学校再編Q&A
Q
適正規模・適正配置基本計画を策定した理由は何ですか?
A
全国的に少子化が進み、本市でも、児童・生徒数が減少しています。
その結果小・中学校の小規模化が進行しています。学校が小規模になると、様々な教育活動や学校運営に制限や課題が生じる懸念があります。
また、市内の多くの小・中学校で校舎の老朽化が進んでいて、学校施設の更新が課題となっています。
そこで、本市における学校施設の在り方について検討するとともに、少子化へも対応した望ましい教育環境を実現することを目指して、令和2年1月に、「富岡市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」を策定しました。
Q
小規模校では、子どもたち一人一人に先生の目が行き届いて、きめ細やかな指導ができると思うのですが、小規模校には、どのような課題がありますか?
A
少人数指導は、意見や感想を発表できる機会が多くなり自分の考えを深めることができる、交代でリーダーを務めることでリーダーシップを培うことができる、などのメリットがあります。したがって、グループ活動を積極的に散り入れ、話し合いや学び合いを行うことは、教育的効果があるといえます。さらに、複数のグループでの交流や学級全体での話し合いによって多様な考えに触れることは、子どもたちの深い学びへとつながっていくと考えます。
しかし、1クラスの人数が少なくなると、グループ学習や集団活動では、複数のグループが作れない、メンバーが固定化してしまうなどの制約が出てきてしまい、多様な考えに触れて自分の考えを深めたり、仲間と互いに高め合ったりする機会が少なくなってしまいます。
また、1学年1クラスでは、クラス替えができず、クラス対抗などクラス同士で切磋琢磨する教育活動を行うことができません。
さらに、教員の数はクラスの数によって決まりますので、教員の数が少なくなり、経験年数や教科などでバランスのとれた教員の配置が難しくなります。複式学級になれば、さらに教員の数は減ることになります。
そして、部活動や委員会活動では、選択肢が少なくなるという課題もあります。
Q
学級の人数はどのように定められていますか?
A
群馬県では、通常の学級の場合、小学校1年生と2年生は30人以下、小学校3年生から中学校3年生までは35人以下の学級編制となるよう教員が配置されています。
小学校1・2年生では児童数が30人までは1学級ですが、31人以上になると2学級に分かれ、61人以上になると3学級に分かれます。
小学校3年生から中学校3年生では、児童生徒数が35人までは1学級ですが、36人以上になると2学級に、71人以上になると3学級に、105人以上になると4学級に分かれます。
また、小学校において2つの学年の児童数が16人以下(1年生を含む場合には8人以下)になった場合は、2つの学年が1つの学級となります。これを「複式学級」と言います。2つの学年であっても学級担任は1人しか配置されません。
なお、中学校では、2つの学年の生徒数が8人以下の場合に「複式学級」となります。
Q
適正規模校にすることで、どのような効果がありますか?
A
1クラスの児童生徒数が増えることで、様々な関わりが生まれ、社会性やコミュニケーション能力が向上する、高め合える仲間が増え、学力や学習意欲が向上する、友人が増える、集団で行う学習や活動が充実する、などの効果が期待できます。
また、クラス替えができることで人間関係に配慮した学級編制ができるようになる、教員の数が増えることで、バランスの良い教員配置ができる、複数の教員による多面的な指導が行えるようになる、教員同士が学び合あう雰囲気が高まり研修が活性化する、保護者同士の交流が広がる、などの効果が期待されます。
Q
基本計画では、適正規模の学級数を12学級から18学級としていますが、その理由は何でしょうか?
A
適正規模の基本的な考え方は4つあります。クラス替えが可能なこと、部活動や委員会活動などにおいて、多様な選択が可能なこと、教科ごとに複数の教員配置が可能なこと、学校施設の円滑な利用が可能な規模です。
これらのことから、小学校は1学年が2~3学級、中学校は1学年が4~6学級、全校で12学級~18学級の学校を適正な規模と考えました。
Q
どのように適正規模にしていくのでしょうか?
A
適正規模・適正配置は、「学校の統合」と「通学区域の見直し」という2つの方法で行っていきます。
まず、学校を統合する場合の基本的な考え方は、統合する学校の組み合わせは校区が隣接していること、学校施設は、可能な限り既存のものを利用し、児童生徒数の多い学校の校舎を使用すること、通学路の安全に配慮することなどです。
また、統合を進めていく中で、児童生徒数の推移や合理的な通学経路などを考慮しながら、必要に応じて、通学区域の見直しも検討していきます。
Q
保護者や地域住民の合意がなければ、一方的に計画を進めないとのことだが、どのように合意形成し、統合をしていくのでしょうか?
