Generative Streaming Works

あらかじめパッケージ化された映像や音響の再生ではなく、生成され続けるそれらをネットワーク配信する形式をジェネラティブ・ストリーミング作品と名付け、その表現の可能性を探る

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とうめいなもじ こえのないことば2022

長野 櫻子 | NAGANO Sakurako

  ひらがなが書き綴られている。時折手を止めながら、ある時は急いで、ある時はゆっくりと、たまに眠そうに。宛てのない手紙。永遠に続く詩。彼方から、現在より、果てしのない、誰かの文字たち。

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エコミメシス(梯子)Ecomimesis (Ladders)  2021 

林暢彦 | HAYASHI Nobuhiko



   音響合成アルゴリズムとネット上でのストリーミング配信からなる《エコミメシス》は、生物 的なサウンドスケープに特有のパターンを構造的に模倣する試みであり、生態系の内部での音響的 な共進化の過程をシミュレートする。
   音響コミュニケーションを行う生物種の声の特性は、同じ環境に生息する他種の声との関係性 によってある程度説明できる。声の「個性的」な音響特性は種の識別を容易にし、コミュニケー ションの効率を高める。だから、共通した環境に生息するそれぞれの種は、進化の過程で「互い に異なる」声になるような進化の圧を受けてきたのではないか。   作者はこのような考えを踏まえ、遺伝的アルゴリズムによって、16種の人工生命がおのおのの 「声」の周波数やその他の特徴を他の種とできるだけ異なるものになるよう進化する音響生成ア ルゴリズムを構築した。プログラミングにあたり、ダーシー・トムソンの古典的著作、音響ニッチに関するバーニー・クラウスの議論、角(本田)恵理のエンマコオロギ属の声の研究からヒントを得た。進化計算と音響合成はリアルタイムに行われ、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]のサー バー室から常時配信される。進化計算の基準になる個体の適応度(優位性)は、それぞれの個体の遺伝情報(「声」の特徴を定義するパラメーター群)とその個体の属する種以外の種に属する個体の遺伝情報との差分の大きさから算出される。映像には、生成されたサウンドスケープのスペ クトログラムに加え、生成時の日本標準時刻、進化計算の世代数、それぞれの種の平均的な適応度などが表示される。   毎週月曜日の午前零時に全ての遺伝子を初期化する。火曜日から土曜日の午前零時には、プログラム上の「大量絶滅」(多様性の激減)が起きる。日曜日は進化計算を行わず、土曜日の最終進化形が終日鳴きすだく。以下繰り返し。進化計算は確率的に行われるので、毎週聞こえる音は違う。初期化された遺伝子は、この作品のテーマというべきコオロギに似た「声」を生成する。作者は2018年に多摩川のほとりでコオロギの声を聴き、この作品のアイディアを思いついた。   はじめに声があった。人間の言語は恣意的な関係の上になりたつ体系だといわれるが、バイオフォニーにおいては、種間の声の音響的な差異それ自体が資源であり、「意味」である。声と言葉の間にどれほどの隔たりがあろうとも、我々もまた動物である。起源への梯子は天の高みではなく、「下方」へと伸びてゆく。
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神の旋律》The Divine Melody

三輪眞弘 | MIWA Masahiro




   モノローグ・オペラ「新しい時代」WEBサイトの「布教放送〈神の旋律〉」はジェネラティブ・ストリーミング作品の先駆的な取り組みである。
研究の礎となる重要な資料 1

中部電力芸術宣言

   by 三輪眞弘

中部電力芸術宣言

終結版(2009/8/25)、2011/3/13 公開

Chubu Electric Power Art Declaration[English]

中部电力艺术宣言 [Chinese]

「いま中部電力芸術宣言について考える」  

    2011年 6月16日  芸術情報特論    三輪 眞弘    東京藝術大学 芸術情報センター
研究の礎となる重要な資料 2

IAMAS叢書 三輪眞弘

       電気文明の芸術   

       テクノロジーと音楽をめぐる覚え書き (2010)
(2019年度、プロジェクトで輪読しました)

目次
はじめに:西洋音楽と民族文化西洋音楽の歴史 一1:書かれた音楽西洋音楽の歴史 一2:五線譜とテクノロジー西洋音楽の歴史 一3:テクノロジーを駆動する「思考のかたち」20世紀の西洋音楽 一1:「音楽というもの」の定義20世紀の西洋音楽 一2:ロマン派以後の作曲メディアと芸術 一1:視聴覚装置の誕生メディアと芸術 一2:「録楽」メディアと芸術 一3:ポップスコンピュータと「電気文明」芸術の定義
研究の礎となる重要な資料 3


   2013年10月10日から岐阜県美術館で行われた展覧会「逆シミュレーション音楽の世界」のアーカイブページ。 本展覧会では、三輪眞弘氏が提唱する新しい音楽の方法論「逆シミュレーション音楽」を、3つのエリア (逆シミュレーション音楽の起源・機械から人間へ、人間から機械へ・逆シミュレーション音楽の拡がり)に分けて紹介され、 逆シミュレーション音楽の変遷を振り返りながら、コンピュータと人間の関係をめぐる新しい可能性を探る試みわれた

https://www.iamas.ac.jp/af/01/