企画会議の進め方

どのように企画を議論するか?

皆さんの学校のホームルームで、何かの会議を始めるときに、皆さんはどのようにやっていますでしょうか?基本的には、先生がある程度お膳立てをした上で、決まり決まった会議のやり方で、『時間中に決めないといけない』ような議論をして、結局、声の大きい人の案で決まった、なんてことはないでしょうか?

ビジネスの場所でも、大学でも、こういった『企画会議』は、非常に多く存在します。そうした中で、いつでも完全に満足のいく会議ができるわけではありませんが、幾つかのやり方とルールが存在します。

このページでは、どのようにアイディアを出し合い、企画を議論するかを考えていきましょう。

0. テーマについて、『各個人が予習』をしてくること

これは、会議を始める『前』に行うことですが、会議をする前に、自分に何の意見もないならば、それは会議に参加する意味のないことです。会議に参加する人は、事前に必ず会議で話し合われるテーマについて、十分に自分の中で考えてから来る必要があります。

企画会議においては、幾つかの段階に分けて行われることがしばしばあります。

    1. 企画のアイディアを列挙する『ブレインストーミング』や『マインドマップ作成』
    2. 列挙されたアイディアについて、何がインパクトがあるのかを調べる会議
    3. 選定されたアイディアについて、良い点や悪い点を挙げてより良いアイディアにする会議 ... など

それの、どれにもあてはまるのは、先に自分で考えて、1つでも自分の意見を出すという『予習』です。この『予習』の段階では、それぞれの会議の性質に合わせて、辞書やインターネットを使って、幅広い『知識』を得るようにしておくといいでしょう。

1. どんなアイディアを考えるのか、概念を抽出する『マインドマップ』

マインドマップとは、元となるアイディアを中心に置き、そこから意見を関連させて、発想をどんどん広げていくという方法です。

これには提唱者によっていくつかのルールが定められています。そのルール中には、幾つかの注意点があります。

    • 無地の紙を使うこと
    • 用紙の中心に元となるアイディアを置くこと
    • 用紙は横長で使うこと
    • ワードは単語で書く
    • 独創的に独自のスタイルで「楽しむ!」こと

マインドマップの作成は、次に述べる『ブレインストーミング』と共に、企画の最初の段階でよく使われる手法です。発想を広げることに非常に役に立ちますが、一方で、話題が発散しやすいので、時間を区切って作ることが重要です。

上図は、「図書館の貸し出しアプリ」についてのマインドマップを一例として掲載しています。 この図では、『本の貸し出し』について、どのような要素があるのかを分類し、樹形図として整理していきます。また、樹形図だけではなく、途中で関連することがある場合は、ネットワークのようにつなげ直すこともできます。

マインドマップを作る時のタイミングは、2回あると思います。1つは、『テーマからアプリの内容を引き出す』ための概念を抽出する段階、もう1つは、『作るべきアプリケーションを決定してから、どのような要素をアプリケーションに追加するか』を決める段階です。

2. 自分たちの持つ全てのアイディアを出し尽くす『ブレインストーミング』

ブレインストーミングとは、メンバーで自由にあるだけ意見を出し合いうことで、発想の誘発を導いたり、意見の良いところを合わせたりして元のアイディアをより良いものにしていくやり方のことです。

ブレインストーミングでは、会議のメンバーの積極性が一番重要となります。特に、アプリケーションの企画会議では、アプリの元のアイディアについて、問題点や曖昧なところを中心に、全員で意見を出し合います。

出し合う意見は、本当にどんなものでも構いません。小さいことや曖昧なことなど、気にせず思いつく限りの意見を出し合ってみましょう。たくさんの意見があれば、それだけアイディアも良いものにしていけます。

出し合った意見は、図にしたり書きとめたりしておくことでわかりやすいようにしておくことが必要です。同じ場所で皆が黒板や、大きい白紙に書いていくならば、マインドマップなどを作成しながら進めることができます。また、アイディア出しに集中したいのなら、書記を一人専任して、ほかの人は黒板をずっと見ながら、どんどん意見を出し合うようにするといいでしょう。

