神様が天と地を創造したばかりの頃、悪もなく故に罪もなく死さえもなかった時代のことです。
神様が「光あれ」と言うと、光から神の御使い、天使たちが生まれました。
天使は神様を助けて、神様と共に世界を作っていきました。
大空を作り、昼と夜も作りました。
その次に海を作り、地には種をまいて、緑を溢れさせました。
天使たちは、豊かになって行く世界を見ると、とても満たされた気持ちになりました。
神様と共に美しい世界を作って行くことを、天使たちは誇りに思ったのです。
その次に海の生き物を作り、次に空の鳥たちを作りました。
そして、地の獣を作り上げ、世界は『ほぼ』完成しました。
天使たちは歓喜の声を上げました。天使たちはこれで『全て』完成したと思ったからです。
偉大な神様と共に作り上げた、美しい美しい世界が。
しかし、神様は言いました。
「さあ、人を造ろう」
天使たちは驚きました。天使たちは世界はもう完成したものと思い込んでいたからです。
天使たちは興味津々で、神様が『人』を作り上げるのを見ていました。
塵から神様は、瞬く間に『人』を作り上げました。
『人』は神様そっくりでした。
またまた天使たちは驚きました。
今まで作り上げた生き物は神様と似ても似つかぬものばかりでしたから。
そして、神様は言いました。
「世界を全て人に与える」
天使たちは唖然として声が出なくなりました。
なぜなら天使たちは完成した『世界』は自分たちに与えられると信じていたからです。
天使たちは自分たちがいちばん神様に愛されていると信じていました。
裏切られた。天使たちはそう感じました。
末弟に両親の寵愛を奪われた長子のように。
さらに神様は言いました。
「天使は人に仕えよ」
人は塵から天使は光から生まれました。
『塵』に仕えるなど、『光』にはとても考えられません。
全ての天使ではありませんが、多くの天使は怒り狂いました。
今まで、一度も親に歯向かった事がない『子供たち』が反抗したのです。
しかし、神様は、反抗した天使たちを地の底に落としてしまいました。
地の底に落ちた天使たちはもちろん神様を恨みました。
しかし、神様にはとても敵いません。
そこで人を狙うことにしたのです。
その結果が、有名なエデンの園の物語です。
エデンの園で、人の租であるアダムとイブは、蛇に騙され知恵の実を食べました。
実は、蛇の正体は姿を変えた『地の底に落ちた天使』だったのです。
人は『地に落ちた天使』に騙され、悪を知り、ここに罪が生まれました。
騙されたとはいえ、罪を犯した人に神様は罰を与えます。
故に死が生まれました。
こうして、世界には悪と罪があふれ、死があふれるようになりました。
『地の底に落ちた天使たち』は今の世界にとても満足しています。
自分たちが何もしなくても、人は苦しみ、死んでいくのですから。
今も『地の底に落ちた天使たち』はときどき地上にやって来ます。
人間たちに悪さをして楽しむためです。
今では、地に落ちた天使たちは悪魔と呼ばれています。