富岡市立小・中学校

適正規模・適正配置基本計画

富岡市教育委員会は、より良い教育環境の確保と充実を実現させるため、「富岡市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」を策定しました。

令和2年1月に策定した基本計画は、同年8月、新型コロナウイルス感染症への対応方針に基づき、行程案の2年程度の延期と、新しい生活様式に対応する見直しを行い、令和3年4月に改訂しています。

基本計画の説明

学校別説明会では、基本計画について以下の様に説明しています。それぞれの画像右上には、基本計画冊子の対応するページを載せてあります。

基本計画策定の趣旨と背景

全国的に少子化が進む中、本市におきましても、児童・生徒数は減少しており、その結果小・中学校の小規模化が進行しております。学校の小規模化は、学校における様々な教育活動、学校運営にマイナス影響を与えるという懸念があります。

また、学校施設の面では、市内の多くの小・中学校で校舎の老朽化が進んでおり、学校施設の更新が課題となっております。

こうしたことから、本市では、平成30年に委員会を立ち上げて学校施設の在り方について検討を開始し、その後、保護者・地域の皆様との意見交換、パブリックコメントの実施等を行ってまいりました。そして、望ましい教育環境を実現する必要があることから、令和2年1月に、「富岡市立小・中学校適正規模・適正配置基本計画」を教育委員会が策定いたしました。その後、新型コロナウイルス感染症防止対策等を加味し、令和3年4月に改訂を行っております。

富岡市における児童・生徒数の推移

平成20年に3,041人いた児童は、平成30年には、2,376人、1,550人いた生徒は、1,299人に減少しています。推計では、今後も市内の児童・生徒数は、右肩下がりに減少していくことが見込まれます。

市内の小中学校の規模

文部科学省では、小学校・中学校共に、12~18学級の学校を適正規模校としています。しかし、市内小学校11校のうち、適正規模の学校は、富岡小、一ノ宮小、高瀬小の3校のみで、残りの8校は小規模校です。さらに、現在複式学級となっている小学校が3校あります。また、中学校では、6校すべて小規模校という状況です。基本計画作成時点と比べますと、さらに学校の小規模化が進んでいることがわかります。

小規模化に伴う課題

一般的に、小規模校は、児童生徒一人一人に教師の目がいきとどきやすく、きめ細かな指導が行いやすい、と言われています。一方で、集団の中で多様な考えに触れて、自分の考えを深めたり、いろいろな仲間と切磋琢磨したりする機会が少なくなりやすいという傾向があります。また、グループ学習や集団活動では、複数グループが作れない、メンバーが固定してしまうなどの制約や、さらに、中学校においては、教職員数が少なく、教科のバランスのとれた教員の配置が難しいこと、部活動に制約があることなどの問題もあります。

未来を生きる子どもたちに身に付けていってほしい力を考えたときに、小・中学校の小規模化は解決すべき喫緊の課題であると考えます。特に、複式学級がある学校につきましては、早急に解消に努める必要があります。

統合による効果

児童生徒への直接的な効果としまして、一学級あたりの児童生徒数が増えることで児童生徒同士の様々な関わりが生まれ、社会性やコミュニケーション能力が向上した、切磋琢磨し合える仲間ができ、学力や学習意欲が向上した、友人が増えた、集団で行う学習や活動が充実した、などが報告されております。また、教育環境の面からは、クラス替えが可能になった、一校あたりの先生の数が増えたことで、複数の先生による多面的な指導が行えるようになった、先生同士が学び合う、教えあう雰囲気が高まり研修が活性化した、保護者同士の交流が広がった、などといった効果が、報告されております。

統合による課題と対策例

学習や生活環境がかわることへの、子どもたちの心身のケアをどう行うか、という課題に対しては、統合予定の学校同士で子供たちが事前に交流する機会をつくるという対策、通学時の安全確保は大丈夫かとの課題に対しては、登下校の見守りができる体制をつくるという対策、スクールバス等の導入により体力低下の心配はないかという課題に対しては、スクールバスの乗降場所を配慮し、運動量を確保する対策、地域の拠点としての学校の役割が失われてしまわないか、という課題に対しては、廃校施設等の有効利用を検討するといった対策が、先進事例をもとに紹介されております。

