショップの内容、配布資料、終了時アンケートの結果等を共有し、実践事例報告を行う。
区分:事例研究発表【共同発表】
氏名:小出 直史(奈良女子大学)
宮路 淳子(奈良女子大学)
寺本 敏紀(奈良国立大学機構)
山咲 博昭(広島市立大学)
概略:
奈良国立大学機構では、奈良の豊かな歴史・文化的資源の知を魅力として他者に伝え、世代・専門・国籍を超えて協働する教養教育プログラム「万葉歌碑プロジェクト」を推進している。本報告では、本プログラムの企画・実施・展開の過程を振り返り、教職協働の視点からその実践的要素を考察する。国立大学法人化以降、研究推進のあり方は、創発的なボトムアップ型の企画とトップダウン型の体制・制度設計とが併存し、多層的な支援体制が求められている。本プロジェクトでは、研究者と事務職員が役割を補完し合いながら、段階的な企画推進、資源の調整、内外に向けた説明戦略を通じて、教育・研究の接続と内外に向けて深化を図ってきた。こうした取り組みが、限られた資源のもとで研究萌芽を結実させる実践知として、今後の企画形成や制度設計に資する可能性を示す。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:山崎 眞布(神戸市外国語大学)
概略:
大学の伝統的顧客である18歳人口の減少を背景に、社会人の大学院での学び直し促進が、新たな生き残り戦略として重要視されている。そこで、本研究では社会人を主たる市場とする専門職大学院への入学志願に関する阻害要因の分析を試みた。社会人109名を対象に実施した質問紙調査の結果、大学院における学位を伴わない短期学び直しプログラムの学修経験のある群とない群について、学位取得の有用性の疑問視を阻害要因として認識するスコアを比較したところ、前者の平均値の方が高かった。また、平均値の差の検定を行ったところ、統計的にも有意であった。このことは、短期学び直しプログラム受講者が、職場の人事評価において、専門職大学院での学修が十分に評価されないと感じている可能性を示唆している。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:中村 智治(東洋大学)
概略:
大学を取り巻く環境が大きく変化する中で、大学の業務は質・量の両面において拡大している。こうした変化に対応するためには改革を推進し、大学経営の高度化を図る必要がある。その推進においては、事務組織を統括する事務局長が、極めて重要な役割を担っていると言える。
本研究の目的は、優れた私立大学事務局長がどのように改革を推進しているのか、そうした事務局長はどのように育ってきたのかを、8名の事務局長への半構造化インタビュー調査から明らかにし、どのようなキャリアパスや経験が改革推進に資するのかへの示唆を得ることである。
また、昨年度発表内容を発展させ、「全国大学事務局長調査」個票データを用いた二次分析で明らかにした、私立大学事務局長の①属性、②経験、③仕事(業務内容・役割)、④改革状況についての結果を踏まえ、研究発表を行う。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:北谷 仁宏(学校法人追手門学院)
概略:
2025年4月に施行される改正私立学校法により、学校法人における内部監査の重要性はかつてないほど高まっています。社会からの要請として、学校法人のガバナンス強化が強く求められたことが、今回の法改正に繋がっているのは間違いありません。
こうした背景の中で、学校法人の内部監査室の役割は、経営に資する(貢献)ことにあります。
そのためには、持続可能な監査体制の構築が不可欠です。しかし、現状では内部監査に対し「指摘されるもの」「面倒なもの」といったネガティブなイメージが先行しがちです。このような認識は、監査の実効性や持続可能性を阻害する可能性があるため、可能な限り払拭すべきだと考えています。
そこで本発表では、今回の法改正を契機に、学校法人追手門学院の内部監査室が現在取り組んでいる「内部監査の見える化」の事例をご報告します。この取り組みを通じて得られた課題や知見を、各学校法人の持続可能な経営に役立てていただければ幸いです。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:杉原 明(学校法人工学院大学)
概略:
2025年2月の中央教育審議会による「知の総和」答申では、高等教育政策の目的として「質の向上」「規模の適正化」「アクセスの確保」という三つの観点が提示された。このうち「アクセスの確保」は、地域における大学への進学機会の保障を意味し、地方大学の維持が重要であるとされている。しかし一方で、「規模の適正化」の観点からは、定員割れが進む地方大学に対する定員配置の見直しも避けて通れない課題である。
加えて、都道府県別の大学進学率には依然として40%未満から70%超に及ぶ地域格差が存在し、進学率の低い地域における進学率の向上は、18歳人口の減少による影響を緩和すると考えられる。
本発表では、政府統計等のデータを用い、地域ごとの大学入学定員や収容率が大学進学率に与える影響について分析を行う。そのうえで、進学機会の地域間格差を是正し、進学率の底上げを図る観点から、地域別大学定員のあり方について一考察を試みるものである。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:井芹 俊太郎(神田外語大学)
概略:
