なぜ国際社会は
ウクライナでの戦争を
止められないのか?
なぜ国際社会は
ウクライナでの戦争を
止められないのか?
第3回では、「なぜ国際社会は戦争を止められないのか」というテーマについて、企画準備会メンバー2名の話題提供から始まりました。
最初の話題提供者の岡本達思さんからは、東西融和のチャンスが活かせないまま、プーチン大統領の統治危機を背景にウクライナへの侵攻が行われ、その侵略戦争に対しウクライナは民族自決の闘いが開始された。そうしたウクライナ人の闘いを否定することはできないが、戦争は早期停止させなければいけないので、そのために市民としてもいろいろな方法でアクションを起こす必要があると話されました。
次に、小泉尊聖さんから、NATOでのご経験をもとに、コンストラクティビズムの視点から、対立する両者にとって共通の安全保障を考えていく必要性についての指摘をいただきました。
その上であらためて、「なぜ国際社会は戦争を止められないか」について、両報告者から人間の命や尊厳を大切にするという価値観が共有されていないからだという話があり、助言者の家田修先生から国際政治の場面ではその共有は難しく、その上でできる限り戦争を避けるためにはどうしたらよいか、という課題についてお話しいただきました。
また、同じく助言者の長沢栄治先生から、ロシアという国が今回なぜ戦争を起こしたのかについて考える必要があるという話がありました。
民族自決についての話し合いでは、個人の命や生活を守るための「自衛」と、民族や国家を守るための戦争について、国民=天皇の赤子という戦前の家族国家観のように、自分の大切な人の命を守ることの延長上に国家や民族があるようにつくられていく構造があるとの意見も。(かつてアメリカの政治学者ベネディクト・アンダーソンが「想像の共同体」と表現したように)民族や国家自体もつくられたものであり、それが原因(近代国家間の戦争は多くの場合、少数民族の保護を名目とする。今回の場合は、ウクライナ東部で迫害を受けているという親ロシア系住民の保護を名目)で戦争が起きているとの説明もいただきました。
具体的には、例えばウクライナには父・ウクライナ人、母・ロシア人(もしくはその逆)を両親にもつ人たちが大勢いるが、国勢調査等で示されるウクライナ人〇%、ロシア人〇%という民族構成比は、「あなたの母語は何語ですか?」などの質問への回答(一択のみ可)をもとに算出しています。現実は多様であるにもかかわらず、その多様さが捨象され、ある民族や国家がつくられ、それが原因で戦争が起きていることについて、私たちはどのように考え、発想の新たな転換をしていったらよいのだろうか、ということを話し合いました。