付属語
通常のセルナーダ語は、主語、述語、目的語、そしてこれらを修飾する語などからなりたっているが、もう一つ、「付属語」と呼ばれるものが存在する。
付属語は英語文法における「補語」に似た概念である。たとえば奪格、共格、具格、処格、向格などがつく名詞は、すべて付属語にあたる。
tokuv malzo resapo.(俺は)女から金を奪う
上記の例では tokuv malzo だけでもすでに文は成立しているが、さらに resapo 女から という情報がこの文では付属されている。
tokuv malzo resapo gazgatse ra:cuscho to:jsunxe.(俺は)街で仲間と暴力によって女から金を奪う
gazgatse 暴力によって ra:cuscho 仲間と to:jsunxe 街で といったものもすべて付属語である。これらの語は文を成立させるために必ずしも必須ではないが、状況をさらに詳しく説明するために使われる。
付属語の位置
付属語の位置は、一般に目的語の後ろであることが多い。
nodos tarsuyzo tarsefnxe.(彼は)酒場で酒を飲む
【nodos】飲む nodor動三火現 【tarsuy】酒 名地 【tarsef】酒場、飲み屋 名地
この文は動詞 nodos の目的語が tarsuy であり tarsef が付属語となる。ただし、この順番を入れ替えた nodos tarsefnxe tarsuyzo であっても文法的には問題ない。あくまで前述の語順のほうが、自然でよく使われるだけである。ただし tarsuyzo tarsefnxe のいずれかに従節を用いて名詞的に修飾したいときなどは、修飾される語を一番、後ろにおいてそこに従節をくわえねばはならない。
また、通常、付属語は文の述語となる動詞の後方のどこかにつくが、他の節、もしくは疑似従節に含まれる場合は、動詞の前に結果として置かれることもある。
時間に関する付属語
セルナーダ語では、時間に関する表現はよくいえば多様、悪くいえば曖昧である。
jensolf kilnos ja:mle.今日、(彼は)敵に(と)戦う
【jensolf】今日 名火
ここではjensolfは主語「ではない」点に注意が必要となる。動詞 kilnos の活用から、この文の主語は表記されていないが (彼は)だとわかる。jensolfは、実は名詞の付属語である。ただし、ここでは名詞でありながら、いわば文全体を修飾する副詞のように使われている。こうした語は「副詞句」と呼ばれる。これは英語の副詞句とほぼ同じ概念である。
よりわかりすやく書けば、次のようになる。
jensolfunxe ot kilnos ja:mle.今日、(彼は)敵に(と)戦う
jensolfunxe は接尾辞から「処格」であるとわかる。ただし、nxe に ot が後続した場合、場所ではなく「時間、時刻」などを意味する。むろんこれは付属語とみなされる。時間表現に限り、付属語でも動詞の後ろではなく、むしろ文頭に付属語がつくことが多い。ただし、他の付属語と同様、これは後ろにつけてもよい。
kilnos ja:mle jensolfunxe ot.
kilnos ja:mle jensolf.
どちらも意味はまったく同じである。
こうした時間表現では、jen(今) uld(昔、過去、かつて) nos(未来、将来)といった単語でも同じように表現される。
また季節、昼や夜など、他の時間に関する表現でも同様である。