本研究は、大学における寄付募集活動の実態と成果との関係を明らかにすることを目的とする。近年、我が国の大学財政において、学納金に限らない外部資金、とりわけ寄付金の重要性が高まっている一方、寄付募集活動に関する実証的研究は限定的である。本発表では、2022年度に実施した全国の大学における寄付担当組織および寄付募集担当者を対象とした質問紙調査のデータをもとに、各大学の取り組みと成果との関連を分析した。特に、寄付募集プロセスにおける「7つのステップ」(例:ターゲット設定、ストーリー設計、関係構築、キャンペーン展開等)への取り組みの度合いに着目し、それらが寄付件数、寄付金額といった成果指標に与える影響を検討する。
区分:事例報告【グループ・研究会発表】
氏名:大学改革研究会
概略:
大学改革研究会(以下、本研究会)では、メンバー間の得意分野や経験等の相互理解を深めつつ交流を促進するため、各自のプロフィール情報を共有するポートフォリオアプリを開発し運用を開始した。
開発には、JUAM会員がGoogle Workspace環境下で利用可能なノーコードツールAppSheetを採用することで、専門的なプログラミング知識を必要とせず迅速なアプリ構築が実現できた。
また、自身の情報のみを直接編集可能な「マイページ」機能の実装が運用と主体的な情報更新を大きく後押しし、アプリ実現の鍵となった。
本発表では本研究会におけるアプリ開発で得られた知見を報告するとともに、アプリ作成の経験や「マイページ」の実装がJUAM内の活動に留まらず、各大学における身近な業務アプリケーション開発・運用においても、業務改善やDXを推進する上で極めて有効な要素となることを具体的な応用例を交えて提言する。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:鎌田 雅子(日本経済大学)
野間川内 一樹(岡山理科大学)
概略:
私たちは、学生に自己理解を促し、“気づき”を引き出すことで、学生が自己を肯定し、充実した学生生活が送れることを目的としたサポートを“アカンパニメント(伴走型自立支援)”と名付け、2023年3月に協会を立ち上げました。協会では、日々その理論を形式値にすることや、アカンパニメント(伴走型自立支援)で大学を元気にするための活動(本の執筆や、YouTubeチャンネルでの配信)をしています。
私たちは、日常の学生支援の中で、学生と「信頼関係」を築き、学生のこころをオープンにすることを大切にしています。今回は、これまでの実践事例をもとに学生支援におけるアカンパニメント(伴走型自立支援)の成果を示し、アカンパニメント(伴走型自立支援)を理解していただくことを目指します。教職員の方々の日々の学生支援が円滑になり、気持ちよく支援ができるようになることが、本事例発表における私たちの目標です。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:石山 昭彦(國學院大學)
概略:
留学から得られる外国語能力の向上については、TOEIC等の標準テストでの測定が広く行われており、客観的にその効果が把握されている。その一方で、非認知能力と呼ばれるスキル、態度、姿勢の変化については把握が難しい。非認知能力とは、意欲、忍耐力、協調性、人間関係を作り上げる力など、客観的に表しにくい能力である。留学運営に携わる大学職員であれば、留学から戻った学生の人間的な成長を何となく感じていることだろう。そこで、國學院大學で実施した4カ月程度の留学に参加した学生の非認知能力の測定結果に基づき、その向上の傾向を発表する。現状、測定事例の共有に留まっており、分析に基づく一般化には至っていないが、将来の研究に向けてのステップとする。
区分:事例研究発表【共同発表】
氏名:藤本 正己(山口大学)
坂本 規孝(広島市立大学)
概略:
『大学事務組織の現状と将来 第2回全国大学事務職員調査報告書』(東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター、2021)によると、職場・大学の人事評価について「明確な基準が提示されている」という問いに対して、国立大学(以下、大学)の事務職員の60.1%(n=1310)が否定的な回答(そう思わない、あまりそう思わない)をした。人事評価に課題が見られる状況ではあるが、実際大学の事務職員の人事評価はどのような仕組みとなっているのであろうか。そこではどのような評価基準が示されているのであろうか。
本発表では、全国の大学の事務職員の人事評価に関する規定や実施要項等を調査した結果とそこから見えてきた評価基準における課題について報告する。人事評価は評価の目的や種類・方法、その活用方法といった様々な項目・内容で定められていた。また、評価基準に対して実施細則を定める大学がある一方、抽象的な基準のみ示されている大学も見られた。
区分:研究発表【共同発表】
氏名:川内 亜希子(追手門学院大学)
谷垣 武(学校法人追手門学院)
蛯原 佑介(学校法人追手門学院)
原田 章(追手門学院大学)
概略:
本研究では2019年度に始まり、現在も継続して年1回実施されている学校法人追手門学院における教職員エンゲージメント調査を研究対象とし、実施背景から調査設計過程を質的調査として分析し、教育機関に属する教職員のエンゲージメント調査として適した調査設計の在り方を明らかにすることを目的とした。本研究では2019年度の導入に携わった関係者、及び現在エンゲージメント調査を実施している担当者ならびに関係各所へのヒアリング調査を行う。これにより、過去6回実施されてきた教職員エンゲージメント調査を経て、大学経営IRに資する調査設計として一定の成果を挙げている現在の教職員エンゲージメント調査の特徴を明らかにするものである。