従属節の作り方
セルナーダ語には地球の多くの言語と同様、複文が存在する。複文とは文の主要部となる主節に、さまざまな説明を加える従属節が組み合わされたものである。従属節が複数、存在することもある。
印欧語族の言語などは関係詞、関係代名詞といったものを用いてこの関係を表現するが、セルナーダ語にはこれにあたるものがほぼ存在しない。したがって、主節と従属節の関係は、主に文脈で読み取るのが一般的である。
また、セルナーダ語にはこれとは別に、動形詞や動副詞を用いた疑似修飾節と呼ばれるものもあるため、通常の従属節と混同しないように気をつけなければならない。
形容詞節となる従属節
tudev reysuzo zemges moyetazo.(俺は)妹を殺した男を捕まえた
【tudev】捕らえた tudar動一火過 【zemgas】殺した zemgar動三火過
【moyeta】 妹 名地
例文では、tudev reysuzo までが主節となる。zemges moyetazo は主節につく従属節である。
まず主節は「(俺は)男を捕らえた」となる。従属節は「(彼は)妹を殺した」である。
この場合、従属節が主節の名詞【reysuzo】を形容している、とも表現できる。このように、主節の名詞を形容するものを特に「形容詞節」と呼ぶ。一般的には主節のもっとも後ろにくる名詞を形容する。他の名詞を形容することも文法上、可能ではあるがかなりわかりづらい文になるため、あまり用いられることはない。
しかし、以下のような用例もある。
resa zemna vis lakes.俺が愛した女は死んだ
上記の例では、主節はresa zemna 女は死んだ 従節は vis lakes 俺が愛した となる。主節には主語である resa 以外には名詞は存在しないため、自動的に resa のみが形容詞節によって修飾できる語だと判断できる。このようなわかりやすい例のときには、間に動詞を挟んでも従属節をつけることはある。
名詞節となる従属節
abogav ers za:ce reys.(彼は)ひどい男だと(あたしは)思った
【za:ce】悪い、ひどい 形
今回の場合、abogav が主節「(あたしは)思った」、ers za:ce reys が従属節「(彼は)ひどい男だ)」となる。普通、abogavは目的語を必要とするが、この例では従属節は目的語そのものとなっている。目的語は名詞でなくてはならないため、これは「名詞節」とみなされる。
fikuga dusonvas sa+gxan resazo.(彼は)汚い女を嫌うと(彼女は)感じた
【fikuga】感じた fikure動一地過 【dusonvas】嫌う dusonvar動三火現
【sa+gxan】汚れた、汚い、汚れるような 動形
この例では、fikuga(彼女は)感じた が主節、dusonvas sa+gxan resazo (彼は)汚い女を嫌う が従節となる。
これも目的語を必要とする fikuga の従節が、そのまま目的語となっている。したがってこの従属節もまた名詞節である。
副詞節となる従属節
farum martos reysizo cajos tansazo tsem.(彼は)娘を助けるため、(彼は)素早く男たちをおいかける
【farum】速く、素早く、高速で 副 【martos】追う、おいかける martor動三火現 【cajos】救う、救ける cajor動三火現 【tsem】~ため 目的の後補
上記の例では farum martos reysizo (彼は)素早く男たちをおいかける が主節、(彼は)cajos tansazo tsem が従属節である。この場合、従属節は主節の動詞【martos】「おいかける」のはなぜかを説明している。つまり副詞のように「動詞を修飾している」といえる。こうしたものが「副詞節」と呼ばれる。
aloga lakreysule a:kara era e+kefe teg.贈り物が素晴らしいので彼女は恋人に感謝した
【aloga】感謝した alor動詞三地過 【a:kara】贈り物 名地
【e+kefe】素晴らしい 形 【teg】~ので 原因の後補
この例では、主節は aloga lakreysule(彼女は)恋人に感謝した、従節は a:kara era e+kefe teg 贈り物が素晴らしい、である。副詞節ではteg(原因)、dog(理由)、tsem(目的)といった後置補助詞が従属節の後ろにつくことが多い。
さらにこの例の場合、いままで紹介した幾つかの例文と同様、「主節と従属の時制は一致していない」。セルナーダ語では、節によって時制を統一する必要はない。もちろん、同じ時制にしてもかまわない。