豊渓中学校統廃合を考える会は2025年1月23日に練馬区教育委員会へ公開質問状を送りました。
貴職の日ごろのご尽力に敬意を表します。
1月11日に統廃合の説明会がありましたが、まだ理解できない部分が多数あります。そこで、下記の項目について質問させていただきます。2月20日までにご回答・返送をくださいますようお願い申し上げます。いただいた回答は保護者、地域住民に共有いたします。
【質問事項】
1 「適正配置」の対象校を決める「素案」を作成する際に、なぜ地域や保護者との合意形成を全く行わなかったのでしょうか。
2 適正配置に向けて合意形成を行うべき「練馬区立学校の適正規模・適正配置検討委員会」では、なぜ十分な人数の地域代表、保護者代表、公募委員、学識経験者、未就学児童関係団体代表、などを構成員としないで、教育委員会事務局中心(12名中6名)で進められたのでしょうか。
3 なぜ他自治体ではほぼ100%、検討委員会は公開で行われ、会議録もホームページに公開されるのに、練馬区では会議も会議録も非公開となったのでしょうか。
4 教育委員会関係者が自分で「諮問」し「審議」し「答申」し、「素案」を作成したのでは、教育委員会の意向が強く反映されてしまうという心配はなかったのでしょうか。
5 通常の委員会であれば、1~2年間の審議を続ける自治体が多いのですが、「諮問」後、数回の審議で終了したのはどうしてでしょうか。
6 なぜ小中学校ともに「11学級以下校」を「過小規模校」として統合の対象とする練馬区独自の「厳しい」基準をつくったのでしょうか。文科省の「手引き」は単学級以下校(小6学級以下、中3学級以下)の統廃合の適否を速やかに検討する、とあります。「11学級以下校」と小学校の「6学級以下校」、中学校の「3学級以下校」ではあまりに大きな差があるのではないでしょうか。特に、中学では推計で区内の3分の1近くの学校が「過小規模校」になってしまいます。また「手引き」の「学年2学級以上が望ましい」という文言に義務的な意味はないと思われます。
7 「小中一貫校」の「適正規模」を練馬区独自で「18~27学級」と設定したうえで、それより1学級足りない「17学級」になるということを根拠に旭町小と豊渓中を、「小中一貫校」の検討対象から外したのは、どうしてでしょうか。なお、教育委員会資料によると都推計では、豊渓中は将来「6学級」(2029年)となっており、統廃合を実施しようとしている2029年は「18学級」基準をクリアするのではないでしょうか。
学校教育法施行規則の「義務教育学校」の「学級数」の「標準」が「18~27学級」ですが、これは、小中学校では「12~18学級」が「標準」と定められているため、便宜上定めたものであり、子どもの「教育的効果」と関係するものではありません。あくまで「標準」であって、それだけの学級数がなければいけないという数字ではないのです。
例えば、全国の「義務教育学校」の半数以上は、「18学級以下」の学校です。さらに「小中一貫校」であれば「標準学級数」すら、そもそも定められていません。もし練馬区が独自にそのような数字を設定し、1学級というわずかな学級数の相違にこだわるとしたら、その理由はどのようなものなのでしょうか。
8 前回の光第四中などを統合対象としたときの2016年の統合候補校選定の基準と、今回の基準が全く異なるのはどうしてなのでしょうか。
今回出された、①「20年後の推計が11学級以下の過小規模校」②「学習指導要領の教育活動に適した運動場面積・セットバックに必要な面積」はあまりに厳しく不確定なものではないでしょうか。対象が多くなりすぎますし、そもそも統合したい学校を教育委員会が自由に選択できるようなものになっていないでしょうか。
このような内容の基準を設定している自治体は国内で他にあるのでしょうか。
9 特に豊渓中の場合、運動場面積の不足などは隣接する旭町小と共有する形で改修することによってクリアできるのではないでしょうか。練馬区は、上石神井小学校と中学校の改修では、小中の施設を一部共有して改修工事をすると聞きます。同じような対応が、旭町小と豊渓中でできないでしょうか。
10 学校統廃合は、子どもにも地域にもダメージが残ることから、対象校すべてをいったんは廃校にして、校名も新たにする「対等・平等」方式で行うことが広く慣習法的に取られています。「吸収・合併」の場合、小さい方の学校の子どもたちに多くの負担がかかってしまいます。足立区のように方針を明文化している自治体もあります。しかし練馬区の「素案」は、統合しても校名を変えず「吸収・合併」方式で行う可能性があることを書いています。「吸収・合併」方式の統廃合の子どもや地域へのネガティブな影響についてどのように考えているのでしょうか。
11 練馬区は「標準学級規模」という言葉をどのような意味で使っているのでしょうか。
学校教育法施行規則第41条では「12~18学級」が「学級数」の「標準」とあります。この「標準学級数」は、8千人の自治体に中学を開設した時の平均学級数であり、子どもの「教育的効果」とは関係のないものとされています。それに対して、練馬区が学校教育法施行規則第41条に基づき「12~18学級」を「標準規模」として、そこに教育的な理由をつけているのは、法の解釈が間違っているのではないでしょうか。
12 地域や保護者との「合意形成」ができていなければ「準備会」は開催しないのでしょうか。また「準備会」の委員は、だれがどうやって選定するのでしょうか。
13 なぜ練馬区では、小規模校の「デメリット」のみ記載して、「メリット」と併記をしないのでしょうか。文科省の学校統廃合「手引き」(2015年)も、他の自治体の「適正配置・適正規模方針」などのほとんどが両方を併記しています。
14 2023年に行われた、練馬区の通学距離の延長「小学校1㎞⇒1.5㎞、中学校1.5㎞⇒2㎞」は、特定の将来の統廃合を見越しておこなわれたものだったのでしょうか。区全体の実態調査に基づいたものだったのでしょうか。
15 こども基本法(2022年)では、こどもの意見を、こども施策の「策定、実施、評価」にわたって反映させることが地方公共団体に義務付けられています。パブリック・コメントへの記入以外では、計画策定に子どもの声をどのように反映していくのでしょうか。
16 光が丘第四中が閉校になった時期の子どもたちの状況、当時やその後の「精神的健康度」などについて検証は行われているのでしょうか。結果的に、中3だけが学校に残されたのは、地域や保護者の反対を押し切って統合した、教育行政の責任もあるのではないでしょうか。
2025年2月20日に練馬区教育委員会へ公開質問状を送った回答が届きました