墨の種類

墨には、どのような種類があるのだろうか?

墨には、松煙墨(しょうえんぼく)と油煙墨(ゆえんぼく)の二種類があります。

『墨運堂』ホームページを参考にまとめてみました。

つぎに、それぞれについて説明します。

松煙墨 (しょうえんぼく)

奈良時代後期、平城京図書寮工房の出先作業所の ある和束(わつか)で粗製松煙墨が 初めて製造されました。これを精製して写経用の松煙墨とし たものが和束墨で、奈良朝時代を通じて産地名が明示された 最初の墨であり、我が国最初の松煙墨といわれています。

松の木(特に脂気の多い古木)を燃焼させて採取した 直火焚き法で作ります。直火焚き法については、墨の作り方のページをご覧ください。

  脂気の多い古木を燃焼させて採取した煤が最高です。 また生松(いきまつ)や落木もあるが生松から採取した煤が最高級品です。

松煙は細かい粒子だけの時は赤系 に、少し大きな粒子が混じり始めると 茶系 に、さらに大きな粒子が増えると 紫紺色に、 ほとんど大きな粒子に なると青系になります。

松煙墨は粒子が粗く、光沢の無い、 光を吸収する黒になります。艶やかさは ないが深く重厚な味わいがあり、10年以上たった ものは自然に青みが帯びてくる ので「青墨(せいぼく)」 とも呼ばれています。

松煙タイプの 煤は、あまり高温がかかっていないので、細かい粒子が凝集 して大きな固まりになり、年月と共に青系 に変化していくと考えられています。

油煙墨(ゆえんぼく)

平安時代の末頃になると、松煙墨を製造して都に供給 していたのは丹波国だけで、地方まで供給が行き届くことは、 なかなか難しいのが実情でした。 そこで、古くから手近に製造されていた荏胡麻(えごま)の油を使って 墨を造ることが行われるようになりました。

植物性油・・・菜種・桐・胡麻など

鉱物性油・・・重油・軽油・灯油など

芯焚き法で採ります。鉱物性油の場合は、燃焼温度も 高く より固い煤になります。 油煙タイプの煤は、焼き締められていますから、煤自体凝集 するのが遅いです。芯焚き法については、墨の作り方のページをご覧ください。

油煙墨は粒子が細かく作品に 光沢が出ます。ドッシリと重量感のある名墨は油煙墨に多い といわれています。