海洋生物資源科学科
海洋生物資源科学科
海洋生物資源学科には、さまざまな分野に興味をもつ学生が全国から集まってきます。魚の生態や顕微鏡で微生物をみることが好きな学生、「おいしさ」の秘密を探究したい学生もいれば、環境や生態系に関心をもつ学生もいます。一方で、世界を見渡すと地球規模での気候の変動や、その変化に伴うプランクトンや魚の種類や量に影響が顕著に現れてきており、自然環境の理解や資源を持続的に利用するための研究の重要性は高まっています。また、水産物の「おいしさ」や「健康への役割」の探究は、とどまるところを知りません。
本学科は、水圏に関わるさまざまな専門分野の研究者と多様な興味ともつ学生が集まることにより、水圏や現代社会が抱える問題に対して意欲的に、楽しく取り組めるユニークな学びを展開しています。一緒に学び、楽しみましょう!
本学科の研究対象は雨水が集まった小さな泉から湧水、河川、湖、海まで広大な範囲を含みます。海は深海から海面までが研究対象です。さあ、新たな発見を求めてフィールドで、実験室で学びましょう!
本学科には、物理分野、化学分野、生物分野を専門とする教員が揃っており、下に示す6つの研究室によって構成されています。
○養殖学科の新設に伴い、本学科においても新任教員が着任! 新・海洋生物資源学科を創っています!
それぞれの研究室では、学生とともに先端的な研究にチャレンジしています。また、複雑な水圏の生態系構造を明らかにするような学際性の高い水圏の研究プロジェクトにおいては、本学科の多様性を生かして複数の研究室が協力したり、他の大学や研究機関との共同して研究を積極的に進めています。
沿岸海域、海洋や湖沼といった自然環境をフィールドとしています。自然環境の豊かさが育まれる仕組みや、生態系が維持する仕組みを、マクロとミクロな視点から解き明かすことを目指して多様な研究を展開しています。
魚類を中心とする水圏生物の生活史や生態を調べたり、陸水(河川水と地下水)が水圏生物の生産機構とどのように関係しているのかを調べたりしています。
原核生物(細菌と古細菌)、原生生物、ウイルスの個体群が生態系の維持にどのように関与しているのかを、定期的な観測や培養株を使った室内実験により調べています。
湧水が沿岸生態系に果たす役割
多様な生態系における微生物の役割
黒潮や対馬暖流の力学や特徴の解明
漁場環境のモニタリング手法の開発
沿岸域の生態系サービスの評価
海、湖、河川などの水圏には魚類、藻類、卵菌類、細菌、ウイルスといった多様な生物が暮らしています。これらの生物の進化や生命活動の謎を明らかにすべく、フィールド調査、培養実験、各種顕微鏡観察、ゲノム解析など、様々な技術を駆使して研究を行なっています。
珪藻は単細胞の真核藻類で、ガラスの細胞壁をもちます。細胞は1ミリの10〜100分の1程度と小さく、肉眼では見えませんが、顕微鏡で観察すると、その輪郭は多様で、さらに細部をよく見ると、細かい穴が規則正しく整列し美しい模様をつくっています。珪藻がどのように多様性を獲得したのか、また、このガラス細胞壁をどのようにつくっているのか、野外調査や顕微鏡観察、ゲノム解析などの手法を組み合わせて、進化的な観点から研究を行なっています。
研究例:
植物プランクトンの成育の維持や窒素代謝機構
海藻の生活史や生殖機構
藻類の進化・多様性に関する研究
水圏ウイルスの多様性・進化
ウイルスの宿主制御・増殖機構
浅海域における魚類の生活史、生態の研究
新規原生生物の単離培養と性状解析
私たちは海洋生物資源を食料として利用しています。限りあるそれらの資源は栄養源としてだけでなく、それらを如何にして美味しく食べるか、かつ長く貯蔵して利用するにはどうすれば良いか?そんな身近な課題がまだまだたくさんあります。また、魚介類に現存する微生物が引き起こす腐敗や食中毒に対する食の安全対策も必要です。さらに、海洋生物資源の中にはヒトの健康維持に有効に働く生理機能性成分が含まれており、未だ知られていない有用成分の発見とその活用が期待されます。
以上の多面的な研究を通じて、海洋生物資源の持続的な有効利用を目指しています。
研究例
マダイ熟成魚の細菌学的安全性の向上に関する研究
クルマエビを用いた腸炎ビブリオ定着と食中毒のリスク変動評価
腸管の低酸素応答を調節する水産物由来成分の探索
海洋生物資源にさらなる価値を見出す
海の生き物には化粧品・医薬品など生活関連素材として有効活用できる成分が含まれています。海洋生物から未知成分を探索・発見し、その構造や機能を解明する研究を行っています。また、地域で生産される水産物の品質向上や新しい価値の創出を目指し、養殖魚の死後変化や、餌料と品質の関連を調べる研究を行っています。
研究例
魚介類コラーゲンの性状解明・有効活用
低・未利用資源からの生理活性物質の探索
ナマコ類真皮の利活用
養殖マサバの鮮度維持・品質向上
地域での小学生を対象としたプランクトン観察会
最先端の技術や長年の研究成果を生かし、企業と協力してブランド化・商品化に挑戦したり、新たな資源の開発や、学術的知見の養殖産業への適用、社会基盤の漁海況システムに生かす等、応用的な研究も積極的に推進しています。
研究例:
企業と共同出願した技術に基づき、「熟成魚」の安全性の向上を目指した実践的研究
若狭湾の環境に適したワカメ株の選抜と種苗の育成方法の研究
定置網漁場における海洋モニタリング技術の開発およびその現場への適用法の研究
教員が高校へ行って講義や探究の授業のサポートしたり、大学近くの小中学校を対象として大学院生が「海、川、湖」、「食」などの関心を深めてもらう講義を行っています。 (コロナ禍の影響で現在は様子見の事業もあります)
海洋生物資源学科長/博士(理学)
吉川 伸哉
海洋生物資源学科では、海洋生物や水圏環境の研究から、水産資源の持続的利用、食品科学に至るまで、幅広い分野を探求しています。環境・生物・食品という3つの視点から、海や河川、湖沼に関わる多様な現象を捉え、海洋生物資源学を総合的に学べるのが本学科の特徴です。気候変動や生態系の変化が進む現代において、水圏環境の理解、保全や持続可能な利用の重要性はますます高まっています。学生の皆さんには、多様な研究に触れながら仲間とともに成長し、未来の海や水圏環境の在り方を考えてほしいと思います。水面下には、まだまだ未知の可能性が広がっています。本学科で一緒に学び、新たな発見と挑戦に踏み出しましょう。