本選びに慣れてきたら、本の(学術的な)格を意識してみよう。
- 本には、学術的な意味で、格がある。(格が、学術的な質をそれなりに担保する。)
- 本を選ぶ時には、出版社や著者に注目してみよう。
- ゼミでは、一定の水準をクリアしたものを紹介してほしい。
〈新書〉
- 学術度:中公新書 > 岩波ジュニア新書 > ちくま/講談社現代新書/光文社新書 > 平凡社新書/岩波新書(私的ランク付け)
- 中公新書は鉄板。
- 岩波ジュニアは学者が書いているのは間違いない。
- ちくま新書、講談社現代新書、光文社新書、平凡社新書、岩波新書などは玉石混淆すぎ。これらのシリーズで本を選ぶ時は、できれば一言相談してください。
- 角川、新潮新書は、学術というよりは実践重視。ゼミでの紹介はやめておこう。
〈選書〉
- 新書より専門性が多少高くなる。
- 筑摩選書 / 新潮選書 / 中公選書 / 講談社選書メチエ など。
- 私はあんまり選書読んでません。講談社は哲学系はそれなりに充実している気がする。最近だと、筑摩選書が面白い印象。
〈著者〉
著者が研究者の場合(大学の先生とか)
- 一応、専門分野のプロということになっている。
- 大学の先生が書く入門書などは、あんまり間違ったことは書いていないだろう... たぶん。
- 本のテーマが、著者の専門と一致しているか確認。例えば、物理学の専門家が恋愛について論じた本を読んでも、恋愛について学術的な知見が得られる可能性は低い。
- 放言系(実績を上げた人や有名人が、根拠なく好き勝手なことを言う)は読む価値なし。
著者が研究者ではない場合
- 現場の人が書くものにもいろいろある。
- 同じく放言系は読む価値なし。
- 経験をふまえた提言などは読んでみてもよいかもしれない。
- 例えば:坂本敏夫『死刑と無期懲役』(ちくま新書、2010年)は、長年刑務官を務めた人が、刑務所のリアルをふまえて、刑罰について考察したもの。刑法学者とは違った視点で問題を見られるようになるはず。
- 社会問題や事件などを取材したルポは読む価値がある。
- 例えば:杉山春『ルポ 虐待』(ちくま新書、2013年)は、大阪二児置き去り死事件を取材し、虐待や女性の貧困問題の背景を探る著作。報道に出るのはわずかだとわかる。現実に触れることで、違った視点で問題を見られるようになるはず。