世界の海洋には、栄養塩(硝酸塩・アンモニア、リン酸塩、ケイ酸塩)が高濃度で存在しているにも関わらず、それに見合った基礎生産量がない「高栄養塩低クロロフィル(HNLC)」海域があります。南極周辺海域は世界を代表するHNLC海域で、低い基礎生産量と豊富な水産資源という矛盾が両立するという謎の海域です。
HNLC海域は温暖化などの環境変化に対する海洋生態系の応答評価は未解明で、世界で最も予測困難な海域と言われています。
研究代表者らは北極海における海洋生物の応答研究や世界を代表するもう1つのHNLC海域かつ水産資源豊富な北太平洋亜寒帯域で20年以上にわたる時系列観測研究の実績を持ち、HNLC海域における物理・栄養塩環境と生物生産を結ぶメカニズムを明らかにすることができました。この実績をベースに南大洋の研究に挑もうとしております。