経験則に頼らずに、困難さを抱えた子供をどう見つけるのか。客観的なアセスメントに基づいたスクリーニングが重要。見つけないと救えない。
たとえば「目の細かさを変えたふるいを複数用意する」ように、複数層のスクリーニングによって、つまづきのある子どもたちを見つけてサポートしていく方法として、多層システムが注目を集めており、RTIと、それを基に開発されたMIMがそれにあたる。
このページでは、全児童生徒を対象とした【第一段階】、気になる子に対して行う【第二段階】、より客観的な【第三段階】と捉え、区分している。(けれど素人分類なのでその点ご容赦ください)
(参考:海津 亜希子、教育講演 RTIとMIM (第23回大会特集 より効果的な支援をめざして : 学習支援から問う特別支援教育)
日本文化科学社(製品ページ)
”LDI-R LD判断のための調査票は、 小学校1年〜中学校3年の子どものLDの有無についての可能性を判断する調査票です。質問は、基礎的学力(聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する、英語、数学)と行動、社会性の10領域で構成され、子どもを実際に指導し、学習状況を熟知した指導者や専門家が回答します。”
著者 上野 一彦、篁 倫子、海津 亜希子
発行年 2008年
学研出版サイトの紹介ページ
熊谷恵子・山本ゆう(著)
”未就学児および小学生に算数障害がある可能性の有無および算数でのつまずきの要因を、早期に正確に広く判定して、適切な支援に結び付けるための検査。未就学児用は個別に、小学生用は個別および集団で実施できる。コピーして使える検査用紙と記録用紙付き。”
対象:就学前の子(幼稚園・保育所・こども園の現場や巡回指導に携わる方が子どもたちを観察する状況での活用を想定している)
厚生労働省. 吃音、チック症、読み書き障害、不器用の特性に気づく「チェックリスト」活用マニュアル, 平成30(2018)年度障害者総合福祉推進事業
このチェックリスト=Check List of obscure disabilities in Preschoolers: CLASP
取りまとめをなさった稲垣真澄先生の書籍「吃音?チック?読み書き障害?不器用?の子どもたちへ 保育所・幼稚園・巡回相談で役立つ“気づきと手立て”のヒント集(株式会社診断と治療社)」もある。
Android、iOS12以上のiPhone、iPadで使用できる
小学校1年生から6年生を対象
”子どもが読み書きに課題を抱えている可能性があることに、保護者や教員、子ども自身が早く気づくことを目指します。
ディスレクシアを体験する
このアプリではディスレクシアの体験を通して、読むことが苦手な状態を知ることができます。)
チェックできる
このアプリでは、子どもの読みの能力を簡易的にチェックすることができます。子どもの読みの力、特に「言葉をまとまりとして捉える力」と、「言葉と意味を結びつける力」を確認できます。学習障害の一つであるディスレクシアの傾向を知る目安の一部として、専門家に相談する必要があるかどうかを判断する参考にお使いください。
*ディスレクシアの判定をすることはできません。
*このアプリで、学習の習熟度は確認できせん。”
奥村 智人先生監修
ウェブページには学校インタビューもある
鹿児島県総合教育センター 特別支援教育研修課のこちらのページ記載のメールアドレスにリクエストする。
”通常の学級担任である教師が,「アセスメントシート」を活用することで,児童生徒のつまずきの要因である認知の特性等について,仮説を立てながら見立てていくことができるようにすることをねらいとしている。”
同じページにリンクが置かれている、『研究紀要第116号』「特別な教育的ニーズのある児童生徒に対するアセスメントに基づく学習指導の在り方に関する研究」もとても学びが深い。
”明星大学の教育研究機関、発達支援研究センターの特設ページ「支援教材バンク」です。読み書きの学習に困難がある子どもへの教材を、研究成果として公開しています。”
