EvernoteとQFixHowm

最近は「EvernoteとQFixHowm(howm)、どっちを使えばいいのか」と聞かれることがあります。

特にQFixHowmと Dropbox等を組み合わせて使っているような場合は機能的に重複する事もあり悩ましいところがあります。

またGoogleドライブやandroid上のVim+Dropbox「androidでVim (+ howm)」を使えばスマートフォン、ブラウザでの閲覧・編集も可能なので使い分けに悩む人もいるようです。

EvernoteとQFixHowmどっちを使えばいいの?

大前提として「Evernoteで間に合う人は Evernoteを使った方が良い」です。

当たり前ですがテキストエディタとしてのEvernoteの編集効率はVimと比べると低いと言わざるをえません。

しかし使用状況がクリッピングと少量の編集で、自分でテキスト編集することが多くなければ効率を求めてわざわざ Vimを使用する必要もないわけです。

そして、ほとんどの人のテキスト編集は大した量がないので Evernoteでも間に合うはずです。

そもそもどのツールを使うか迷うような場合は、どのツールを使っても大差ないという話もあります :-P

ということで基本的には「大量のテキスト編集を行う」ケースに Evernoteは向いていない、ということになります。

また「大量のテキスト編集」を行わない場合でも Evernoteに向かないケースもあって、それは主に「大量の細かいテキストファイルを扱うかどうか」ということになると思います。

一般に対象の粒度が大きければツールの「性能」はさほど問題にならなくなり、「機能」が問題になります。

たとえば一行二行しかないアイディアメモのファイルが大量にある場合のアクセス時間にはツールの差が出てきますが、大きなファイルでも二、三ファイルしかない場合は、ツールによるアクセス時間の差はほとんど出ないはずです。

howm自体はプレーンテキストのため QFixHowm->Evernoteは簡単ですが Evernote->QFixHowmは面倒なので、しばらくは QFixHowmを使用して Evernoteへは手動でエクスポートして使ってみるというのが現実解かもしれません。

個人的にはandroid上のVimでDropsyncを利用してhowmディレクトリを共有して使用しています。

Evernoteを使用するべきケース

テキスト以外を多く扱う場合は当然 Evernoteを使うべきです。

QFixHowmでもイメージファイル等へのリンクを記述しておけば対応アプリでの閲覧や HTML変換しての表示も可能ですが、基本的にテキスト以外を扱えません。

私見ですが Evernoteは「クリッピング/スクラップツール」と見るべきで、基本は編集をするためのツールではないと考えています。

日記を付けるならブログや Wikiのプライベートモードや自分宛てのGMail等を使用する方がよいでしょうし、表計算なら GoogleDocsの方が便利だと思います。

「自分が作成/編集する」データは Evernote以外を使う方が大抵は便利です。

ただ数十件程度の「自作データ」なら Evernoteで扱っても統一性があって便利ですよ、ということです。

現在メモツールとして Evernoteが真に有用なのは(日本語はかなり厳しいですが)手書きメモをグラフィックとして取り込む場合だと思います。

「閲覧しかしない/他人が作成した」ある程度まとまったデータに関しては基本として Evernoteを使って保存しておくべきでしょう。

閲覧性能には「ブラウザだけで閲覧可能」ということも含まれます。

当たり前ですが Vimが使えない環境でも閲覧・編集可能なことが最も重要であれば、Evernoteを使用するべきです。

ただQFixHowmでもデスクトップ用のGoogleドライブ等を利用してQFixHowmのメモをオンライン・ストレージに同期していれば、ブラウザかアプリからメモを検索/編集可能なので、簡易的にEvernoteのように扱うことは可能です。

この場合はVimの使えない環境で使用する頻度とEvernoteとオンラインストレージ側のテキスト編集で優位性を比較することになります。

QFixHowmの優位性

QFixHowmはある程度まとまった文書より、アイデアや思いつき、覚え書きレベルの細かいメモを大量に扱うことを重視しています。

この辺りはツールの性能差が出やすいところで、Evernoteと QFixHowm(Vim)のどちらを使用するか決定する要因になると思います。

大量のアイデアの中からランダム表示なども Evernoteではなかなか行いにくい処理です。

結論的になりますが主な用途としては、ある程度まで QFixHowmで編集してまとまった形になったら blogなり Wikiなり最終出力先へ持って行ってそちらで完成させるという使い方が基本になると考えています。

この段階で Evernoteへエクスポートしても良いわけです。

メモへのアクセス速度的な面ではわりとこだわっていて QFixHowmは MRUやキャッシュでなるべく高速にアクセスできるように作成されています。

これは「必要なメモは最近閲覧したメモのリスト(MRU)に9割以上が含まれる」という観点から、最終更新時間や最終閲覧時間を重視しているためです。

また本家(Emacs版)では「富豪的プログラミング」として速度を重視していませんが、ここは QFixHowmと思想的に大きく異なるところです。

作者のようにせっかちな人には優位な部分になるでしょう。

QFixHowmを使用するべきケース

QFixHowmを使うべきなのは、Vimで行う作業に対してのメモや予定・TODOを扱いたい場合です。

Vimで行う作業に関するメモを Evernoteで検索したり編集するのは非効率的です。

たとえば QFixHowmには「ペアファイル」 として、現在開いているファイル用のメモに一瞬でアクセスする機能もあります。

次に大きいのはオフラインで使用したいかどうかです。

QFixHowmでも Dropbox等と併用するとネットワーク越しに複数マシンでファイルを共有できますが、基本的にオフラインでローカルファイルを編集するためのプラグインです。

ネットワークに繋がっていることは前提ではありませんので QFixHowmの場合、全てのファイルはローカルに存在しているはずです。

howm云々はともかくとしてテキストはほとんど容量を食わないですし、バックアップとしても個人的には全てローカルにも置いておくべきかと思います。

経験則から言えばネット上にのみ置いておいたデータが必要になった時に限って、ネットに繋がらないものです :-P

いずれにしてもQFixHowmはただのメモ取り用プラグインであり、使用目的を限定しているタイプのプラグインではありません。

あくまで作者はこう思っているというだけのことですが、参考になればと思います。