これらは、先進事例に基づく報告になりますので、必ずしも、すべてが富岡市に当てはまる、というわけではありません。しかし、教育委員会としては、適正規模・適正配置により、子どもたちがよりよく学ぶことのできる教育環境を実現したい、そのうえで生じる課題に対しては、保護者・地域の皆様のご理解の基、ご検討いただき、ともに解決を探っていきたいと考えております。

新型コロナウイルス等感染症対応

学校の適正規模化に向け、学習集団としての複式学級や単学級は避ける一方で、「新しい生活様式」に対応する必要があります。そこで、「密を避ける教室の配置」「車内での密集を避けるスクールバスの運行」「緊急時にも、子どもたちの学びを保障する、タブレット端末の活用」の3つの観点に留意します。

規模適正化の基本的な考え方

文部科学省は平成27年に、「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引き」を作成しており、本市では、手引きを踏まえ、適正規模・適正配置の基本的な考え方を定めました。

まず、クラス数では、クラス替えが可能なことです。クラス替えにより、様々な人間関係が生まれたり、集団での学習や活動を充実させたりすることが期待できます。

次に、クラブ活動や委員会活動、部活動等において、多様な選択が可能なことです。できる限り、希望する活動を子どもたちが選択できるようにしていきたい、と考えています。

さらに、教科ごとに複数の教員配置が可能なことです。教員数が増えることで、専門的な指導や、複数教員による多面的な指導が可能になります。

最後に、学校施設の円滑な利用が可能なことです。特別教室等を円滑に利用できる規模とします。

これらの点を踏まえ、本市における学校の適正規模の基準を、小学校では1学年が2~3学級、中学校では4~6学級を望ましいとし、小学校・中学校共に、全校で12学級から18学級の学校、としました。この基準に近づけることを目標とし、この後の具体的な計画を立てています。

適正配置の基準・通学手段

通学距離を考慮し、小学校は概ね学校から3.5㎞以内、中学校は概ね6㎞以内を基準としました。通学手段としては、学校統合等により基準とする通学距離を超える場合については、スクールバスによる通学とします。なお、スクールバスの乗降場所、運行時間、本数などの具体的な内容については、適正配置協議会において、ご意見をいただきたいと思います。

適正規模・適正配置の手法

適正規模・適正配置は、学校の統合と通学区域の見直しという2つの方法で行います。まず、統合の基本的な考え方ですが、学級数は、12学級から18学級とします。統合する校区の組み合わせについては、校区が隣接していること、小学校は同一中学校区とします。統合する学校数は2校と限定するものではなく、学校の規模や位置関係を考慮し、3校以上の統廃合もあわせて検討します。学校施設は、可能な限り既存のものを利用し、児童生徒数の多い学校の校舎を使用します。教室は、必要数確保します。通学路については、安全に十分配慮します。なお、各学校、地域の実情に合わせるとともに、また、保護者・地域の皆様の合意内容によって柔軟に進めることは可能です。

適正配置の全体的な進め方

児童生徒の負担を考慮し、中学校の適正配置を優先します。また、11学級以下の小規模校の適正配置を行います。

合意形成の基本方針

適正配置を円滑に進めるためには、保護者、地域の皆様のご理解、ご協力が不可欠です。

この基本計画は、望ましい教育環境を実現するために、これからどのような学校を目指すのかについて、保護者・地域の皆様に、主体的に協議していただくための指針と考えています。決して、市側が一方的に基本計画のとおり推し進めるというものではありません。教育委員会としては、皆様にご協議いただくための適切な資料提供、環境づくりを行ってまいります。

合意形成の進め方(第1段階)

まず、協議の第1段階です。基本計画に係る学校別説明会を開催し、作成に至った理由や計画の内容について、保護者・地域の皆様に説明いたします。この説明会を経まして、基本計画の趣旨等をご理解いただけましたら、学校単位の適正配置協議会を立ち上げます。この学校単位の適正配置協議会では、学校の適正配置を行うか否かについて、保護者や地域の代表の方が協議し、判断する場となります。この第一段階の適正配置協議会において、学校の適正配置に承認するという合意がなされない場合には、次の段階には進みません。適正配置につきましては、様々なご意見があると思いますので、適正配置協議会の中で十分協議し、学校区としての結論を報告していただきます。

