【都市・住環境計画とは】
都市・住環境はとても幅広い分野です。ひとくちに説明することは、なかなか容易ではありません。
例えば、お医者さんの仕事は、人々の心と体の健康を守ることです。コックさんのお仕事は、食材を活かしてお客さんが美味しく食べられて幸せを感じられる料理を創ることです。お巡りさんのお仕事は、みんなの安全と安心を守ることです。
では、私たちの暮らしを支える「まち」はどうなっているのでしょうか。
まちの健康や安全・安心を守ったり、まちの魅力を創造したり活かしたりするのは、誰なのでしょう。 将来はどんなまちになるとよいのでしょう。将来のまちを描けても、それを実現するには,どんなルールや仕組みや活動が必要なのでしょう。
これらのことを考えるためには、「豊かな暮らしのあり方」や、それを支えられる「まちのあり方」に加えて、「そのあり方を実現するための仕組みやルール」の組立てが大切です。
丁寧に調べ、じっくりと考え、体験し、時には試したりしながら、都市と住環境に関連するさまざまな研究に取り組んでいます。
まちとは│作画:岡本浩一
ゼミの方針・特色
1.フィールドワークを重視
都市と住環境を対象とする研究に取り組んでいる当研究室では、フィールドワークを重視しています。
都市や建築は、税金や施主の借金など他人の財産で空間を生みます。さまざまな製品に求められる要は「選ばれるデザイン」ですが、都市や建築には「社会に働きかけるデザイン」が欠かせません。
本質を見極めた空間を生み出す社会的責任を自覚すべく、地域に脚を運び、生の声を直接伺い、ときには協働・実感します。
若い人材の溢れる創造力に対して、感覚や哲学を伝えるだけでは、伸びしろを貧相にしてしまいます。
現場に訪れて実態を肌で感じとり、自ら疑問や問題意識に気づくことは、創造力に豊かな肥やしとなります。同時に、他人のお金で都市や建築を創り出すような自己満足の無意味さを実感します。
炭鉱遺産の活用に尽力される方に現地でヒアリング
団地の住まいに訪れ
管理主体にヒアリング
住民意識調査に出発する
直前の打合せ
都市の憩い空間の心地よさを
身をもって実感
2.実感を踏まえた計画・提案
創造するために想像することは誰しもに可能です。しかし、想像だけに頼る創造は、妄想の域を超えることが難しく、創造者の自己満足に陥るリスクが避けられません。
誰しも、妄想にお金を払うほど悠長な生活をしている訳ではないのです。
これまでに見たことがない空間のデザインは、誰も気づかなかった新しさを持つ可能性とともに、気づいていたけれども適切ではない新しさであると判断されて捨てられた可能性もあります。
単に、見たことがない新しさを追求するのではなく、現場から感じ取ったり、お話を伺ったりすることを介して、本当に意味のある新しさを見つけることが重要です。
シェアハウスのあり方を
独り暮らしの方々と検討
現地視察で抱いた感想を違いに共有
太陽電池の手作りランタンを
町民と共同制作
子どもたちとともに地域の宝探
3.参加の機会をたくさん用意
「現場を見せて下さい」、「お話を聞かせて下さい」、「一緒にやらせて下さい」というようなフレーズは、学生ならではの特権と言っても過言ではありません。
社会人になって働き始めると、会社の名前を背負うことになるので、見たい・会いたい・聞きたいなどということは、必ずしも思い通りには実現できなくなります。
学生ならではの特権を活かして、あちこちへ見学に行ったり、様々にご活躍の方々へ会いに行ったり、いろいろなお話を聞きに行ったりできる機会を可能な限りたくさん用意します。
現地に訪れて関係されている方と触れあうことを通じ、はじめて、講義から得た情報や知識を、実際に触れて確かめたり、お話をうかがって確認したりできます。
タワーマンションの現場見学
ペンキ塗りボランティア活動参加
鉄筋溶接加工体験
花壇整備作業ボランティア活動参加
4.On と Off とをはっきりと
やるべきことに力を注ぎ込むためには、心と体のリフレッシュが欠かせません。
ずっと自分なりに頑張っているだけでは、単に自己満足となることもあり、進歩も成長も大きくは期待できません。一方、ずっと解放されていては、人の住まなくなった空き家のごとく腐っていってしまいます。
OnとOffをはっきりさせて、「やるときはミッチリやる,リフレッシュするときは心底リフレッシュする」という姿勢は、社会人になる前に身につけておくことが大切です。
楽しくて豊かなOffは、充実したOnに繋がります。また、地域で開催されている催しや観光スポットは、地域の歴史や魅力あるいは地元を愛する人たちの心意気を実感する貴重な場でもあります。
工場見学
ゼミレク
ビアガーデン
泊まりがけの調査を終えて