魔法使いたちのお話

遠い昔、たくさんの神様たちがまだこの地にいたころの話だ。

ある神様が言った。

「人間というのは不便だ、我々より体は弱いし、頭も悪い。かわいそうだからいろいろ教えてあげよう」

他の神様たちも暇を持て余していたので、面白そうだとその神様に賛成した。

それで神様たちは、人間に色んな事を教えた

あまりにも多すぎるので、ここでは全て書かないが、その中に魔法も含まれていた。

こうして魔法使いたちが生まれた。

魔法使いたちは、神様たちから知恵を授かり力も授かった。

魔法使いたちは、神様たちと人間の仲を取り持つこともあった。

でも、それは長くは続かなかった。

ある時から人々は、神様が一人だけだと考えた始めたからだ。

そして、人々はたくさんの神様を信じることを悪いことだと言い始めた。

それが神様たちの耳に入ると、神様たちはすっかり機嫌を悪くしてしまった。

なので、神様たちはそっぽを向いてまた一人、一人と遠い所へ行ってしまった。

魔法使いたちは悲しんだ。

神様たちと、とても仲が良かったからだ。

だが、魔法使いたちの災難はここから始まった。

神様が一人だとを考える人々は、魔法使いはみんな悪魔の手先だと言いだした。

魔法使いは悪魔と仲良しだから、悪魔の力を借りているとも言った。

たしかに悪魔と仲良しの魔法使いもいたかもしれない。

でもほとんどの魔法使いは違った。

「魔法は神様に教えてもらったものだ、悪魔のことなど知らない」

こんなことを言った魔法使いもいたが、人々は聞く耳を持たなかった。

武器を持った農民、騎士、修道士たちが、魔法使いたちを引っ捕らえた。

そして良い魔法使いも、悪い魔法使いも区別なく火あぶりにしてしまった。

わずかに生き残った魔法使いたちはひっそりと隠れるしかなかった。

しばらく時代が下った後。

あるときから人々は、魔法使いを捕まえるのをやめた。

何故かって?

答えは簡単だ。

人々が魔法を信じなくなったからだ。

魔法使いたちが姿を隠して、人々が魔法を目にすることはなくなった。

そのせいで魔法はおとぎ話の中だけの存在になってしまったからだ。

もう、魔法使いが狩られることはない。

だから、安心した魔法使いたちが現代になって徐々に姿を現してくるだろう。

明後日にも、明日にも。