”「どこに」つまずいているかを整理するために、読み書きのチェックリストを作成しています。読みは11項目、書きは13項目のチェックリストを用いて、お子さんの普段の様子からつまずきの有無を整理してみましょう。”
”多数の項目にチェックが入り、どの教材を優先すべきか判断に迷う場合は、児童に直接課題を実施してつまずきを確かめる「教材選択ツール」の活用も有効です。”
チェックリストの結果を見ながら、つまずきがありそうな階層の学習教材の提供もある。
稲垣 真澄氏、加賀 佳美氏が書かれたe-ヘルスネットの「学習障害(限局性学習症)」のページには、発達性ディスレクシア診断の流れとして下記が示されています。(最終更新日:2021年11月12日)
最初に知的機能評価を行います。このためにはWechsler式知能検査などの標準化された知能検査が重要です。知能指数(IQ)が知的障害のレベルにはないことを確認します。
次に、ひらがな音読検査を行い、その流暢性や正確性を確認します。2010年に発行された「特異的発達障害診断・治療のための実践ガイドライン」に、4つの音読検査が示されています。また、STRAW-R、KABC-II習得度検査、CARD等により、漢字やひらがなの読字書字到達度を測ることができます。最近は、英単語の読み書き理解についての検査法も刊行されています。
読みを支える側面について、音韻認識機能の検査(しりとり、単語逆唱、非語の復唱)、視覚認知機能の検査(Rey複雑図形模写、視知覚発達検査)、言葉の記銘力検査(auditory verbal learning test; AVLT)などを行う場合もあります。
上記に加え、一保護者としての私の耳には、以下の検査の存在が耳に入っている。
田中ビネー式知能検査Ⅴ(一般知能を測定)
URAWSSⅡ(読み書き速度を評価)
URAWSS-English(英単語の読みとスペルの習得度)
DN-CAS(認知処理過程の評価検査)
ITPA言語学習能力診断検査(2012年販売終了)
ELC(Easy Literacy Check)(音読・音韻処理能力簡易スクリーニング検査)
LCSA 学齢版(「文や文章の聴覚的理解」「語彙や定型句の知識」「発話表現」「柔軟性」「リテラシー」といった領域の課題から支援の方向性を示す評価法)
ATLAN(エイ・ティ・ラン)(資格者にのみ無償提供。就学前から小・中学校段階の子ども達の、読み書きを中心とする言語能力を測定する目的)
各検査がどのようなものなのか、適用年齢はどの幅なのか、という概要は、千葉県の特別支援教育指導資料(令和2年度版)のページにある「アセスメントに利用される諸検査等」がわかりやすい。
株式会社GAKKENの紹介ページ
通常学級・特別支援学級での使用を想定
”初期の「読み」の指導における最大の難関である「特殊音節」に焦点を当て、文字や語句を正しく読んだり、書いたり、なめらかに読んだりすることをめざす指導モデルです。
月1回の客観的なアセスメントテストと連動した指導法(トレーニング)で、子どもがつまずく前に、またはつまずきが深刻化する前に指導・支援を提供することを目指しています。”
紙の教材を利用する「パッケージ版」と、パッケージ版を持っている場合に限り提供が可能となるパソコンやタブレットで利用できる「デジタル版」(iPad/Windows)の二種類がある
海津亜希子先生
算数に焦点を当てた算数版の開発もされている模様(海津亜希子「算数につまずく可能性のある児童の早期把握−MIM PM 算数版の開発−」教育心理学研究、2016、64,241−255)
見つけただけでは意味がなく、継続的な支援が必要。書籍による情報(こちらの別ページの下部にあります)も併せてご検討ください。
国立成育医療研究センターの「ディスレクシアの指導・支援」ページから誘導あり
音読指導と語彙指導で構成
音読指導:音読指導アプリ for web
語彙指導:ディスレクシア語彙指導アプリ ことばのべんきょう(iPad用)
小枝達也先生、関あゆみ先生
スライド動画内で小学一年生からのRTIモデルのスケジュール感についての紹介あり
困難を何かで代替することで、子どもたちが学びにアクセスできるようにするアプローチについては、別ページを作成しました。