第127回


第127回現代人類学研究会『フィールドを多様なレベルで考える―芸術人類学・日本学・歴史学の視点から』


2024年1月20日(土)にオックスフォード大学歴史学研究科 博士課程のChiara Comastariさんと、オックスフォード大学日本学研究科で修士を取られたLavinia Scarpinellaさんを招いて、セミナーを行います。

(追記:2024年1月20日に無事、講演を行えました。オンライン・オフライン合わせて、約40名ほどの参加者に来ていただき、活発な質疑応答も、ありがとうございました。)

詳細は以下の通りです。


第127回 現代人類学研究会『フィールドを多様なレベルで考える―芸術人類学・日本学・歴史学の視点から』

場所:東京大学駒場Ⅰキャンパス14号館407教室(ハイブリッド開催)

時間:12時から14時

要旨:

J・クリフォードが1986年に『文化を書く』を刊行して以来、人類学の研究手法は様々な変化を遂げてきました。

人類学者・箭内匡は『21世紀の人類学 世界の新しい捉え方』において、それらを幾つかの形にまとめながら説明しています。

それは例えば、通常、文化的・社会的な視点から論じられるフィールドの問題を、個人的なレベルから考えようとする試みであったり、フィールド上に現れる現実を複数的なものと捉え、それらの間を繋ごうとするものであったりします。あるいは、通常、現在性の中で語られる民族誌的議論を時間的・歴史的な連続性との関連において行おうとするものであったりもします。

いずれにせよ、これらの研究姿勢は、それまでの典型例から離れた非典型的なスタイルであると言えます。

本セミナーでは、芸術人類学・日本学・歴史学の各分野における、非典型的な側面を持った研究発表を行います。

塚本は芸術人類学の先行研究を整理し、その発展可能性を、生体を素材としたアート―いわゆるバイオ・アート―の実践の場におけるフィールドワークの事例をもとに示します。Lavinia は伊豆稲取地区への調査をもとに、同地の伝統工芸つるし雛と地域振興としての観光行政の複雑な関連性を当事者である職人の声と共に考えます。Chiaraは通常、都市圏を舞台に、男性的アクターを中心に研究される日本の戦後民主主義の過程を、広島の農村で活動を行った女性作家・山代巴の活動から見つめ直します。


12:00~12:10 趣旨及び注意事項

12:10~12:40 塚本隆大(東京大学)「芸術人類学の発展可能性―バイオ・アートの現場から―」(発表言語:日本語)

12:40~13:10 Lavinia Scarpinella(オックスフォード大学修士課程卒業)「Crafting Town Revival: Tsurushibina-Tourism as a Strategy against Rural Decline in the Inatori District of Higashi-izu Town”」(発表言語:英語)

13:10~13:40 Chiara Comastari(オックスフォード大学)「Post-war Democracy and Women’s Self-expression: On Yamashiro Tomoe’s Cultural Practice in Rural Hiroshima  戦後民主主義と女性の自己表現:広島の農村における山代巴の文化的実践をめぐって」(発表言語:英語)

13:40~14:00 フロアセッション(Lavinia、Chiara共に日本語堪能な為、日英併用)


本セミナーは、異なった領域と背景を持った研究者同士の交流や、会場との創発的なディスカッションも目的としています。

質疑応答や全体での討論の時間も長めに取っています。Laviniaさん、Chiaraさん共に日本語も堪能ですので、日本語での発言・質問も問題ありません。