A
以下の第1段階から第3段階の3段階で進めていきます。
・第1段階 説明会・適正配置協議会
第1段階の学校別説明会は、昨年度から今年度にかけて、市内17校においてすでに実施しました。
ここでは、基本計画を作成した理由や計画の内容について、保護者・地域の皆様に説明しました。
適正配置協議会では、保護者や地域の代表の方が委員として出席し、適正配置の承認について協議します。
委員の構成は、できるだけ保護者・地域のバランスがとれるように、保護者からは、中学校・小学校PTA、子育連、保育施設、地域からは、校区内の区長会、地域づくり協議会、民生児童委員協議会の代表に出席していただいています。
必要に応じてアンケート調査を行い、課題を整理したり、団体としての考え方を取りまとめたりして、最終的には、委員のみなさんで適正配置の承認について採決を行います。
・第2段階 合同適正配置協議会
適正配置協議会で適正配置への承認がなされたら、第2段階の合同適正配置協議会を行います。
ここでは、統合するそれぞれの学校別の協議会で出された課題の整理や統合の時期について検討し、統合についての最終的な承認を行います。
学校別の適正配置協議会の委員のみなさんにそのまま合同適正配置協議会の委員として出席していただきます。
・第3段階 統合準備委員会
統合準備委員会では、開校に向けて必要な具体的な内容について、一つ一つ協議し、決定していきます。
具体的には、校名や校歌、通学のこと教育方針や教育の計画などについてです。内容がたくさんあるので、いくつかの部会に分けて、進めていきます。準備委員会の中心となる総務部会へは、区長の代表と小中学校PTA会長と学校長に出席していただきます。
また、各部会で必要に応じて、保護者のみなさんへのアンケート調査を行い、意見をいただきながら進めていく予定です。
Q
統合すると子どもたちの環境が大きく変わり心配です。
A
統合により児童の環境は大きく変化しますので、統合前後で学力面・体力面・精神面への十分なケアが必要です。
そこで、統合前から交流学習を行ったり、合同の行事を行ったりしながら、統合後の学校生活がスムーズに進むよう、統合準備委員会で具体的に計画・実行していく予定です。
また、統合後は、児童の様子をきめ細やかに観察し、必要に応じて個別指導やカウンセリングなどを実施していきます。
保護者のみなさんは学校のパートナーですので、気になることがあれば、遠慮なく担任に相談してください。
Q
統合すると子どもたちの通学距離が長くなり心配です。
A
富岡市では、通学距離が一定の距離(小学校:3.5km、中学校:6km)を超える場合には、スクールバスを運行し、子どもたちの通学への負担を軽減しています。令和5年度は、富岡小学校、額部小学校、小野小学校、妙義小学校の4校で運行しました。もちろん、運賃等の経費について保護者の負担はありません。
統合した場合には学校区が広くなりますので、通学距離が長くなることが想定されます。そこで、基準となる通学距離を超える子どもたちに対しては、スクールバスを運行する予定です。
令和6年度に開校した富岡中学校においては、該当地域の生徒への通学支援が始まりました。また、令和7年度に開校するさくら小学校においても、吉田地区、丹生地区の該当地域の児童に対して、スクールバスを運行していきます。
なお、具体的な運行計画については、統合準備委員会で話し合って決めていきます。具体的な運行計画が決まりましたら、保護者の皆様にもお知らせいたします。
Q
制服、体育着、通学カバン、上履きなど学校指定のものはどうなるのでしょうか?
A
中学校では、統合時の2年生から3年生は、現在使用している制服と体育着を使用します。
小学校では、統合時の2年生から6年生は、現在使用している体育着を使用します。統合時の1年生からは、準備委員会で選定された新たな制服や体育着を使用することになります。
ただし、リユースもできるように5年程度の移行期間を設け、現在の制服や体育着も着用できるようにし、保護者のみなさんの経済的負担をできるだけ軽減するよう配慮します。
Q
部活動はどうなるのでしょうか?
A
現在両校で行っている部活動は基本的に継続します。
準備委員会の中で、今後入学する予定の児童及び保護者に対して部活動についてのアンケート調査を行い、その結果に基づき生徒数、担当教員数、活動場所を踏まえながら新たな部活動が設置できるかどうか検討していきます。
統合する前年度の新人戦終了後は、同じ部活動で合同練習を行い部員同士の交流を深めていきます。
Q
校名はどのように決めるのでしょうか?
A
両校の伝統を尊重しながら富岡市の新しい学校としてふさわしい校名を選定していきます。
選定にあたっては校区内住民、児童生徒、保護者のみなさんに意見を求め、市民から親しまれる校名となるよう配慮します。
Q
人数が増えると新型コロナウィルスへの感染が心配です。
A
現在でも人数の多い少ないにかかわらず、感染予防の徹底に努めています。
おかげさまで、市内の学校において集団感染は発生していません。
今後も、これまでに得られたノウハウを生かしながら、感染防止を徹底していきますので、ご協力をお願いいたします。
Q
現在のそれぞれの学校の伝統や良いところがなくなってしまうのではないでしょうか?
