筆握り方
筆の持ち方には、どんな種類があるのだろうか?
「筆の持ち方によって、線質が大きく変わる!」と感じる書道家もいるぐらいで、書道において、筆を持つことは重要な要素の1つになります。
筆の持ち方が正しければ、筆の扱いが良くなります。筆の扱いが良くなれば、筆がスムーズに動くようになります。スムーズに動けば、線質も良くなります。
線質をよくするために、先人もいろいろと試行錯誤してきました。その結果、ある程度固定してきました。
どの方法も、虚掌実指(きょしょうじっし)といって、手の平を広くあけて、指先に力を入れて、筆を支えます。
筆の持ち方には、たくさんありますが、4つ紹介します。
(横山豊蘭氏の『書道の教科書』を参考にまとめてみました。
①単鉤法(たんこうほう)1本がけとも言う
②双鉤法(そうこうほう)2本がけとも言う
③嗾管法(ぞくかんほう)
④鷲頭法(がとうほう)
これから、それぞれの握り方について、説明していきます。
まず、①単鉤法(たんこうほう)について説明します。
親指と人差し指で筆を持ち、中指を添える持ち方です。
筆に1本指をかけるので、『1本がけ』と呼ぶこともあります。
細字を書くときに適しています。
鉛筆やペンなどを持つときにも使います。
大きい字を書くときにも使って構いませんが、筆が安定しないようであれば、次に説明する双鉤法(そうこうほう)の方がよいでしょう。
次に、双鉤法(そうこうほう)について説明します。
親指と人差し指、中指で筆を持ち、薬指を添える持ち方です。筆管の3分の1程度のところに親指を添えます。筆と親指の角度が90度になるように持ちます。手の平を丸め、中にややすきまができるように持ちます。
筆に2本指をかけるので、『2本がけ』と呼ぶこともあります。
一般的な筆の持ち方で、大きい字を書くときに適しています。しかし、細字を書くときに使っても構いません。
小学校で指導するときにも、この持ち方で指導します。鉛筆等とは異なりますが、大きな筆記用具には適しています。
1本がけよりも、筆を固定させやすいと言えるでしょう。
次に、嗾管法(ぞくかんほう)について説明します。
四指と親指の指先で持つ持ち方です。
大きい字を書くときに適しています。
書家の日下部鳴鶴(くさかべ )が使った持ち方です。
最後に、鷲頭法(がとうほう)について説明します。
人差し指を筆管の上にあて、親指と中指、薬指で持つ持ち方です。
細字で、さらに鋒先を利かせる特殊な方法です。
人指し指の形から、鷲頭法と言われます。
これまで、説明した持ち方の他に、太字用太筆では、
①握拳立異(あつけんりつい):書家の井上有一氏の持ち方
②堤斗法(ていとほう)
③逆手の握拳立異(あつけんりつい)
④双手回腕法(そうしゅかんわんほう)
など、様々なものがあります。
いずれの持ち方も、自分の表現したい効果を出すために、いろいろ工夫されてきたのです。