修飾の順番

セルナーダ語は前置修飾、つまり他の語を修飾する語がその語よりも前にくる。一部の例外を除いては、これが基本的な修飾語順である。



betnas jabce ja:mzo artistse.(彼は)危険な敵を剣で倒す



【betnas】 倒す、打ち倒す、退治する betnar動詞三火現 【jabce】危険な 形

【ja:m】敵、敵対 名火


この例文では、主語は省略されているが、動詞の活用で三火、つまり彼、もしくは彼らとわかる。ただ、これでは単数と複数がわかりにくいため、複数の場合は代名詞は省略されないことが多い。

例文では形容詞【jabce】が名詞【ja:m】の前に置かれている。これで「危険な敵」という意味になる。この点は、日本語などと同じ修飾語順である。



no:vce len casma:ma zeresa tenega zertigazo ra:cusle.黒い長い髪の尼僧が法力を味方に使った



【no:vce】黒い 形 【len】長い 形 【casma:】頭髪、髪 名地

【zeresa】尼僧 名地 【tenega】使った、使用した tenar動三地過

【zertiga】法力(神の授ける特殊な力) 名火 【ra:cus】仲間、味方 名火


こちらの例文は形容詞【no:vce】と【len】が並んでいる。ただし【no:vce】が修飾しているのは【casma:ma】である。セルナーダ語では形容詞は名詞しか修飾できないため、【len】は修飾できず、次に存在する名詞【casma:】を形容しているとみなされる。【len】もまた同じ語を修飾しているため、結果として「黒い長い髪」となる。



mig farum fajute vucan fost ko:ratzo.あなたはごつごつした山道をとても速く走った



【mig】とても、かなり 【farum】速く 【fajute】 fajure動詞二過

【vucan】 形 ごつごつした 【fost】 山、山岳 【ko:rat】道 名地



上記の例文には、副詞が使われている。【mig】は後ろの【farum】を修飾し、この二つの副詞をあわせて【fajute】をさらに修飾していると見なす。 【vucan】は形容詞なので後置された名詞【fost】を形容していることになる。なお、【fost】と【ko:ratzo】はともに名詞ではあるが、この場合、日本語的に表現すると「山道を」と解釈するのが自然である。動詞の活用以外、ほぼ膠着語的な言語となったセルナーダ語では、名詞が並んだときは、日本語のようにそのまま一つの語のように扱ってもかまわない。