日本霊長類学会(PSJ36) 自由集会2 (W2)

日時 2020年12月4日(金) 午後3時‐6時 オンラインにて開催

※申込要(こちらのフォームよりお願いします

この自由集会に関する要旨と申し込み方法をまとめたPDFはこちらからご覧ください

絶滅危惧種の違法取引と大型類人猿のエンターテイメント利用に、専門家としてどう向き合うか

動物福祉や保全への意識が高まる現代においては、野生動物を飼育するうえで、飼育する動物及びその本来の生息地に負担を与えないことが飼育の前提となってきている。しかし、現在でも動物福祉や生息地保全の観点から問題となる事例も存在する。

今回とりあげる大型類人猿のエンターテイメント利用と、霊長類のペット取引について、動物福祉・保全の観点から専門家から多くの問題が指摘されてきた。大型類人猿のエンターテイメント利用に関しては、幼少期の不必要な母子分離を引き起こしやすいことや、それに伴い群れ飼育との両立が難しいこと、種本来の行動習得ができなくなることなど、動物福祉の観点から問題点がある。さらに、絶滅危惧種である大型類人猿が擬人化された形で見せられることで、絶滅危惧種としての認識がさがるといった環境教育の観点からも問題が指摘されている。また、ペットのための違法取引が、スローロリスやマーモセット類など野生霊長類の個体数減少に寄与していることが知られている。その取引の現場では動物が死ぬことも多く、人獣共通感染症につながる怖れもある。残念なことに、日本にその多くが輸入されている実態などがあきらかとなっている。こうした問題に対して、研究者個人やそのグループが、その実態を把握したり、問題提起したりするなどを行ってきた。しかし、動物・人の生活や感情が複雑に絡み合うこれら問題について具体的な解決には至っていない。

わたしたちは個人として、または専門家の集まりである学会としてこうした問題にどのように向きあい、解決に向けてどのような貢献ができるのだろうか。今回の自由集会では大型類人猿のエンターテイメント利用や霊長類の違法取引に関する近年の動向やそれに対して行った活動について話題提供をしていただく。その後、一般参加者も含めてこれらの問題について議論を行う。霊長類に関する専門家ができる貢献について考える場としたい。


申込方法

下記フォームに情報をお書込みください。自動返信で、Zoom URLなどの情報をお送りします。URLの第三者への無断での転送はご遠慮ください。どなたでも御参加いただけますので、ご興味のある方には下記より登録をすすめてください。(参加上限に達し次第受付を終了します。)※noreply.psj36.w2[at]gmail.comからメールはお送りします。


自由集会スケジュール


1.企画趣旨説明 山梨 裕美 (日本霊長類学会 保全福祉委員会 / 京都市動物園)


2.話題提供

大型類人猿のエンタメ利用における、専門家と一般からの「認識のずれ」について       

徳山 奈帆子(京都大学 霊長類研究所)

擬人化されたチンパンジーの感情表出の分析からわかること                   

松阪 崇久(大阪成蹊大学 教育学部)

霊長類のペット利用と違法取引-日本社会の変容に向けて連携を                

北出 智美(TRAFFICジャパンオフィス代表/WWFジャパン・野生生物グループ)

#PrimatesAreNotPets: Conserv’Sessionの活動から学んだこと          

徐 沈文(Conserv’Session / 京都大学 霊長類研究所)


3.総合討論

コメンテーター

林 美里(公益財団法人 日本モンキーセンター)

諸坂 佐利(神奈川大学 法学部)

白井 啓(株式会社 野生動物保護管理事務所)

Steve Ross (International Primatological Society / Lincoln Park Zoo) *録画での参加


主催

日本霊長類学会 保全福祉委員会 (実行委員: 山梨 裕美,赤見 理恵,徳山 奈帆子)