筆の手入れ

筆は、どのように手入れすればよいのだろうか?

物作りの職人やスポーツ選手などは、すばらしい道具を使います。いくらすばらしい道具でも、手入れをしないとその力を発揮することはできません。ですから、すばらしい選手や職人は、道具にこだわり手入れを欠かさないともいいます。

書道でも同じ事が言えるようです。買ったときは、高額で使い勝手のよい筆でも手入れを怠ると、思うような能力が出せなかったり、抜け毛や切れ毛がでたり、筆が割れて使えなくなったりします。

それほど高額な筆でなくても手入れを怠らなければ、長く使え、手に馴染んでくるものとなります。

①大筆のおろし方

筆は出荷段階では、捌き筆を除き、フノリで穂先が整えられています。これは、わずかに残っている原毛のくせ毛を伸ばして、まとまりをよくする為のものです。

使う前には、このフノリを取り除きます。

①穂の先端からゆっくりと指の腹で揉みほぐしていきます。

       無造作に机などへ押し付つけると、筆を傷める原因となりますので、指の腹部分でやさしくゆっくりと揉みながらほぐしていきます。硬い場合は水やぬるま湯に浸しながら揉んでも構いません。

②おろしたい部分が十分にほぐれたら、水またはぬるま湯に浸して、十分にすすぎ、フノリを取り除きます。

③反古紙(使用済の半紙など)で水分をふき取って、墨をつけて使います。

②小筆のおろし方

細筆の場合、ほぼ100%フノリで固めてあります。細筆はなんといっても穂先(穂の先端の意)が命ですので、筆のおろし方も慎重に行う必要があります。細筆の場合、先端から1/3部分のみをおろして使います。

①太筆と同様、指の腹で先端部分からやさしく揉みほぐします。

②十分にほぐれましたら、先端のみ慎重に水に浸してフノリを取り除きます。

毛量が少ない為、揉みほぐす過程でフノリも落ちてきますので、水洗いせず使っても構いません。

③大筆の手入れ

筆がどんなに良い筆でも、手入れ次第で寿命が変わります。長く使うためには、適切な手入れが大切です。

墨は油や木材を燃やしたときに出る煤(すす)を膠(にかわ)で固めたものです、墨液や墨汁はその煤(すす)を合成糊等で固めて液体にしたものです。筆の使用後に放置しておくと、この煤や膠、合成糊が乾燥して凝固し、様々なトラブルの原因となります。

そこで筆の使用後には、この筆に付着した墨や墨液・墨汁をすすぎ落とすことが大切となります。

①穂先を十分に濡らします。(水をためても、流水でも構いません。)

②指の腹部分で揉み洗いして、墨を洗い出します。

ある程度揉んでも墨が出なくなるまで、根気強く洗います。穂の根元部分で墨が固まると、筆が割れたり、毛が切れたりする原因となります。

石鹸や洗剤は使いません。

③十分にすすいだら、筆の穂を指の腹で押さえつけるような感じで水分を水分を絞り出します。

筆に使われる獣毛は、完全に濡れている場合は、指で揉んでも切れたり痛んだりすることは、ほとんどありません。

指で水分を絞りだした後、反古紙(使用済の半紙など)でさらに水分を取り除いても構いません。

④十分に水分を取ったら、穂先を整えます。

⑤風通しのよいところで完全に乾かしてます。        筆架(筆を架けて乾かす用具)があると便利です。)

キャップは絶対にしません。キャップをすると、水分を含んだ穂の毛が蒸れてしまい、最悪の場合、毛が腐って抜け毛や切れ毛の原因となります.

筆を休ませながら使うと長持ちしますので、可能であれば、お気に入りの筆を2、3本用意するとよいでしょう。

④小筆の手入れ

①墨のついた先端部分を洗います。

反古紙に水を含ませ、筆を寝かせるようにして、墨のついた先端部分を回転させながら墨をふき取ってもいいです。

②ふき取る墨が薄くなるまで続けます。

③穂先を整えます。

④風通しのよいところで完全に乾かしてます。筆架(筆を架けて乾かす用具)があると便利です。)

⑤乾いたら、元のキャップを被せておく。

キャップを被せておいた方が、穂先を不用意に痛めてしまいません。

⑤筆の穂先がわれる場合

丁寧に洗っていても、筆軸の中に埋め込まれている部分から、徐々に墨が残って固まってしまうことがあります。

こうなると、穂が根元から左右に広がってまとまりを欠いてしまうことから、穂先が割れてしまいます。

①コップなどにぬるま湯を入れ、根元の穂がひたひたにつかるように筆を吊るして、して、しばらく浸けて置きます。

墨に含まれている膠(にかわ)は熱に弱いという特徴があります。ぬるま湯につけて、膠を溶かして洗い流します。

②根元を中心にやさしく揉み洗いします。

③十分に洗ったら、筆の穂を指の腹で押さえつけるような感じで水分を水分を絞り出します。

筆に使われる獣毛は、完全に濡れている場合は、指で揉んでも切れたり痛んだりすることは、ほとんどありません。

指で水分を絞りだした後、反古紙(使用済の半紙など)でさらに水分を取り除いても構いません。

④十分に水分を取ったら、穂先を整えます。

⑤風通しのよいところで完全に乾かしてます。        筆架(筆を架けて乾かす用具)があると便利です。)

キャップは絶対にしません。キャップをすると、水分を含んだ穂の毛が蒸れてしまい、最悪の場合、毛が腐って抜け毛や切れ毛の原因となります。.