会社でおこなう税務手続きにはさまざまなものがあります。
ここでは代表的なものをご説明します。
法人税とは、法人の企業活動により得られる所得に対して課される税です。
基本的に、毎年の事業年度終了後に確定申告をおこないます。
それぞれ期限までに申告と納税の手続きが必要となります。
具体的な法人税の確定申告の流れについては「決算手続きの流れ」のページで解説しています。
ここでは手続きの概要をご説明します。
手続名:法人税の決算申告(法人税申告書・決算書・勘定科目内訳書・法人事業概況説明書)
申告先:税務署・都道府県・市区町村 ※東京23区は市町村へは不要
申告期限と納税期限:決算日から2か月以内
必須/任意:必須
不備や提出漏れに伴うリスク:ペナルティあり
・延滞税(2.4%~14.6%)
・加算税(5%~40%)
・青色申告の取り消し
・金融機関など外部からの信用力低下
申告手続き:弊社ですべて代行いたします(申告書の作成から税務官庁への提出まで)
納付手続き:お客様で納税手続きをお願いいたします。
弊社から郵送の納付書で、最寄りの金融機関にて、納付期日までに納税手続きをお願いいたします。
法人税の決算申告では、以下のような書類を作成し申告する必要があります。
<法人税申告書>
下記をそれぞれ計算するため、所定の様式に従い申告書を作成して提出します。
・法人税の申告書:所轄税務署へ提出
・法人都道府県民税の申告書:各都道府県へ提出
・法人市民税の申告書:各市区町村へ提出
<決算書>
年間の損益と財産状況を報告するため、下記書類を作成します。
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
<勘定科目内訳書>
決算書に記載した勘定科目ごとに、その内訳明細を作成し決算書に添付します。
<法人事業概況説明書>
法人の業務・業況などを報告するため、下記などを記載して決算書に添付します。
・法人名
・納税地
・事業内容
・期末従業員数の状況
・月ごとの売上や仕入れなどの主要科目
予定納税とは、確定申告の前に法人税の一部をあらかじめ納付する制度です。
予定申告と予定納税納税の概要は下記のとおりです。
手続名:法人税の予定申告
申告先:税務署・都道府県・市役所
申告期限と納税期限:期首から8ヶ月以内
必須/任意:要件を満たせば必須(前年度の法人税額が20万円を超える場合)
不備や提出漏れに伴うリスク:納税遅延でペナルティあり
・加算税(5%~10%)
・延滞税(2.4%~14.6%)
カイポケ税理士サービスでは、オプションとしてご用意しております。
会社が給与の支払いをする場合、その給与から源泉所得税を天引きし、従業員に代わり、源泉所得税を国に納付する制度です。
年末には、年末調整手続きの中で、従業員のその年の所得税の計算をし、その年に天引きした源泉所得税について、精算することになります。
源泉所得税の概要は下記です。
対象:従業員など
納付先:国
税額計算の基礎となるもの:1月から12月までの所得
納付方法:会社が納付
徴収方法:従業員の給与から天引き
源泉所得税は下記期限までに納付を行います。
納付期限:(原則)給与支払月の翌月10日まで
(例)4月1日~4月30日に支給した給与にかかる源泉所得税
→ 5月10日までに納付
ただし特例として、下記手続きをおこなうことで年2回の納付に切り替えることが可能です。
手続名:源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
要件:従業員数が常時10人未満の会社
提出先:税務署
納付時期:年2回(7月10日と1月20日)
適用開始:提出した月の翌月に支給する給与分から
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、所得税を下記のタイミングで納付可能になります。
1~6月に源泉徴収した所得税:7月10日までに納付
7~12月に源泉徴収した所得税:翌年1月20日までに納付
※土日、祝の場合は納付期限は休日明けになる
納期の特例の対象になる所得
納期の特例の対象になる所得は下記に限られています。
・給与や退職金から源泉徴収を行った所得税
・弁護士、税理士、司法書士などの報酬・料金から徴収した所得税
上記以外の原稿料や講演料などに対する源泉所得税は、翌月10日までに通常どおり納付する必要があります。
住民税の概要は下記です。
対象:その都道府県や市区町村に住んでいる人
納付先:各市区町村
税額計算の基礎となるもの:前年の1月から12月までの所得
徴収方法:2種類(普通徴収と特別徴収)
普通徴収は、住民税の納付の原則的な方法で概要は下記です。
対象:自営業者や公的年金所得者
納付者:納税者本人
納付方法:年4回(6月・8月・10月・翌年1月)
納付個人に納税通知書が届きます。通知書に基づいて年4回に分けて納付します。
特別徴収は、会社が従業員の代わりに納付する方法で概要は下記です。
対象:サラリーマンなどの給与所得者
