熊川葛知っていますか?


皆さん、突然ですが「熊川葛」(くまがわくず)について知っていますか?


正直、私たちも活動前詳しくは知りませんでした。皆さんも存在や名前は知っていても、なかなか詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか?


若狭町には「熊川宿」という、かつて若狭と京都との交易の拠点として発展した宿場町があります。伝統的な美しい街並み、そして今もなお、賑わいを続ける若狭熊川宿。その熊川の地に根付き、伝統として受け継がれているのが「熊川葛」なのです。


今回、私たちは敦賀市を飛び出し、実際に熊川宿に足を運び、「今」の「熊川宿」「熊川葛」について学ばせていただきました。そこには、先人の大切な知恵や、これからも残していくべき伝統、さらにこの地ならではの魅力が本当にたくさんありました。ただ生活しているだけでは気づくことの出来ない魅力や文化を私たちがあらゆる手段で発信していく。今回は熊川宿を拠点に「八百熊川」など文化資源を活かしサービスを提供している「株式会社デキタ」の皆さんにもお世話になりました。ぜひ、この機会に「熊川葛」について、「嶺南」について、知ってください!


「葛」と聞くと思い浮かぶのは、「葛餅」だとか「葛湯」、さらに「くずまんじゅう」などではないでしょうか?葛というのはつる植物で、その植物の根から取れるデンプン粉が高級食材「くず粉」です。その「くず粉」を使ってつくられるのが、「葛餅」や「くずまんじゅう」です。若狭熊川では江戸の頃から葛粉が生産されており、奈良の吉野山で採れる「吉野葛」・福岡県の秋月葛と並んで日本三大葛といわれていました。江戸時代には「鯖街道」を通って京都にも運ばれており、昭和になってからも冬になると熊川の各家庭でも葛が作られていましたが、残念ながら40年程前に熊川でも作る人が途絶えていました。


そんな中で、2010年に熊川地区の有志の方々が集まり、「熊川葛振興会」が結成され、熊川葛をなんとか次の世代に繋ぎたいという思いから、江戸時代の書物などを参考に手探りで熊川葛を復活されたそうです。そして私たちがお世話になったのも、この「熊川葛振興会」の皆さんです。

熊川葛を作る作業は、大きく分けて2つあります。

①根を掘り起こす。

②寒ざらし。

これらの作業について、詳しくは私たちが実際に体験させていただいた情報をもとに別記事にまとめていきます。


今回の記事では、熊川葛の基本的な生産方法、株式会社デキタさんが取り組んでいる商品や、振興会の抱える課題などについて、私たちが教えていただいた情報をもとに紹介していきたいと思います。


熊川葛は、主に冬の時期に生産されます。採取する葛の根に1番デンプンがたまる時期に掘り出し、1番冷たく透き通った水で「寒ざらし」と言う作業を行いデンプンを抽出することで、純白の綺麗な熊川葛が出来上がるのです。


この作業は、寒さの厳しい真冬に長時間かけて行われる大変な生産作業であるにもかかわらず、製品として出来上がる葛粉は、山から収穫してきた葛根の5%程度なんです。しかし振興会の皆さんは、江戸時代から変わらないこの伝統的手法を守りながら、丁寧に作業することで、質の高い葛を生産されています!


そしてこのような純白の熊川葛は、とても希少性が高く、老舗の和菓子店にて使用されています。以前は老舗料理店への出荷もしていたとのこと。


以前、私たちが敦賀市の昆布専門店、奥井海生堂さんにお邪魔させていただいた時にお聞きしたお話にも、この熊川で耳にした京都の老舗料理店の名前が出てきて、驚きと共に「日本食を嶺南が支えている!」と感じてとても嬉しく思いました笑。

熊川葛振興会は現在60~70代の5名のメンバーで作業を行われています。ですが、生産作業はとても大変。さらに、冬にしか生産作業をできない、収益化の難しさからも後継者不足が大きな課題となっています。


そんな中、株式会社デキタの皆さんと葛振興会の皆さんとの協働により葛粉生産以外の方法で、葛を活用した新たな商品づくりを行われ、更なる可能性を広げようと取り組まれています。その一つ熊川葛の葉茶」です。この葛の葉茶で使用している葉・新芽・花は古くから漢方で使われていたものではありましたが、熊川では収穫すらされていないものだったそう。冬季しか寒晒しが出来ない中、葉や茎はそれ以外の季節にも収穫することが出来る為、収入UPにつながると葛振興会の皆さんが若狭町の農山村活性化事業を活用して開発し、さらにそこに株式会社デキタの皆さんも参加され、ブレンド比率の検討を共同で行ったり、パッケージの一新を行い、現在の葛の葉茶の商品化につながったと伺いました。 

町全体を俯瞰的にみて、残すべき伝統や、地域の抱える課題に対して、新たに企業が加わり、新たな視点で課題解決に向けて取り組む。さらに、街全体で経済循環が生まれるよう取り組。そんな関係性や、構造がすごく面白いなと感じました。地域の人だけでは、なかなか新しいことが生まれにくい。さらに地域以外の人だけでも難しい。地域内外の多くの人が、地域も企業も関係なく、混ざることによって、伝統もさらに魅力的なものに化けることができるし、新たな価値が生み出されていくのだと実感することができました。


そして、なかなか体験しないとわからないような伝統や、魅力について、実際に私たち創生部が体験し、様々な手段で広めていく。その大切さにも気づくことができたと思っています。ぜひ、次の記事や、これまでの記事もご覧になってみてください!


デキタのみなさん、振興会の皆さん、この度は本当にありがとうございました。

次回の記事では、私たちが実際に体験した、より詳しい生産方法についてまとめます。ぜひ、ご覧ください!

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 福井県立敦賀高等学校 探求部社会的部門「創生部」