避難民支援の現状について

ASAGAO有限会社によるご講演から学ぶ、ポーランドの現状

創生部員S:こんにちは!

5月12日にASAGAO有限会社の吉田様、神保様とオンラインで繋いでいただき、ご講演をいただきました。テーマは「ポーランドにおけるウクライナ避難民支援の現状」です。2月24日にロシアがウクライナへと侵攻を開始し、現在(2022/05/12)に至るまで、多くの犠牲者が出てしまっています。そこで今回はその現状を学ぶべく、最前線で支援を行っているASAGAO有限会社のお二人にご協力を仰ぎ、講演会が実現しました。


まず、今回ご講演を頂いたASAGAO有限会社さんについてご紹介します。

〈ASAGAO有限会社について〉

日本ポーランド学生会議及びに一般社団法人日本ポーランド青少年協会の設立者、吉田祐美、神保朱花の二人によって2019年に設立されました。本社をクラクフに置き、東京都合わせて2拠点で営業しています。「人とモノの橋渡し」をモットーに幅広い事業を行っております。(webより引用) 

こちらがホームページになります。☞ASAGAO有限会社


今回のご講演は、以前、オリンピック金メダリストであるアニタ・ヴォダルチクさんとの交流会や、創生部が行った、「人道の街募金」などの繋がりからご機会を頂き、ご多忙のところお時間を割いていただきました。


本日はご講演でお聞きしたことをより多くの方に知って頂くために、書きつづっていきたいと思います!


<吉田さんからのご講演>

吉田さん:早速ですが、現在、ポーランドのウクライナ避難民は何人いるかご存じですか?

ウクライナの人口は4413万人に対して避難民は約500万人、つまり現在、人口の10%近い方々が住む場所を追われ避難民となっています。

そのうちポーランドには半数にあたる約250万人が流入しています。そのうち、ASAGAO有限会社の本社があるクラクフ(ポーランド第二の都市)にも、約20万人もの避難民が押し寄せています。クラクフの人口が約80万人であることから、現在、住人の5人に1人がウクライナ人という状態にあります。

こうした混乱した状態はなぜ引き起こされたのか。その原因は皆さんご存じの通り「ロシアによるウクライナ侵攻」です。ウクライナ侵攻前は、実際に侵攻が起こるまで、誰もまさか侵攻されるなんて予想だにしていなかったそうです。2月24日、侵攻はウクライナ時間の早朝5時に突如として始まりました。

その日のうちに、クラクフ市内ではウクライナのナンバープレートを付けた車が見かけられたり、電車、バスで大きな荷物をもって移動する避難民の方々がみられるようになります。

クラクフではすぐさま避難民の方々を支援する体制が整い始め、避難所、支援物資の受付ポイントの設置が行われました。特に25日金曜日から27日日曜日にかけては、クラクフ市内のほぼ100%のポーランド人の方々が支援のために自宅を開放したり、ボランティアに出かけたりと、支援に加わる姿が見られました。街中では支援物資を運び入れるための車の長蛇の列ができ、ポーランドの人たちの団結力の強さと行動の早さに驚きました。


そして現在、私たちがポーランドで現在取り組んでいる支援は大きく3つあります。

1.クラクフでウクライナ人が経営しているレストランと協力しての食事無料提供

ポーランドでは、レストランでの食事提供をしていて、チケットを持っている避難民の方に無料で提供しています。「暖かい、手の込んだ食事を食べてもらいたい」という思いで成り立っている支援です。


2.クラクフ中央駅への物資支援

ウクライナへの支援をする中で、必要とされるものが月日が経つにつれて変わってきています。中にはキャットフードなど食べている避難民の方々もいるような現状ではあるのですが、現在は子どもの食べ物や、火がなくても食べられるものを主に支援しています。またそれだけでなく、地下シェルター内での長い生活から持病を悪化させる人が出てくるなど、医療品の支援が求められるようになっています。これらの支援を行う中で新たな課題に直面しました。それは、多くの方々から届いた支援物資が盗まれてしまうこと。以前は支援物資を入れる段ボールに直接送り先、内容物を記載していたが、盗まれてしまう事例が頻発したことから、ボランティアに関わる人にだけわかる目印や暗号(付箋やガムテープの色を変える)を利用することで、第三者に内容物が分からないように対策しています。


3.児童養護施設・小学校への支援

子どもたちへの支援として、体育の授業を受けられるスペースを用意しています。

このように支援を継続してきましたが、現在、クラクフでは避難民の方々の流入を背景に、アパート家賃高騰するなど平時と異なる自体が起きており、今後いつまで支援を続けられるのかという不安な状況も続いています。みなさんが知っているように、ウクライナに住む人にとってもポーランドに住む人にとっても戦争は初めてのもので、支援する上でも難しさが生じます。状況判断が大変で、悩んでいる間に望んでいない状況に至ることも少なからずあります。

このような難しさに直面して、感じることがあります。1つは柔軟性の大切さです。また相手の立場を考えて声をかけることの難しさです。同じ状況に立っていない私たちにとって、ウクライナの人たちの辛さ、悲しさは、理解できるものではありません。「あなたに何が分かるの。」と心のなかで思い、気分が優れない状態になる方もいます。そんなとき、どうするべきなのか。同情する?それとも、提案してあげる?その正解はわかりません。しかし、相手に寄り添うことで少しでも相手の心を軽くさせられるといいなと思います。見て見ぬふりだけはしたくないので。

創生部員S:ここからは参加者からの質疑応答をインタビュー形式でお送りします!


Qボランティアをしていく中で心がけていることはなんですか?

吉田さん支援を求めている方の環境は刻一刻と変わって行くものなので、スピードを重視しています。また、支援物資を悪用する人もいるという事実があるので本当に信用できる人かを極めて支援物資を送っています。


Q現地の情報をどのように世界へ発信しているのですか?

吉田さん現地に残り現地の様子をSNSなどを使い発信している方たちがいらっしゃいます。SNSは、誰もが簡単に見ることができるので少しでも現地の雰囲気を知ることの一つになると思います。


Q終わりが見えないボランティア活動の中でモチベーションとなっているものはなんですか?

吉田さんこれからどれだけ支援が必要か、どれだけ支援をしていくことができるのか、予想ができなくなっているのが現状です。だから、支援を求めている方がいる限り支援を続けていくことが必要だと思います。




以上が、創生部主催で開催した講演会の内容です。

今回のご講演では、たくさんのことを知り、たくさんのことを考えさせられるような貴重な時間になったと思っています。人道の街と言われている敦賀市。私達創生部も、ウクライナ支援として「人道の街募金」などの活動は行ってきましたが、今回実際に現地の様子をお聞きすることで、さらに私達にできることを模索し、ひとつひとつ取り組んでいきたいと強く思いました。

なにも、出来なくても、行動を起こさなくても、まずは知ることが大切だと思っています。今何が起きていて、どんな状況なのか。知って、それぞれが考え、捉え、伝えていくことが大切なのではないかと改めて感じました。ぜひ、このサイトでポーランドのことを知り、なにか「考える」きっかけとなっていれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ASAGAOのみなさんも、貴重な時間をありがとうございました。


より詳しく今回の講演会の内容をご覧になりたい場合は、ASAGAO有限会社さんのホームページで一部を動画を公開してくださっているのでチェックしてみてください。

☞動画視聴はこちら

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 福井県立敦賀高等学校 探求部社会的部門「創生部」