液体墨

液体墨(墨汁・墨液)は、どのように作られているのだろうか?

墨を磨って書くことはとっても癒やされることですが、現代においては、時間的な問題などがあり、なかなか難しいものです。

そこで、時間的な問題を解決するために、『液体墨』(墨液、墨汁という名前も使われています)が使われることが多くなっています。

この液体墨は、どのように作られているのでしょうか?

『ウィキペディア』と『書道あれこれ』を参考にまとめました。

明治20年代、小学校教員をしていた田口精爾が冬場に冷たい水で墨をする生徒達を見て液体の墨を作る事を考えたそうです。東京職工学校(現・東京工業大学)で応用化学を学び、その後、墨汁を発明しました。

1898年(明治31年)に「開明墨汁」と名付け商品化し販売を始めました。田口商会(現在の開明株式会社)を牛込区築土八幡(現在の新宿区)に創業しました。

墨汁には天然由来の煤ではなく工業的に作られたカーボン(炭素)を使っているものがあります。(このカーボンは、コピー機などで使われるトナーとほとんど同じ成分である場合もある)。また膠の代わりに化学的に合成された接着系の樹脂を使っているものがあります。

膠を用いた墨液の場合、表装・裏打ちをする際には長時間乾かす必要があり、乾燥時間が短いと墨が溶けます。高濃度の墨液や膠が枯れた墨液はにじみが激しいため、にじみ防止スプレーも市販されています。自分で裏打ちする際には注意が必要です。(ウィキペディアより)

昔から 墨汁と言う製品がありました。 膠を原料に多量の塩分を使って造られていて、その塩分が紙に残るので膠の乾燥皮膜形成が阻害されます。これが表具性の悪い原因です。

絶えず湿気を帯び、梅雨時には作品から膠の腐敗臭が出ることがあります。 乾燥も遅い表具のできない物でした。

  塩分を一切使わない、 乾燥の早い、表具できる液体墨が開発されています。

 

膠を原料としない合成糊剤を 原料とした表具のできる液体墨です。 (墨運堂HPより)

固形墨を磨った場合には、濃くなれば粘りますが、 墨汁の場合には、濃いのに粘らず伸びがある製品を作ることが可能です。

また、固形を磨った墨液は長くても数日で腐るのに対し、墨汁は製品に よっては(開封前であれば)10年の保存が可能です。

そして何よりも 磨る手間が要らず、気軽に使える。この3点が墨汁の特長ですが、 様々な薬品が入っている為に筆毛への影響もあり、どちらが良いともいえません。『書道あれこれ』より