研究主題

島根県小中学校養護教諭研究会 研究主題(令和4年度~)

 子どもたちの今と未来を見つめ、「生きる力」を育む養護教諭をめざして

 ~心身ともに健康で、未来に向かって 共に力強く生きようとする島根の子どもの育成~ 

○研究主題の基本的な考え方 

 子どもたちが心身ともに健やかに育つことは、時代を超えて全ての人々の願いである。
  しかし、近年の社会環境や生活様式の急激な変化は、子どもたちの心身の健康に大きな影響を与え、肥満・ 痩身、生活習慣の乱れ、メンタルヘルスの問題、アレルギー疾患の増加、性に関する問題、喫煙、飲酒、薬 物乱用など、多様で複雑な課題を生じさせている。身体的な不調の背景には、いじめ、児童虐待、不登校、 貧困などの問題が関わっていることもある。災害や事件・事故発生時における心のケアや、感染症の流行な どの問題も深刻さを増している。また、特別な支援を必要とする子どもの数は増加傾向にあり、指導や支援 の充実が必要とされている。
 このような時代の中で、子どもたちには変化を前向きに受け止め、多様な人々と協働しながら、心身とも に健康で心豊かにたくましく未来を切り拓くことができる「生きる力」を育むことが求められている。この 実現のために、養護教諭はその専門性や学校保健推進の中核的役割、コーディネーターの役割を発揮し、組 織的な学校保健の展開を行い、子どもたちに「生きる力」をしっかりと発揮できる資質・能力を育成する必 要がある。
  子どもたちの健康課題の早期発見・早期対応は、問題の深刻化を防止するとともに、スムーズな解決にも つながる。養護教諭は、子どもたちの身体的不調の背景に様々な問題が関わっていることなどのサインにい ち早く気づくことができる立場であることから、健康相談で担う役割は大きい。養護教諭の職務の特質や保 健室の機能を十分生かして子どもたちの心と体の両面への対応を行い、関係者と共に支援を行っていきたい。
  また、「しまね教育魅力化ビジョン」においては、「学びを支える基礎体力や基本的生活習慣」が、島根の 子どもたちに育成したい力の一つに位置付けられている。このことも踏まえて改訂された「学校保健計画策 定の手引き~しまねっ子元気プラン(R2.3)~」を活用し、「チーム学校」の一員として組織で健康づくりを すすめ、家庭、地域、関係機関のネットワークを生かした体制づくりと健康課題のさらなる解決に向かって、 学校における取組を充実させていきたいと考える。健康教育を進めるにあたっては、子どもたちの心身の状 況等を踏まえ、エビデンスに基づく個に応じた指導・支援を充実させることにより、生涯を通じて心身とも に健康な生活を送るための資質・能力を育成することが重要とされている。これらのことも考慮したうえで、 各学校の実態にあわせた取組を進めていきたい。
  以上のような考えに基づき、島根県小中学校養護教諭研究会では、心身ともに健康で、多様な人々と共に 生涯にわたって力強く生きようとする島根の子どもの育成を目指していきたいと考える。そのために、一人 一人の子どもに寄り添い、常に自己研鑽に努め、他の教職員との連携のもと、子どもたちの今と未来を見つ め、共に歩む養護教諭でありたいという思いを込めて本主題を設定するものである。 

*学校保健・・・ 学校において、児童生徒等の健康の保持増進を図ること、集団教育としての学校教育活動 に必要な健康や安全への配慮を行うこと、自己や他者の健康の保持増進を図ることができ るような能力を育成することなど学校における保健管理と保健教育 (文部科学省 HP 初等中等教育局健康教育・食育課「学校保健の推進」)