出芽酵母

Saccharomyces cerevisiae

出芽酵母はパン酵母やビール酵母などとも呼ばれ、その名の通りパンや酒の発酵に使われている、私たちの生活にとても縁の深い生き物です。

出芽酵母は、私たちヒトを含む真核生物のなかで、もっとも深く研究されているモデル生物です。出芽酵母ゲノム配列は、原核生物の大腸菌に先だって 1996 年に公開されました。出芽酵母は 16 本の染色体をもち、1200万塩基対のゲノム中に 6000 ほどの遺伝子があるとされています。出芽酵母は、安く早く簡単に培養できる、一倍体と二倍体のどちらの世代も安定に維持培養できる、相同組換えの頻度が高いため容易にゲノムを改変できる、など分子生物学研究の実験生物として非常に優れた特徴を備えています。そのため真核生物のモデル生物として精力的に研究が進められ、出芽酵母を用いて原核生物との共通点、相違点が数多く解明されてきています。

モデル生物として長い歴史をもつ出芽酵母は、出芽酵母の遺伝子や変異体、そのような変異をもつ酵母株など、カタログ化された実験材料が充実しています。また、これまでになされた様々なタイプの網羅的な研究の成果がウェブ上などで公開されているうえ、情報の集積や整理も進んでいます。これまでに蓄積された知見が豊富な出芽酵母は、最先端の実験方法が開発された時のモデルケースとされることも多く、伝統的な実験方法から最新の実験方法まであらゆる実験手法が整備されています。

私たち生命分子遺伝学分野では、「生きた細胞のなかで起こっている生体分子のはたらき」をより深く理解することを目指して、このような真核生物を代表するモデル生物である出芽酵母を用い、伝統的な研究手法と先端的な研究手法を連携させるなど、多様な視点から研究に取り組んでいます。

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