納付者:会社(従業員の代わりに給与から天引きして納付)
納付方法:年12回(年税額を12等分した額)
納付期限:翌月10日まで
下記のタイミングで、住民税の徴収方法の切り替え手続きが発生します。
設立初年度
年度の途中で従業員を雇用した場合
年の中途で従業員が退職した場合
<設立初年度>
設立初年度は基本的に普通徴収になります。
特別徴収に切り替えたい場合は、従業員の住所地の市区町村へ切り替え手続きが必要となります。
<年度の途中で従業員を雇用した場合>
途中入社の従業員について特別徴収に切り替える場合は、従業員の住所地の市区町村へ手続きが必要となります。
<年の中途で従業員が退職した場合>
住民税の特別徴収をしている場合は、普通徴収への切り替え手続きが必要となります。
提出期限は市区町村によって異なりますので、退職者の住所地の市区町村へ確認が必要です。
償却資産税とは償却資産に対してかかる税です。
償却資産とは、建物や土地を除く事業用に使われる機械や器具などの資産を指します。
カイポケ税理士サービスでは、オプションとして償却資産の申告代行をご用意しております。
償却資産税の申告の概要は下記のとおりです。
手続名:償却資産税の申告
対象:1月1日時点で所有している償却資産
必須/任意:必須
納付方法:年4回 ※自治体によって異なる
申告期限:1月31日
ペナルティ:
・正当な理由なく申告しない場合:10万円以下の過料
・虚偽の申告をした場合:1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
各自治体で会社の償却資産の所有状況を確認することが困難なため、償却資産申告書の内容をもとに税額を確認します。
1月1日時点で所有している事業用に使われる機械や器具などの資産
※建物や土地を除く
※無形固定資産を除く
30万円未満の少額資産であっても、一定要件に当てはまる場合は申告対象の償却資産となります。
また、下記のような資産も申告対象となるため注意です。
赤字のため減価償却を行っていない資産
耐用年数が経過して償却が済んでいる資産
申告対象資産の課税標準額の合計が免税点(150万円未満)となる場合の取り扱いは下記です。
課税:なし
申告:必要
ここでは、税務署や地方自治体に対して提出する税務届について解説します。
カイポケ税理士サービスでは、税務届の手続き代行をオプションとしてご用意しております。
下記のタイミングで税務届を作成して提出します。
会社を設立したとき
異動があったとき
それぞれのタイミングごとに提出する届出書についてご説明いたします。
会社設立時に実施する手続きには下記のようなものがあります。
法人設立届出書
青色申告書の承認の申請書 ※
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 ※
申告期限の延長の特例の申請書 ※
※印は任意
<法人設立届出書>
提出先:税務署・県税事務所・市税事務所 それぞれに提出
提出期限:会社設立日から2ヶ月以内 ※自治体によって異なる
必須/任意:必須
国税庁の該当ページはこちら
<青色申告書の承認の申請書>
提出先:税務署
提出期限:会社設立日から3ヶ月以内
※設立から3ヶ月以内に事業年度が変わる場合はその事業年度内
必須/任意:任意
国税庁の該当ページはこちら
<給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出>
提出先:税務署
提出期限:事務所等開設日から1ヶ月以内
必須/任意:必須
国税庁の該当ページはこちら
<源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書>
提出先:税務署
提出期限:定めなし
適用時期:提出日の翌月に支払う給与等から
必須/任意:任意
国税庁の該当ページはこちら
<定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書>
提出先:税務署
提出期限:最初に適用を受けようとする事業年度終了の日まで
必須/任意:任意
国税庁の該当ページはこちら
下記のような変更があった場合は、所定の税務届の提出が必要です。
事業年度等の変更
納税地の異動
資本金の額等の異動
商号又は名称の変更
代表者の変更
事業目的の変更 など
国税庁の該当ページはこちら
<事業所を新設・移転した場合>
手続名:
・国:異動届、給与支払事務所等の開設・移転届出書
・都道府県:異動届(県外の場合は設置届も)
・市町村:異動届(市外の場合は設置届も)
期限:異動等後速やかに
<事業所を廃止した場合>
手続名:
・国:異動届、給与支払事務所等の廃止届出書
・都道府県:異動届
・市町村:異動届
期限:異動等後速やかに
登記簿謄本の記載事項に変更があった場合は、謄本の変更をお願いいたします。
本店移転の場合は定款の変更も必要となります。
変更された場合は、弊社にお知らせいただくとともに、登記簿謄本(定款)のご送付をお願いいたします。