A
統合後の学校の教育方針を決める際には、これまでの両校の伝統や強みを生かしながら、検討していきます。
また、閉校式を実施したり、閉校記念誌を作成したりして、それぞれの学校の歴史や伝統を残せるよう配慮していきます。
Q
学校がなくなると地域が衰退するのではないでしょうか?
A
富岡市では、地域づくり課を中心に、地域活動の継続・活性化に向け、円卓会議など、公民館を主体とした若い世代の地域活動への参加に努めています。
また、公民館を暮らしに役立ち、利用しやすい地域の拠点として整備していくことで、地域の皆様が安心して暮らせるよう努めていきます。
円卓会議は、学校統合後の心配事や課題の受け皿としても考えているとのことですので、公民館に足を運んでいただければと思います。
Q
そもそも少子化にならないようにすればよいのではないでしょうか?
A
全国的な少子化の流れを止めることは簡単ではありませんが、少子化対策については、企画課が中心となり、全庁的に施策に取り組んでいるところです。
Q
廃校となった学校の跡地の利用計画はあるのでしょうか?
A
統合後の跡地利用については、財産活用推進課が担当となります。
統合が決まった時点で、その後の利活用について地域の皆様の要望を踏まえて、廃校と同時に事業が始まるよう計画を立てて進めていく予定です。
Q
人数が増えるので、先生たちの目が届きにくくなるのではないでしょうか?
A
群馬県では、独自に、小学校の1・2年生は30人以下、小3~中3は35人以下の少人数の学級編成を行っています。
この学級編成に基づき、配置される先生の数も決まります。
決して、統合で人数が多くなり過ぎて指導や支援ができなくなってしまうわけではありません。
子ども一人一人に寄り添った教育を行うことは、学級の人数の多い少ないに関係なく、重要なことだと考えています。
もちろん統合により環境が変わりますし、そうでなくても成長途上の子どもたちです。
心配なことや、気になることがあれば、ささいなことでも学校に相談いただき、保護者・地域・学校で、協力して子どもの成長を支えていければと思っています。
Q
統合の当事者である子どもたちの意見は聞かないのでしょうか?
A
統合が決まった後には、子どもたちの考えも取り入れながら新しい学校を創っていきたいと考えています。
例えば、新中学校をどんな学校にしていきたいか、子どもたちの意見を聞いたり、子どもたちが話し合う場を設けたりするなどです。
そのような取り組みの中で、子どもたちが「自分たちの学校」という思いを高めていってもらえたらうれしいと思っています。
ただし、統合するか否かの判断は大人がすべきだと考えます。
子供たちに責任を負わせることはできません。
基本計画の内容についてご理解いただき、その上で、統合に承認できるか否か、大人の責任でご判断をいただきたい、というのが教育委員会の考えです。
Q
小中一貫校にする計画はないのでしょうか?
A
小中一貫校とは、「義務教育学校」を指していると思います。
義務教育学校は、小学校と中学校の義務教育9年間を通じて、系統的な教育を進めることを目的としています。また、義務教育学校の標準の学級数は、18学級以上、27学級以下、つまり各学年2学級から3学級とされています
富岡市教育委員会では、義務教育9年間を通じて、系統性・一貫性・連続性のある指導を行うことは重要であると考え、学校間連携の充実に取り組んできています。
一方、適正規模・適正配置基本計画は「適正規模化による望ましい教育環境の実現」を目的としています。
小規模の小学校と小規模の中学校とで義務教育学校を設置しても適正規模校にはなりません。
したがって、適正規模にした上で、小中一貫型小学校・中学校の設置について検討していく予定です。
Q
コミュニティスクールを導入する予定はないのでしょうか?
A
「コミュニティスクール」とは「学校運営協議会」を導入している学校のことです。
学校運営協議会は、校長・保護者代表・地域住民代表・学校支援者などが委員となり、学校運営について協議し、共通理解を図ることで、「地域とともにある学校づくり」を目指すことを目的としています。
富岡市教育委員会では「地域に根ざし、信頼される、魅力ある学校づくり」を目指していますので、学校運営協議会の導入は大変重要であると考えます。ですから、令和6年度から、市内全小・中学校へ導入していきます。
一方、適正規模・適正配置基本計画は「適正規模化による望ましい教育環境の実現」を目的としています。
したがって、コミュニティスクールであるか否かに関わらず、学校の適正規模化は必要だと考えます。
今後も、基本計画に基づき、学校再編に取り組んでまいります。