墨の色

墨の色には、どんな色があるのだろうか?

一般的に、墨は黒いイメージがありますが、実際にはいろんな色の墨があります。

墨色は、「黒」、「青」、「紫」、「茶」に分類されます。

そしてこれらの色の墨を「青墨(せいぼく)」、 「茶墨(ちゃぼく)」と呼ばれます。黒は普通の墨にあたります。

この色合いの区別は、墨を薄めて書いてみるとよく判断できます。

「黒色」

脂気の多い松の木、植物油(菜種油、大豆油、ごま油、椿油)、 鉱物系の重油や軽油、灯油、 カーボンブラック、コールタール、ナフタリンからつくられた 通常の墨をさします。

「青墨(せいぼく)」

「松煙墨」が10年以上たつと自然に青みが 帯びてくるので「青墨(せいぼく)」 と呼ばれています。 しかし、近年「藍(あおい)」などの顔料を使った人工的な 「青墨」が作られています。

「茶墨(ちゃぼく)」

「油煙墨」で、植物油や鉱物油を非常に高い温度 で燃焼させて粒子の細かい煤煙で作 られたものをさします。 しかし、「顔料」を使った人工的な「茶墨」も作られています。

「紫墨」

油煙を主体に顔料を加えて紫色を出した墨です。淡墨での使用にむいています。

淡墨における美しさ

透明感は松煙墨が勝っておりますので、松煙墨の色調の 異なるもの同士を混ぜる方が良く、油煙墨との混ぜ合わせは淡墨に おいては少し濁るようです。

墨は濃く磨り下ろして、 必要な濃度まで薄めることが大切です。 磨る時の力の入れ具合いも大切で、力を入れ過ぎると粗くなります。

濃く磨ることは磨墨液の粒子分布の 幅を広げ、淡墨における冴え・立体感を表現するために大切なことと 考えます。

一つの墨で硯を変えることにより、また、力の入れ加減を変 えて磨墨することにより、色々の色調を表現できるのは、 固形墨だけの面白みでもあります。