協議会の組織

適正配置協議会には、保護者・地域の代表の皆様に参加していただきたいと考えています。委員の構成は、できるだけ保護者・地域のバランスがとれるように、保護者からは、PTA、子育連、保育施設の保護者、地域からは、校区内の区長会、地域づくり協議会、民生児童委員から、それぞれ代表を選出していただきたいと考えています。また、議決権をもたず、必要に応じて助言等を行っていただくオブザーバーとして、学校区内の公民館長、学校の校長、教頭に入っていただきたいと考えています。事務局は学校再編推進室が務めます。

委員の皆様には、保護者や地域の皆様の声を吸い上げていただき、また、保護者や地域の皆様には、委員の方に声を届けていただき、協議を進めていきたいと考えております。

合意形成の進め方(第2段階)

第1段階の学校区の適正配置協議会において、学校の適正配置に承認の合意をいただけた場合は、次の第2段階に移行します。

ここでは、統合する学校区内の各学校で合同の適正配置協議会を立ち上げ、適正配置を行う時期や、今後の進め方について協議していただきます。第2段階は、統合についての最終的な合意の場となります。この合同の協議会において、統合に係るすべての学校区の保護者・地域の皆様の統合の合意が得られましたら、次の第3段階になります。

合意形成の進め方(第3段階)

第3段階では、統合後の新小・中学校の準備委員会を立ち上げ、開校に向けて必要な具体的な内容について、一つ一つ協議・決定をしていくという段階になります。例えば、校名をどうするか、校歌や通学をどうするか、といった内容です。

このように、段階を設け、その都度、保護者・地域の皆様のご意見をいただきながら、合意を図った上で適正配置を進めていきたいと考えています。

配慮すべき事項

①保護者、地域の皆様との情報共有

②児童・生徒の心理的負担への配慮

③通学路の安全対策確認

④点検による安全確保

⑤新しい学校の活性化・特色化に向けた支援

⑥学校の文化的伝統の継承

⑦既存の施設や設備の活用

⑧児童・生徒へのきめ細かな対応が可能な教員配置

⑨言語指導教室・発達支援教室の継続・設置

⑩社会情勢の変化に応じた計画の見直し

廃校となる学校の跡地利用

学校の跡地については、地域の皆様からご意見やご要望を出していただき、庁内機関と連携しながら、ご希望に沿った利活用を検討していきます。ただし、著しく老朽化した建物は再利用しないことを基本とします。

行程表(中学校)

中学校は、前期目標で令和6年度に富岡中と東中を統合した新中学校1、西中と妙義中を統合した新中学校3、を開校します。また、中期目標では、令和11年度に富岡中と東中を統合した新中学校1と北中を統合します。さらに、後期目標では、令和15年度以降に、西中と妙義中を統合した新中学校3と南中を統合し、新中学校4を開校します。以上で中学校の適正規模・適正配置を完了します。

行程表(小学校)

小学校は、前期目標で令和7年度に、一ノ宮小、吉田小、丹生小を統合し新小学校3を開校し、その際には、建築年の古い一ノ宮小の校舎を建て替え使用します。中期目標では、令和9年度に高田小と妙義小を統合し新小学校4を、西小と黒岩小を統合し新小学校2を開校します。後期目標では、令和13年度に富岡小と小野小、高瀬小と額部小の統合、また、令和15年度以降に、一ノ宮小・吉田小・丹生小を統合した新小学校3と、高田小・妙義小を統合した新小学校4を統合し、小学校の適正規模、適正配置を完了します。

基本計画が目指す全体像

最終的には、市内に小学校が4校、中学校が2校となる計画です。その際、2つの小学校に言語指導教室、もう2つの小学校に発達支援教室を整備したいと考えています。また、本市では、現在も小中学校の連携を進めていますが、将来的には、施設分離型の小中一貫教育の検討も視野に入れています。