ブレインストーミングでは、4つの基本的なルールが存在します。

    1. ネガティブな意見はできるだけ遅らせる(基本的には言わない、批判をしない)
    2. 突飛なアイディアを歓迎する(自由奔放に考える)
    3. 質より量、質にこだわらずにたくさん出す(大量に発案する)
    4. 他の人に便乗して出す(既出意見、改善など、こだわらず、何でも発表する)

そして、何より、ブレインストーミングで重要なのは、『意見を言った人をまず褒める(プレイズ・ファースト)』ことです。どんな意見であっても悪い意見はありません。自分の思い通りにならないからと言って相手を否定することが、この会議で一番やってはいけないことです。

3. アイディア群について、何が本当のニーズなのかを洗い出す『研究・調査』

膨らんだアイディアを収束させるのに必要なのは、そのチームが『何のために』それをするのか?という事です。マインドマップも、ブレインストーミングも、基本的には議論を発散させて、可能性が少しだけでもあるものをとにかく拾い上げるというものです。

一方で、皆さんが作るアプリケーションは、アイディアを発散させた状態から作り上げることはできません。発散させたアイディアの山から、良い原石を拾い上げるためには、皆さんの根底にある『ポリシー』を決定する必要があります。

このために重要なものとして、『市場調査』や、『他者調査』と言った『研究』が必要となります。この時の会議は、アイディアの山に対して、分類し、整理したり、また、他の文献やインターネット、実際にGoogle Play Storeなどを見に行きながら、『現状、どのような状態なのか』を手分けして調べていく作業となります。

ここで重要なまとめ方は『カオスマップ』と呼ばれるものです(左図出典: Jp chaosmap 2014-2015 ) 。カオスマップは、元々広告業界で、その企業がどのようなグループに居るのかを一覧するためのものです。このような様式を作りながら、そのアイディアがどのような目的を達成するために必要なことなのかを並べて、自分たちが目指したいところに集中した機能やアイディア、デザインだけを抽出していくと、作りたいものが明確化します。

この会議では、とにかくたくさんの要素を、全員で分類しながら、現状はどのような状態で、どこに自分たちが貢献できるのかを議論しなければいけません。簡単にそれをする一つの方法として、議論するべき要素を、幅広の付箋紙に書き出して、それを、枠を書いた白紙や白板に張り付けていく、という作業をすることです。

分類する方法はその時その時で違いますが、身の丈に合ったアプリを作り上げるには、構成する要素は、3つ~5つくらいを念頭に、それくらいの小ささで、他にはないアプリを考えることが肝となります。

4. 選定したアイディアをよりブラッシュアップさせる『インタビュー』

こういった企画の会議は、チームの中の人たちだけで行うものではありません。実際には、そのアイディアを他の人に伝えて、他の人が『それは素晴らしい』という評価を得なければ、実際に世の中に役に立ったり、インパクトの強いものであったりはしません。

他の人にそのアイディアを伝えるのには、企画書としてまとまっている必要も、スライドでプレゼンテーションしたりする必要もありませんが、あなたの言葉で、3分くらいでそのアイディアを全て説明できるくらいに、自分の中でまとまっている必要があります。

会議の最終段階では、チーム全員が、互いに『インタビュー』しながら、また、それぞれのチームの友人や、家族、知り合いの人たちに、そのアイディアを話して、それが良いかどうかを『インタビュー』しながら、アイディアを固めていくといいでしょう。

時々、そのアイディアに対して、もっと『こうすればいいよ』とか、『これがほしい』という要望を聞くと思います。勿論、鵜呑みにする必要はありません。3.の時に行った調査研究で勝ち得た『自分たちのポリシー』に合致するかを判断して、もし合致し、かつより良いモノになると判断出来るときは、是非そのアイディアを追加してください。

一方で、この段階では、場合によっては激しく否定されるケースもあります。但し、その場合は、自分たちが悪いことではなく、ほかの人と見ているものが違う可能性があるので、正しく伝わっているかどうか、こだわりを共有できているかどうかを確認してみてください。

一般的に、スタートアップの段階では、周囲の人に『10人』お客さんがいれば、ビジネスとして成り立つ、とも言われています。皆さんは、それでビジネスをする人ではないので、もう少し緩く考えて、10人『いいね!』と言ってくれれば、十分、良い企画だと、胸を張って、企画書作成に移って戴ければと思います。